資格取得までのハードルが高い公認心理師ですが、資格取得後はどのように資格が活かされるのか気になりませんか?

公認心理師の就職先や仕事内容など、活躍できる場所を知りたいですよね。

ここでは、公認心理師の主な就職先や仕事内容について紹介します。また、年収についてもお伝えします。

ぜひ、参考にしてみてください。

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どこで働く?公認心理師の主な就職先

ここでは、公認心理師の主な就職先についてお伝えします。

厚生労働省では、公認心理師の活動を5つの分野およびその他の分野で分類しています。

さまざまな施設があり、公認心理師が活躍できる場所が数多くあります。

活動分野 主な勤務先
保健医療分野 ・精神科病院・精神科診療所
・一般病院・一般診療所
・保健所・保健センター
・精神保健福祉センター
福祉分野 ・児童相談所
・児童発達支援センター
・障害児通所支援事業所・障害児相談支援事業所
・児童福祉施設・その他児童施設(認定こども園、保育所、児童館等)
・障害者支援施設
教育分野 ・幼小中高等学校スクールカウンセラー
・公立教育相談機関
・大学等の学生相談室
司法・犯罪分野 ・少年鑑別所・少年院・刑事施設
・家庭裁判所
・保護観察所
産業・労働分野 ・組織内外の健康管理・相談室
・ハローワーク等の就労支援機関
その他の分野 ・私設心理相談機関
・大学等附属の地域向け心理相談施設(除.学内の学生相談室)
・大学・研究所等(教育・養成、研究等)
・いわゆる「5分野」に該当しないあるいは分類できないNPO等
・その他

厚生労働省令和2年度障害者総合福祉推進事業における「公認心理師の活動状況等に関する調査」によりますと、令和2年(2020年)の調査での主な活動分野は「保健医療分野」が約30%です。次に「教育分野」が約29%、「福祉分野」が約21%の順となっています。

2018年第1回試験が行われた次の年の2019年度における調査では、主な活動分野は「保健医療分野」で全体の40.2%でした。次に「福祉分野」23.3%、「教育分野」11.0%の順となっており、現在とは順番や割合が異なっていることがわかります。

主な活動分野 2020年度 2019年度
保健医療分野 約30% 40.3%
福祉分野 約21% 23.3%
教育分野 約29% 11.0%

公認心理師の働く場所ごとの具体的な仕事内容

厚生労働省では「公認心理師法概要」を掲載しており、公認心理師の定義が記載されています。

『「公認心理師」とは、公認心理師登録簿への登録を受け、公認心理師の名称を用いて、保健医療、福祉、教育その他の分野において、心理学に関する専門的知識及び技術をもって、次に掲げる行為を行うことを業とする者をいう。

①心理に関する支援を要する者の心理状態の観察、その結果の分析

②心理に関する支援を要する者に対する、その心理に関する相談及び助言、指導その他の援助

③心理に関する支援を要する者の関係者に対する相談及び助言、指導その他の援助

④心の健康に関する知識の普及を図るための教育及び情報の提供』

公認心理師は、心に関する支援を必要としている人はもちろん、その関係者の相談や指導、援助を行っていきます。また、心の健康に関する教育や情報提供も仕事のひとつです。

保健医療分野での仕事内容

保健医療分野の就職先は、精神科病院(診療所含む)、一般病院(診療所含む)、保健所・保健センター、精神保健福祉センターがあります。

心理ケアを必要としている相談者に対し、面接や検査、観察を通して支援や援助をします。

また、他科からの依頼によるアドバイスといった、コンサルテーションも重要な業務です。

保健機関では、アルコール・薬物依存症の相談や、ひきこもりの相談、乳幼児の発達検査の相談などがあります。

医療機関や保健所ではチーム医療となるケースが多く、さまざまな機関や職種と連携して行うことが必要です。

福祉分野での仕事内容

福祉分野の就職先は、児童相談所、児童発達支援センター、障害児通所支援事業所・障害児相談支援事業所、児童福祉施設・その他児童施設(認定こども園、保育所、児童館等)、障害者支援施設があります。

虐待や不登校、発達障害、知的障害、子育てに関した相談やアセスメント・判定が主な仕事内容です。

また、子どもに関したことだけではなく、老人ホームのような高齢者施設、DVを受けた女性など、成人に対してのケアや援助も行います。

今後の活動として、児童虐待や発達障害など特定の課題に対する専門的な心理面接や、家族に対する心理支援や援助、職員に対する助言などが求められています。

教育分野での仕事内容

教育分野の就職先は、幼小中高等学校スクールカウンセラー、公立教育相談機関、大学等の学生相談室があります。

スクールカウンセラーは、いじめや不登校、自傷行為、発達障害など、さまざまな相談に応じます。また、当事者だけではなく、保護者、保育者、教職員なども含めて幅広く対応しなければなりません。

今までのスクールカウンセラーは臨床心理士が行っていましたが、不登校生徒の数が多くなっていることから、公認心理師も必要とされてきており、より幅広く活躍できるでしょう。

司法・犯罪分野での仕事内容

司法・犯罪分野の就職先は、少年鑑別所・少年院・刑事施設、家庭裁判所、保護観察所があります。

警察での心理職員、家庭裁判所調査官、保護観察所の保護観察官は、基本的には公務員として勤務します。

犯罪を犯した人の心理査定をし、矯正や更生、処遇の方針を示す役割があります。

また、加害者や被害者の心のケア、施設を出たあとの社会復帰の支援など、仕事内容は多岐にわたります。

少年司法・刑事司法といった法手続きに沿って、加害者の更生や社会の安全を目指すことが期待されます。

産業・労働分野での仕事内容

産業・労働分野の就職先は、働く人すべてが対象となるため、組織内外の健康管理・相談室、ハローワーク等の就労支援機関があります。

仕事上の悩み、過労、うつ症状などの精神疾患、休職者の職場復帰、ハラスメントなどのメンタルヘルス問題についての支援を行います。

具体的には、メンタルヘルス問題を未然に防ぐ一次予防、早期に発見し対応する二次予防、職場復帰を支援する三次予防があります。

企業や組織に対するアプローチも期待されており、企業の産業医との連携や、必要に応じて上司や従業員の家族へのコンサルテーションなど、適切な対応が必要です。

その他の分野での仕事内容

その他の分野の就職先は、私設心理相談機関、大学等附属の地域向け心理相談施設(除.学内の学生相談室)、大学・研究所等(教育・養成、研究等)、いわゆる「5分野」に該当しないあるいは分類できないNPO等、その他があります。

心理専門職の養成・教育や、「心理支援」に関わる研究、私設心理相談機関では、個人に対する心理面接やカウンセリング、心理アセスメントの活動があります。

発達障害や人格障害といった特定の課題に対する専門的心理面接、個人理解・特性理解・疾病理解等を促すカウンセリング、家族に対する教育・支援・助言などは、今後期待される活動となっています。

公認心理師の就職先ごとの年収はどれくらい?

厚生労働省令和2年度障害者総合福祉推進事業における「公認心理師の活動状況等に関する調査」によりますと、2019年度の年収は以下のとおりです。

「300万円以上400万円未満」が21.3%で最も多い結果となっています。

年収 人数 割合(%) 累積(%)
100万円未満 377 4.2 4.2
100万円以上200万円未満 728 8.1 12.3
200万円以上300万円未満 1,471 16.4 28.7
300万円以上400万円未満 1,913 21.3 49.9
400万円以上500万円未満 1,590 17.7 67.6
500万円以上600万円未満 1,000 11.1 78.7
600万円以上700万円未満 620 6.9 85.6
700万円以上800万円未満 418 4.6 90.3
800万円以上900万円未満 246 2.7 93.0
900万円以上1,000万円未満 132 1.5 94.5
1,000万円以上 257 2.9 97.4
無給・無報酬(無給研修生・無償のボランティア等) 6 0.1 97.4
収入なし(離職) 2 0.0 97.4
回答しない 230 2.6 100.0

また、常勤勤務者の年収でもっとも割合が高かったのは、「300万円以上400万円未満」と「400万円以上500万円未満」が同程度でした。非常勤者では「200万円以上300万円未満」です。

さらに、実務経験年数の比較では、10年以上勤務者は「400万円以上500万円未満」がもっとも高く、10年未満勤務者は「300万円以上400万円未満」となっています。

分野別でもっとも割合が高かった年収は、司法・犯罪分野の「500万円以上600万円未満」でした。詳しくは以下のとおりです。

  • 保健医療分野:300万円以上400万円未満
  • 福祉分野:300万円以上400万円未満
  • 教育分野:300万円以上400万円未満
  • 司法・犯罪分野:500万円以上600万円未満
  • 産業・労働分野:400万円以上500万円未満
  • その他の分野:1,000万円以上

分野別の常勤者でもっとも割合が高かった月収は、司法・犯罪分野と産業・労働分野で、「30万円以上35万円未満」でした。詳しくは以下のとおりです。

  • 保健医療分野:20万円以上25万円未満
  • 福祉分野:20万円以上25万円未満
  • 教育分野:20万円未満
  • 司法・犯罪分野:30万円以上35万円未満
  • 産業・労働分野:20万円未満、20万円以上25万円未満、30万円以上35万円未満が同程度
  • その他の分野:20万円未満、50万円以上100万円未満が同程度

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