精神保健福祉士と公認心理師の違いとダブルライセンスのメリット・デメリット
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心理学の専門知識を用いて、人々の精神的健康をサポートする公認心理師と精神保健福祉士は、心理支援のフィールドで中心的な役割を担っている資格です。
公認心理師と精神保健福祉士の資格は、精神的な問題を抱える人々への支援を行うキャリアを築くうえで欠かせない資格です。
しかし、2つの資格間には、業務の内容や対象となるクライアント、そして取得方法において違いが存在します。
さらに、公認心理師と精神保健福祉士の両方の資格を持つことのメリットとデメリットについても理解することが重要です。
- 精神保健福祉士と公認心理師の違いは?
- 精神保健福祉士から公認心理師になれる?
- 精神保健福祉士と公認心理師のダブルライセンスはできるの?
本コラムでは、精神保健福祉士と公認心理師の資格の違いに焦点をあてて、それぞれの資格が心理支援のフィールドにおいてどのような役割を果たすのか、そして両資格を持つことのメリットとデメリットについて解説します。
ダブルライセンスを目指す方々にとって、本コラムが貴重な情報源となり、これからのキャリアプランを考えるうえで役立つことを願っています。
目次
精神保健福祉士と公認心理師の違い
項目 | 精神保健福祉士 | 公認心理師 |
---|---|---|
資格 | 国家資格 | 国家資格 |
業務内容 | 精神障害者の社会復帰支援、相談に応じ、助言・指導・日常生活への適応訓練などの援助 | 心理状態の観察・分析、相談・助言・指導、心の健康に関する教育・情報提供 |
主な就労先 | 精神科医療機関、精神障害者社会復帰施設、保健所、精神保健福祉センター、精神科デイケア施設 | 総合病院、クリニック、学校、民間企業など |
受験資格(必要な履修科目) | 4年制大学で指定科目を修めて卒業、2年制短期大学等卒業後の実務経験、短期・一般養成施設の修了 | 心理系大学4年+大学院2年卒業、心理系大学4年+指定プログラム完了、同等の知識や技術が認定された場合 |
精神保健福祉士は、精神障害者の社会復帰を目指す専門職であり、精神科医療機関や社会復帰施設などで、クライエント(患者)の相談に応じたり、日常生活への適応訓練を提供したりします。
精神保健福祉士は、精神障害者が社会に復帰するための架け橋として、多方面にわたる支援を提供するのが仕事です。
一方、公認心理師は、心理学の専門知識を生かして、クライエント(患者)の心理状態を観察・分析し、適切な相談・助言を行います。
公認心理師は、総合病院や学校、民間企業など幅広い分野で活躍し、心の健康に関する教育や情報提供を行うのが仕事です。
公認心理師と精神保健福祉士、どっちがいい?
選択は、個々人がどのような支援を提供したいか、どの領域で働きたいかによります。
精神保健福祉士は、精神障害者の社会復帰支援に特化しており、その道で専門的なキャリアを積みたい方に適しています。
一方、公認心理師は、心理学の幅広い知識を活かし、多様な環境や状況で心の問題に取り組みたい方に向いています。
結局のところ、自分がどのような支援をしたいのか、どの職場で働きたいのかによって、どちらの資格を目指すべきかが決まります。
精神保健福祉士は、精神障害を持つ個人の社会復帰という明確な目標に向かって支援を行い、医療機関や福祉施設などでの実務に重点を置いています。
この資格は、精神保健の分野で深い専門知識と経験を積みたい方に最適です。
一方で、公認心理師は、より広範な心理学の知識を活用して、個人の心理状態の観察や分析、カウンセリング、教育、情報提供など多方面での活躍が期待されます。
病院や学校、企業など、多様な環境でのニーズに対応できるため、幅広い分野に関心がある方に適しています。
公認心理師と精神保健福祉士のどちらを選ぶかは、自分のキャリアビジョンや、どのような人々と関わり、どのような支援を行いたいかによって異なります。
また、これらの資格を併せ持つことで、より幅広い知識とスキルを身につけ、多角的な支援が可能になる場合もあります。
自分の興味や目指す職業の内容をよく考え、それに合った資格を選択することが重要です。
精神保健福祉士や公認心理師として働くことは、個人の心理的な課題に寄り添い、その解決に向けて支援するという意味で非常に報われる仕事です。
自分に合った道を選び、専門職としてのスキルを磨き、多くの人の心の健康を支えていくことができるでしょう。
精神保健福祉士と公認心理師のダブルライセンスのメリット・デメリット
精神保健福祉士と公認心理師のダブルライセンスは、心理的なサポートを必要とするクライエントに対してより広範囲かつ専門的な支援を提供できる可能性を秘めています。
これら2つの資格を持つことのメリットとデメリットを検討することで、これからのキャリア形成に役立つでしょう。
精神保健福祉士と公認心理師のダブルライセンスのメリット
まずはダブルライセンスのメリットについて解説していきましょう。
メリット1 心理的な見立てができる
精神保健福祉士としての専門的な知識に加え、公認心理師の資格を持つことで、クライエントの心理状態をより深く理解し、適切な支援を行うことが可能になります。
心に病を抱える方にとって必要なのは治療だけではありません。社会復帰までサポートする必要があります。
精神保健福祉士は、社会復帰の際に利用できる制度についても詳しくなければなりません。
これにより、クライエントだけでなく、他職種とのコミュニケーションや連携もよりスムーズに進められるようになります。
メリット2 希望の働き方を実現しやすい
ダブルライセンスを持つことで、働き方の選択肢が広がります。
公的機関や民間企業、独立しての開業など、より自分に合ったキャリアパスを選ぶことが可能になるほか、キャリアアップの機会も増えるでしょう。
精神保健福祉士と公認心理師のダブルライセンスのデメリット
次に、ダブルライセンスを取得するデメリットについて解説していきます。
デメリット1 公認心理師資格取得までに時間とお金がかかる
公認心理師資格を取得するためには、通常、心理学関連の大学院での学位取得が必要となります。
資格取得には相応の時間と費用が必要となり、特にこれまでに提供されていたような経過措置ルートがなくなった現在、時間とコストの負担はさらに大きくなる可能性があります。
デメリット2 両資格の専門性を担保し続けなければならない
ダブルライセンスを維持するためには、継続的な学習と専門性の更新が必要です。定期的に研修への参加や学会での発表など、自己啓発に励む必要があります。
こうした努力は、2つの資格を保持し続けるうえで負担となりえるものではあるものの、心の専門職としての質を高めることにもつながります。
精神保健福祉士と公認心理師のダブルライセンスは、多大な努力とコミットメントを要求される一方で、心理的サポートを求める人々に対してより質の高い支援を提供できるという大きなメリットを提供します。
自分がどのような支援をしたいのか、どのようなキャリアを築きたいのかを明確にし、これらの資格がその目標にどのように貢献できるかを考えることが重要です。
精神保健福祉士から公認心理師になるには
公認心理師の資格は、精神保健福祉士からのキャリアアップの道としても注目される資格です。
公認心理師は、心理学の専門知識と技術を用いて、心に問題を抱える人々を支援する国家資格です。公認心理師の資格を取得するにはいくつかのステップを踏む必要があります。
まず基本的なプロセスとして、国家試験に合格し、その後、公認心理師登録簿に登録することで正式に公認心理師として仕事ができるようになります。
この国家試験には、特定の受験資格が要求され、それには複数の受験区分が存在します。
公認心理師の受験資格は区分AからFまでの7つに分かれており、これから公認心理師を目指すには主に区分A、もしくは区分Bに該当する必要があります。
区分Aや区分Bは、4年制大学での心理学関連のカリキュラムを履修し、その後、大学院でさらに2年間、公認心理師に関するカリキュラムを履修するか、または指定された施設で実務経験を2年以上積む必要があるというものです。
ただし、実務経験の場合、実際には3年間の経験が標準とされています。
こうしたプロセスを経ることで、公認心理師の資格を取得できますが、最短でも大学4年間と大学院2年間、計6年間の学習もしくは3年の実務経験が必要です。
心理学部を卒業している場合、A区分やB区分ではなく、他の区分に該当する可能性もあり、受験資格を得やすくなる場合もあります。
2022年まで存在していた特例措置の区分Gは、精神保健福祉士を含む現場で活動している専門家が公認心理師の受験資格を得やすくするためのルートでした。
しかし、G区分がなくなったことにより、現在は精神保健福祉士であっても、公認心理師になるためには、大学および大学院でのカリキュラムを履修する必要があります。
これにより、精神保健福祉士から公認心理師になる場合には、大学、あるいは大学院に行くというアプローチが必要となり、時間と費用の面で新たな課題が生じています。