公認心理師の資格は、社会で生きる人々の心の健康を守り、支えることを目的に、保健医療、福祉、教育といった多岐にわたる分野で活躍が期待されている資格です。

専門的な心理学の知識と技術を持つ公認心理師は、心の悩みを抱える人が多い現代社会においてますますその重要性が高まっています。

しかし、公認心理師という資格は、2017年に国家資格として施行されており、制度化されて間もない資格です。

そのため、公認心理師はやめとけ・食えないと言われることも少なくありません。

• なぜ公認心理師はやめとけと言われるの？
• 公認心理師が食えないって本当なの？
• 公認心理師の将来性はどうなの？

本コラムでは、こうした疑問や悩みに応えるべく、公認心理師の将来性について詳しく解説します。

このコラムを読むことで、公認心理師という素晴らしい仕事に対してネガティブな印象を持つ人がいるのかを説明したうえで、公認心理師の仕事の未来が明るいことを示します。

公認心理師とは

公認心理師は、心理学の専門的知識と技術を用いて、保健医療、福祉、教育などの分野で心理支援を提供する国家資格です。

2015年に成立した公認心理師法に基づき、2017年の法施行により誕生した比較的新しい資格であり、現状では心理学系の職業で唯一の国家資格です。

公認心理師の資格は、社会の多様化と複雑化に伴い増加する心の問題に対応する専門職の需要に応えるために設けられました。

公認心理師は、心理状態の観察・分析や心理に関する相談・助言など、多岐にわたる業務を行います。

そのため、公認心理師を目指す希望者は多く、その専門性を生かした幅広い分野での活躍が期待されている資格であると言えるでしょう。

公認心理師は、一生涯にわたり「こころ」に関する研鑽を続け、社会に貢献する専門家としての資質が求められています。

公認心理師がやめとけ・食えないと言われる理由

公認心理師は、心理学に基づく専門的な知識と技術を持ち、様々な心理的支援を提供する国家資格です。

しかし、その道を志す多くの人が直面する「公認心理師がやめとけ・食えない」という警告には、いくつかの具体的な理由があります。

以下に、その理由を詳しく解説します。

1　資格取得までに時間とお金がかかる

公認心理師になるためには、まず大学で心理学を専攻し、その後大学院でさらに専門的な知識と技術を習得しなければなりません。

この過程は時間もお金もかかり、多くの場合、修士課程を修了し必要な単位を取得することで初めて資格試験の受験資格を得られます。

修学期間中の授業料や生活費、そして大学院への進学に必要な費用は決して安くはなく、多額の投資を求められます。

2　平均年収が低い

公認心理師の平均年収は、他の多くの専門職に比べて低めに設定されていることが多いです。

特に、非常勤やパートタイムの仕事が多く、これらの雇用形態では安定した収入を得ることが難しいことがあります。

結果として、資格取得にかかった費用と労力に対して、得られる収入が見合わないと感じる人も少なくありません。

3　求人（とくに常勤）が少ない

公認心理師の求人は存在しますが、特に常勤のポジションは限られているのが現実です。

多くの場合、1つの施設に必要とされる心理師の数は少なく、その結果、競争が激しくなります。

さらに、新規に職場を見つける際には、非正規雇用のポジションが多く、安定した職に就くことが困難な場合があります。

4　精神的な疲労も激しい仕事

公認心理師として働くことは、精神的にも大きな負担となることがあります。

クライエントの心の痛みや悩みに寄り添うことは、非常にやりがいのある仕事ですが、同時に大きなストレスとなり得ます。

クライエントの問題を自分のものとしてしまい、精神的に消耗することも少なくありません。

公認心理師は、他者の深い心の問題や痛みに直面し、それに向き合う必要があります。

このような重たい心の負担は、時には年単位で続くことがあり、自分自身の心の健康を維持することが難しいと感じることもあるでしょう。

長期間にわたってクライエントの改善を見守る必要があり、状況が改善するまでには時間がかかることも、この職業の厳しい側面の一つです。

公認心理師や臨床心理士としてのキャリアは、確かに多くの挑戦と困難を伴いますが、人の心に寄り添い、支援することによる深い満足感や達成感は、他の職業では味わえないものがあります。

この職業を選ぶかどうかは個人の価値観や目指すキャリアによって異なりますが、上述の点を踏まえた上で慎重に判断することが重要です。

公認心理師に将来性はある？

公認心理師について調べていると、「やめとけ」「食えない」という否定的な意見が目につくことがあるでしょう。

しかし、その一方で、この職業には確実に将来性があるとも言えます。

ここでは、公認心理師の将来性に光を当て、なぜ公認心理師には将来性があると言えるのか、その理由を詳しく解説していきます。

1　配置基準・診療報酬の変更が検討されている

公認心理師の需要と役割の重要性が認識され始めており、その結果として配置基準や診療報酬の見直しが検討されています。

現在、医療や福祉の現場では心理的サポートの必要性が高まっており、公認心理師の役割が再評価されています。

政府や関連機関では、これらの専門職を適切に配置し、そのサービスが適正に評価されるようにするための方策を検討中です。

これにより、公認心理師の職場環境や収入面が改善される可能性があります。

2　常勤公認心理師増員への取り組みが検討されている

心理的支援の需要の増加に応えるため、医療機関や福祉施設などでの常勤公認心理師の増員が検討されています。

特に、精神保健分野や児童福祉分野では、専門的な心理支援が必要とされるケースが増えているため、公認心理師の増員は極めて重要です。

この動きは、公認心理師にとってより多くの雇用機会が生まれることを意味し、職業の将来性を示しています。

3　メンタルヘルスへの関心は高まり続けている

現代社会では、ストレスや精神的な問題に対する理解と関心が高まっています。

企業や学校、地域社会でのメンタルヘルスケアの重要性が強調されており、この傾向は今後も続くと予想されます。

公認心理師は、このような環境下で心理的支援を提供する専門家として、ますます必要とされるようになるでしょう。

4　人にしかできない仕事である

AIの発達や業務の自動化が進む中で、人の感情や心理に寄り添う仕事は、人にしかできません。

公認心理師の仕事は、心の悩みを抱える方の細かな感情の変化を察知し、適切な支援やアドバイスを行うことが求められます。

このように高度な専門性と人間性を要する職業は、技術の進歩によって置き換えられることはありません。

そのため、公認心理師の仕事は将来にわたって安定した需要が見込まれます。

以上の点から、公認心理師は現状多くの挑戦に直面していますが、その需要と社会的な役割は確実に高まっていると言えるでしょう。

政策の変更や社会的な認識の向上により、公認心理師の職場環境や待遇が改善され、将来的にはより多くの人がこの職業に就くことが期待されます。

心理支援のプロフェッショナルとして、公認心理師の役割はこれからも大きくなっていくことでしょう。

公認心理師に向いている人

公認心理師という職業は、心理学の専門知識を生かして、多くの人々の精神的な支援を行う重要な仕事です。

しかし、公認心理師の仕事には特定の資質や能力が必要とされます。

公認心理師に向いている人の特徴を詳しく見ていきましょう。

1　相談者が元気になっていくことに喜びを感じる

公認心理師に向いている人は、相談者が徐々に元気になっていく過程に深い喜びを感じることができる人です。

彼らは、自分の専門知識と技術が人の心の痛みを和らげ、その人の人生が前向きな方向に変わる手助けをしていると実感することから、大きな満足感を得ます。

このようなプロセスは、時間を要するものですが、小さな変化を見逃さず、それを価値あるものとして受け止めることができる人には、この職業は非常にやりがいのあるものとなるでしょう。

2　時間をかけてじっくり相談者と向き合うことができる

時間をかけてじっくり相談者と向き合うことができるということも公認心理師に必要な資質の一つです。

公認心理師の仕事はしばしば時間を要します。

年単位でカウンセリングをしても、相談者が良くなるまでには時間がかかることが多いです。

そのため、急な改善を期待せず、根気強く相談者と向き合い続けることができる人が向いています。

このような長期にわたる支援を通じて、相談者一人ひとりに深く寄り添い、その人のペースで成長を促すことができる人は、公認心理師として成功するでしょう。

3　相談者の人生や価値観を尊重しながら支援を進めることができる

公認心理師は、多様な背景を持つ人々と出会います。

そのため、相談者の人生観や価値観を尊重し、個々のニーズに合わせたサポートを提供する柔軟性と感受性が求められます。

相談者の立場に立って物事を考え、その人らしい解決策を一緒に探し出すことができる人が、公認心理師の仕事には適していると言えるでしょう。

4　仕事とプライベートをしっかり分けることができる

公認心理師はストレスの多い仕事であり、時には重い心の問題に対峙することもあります。

そうした状況で自身の精神衛生を保ち、プライベートと仕事をうまく切り分けることができる人は、長期間にわたってこの仕事を続けることができます。

セルフケアの技術を身につけ、自分自身の心の健康も大切にすることが重要です。

公認心理師として成功するためには、これらの特徴を持ち合わせるだけでなく、絶えず学び続ける意欲や、人の心に寄り添う深い思いやりも必要です。

公認心理師の仕事に対する強い情熱と、人を支援することへの喜びがあれば、多くの困難にも立ち向かっていくことができるでしょう。