公認心理師試験の受験資格を得るには7つのルートがありますが、大きく3つにわけることができます。 

  • 通常ルート(A、B)
  • 同等以上認定ルート(C)
  • 特例措置ルート(D1、D2、E、F) 

本コラムでは、この7つのルートの違いを説明し、そのあと通常ルートのAルートとBルートについて詳しく解説します。 

受験資格のルート、特に通常ルートについて詳しく知りたいという方は、ぜひ最後まで読んで参考にしてください。

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公認心理師試験の受験資格を得る7つのルート

公認心理師試験の受験資格を得るための7つのルートについて説明します。 

通常ルートのA、Bは、これから新たに1から学んで資格取得を目指す方のルートです。 

同等以上認定ルートのCルートは、A、Bと同等以上の知識・技能を有すると認定された方のルートで以下の方が対象となります。 

  • 外国の大学や大学院で心理に関する科目を修了した方
  • 外国で心理に関する科目を修了して、日本の認定施設で実務経験を積んだ方
  • 外国の心理職資格を取得している方
  • 過去に大学で履修科目が一部不足していた方 

特例措置ルートのD1・D2・E・Fは、2017年9月15日以前に大学に入学した方が対象のルートです。公認心理師は新しく施行された資格なので、経過的な措置として設けられています。 

公認心理師試験の受験資格を得るためのポイントは、大学と大学院で所定の科目を修了して受験資格を得るルートの他に、所定の科目を修了して大学を卒業したあとに認定施設で2年以上の実務を経験して受験資格を得るルートがあることです。

Aルートで受験資格を得る流れ

Aルートでは、4年制大学で所定の25科目を履修(実習80時間以上を含む)して卒業後、大学院で所定の科目10科目(実習450時間以上)を履修し卒業することで受験資格を得ます。 

公認心理師養成カリキュラムのある大学及び大学院で必要な科目の単位を取るのが一般的です。 

大学で履修が必要な25科目は以下の通りです。 

1. 公認心理師の職責
2. 心理学概論
3. 臨床心理学概論
4. 心理学研究法
5. 心理学統計法
6. 心理学実験
7. 知覚・認知心理学
8. 学習・言語心理学
9. 感情・人格心理学
10. 神経・生理心理学
11. 社会・集団・家族心理学
12. 発達心理学
13. 障害者(児)心理学
14. 心理的アセスメント
15. 心理学的支援法
16. 健康・医療心理学
17. 福祉心理学
18. 教育・学校心理学
19. 司法・犯罪心理学
20. 産業・組織心理学
21. 人体の構造と機能および疾病
22. 精神疾患とその治療
23. 関係行政論
24. 心理演習
25. 心理実習(80時間以上) 

大学院では、以下の10科目の履修が必要となります。 

1. 保健医療分野に関する理論と支援の展開
2. 福祉分野に関する理論と支援の展開
3. 教育分野に関する理論と支援の展開
4. 司法・犯罪分野に関する理論と支援の展開
5. 産業・労働分野に関する理論と支援の展開
6. 心理的アセスメントに関する理論と実践
7. 心理支援に関する理論と実践
8. 家族関係・集団・地域社会における心理支援に関する理論と実践
9. 心の健康教育に関する理論と実践
10. 心理実践実習(450時間以上) 

公認心理師試験が実施された際に、特例措置としてGルートがありました。すでに心理職として働いていた方などに向けた5年間限定の経過的措置です。 

このGルートはすでに終了しており、今後はAルートが受験資格を得るための基本ルートとなります。

Bルートで受験資格を得る流れ 

Bルートでは、4年制大学で所定の25科目を履修(実習80時間以上を含む)して卒業後、認定施設(プログラム施設)で2年以上の実務経験を積むことで受験資格を得ることができます。 

公認心理師養成カリキュラムのある大学で必要な科目の単位を取るのが一般的です。大学で履修が必要な25科目は、Aルートと同様です。

1. 公認心理師の職責
2. 心理学概論
3. 臨床心理学概論
4. 心理学研究法
5. 心理学統計法
6. 心理学実験
7. 知覚・認知心理学
8. 学習・言語心理学
9. 感情・人格心理学
10. 神経・生理心理学
11. 社会・集団・家族心理学
12. 発達心理学
13. 障害者(児)心理学
14. 心理的アセスメント
15. 心理学的支援法
16. 健康・医療心理学
17. 福祉心理学
18. 教育・学校心理学
19. 司法・犯罪心理学
20. 産業・組織心理学
21. 人体の構造と機能および疾病
22. 精神疾患とその治療
23. 関係行政論
24. 心理演習
25. 心理実習(80時間以上) 

以下は、2024年3月現在の認定施設の一覧です。プログラムの内容や応募方法等については各照会先にお問い合わせください。

  施設名 紹介先
1 少年鑑別所及び刑事施設  法務省矯正局
2 一般財団法人愛成会
弘前愛成会病院 
一般財団法人愛成会 弘前愛成会病院
3 裁判所職員総合研修所及び家庭裁判所  最高裁判所事務総局家庭局
4 医療法人社団至空会
メンタルクリニック・ダダ 
医療法人社団至空会 メンタルクリニック・ダダ 
5 医療法人社団心劇会
さっぽろ駅前クリニック 
医療法人社団心劇会 さっぽろ駅前クリニック 
6 学校法人川崎学園
川崎医科大学付属病院 
学校法人川崎学園 川崎医科大学付属病院 
7 学校法人川崎学園
川崎医科大学総合医療センター 
学校法人川崎学園 川崎医科大学総合医療センター
8 社会福祉法人風と虹
筑後いずみ園 
社会福祉法人風と虹 筑後いずみ園
9 社会福祉法人
楡の会 
社会福祉法人 楡の会
参照:厚生労働省|公認心理師試験の受験を検討されている皆さまへ

認定施設での実務経験は2年以上となっていますが、実際には3年以上の実務経験が標準となっています。 

BルートはAルートと同様、通常ルートとして位置づけられています。

AルートとBルートの違い 

AルートとBルートの違いは以下の通りです。 

  • Aルートは大学と大学院で、それぞれ所定の科目を履修して卒業し受験資格を得る
  • Bルートは大学で所定の科目を履修して卒業後に認定施設で2年以上の実務経験を積んで受験資格を得る

Bルートの実務経験を積むことが必要となる経路は、Aルートと比較すると難易度はかなり高くなります。 

理由としては、まず認定施設は全国に9つしかなく、選択肢が少ないということが挙げられます。所在地や自分が志望する分野、雇用条件などによっては、さらに限定的です。

各施設の採用試験では、公認心理師の実習生という立場ではなく、一般の職員採用試験と同様の選考に臨む必要があります。年度によっては募集がないというリスクもあるでしょう。 

特に司法分野では、職員採用試験より前に、公務員試験に合格しなければなりません。 

また実務経験は2年以上と規定されていますが、実際の標準は3年以上となっているため、大学院よりも時間がかかることになります。 

AルートとBルートは両方とも通常ルートという位置づけですが、実際にはAルートが受験資格を得るための主流のルートであるといえます。

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