「東京都は難関公務員のひとつと聞いているし、私には到底無理だろうな。」
こんな誤解をしている方はいらっしゃいませんか。

「倍率の低さ」「筆記試験の負担の低さ」「短期合格しやすさ」の3点から、東京都庁職員が難関職種だからと諦めるのは大きな損失です。

本稿では「これまでになかった視点」で、地方公務員のひとつである東京都庁の試験対策を徹底解説します。
是非、参考にして東京都対策に万全を期してください!

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東京都庁で働くとは?仕事内容は?

巨大組織である東京都都庁

東京都は世界有数の大都市ですが、なんと47都道府県の中では3番目に小さい面積で沖縄県より狭いのです。
そこに人口1,200万人(日本の人口の10分の1)が集まり、企業の本社、官公庁、皇居が集合する過密都市となっています。

この東京都の行政を一手に担っているのが東京都庁で、職員数4万人の巨大組織です。

東京都庁のフィールドは多岐にわたり、環境・産業・労働・経済、福祉・保健医療、教育・文化、財政・税務、都市づくりといったさまざまな分野を扱う26の局で構成されています。

都庁と特別区との違い

東京特別区は、一般の市役所と同様の組織で、生活保護、児童福祉、保育園の整備、証明書の発行、ごみ処理やリサイクル関連業務など区民の生活に直結する事務を担当します。

これに対して、都庁は市区町村を超えたインフラ整備、都市計画、教育、治安維持、危機管理など広域的な事務、市区町村や国、企業との連携や調整業務を担当しています。
また、大都市行政の一体性・統一性を確保するため、通常であれば市役所が担う一部の事務(上下水道・消防事務など)も担っています。

異動やキャリアパス

職員は概ね3年を目安に異動し、局内はもちろん、局をまたいだ異動も珍しくなく、様々な分野を経験することで東京都の行政を担うゼネラリストを目指します。

また、国の省庁や民間企業への出向、海外研修の機会などもあります。

初任給・給与・平均年収

東京都総務局の報道発表資料によれば、令和5年4月1日時点の東京都の一般行政職の平均給与月額は451,385円(平均年齢42.4歳)で、前年の453,549円(平均年齢42.3歳)に比べ0.5%の減となっています。

区分平均給料月額平均給与月額平均年収平均年齢
一般行政職316,277円451,385円約7,447,852円42.4歳
警察職326,405円524,686円約8,657,319円39.8歳
小中学校教育職337,727円437,064円約7,211,556円40.0歳
高等学校教育職351,077円451,921円約7,456,696円44.7歳
技能労務職287,646円388,055円約6,402,907円50.5歳
職員の平均給料月額、平均給与月額および平均年齢の状況(令和4年4月1日)

(注)「平均給与月額」とは、給料と諸手当(期末・勤勉手当を除く)の合計。
※平均年収は平均給与月額×12ヶ月+平均給与月額×4.5ヶ月(ボーナス)で算出
※出典:「都職員の給与の状況」の概要|東京都

年齢ごとの平均的な年収は、大手企業の社員と同じか、少し及ばない程度のようです。

区分種類
一般行政職Ⅰ類(大学卒)187,900円総合職 189,700円
一般職 185,200円
一般行政職Ⅲ類(高校卒)152,200円154,600円
警察職Ⅰ類(大学卒)216,100円総合職 217,800円
一般職 214,900円
警察職Ⅲ類(高校卒)184,900円178,000円
教育職大学卒201,900円
教育職短大卒185,800円

(注)初任給のほか、地域手当、扶養手当、住居手当、通勤手当などが支給されます。

関連記事:【地方公務員】県庁職員になるには?仕事内容・年収・試験情報・難易度は?

【令和6年度】東京都庁の試験科目

採用試験の種類

東京都庁の採用試験は7つの区分に分かれています。

区分年齢要件レベル
1類A24~31歳大学院修士課程修了程度
1類B
(一般方式)
22〜29歳大学卒業程度
1類B
(新方式)
22〜29歳大学卒業程度
2類20〜25歳短大卒程度
※採用区分は司書・栄養士で行政の区分はなし
3類18〜21歳高卒程度
障がい者採用18〜39歳高卒程度
キャリア活用採用60歳未満学歴区分に応じた民間企業等における
一定以上の職務経験がある人

東京都の採用試験は、いずれの区分も学歴制限はありません。
例えば、大卒程度とは、試験内容のレベルが大卒「程度」というだけであって、大学卒業は受験の要件ではありません。

ただ、職種によっては必要な資格・免許を持っていることが要件となることがあります。

本稿では、受験者数が多く、一般的な事務職である1類の行政職について解説していきます。

試験科目(1類行政職)

1類A

試験試験内容時間出題数
一次試験教養試験(択一式)2時間10分40問
一次試験専門試験(記述式)2時間30分1題
一次試験小論文試験1時間30分1題
二次試験面接試験

※専門試験はマークシート式ではなく、すべて記述式です。

大学院卒程度を対象とした試験です。
教養試験の難易度は1類Bと変わりませんが、専門試験では、専門試験では大学院クラスの専門性が求められます。

1類Bとの併願が可能です。

1類B(一般方式) 

試験試験内容時間出題数
一次試験教養試験(択一式)2時間10分40問
一次試験専門試験(記述式)2時間00分3問
一次試験小論文試験1時間30分1問
二次試験面接試験

※専門試験はマークシート式ではなく、すべて記述式です。

大学卒程度を対象とした試験で、これまで実施されてきた出題形式です。
教養試験のほか専門試験や小論文試験などが課されます。

1類B(新方式)

試験試験内容時間出題数
一次試験適性検査1時間10分SPI3
一次試験プレゼンテーションシート作成1時間30分
二次試験面接試験/プレゼンテーション
三次試験面接試験/グループワーク

大学卒程度を対象とした試験で、教養試験のほかプレゼンテーション試験などが課されます。

筆記試験の負担を減らし、より多様な人に受験してもらえるよう新しく設置された試験です。
民間企業と併願しやすくして、民間企業に流れる人材を確保するのが狙いといえるでしょう。

1類Bは1類Aと併願が可能ですが、1類B(一般方式)と(新方式)の併願は不可です。

東京都の採用試験の難易度・倍率

種類受験者数一次合格者数最終合格者数倍率
Ⅰ類A採用(事務)288120515.6倍
Ⅰ類B採用(行政・一般方式)1,5251,0946262.4倍
Ⅰ類B採用(行政・新方式)4333662301.9倍
Ⅲ類採用(事務)6171941095.7倍
キャリア活用採用3012121042.9倍
就職氷河期世代を対象とした採用(Ⅰ類B)361402117.2倍
就職氷河期世代を対象とした採用(Ⅲ類)348401720.5倍

※出典:試験選考実施状況|試験選考情報|東京都職員採用
※参考:総務省|報道資料|地方公務員における働き方改革に係る状況 ―令和3年度地方公共団体の勤務条件等に関する調査結果の概要―

令和5年度、東京都の公務員試験の倍率は、Ⅰ類A(事務)が5.6倍、Ⅰ類B(一般)が2.4倍、Ⅰ類B(新方式)が1.9倍という結果でした。

東京都は公務員試験の中でも難関試験だと言われますが、Ⅰ類の倍率を見ると、約1.9〜5.6倍です。
総務省「競争試験における受験者数、合格者数、採用者数、競争率の推移」にると、令和3年度大学卒業程度試験の地方公務員(都道府県)の倍率は、約5.2倍でした。

倍率から見る東京都の公務員試験の難易度は、都道府県の公務員試験より低い結果となりました。

要因としては、以下の3つが考えられます。

  1. 東京特別区と同じ日程で1次試験が実施されること
  2. 専門試験が記述のみなので敬遠されがちであること
  3. 国家総合職受験者の併願先として選ばれることが多いので、難易度が高くなると思われがちなこと

東京都庁に合格した人の体験記

ここでは、アガルートのカリキュラムを利用して東京都庁に合格した人の合格体験記を紹介します。

合格の決め手は、「私は絶対に都庁に行くんだ」と常に思っていたからだと思います。
そのような気持ちを抱くようになったのは実際に都庁のインターンシップに参加したり、都庁に行ったりしたことが要因だと思っています。

合格者の声|「絶対に都庁に行く」という強い思いで直前期まで休まず学習し、東京都庁Ⅰ類Bに合格! 中嶋 洋彰さん

私の勉強方針はとにかく勉強時間を長く取るということです。勉強の母数を増やす、そうすることで小休憩を取ったとしても、周りよりも多くの勉強ができます。私は大体1日に12.3時間くらい勉強に取り組むことを目標にしていました。
量をこなすことで、自分に合った科目スケジュールを組め、無駄な部分が削ぎ落とされていったので、勉強時間を確保するということが大切だと思いました。

合格者の声|計画的に対策!時間をとにかく大切に!オンラインでの面接演習を活用し東京都庁Ⅰ類Bに合格! 永澤 褐麻さん

東京都庁の採用試験に受かるための対策・勉強法

筆記試験は教養対策にシフトせよ

東京都1類B(一般方式)のハードルを挙げているのは、何と言っても専門試験が記述のみだという点です。

ですが、よく試験時間と問題数をご覧ください。

3題をたった2時間で記述するのです。
1題あたり平均して40分しかありません。

40分だと、書ける分量はせいぜい600〜800字程度です(字数制限はありません)。
専門知識を掘り下げた記述はほとんど無理と言えます。
加えて、出題内容もごくごく基本的なのが通例です。

これに対して、小論文は1題に1時間30分です。
字数も1000〜1,500字です。

確実に、専門試験のウェイトは低いと言えます。

まずは、教養択一で最低ラインは抑えて足切りされるのを避けること、次に小論文では時事対策と書く練習をして得点を稼ぐことです。

そして、1次試験に合格したら、後は面接対策さえしっかりしておけば、合格は遠くありません

このような戦略をとることで、年明けからのスタートといった短期間で東京都合格を果たした受験生を多く見てきました。

総合職の受験生が併願先として東京都を選んだとしても、強敵ではありません。
なぜなら、彼らは専門科目対策にエネルギーを注ぐ勉強をしてきたわけですから、筆記試験段階では互角に戦えます。

面接対策

どれだけ本気で東京都で働きたいと考えるかです。

東京都のエントリーシートは民間企業と近しいものがあります。
新方式で受験されるなら、なおのこと民間企業並みの面接対策をすべきです。

業界研究、企業研究をしっかりして自己分析をし、後は話し方などの形式面を整えましょう。
日本の首都であり、日本一注目度の高い自治体なのですから、情報もネタも満載で、面接対策はしやすいといえます。

とにかく、教養対策重視、面接対策超重視の戦略を立てることで、短期で確実に合格できることを忘れないようにして下さい。

最後に

都庁の仕事、都庁試験の概要、難易度等がお判りいただけたのではないでしょうか?

アガルートアカデミーでは、過去問等を徹底的に分析した上で、都庁に特化した公務員試験対策を万全にしたカリキュラムをご用意しております。

都庁の最短合格を目指される方はぜひご検討ください。

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この記事の著者

小林 美也子講師 (講師紹介はこちら


大手資格予備校・地方自治体・企業・教育機関等様々な場所で,長年にわたり公務員試験,宅建試験の受験指導,職員研修を行う。

難解な法律用語は平易な表現とたとえ話でかみ砕き,理解しにくい内容はオリジナルの挿絵でわかりやすく説明する。

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