公務員になるには、公務員試験を突破し内定をもらう必要があります。

公務員試験の勉強をいつから始めるのか、適切なタイミングや公務員試験合格するために必要な勉強量と時間ついてご説明します。

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目次

公務員試験の勉強は1年前からはじめる

公務員試験の勉強を始めるなら、1年〜1年4ヶ月前が適切です。大学生なら3年生になる前の春休みから(約1年4ヶ月前)と言われます。

公務員試験対策に必要な勉強時間は、300〜1500時間程度です。

公務員試験対策に必要な時間に300〜1500時間と幅がある理由は、筆記試験の科目数や難易度によって勉強時間に差が出るからです。

仮に900時間とした場合、1日平均3時間勉強して300日、約10ヶ月。1日平均2時間勉強して450日、約15ヶ月かかります。

とはいえ、受験職種、基礎学力によって必要時間数は異なり、必然的に始めるのに適切な時期は異なります

【令和5年】公務員試験合格者(国家一般職・地方上級)の試験勉強を始めたタイミングは?

令和5年度公務員試験合格者のアンケート調査結果によると、公務員試験勉強を始めたタイミングは、大学3年10月から大学2年4月(半年~1年程度)の間に始めた人が最も多い結果となりました。

始めたタイミング始めた時期割合
大学3年12月3か月以内2.1%
大学3年12月から10月4か月~半年程度18.6%
大学3年10月から大学2年4月半年~1年程度47.4%
大学2年4月から大学1年10月1年~1年半程度30.9%
大学1年10月から大学1年4月1年半~2年程度1.0%

※【令和5年度】公務員試験合格者のアンケート調査概要の【大学生限定】公務員試験(国家一般職・地方上級)勉強を始めた時期・タイミングから引用

公務員試験の準備・対策に時間がかかる理由

公務員受験も就職試験であるにもかかわらず、民間企業の就職活動と違って「準備に時間がかかる」理由は、筆記試験のボリュームが膨大だからです。

公務員試験の大卒区分では、下記の①〜④のうち、いくつかの筆記試験に合格しないと、面接試験に進めないのが一般です。

  • 教養試験択一試験
  • 教養試験記述試験
  • 専門試験択一試験
  • 専門試験記述試験

受験する公務員の種類によって試験科目や試験対策に必要な時間は異なるため、事前に自分が希望する自治体の公務員試験情報について確認しましょう。

公務員試験対策に必要な勉強時間に幅がある理由

公務員試験対策に必要な勉強時間に幅がある理由は、次の2点があげられます。

  • 教養科目は、高校までの基礎学力で学習時間に差が出る
  • 専門科目が課されるかどうかで、公務員試験対策に必要な総時間数は、大きく差が出る

教養科目は、高校までに学習した内容です。つまり、高校までの基礎学力によって勉強時間は異なります。

専門科目は、その名の通り大学で専門的に勉強する内容です。大学の学部によっては勉強時間に違いが出てきます。

大学や学部に関係なく、公務員試験で出題される専門科目は、大学で学問として勉強する内容とは異なりますので、受験対策用の勉強が別途必要になります。

併願する場合は対策を早めにスタートする

ほとんどの受験生は、公務員試験に合格する可能性を高めるために複数の自治体を併願します。そのため、最初に受験する自治体の一次試験に合わせてスケジュールを考え、スタートすることが重要です。

国家公務員の一次試験は、4月末のGW開けぐらいから始まり、地方上級は6月、市役所試験は9月に始めるところがほとんどです。

国家公務員と地方公務員を併願する場合は、国家公務員試験の一次試験にあわせて学習スケジュールを立てましょう。

大学生か社会人かで勉強に必要な期間は異なる

大学生か社会人かで1日に勉強できる平均時間や、受験に必要な期間は異なります

大学生は、夏休み・冬休み・春休みというまとまった休みがあるため、これら長期の休みを有効活用できれば十分に勉強できる時間は確保できます。

社会人は、日々の生活の中で隙間時間を活用する、週末・有給休暇を効率的に活用することで勉強時間の確保は可能です。

実際、近年は社会人の方の合格者は増加傾向にあります。

国家公務員試験の勉強を始めるタイミング

職種ごとの合格のために必要な勉強時間や勉強方法のポイントを次章からご紹介していきましょう。

「国家総合職」の勉強を始めるタイミングと試験対策

国家総合職になるために必要な勉強時間は1,500時間程度、必要な勉強期間は1年以上といわれています。

公務員の中でも最難関試験とされるのが国家公務員(総合職)大卒程度試験です。

試験種目解答題数(解答時間)配点比率
1次試験教養択一30題(2時間20分)2/15
専門択一40題(3時間30分)3/15
2次試験専門記述行政区分:3題(4時間)5/15
政策課題討議試験(1時間30分)2/15
面接試験3/15

※参考:国家公務員採用総合職試験(大卒程度試験)(教養区分を除く)

教養択一は、知能分野(数的処理・文章理解)の配点が高いので、知能分野を中心に学習し、知識分野は知能分野で足りない分を補う分だけを学習する程度でいいでしょう。

専門の記述式試験の難易度は高いため、対策には質・量ともに高い勉強が要求されます

専門記述の科目は専門択一に含まれ、出題範囲は専門択一の方が広いので、専門択一で学習した知識を元にした記述対策が可能です。

また、面接重視・人物本位の傾向(配点は3/15)から、面接対策の手抜きは厳禁です。

「国家一般職」の勉強を始めるタイミングと試験対策

国家一般職の必要な勉強時間は1,000時間程度、必要な勉強期間は1年程度です。

公務員の中で受験生が多いのが国家一般職です。

試験種目解答題数(解答時間)配点比率
1次試験教養択一40題(2時間20分)2/9
専門択一40題(3時間)4/9
教養論文1題(1時間)1/9
2次試験面接試験2/9
※参考:国家公務員採用一般職試験(大卒程度試験)

教養択一は、知能分野(数的処理・文章理解)の配点が高いので、知能分野を中心に学習し、知識分野は知能分野で足りない分を補う分だけを学習する程度でいいでしょう。

専門択一の配点が高いので対策が重要です。

16科目中8科目選択解答ですが、他の試験種でも出題されることの多い憲法、民法、行政法、経済学(ミクロ・マクロ)から優先的に対策することをお勧めします。

地方公務員試験の勉強を始めるタイミング

地方公務員対策に必要な勉強時間は、300〜1,000時間程度、必要な勉強期間は6ヶ月〜1年程度です。

地方公務員は、職種に応じて試験種目・科目が異なるため、公務員試験合格に必要な勉強時間や勉強期間は様々です。

一部の地方上級は、専門科目の出題がありますが、多くの市役所試験、警察官、消防官は専門科目の出題はありません。

※公務員試験の種目・科目は、各自治体の受験案内などで必ず確認するようにしてください。

「地方上級」の勉強を始めるタイミングと試験対策

自治体によって異なりますが、出題数・科目・内容によって、いくつかの出題タイプに分けることができます。

多くの自治体が属する「全国型」の出題形式は以下の通りです。

試験種目解答題数(解答時間)
1次試験教養択一50題(2時間〜1時間30分)
専門択一40題(2時間)
教養論文※1次試験で行われる場合と、2次試験で行われる場合とがあります。
2次試験面接試験※自治体によって、個別面接・集団面接、集団討論の
いずれかが実施されます。
※面接は2次試験以降で行われる場合がほとんどですが、
一部の自治体では1次試験でも行われる場合があります。

専門科目は、他の試験種でも出題されることの多い憲法、民法、行政法、経済学(ミクロ・マクロ)から優先的に対策することをお勧めします。

教養科目の択一は、知能分野(数的処理・文章理解)の配点が高いので、知能分野を中心に学習し、知識分野は知能分野で足りない分を補う分だけを学習する程度でいいでしょう。

公務員試験の勉強スケジュール例

ここからは、公務員試験を勉強した時の1日のスケジュール例と、勉強を始めた時期から試験当日までの年間スケジュール例についてご紹介します。

公務員試験対策の1年間のスケジュール例

最初に挑む公務員試験が5月の初めで、その後実施される他の試験を併願する場合の年間スケジュールは以下を参考にしてください。

公務員試験 勉強 スケジュール
時期公務員試験の対策内容
年内知能分野(数的処理と文章理解)
憲法・民法・行政法・経済(ミクロ・マクロ)は過去問を2回以上回し終える
年末年始総復習をして、弱点分野の確認をする
知能分野で得点ができない部分を知識分野で補うためどの科目を勉強するか決める
(知能分野で得点できそうならば、知識分野は模擬試験だけに絞る)
1月新たな専門科目・3科目に着手
2月時事対策本が出揃うので、時事対策に着手
並行して教養論文・専門論文の答案作成・添削受講を
1週間に1通のペースで進める
3月模試を受験して弱点補強
4月5月の公務員試験の1週間前までに総復習と直前期に見直すまとめの作成
5月公務員試験本番直前の1週間に準備したまとめの見直し

公務員試験を対策する1日のスケジュール例

1日のスケジュールでは、1分1分を侮ることなく、隙間時間を利用して、試験勉強を行いましょう。

  • 起床後すぐに15〜30分数的処理の勉強
  • 移動時間や家事の間など隙間時間にこまめに勉強して、合計で30〜60分の勉強時間を確保
  • 帰宅後に1〜2時間勉強時間を確保
  • 寝る直前に暗記科目の勉強

公務員試験準備のためのスケジュールのポイント
・数的処理は毎日やる
・1つの科目だけに集中することなく複数科目を並行して勉強する
・効率のいい勉強順序を考える
 (例:憲法・民法を勉強してから行政法を勉強する。経済を勉強してから財政学を勉強する等)
・とにかく過去問を何回も繰り返す
・朝一で数的処理&暗記は寝る前
・隙間時間を活用
・公務員試験以外のこともしっかりやって、人と会話する
・睡眠時間を確保する・適度な運動

今からでも間に合う?勉強を始めるのが遅くなった場合の対処法

受験を思い立ったものの、公務員試験本番まで時間の余裕がない場合もあります。

でも、少なくとも3ヶ月以上の余裕があるならば、以下の方法を検討してみてください。

合格するための最低ラインで攻める

専門科目がある職種を短期間で合格ラインまで持っていきたい場合、まずは最低ラインを固めましょう。

例えば、国家一般職の専門択一は、1科目あたり5問ずつ16科目出題され、8科目(40問)の選択解答です。

8科目選択ですから、最低でも8科目、公務員試験で難易度の低い科目を選べるように、9〜10科目を準備する人もいます。

ですが、合格ラインは6割程度とされているので、40問×0.6=24問正解すれば、何とかなる可能性があります

他方、5科目勉強すれば25点満点、6科目だと30点満点で、正答率の高さは要求されるものの、24点を狙うことは可能になります。

なので、まずは5科目を確実にマスターすることです。
その後で時間的な余裕を睨みつつ、6科目、7科目を増やしていきます。

大切なのは、さらっと表面だけなぞるような勉強は、百害あって一利なしだということです。

1科目1科目をしっかり足固めしつつ、合格点を狙うことが短期合格のコツです。

また、英語が得意な方であれば、専門科目には英語が2科目もあるので、こちらで点を稼ぐことも一考ですし、教職取得者であれば、難易度の低い教育学で点を稼ぐことを考えてもいいかもしれません。

教養科目のみで受験できる職種・専門科目数が少ない職種に絞る

専門科目がない、あるいは専門科目数の少ない職種であれば、筆記試験対策の準備期間を短縮できます

国立大学法人等職員や、ほとんどの市役所試験は教養科目のみで受験が可能です。

例えば、横浜市の市役所試験は、地方上級には珍しく教養試験のみで受験できます。また、東京都や裁判所事務官は、専門科目が3科目だけです。

特に、東京都は教養重視なので、教養科目に自身のある方には狙い目の職種と言えます。

地方公務員の「新方式」採用試験を受験する

「新方式」とは、筆記試験の負担から公務員が敬遠されがちなのを払拭するために設けられた採用枠です。※「新方式」の名称は自治体によって様々です

東京都の「新方式」、京都市の「京都方式」、神戸市の「特別枠」など、民間企業同様の面接試験重視の採用試験を実施するものです。

「新方式」であれば、筆記試験対策の時間がなくても十分に戦えます

「新方式」は、どのような名称で、いつ実施するかは各自治体ごとに大きくことなるので、しっかり情報収集しましょう。

多くの地方公務員では、一次試験はSPIやSCOAのみ実施というところが増えています。

公務員を目指す方へ

公務員試験はいつから始めるのがベストなのか?」と聞かれれば、やはり「1日でも早く始めること」につきます。

1日でも早いスタートが、就職先・転職先の可能性を広げることにつながります。

最後まで読んでくださってありがとうございます。

本稿が、皆さんの夢に向けた第一歩の一助になれば幸いです。

公務員試験対策を始めるタイミングでよくある質問

公務員試験対策をいつから始めるべきか、どのタイミングから勉強を始めると合格できるのか?などよくある質問を紹介します。

4月~6月から公務員試験対策を始めても間に合う?

4月、5月、6月から公務員試験対策を行う場合、国家公務員の試験対策には間に合わない、または試験が終了しているため、翌年の公務員試験対策を始めましょう。

1年前から対策を行うことで、苦手な科目を解消できることや面接対策も十分に行えます。

公務員試験対策を4月から始める場合、勉強時間を確保できるため公務員に関する情報収集から始めましょう。公務員を目指すのかを明確にすることで、後ほど必要なエントリーシートや面接カード対策に役に立ちます。

公務員試験対策を5月から始める場合、4月と同様に公務員試験対策に必要な勉強時間が十分にとることができるため、隙間時間を活用して学習を始めましょう。

公務員試験対策を6月から始める場合、一般的に10月~12月から学習を始める方より学習する時間を確保できるため、学習スケジュールを立て、苦手と感じる人が多い数的処理から学習を始めましょう。

10月~12月から公務員試験対策を始めても間に合う?

翌年の公務員試験合格に向けて勉強を始める場合、10月、11月、12月から対策を始めるのが一般的です。

また、警察官や消防士を目指す場合も、10月、11月、12月あたりから公務員試験対策を始めましょう。

公務員試験対策を10月から始める場合、対策に必要な勉強時間を十分に確保できるため、学習スケジュールを立てて勉強を行いましょう。

公務員試験対策を11月から始める場合、10月同様に勉強時間を十分に確保できるため、数的処理と文章理解から学習を始めましょう。

公務員試験対策を12月から始める場合、冬休みや年末年始の長期休暇を利用して勉強を始めましょう。

1月~3月から公務員試験対策を始めても間に合う?

1月、2月、3月から公務員試験対策を行う場合、国家公務員試験を受験するなら時間は少ないですが、決して無理なわけではありません。

公務員試験対策を1月から始める場合、平日の隙間時間や、年始の休暇や祝日を利用して学習を進めましょう。

公務員試験対策を2月から始める場合、合格するための最低ラインである6割を目指して学習を進めましょう。平日、休日の時間を有効活用して学習することをお勧めします。

公務員試験対策を3月から始める場合、時間もないため効率よく学習を進めましょう。地方公務員だけを目指す場合は、試験科目が教養のみ、新方式など比較的科目数が少ない自治体を選ぶなどの対策を行いましょう。

【令和5年度】公務員試験合格者のアンケート調査概要

アンケート概要公務員試験合格者のアンケート
調査方法アガルートアカデミー内でのアンケート調査
調査対象アガルートの講座を利用して令和5年度公務員試験に合格したユーザー
調査対象地域日本国内

アンケート回答者の属性

社会人大学生大学院生公務員アルバイト主婦その他
7.2%77.3%2.1%3.1%5.2%1.0%4.1%

【大学生限定】公務員試験(国家一般職・地方上級)勉強を始めた時期・タイミング

始めたタイミング始めた時期割合
大学3年12月3か月以内2.1%
大学3年12月から10月4か月~半年程度18.6%
大学3年10月から大学2年4月半年~1年程度47.4%
大学2年4月から大学1年10月1年~1年半程度30.9%
大学1年10月から大学1年4月1年半~2年程度1.0%

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この記事の著者

小林 美也子講師 (講師紹介はこちら


大手資格予備校・地方自治体・企業・教育機関等様々な場所で,長年にわたり公務員試験,宅建試験の受験指導,職員研修を行う。

難解な法律用語は平易な表現とたとえ話でかみ砕き,理解しにくい内容はオリジナルの挿絵でわかりやすく説明する。

テンポの良いメリハリの効いた講義で多くの合格者を輩出。時間が限られる受験生のために,エッセンスが詰まった学習効率が高い講義を展開する。

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