専門記述って難しそう。
専門記述がある職種は受験を避けよう。

こんな風に考えていませんか。

実は、一部の専門性の高い職種を除いて、専門記述対策の重要性は高くありません。

本稿では、ほんの少しの工夫で専門記述対策ができる方法をご紹介します。

これを参考にして、「専門記述がある」のを理由に選択の幅を狭めるのはストップしませんか。

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専門記述とはどんな試験?

専門記述が出題される職種とその内容

国家一般以外の国家公務員試験専門科目では、専門択一に加えて、専門記述が出題されます。

逆に、地方公務員のほとんどは、専門記述が出題されません。
東京都のように、専門科目は記述式のみ(選択解答)の試験もありますが、これはレアケースです。

  職種科目
東京都ⅠB
10科目から3科目選択
時間:2時間
憲法、行政法 、民法、経済学、財政学、
政治学、行政学、社会学、会計学、経営学
国税専門官
5科目から1科目選択
時間:1時間20分
配点:2/9
憲法、民法、経済学、会計学、社会学
財務専門官
5科目から1科目選択
解答時間:1時間20分
配点:2/9
憲法、民法、経済学、財政学、会計学
労働基準監督官A
2科目必須解答
解答時間:2時間
配点:2/7
労働法、労働事情
法務省専門職員
(法務教官と保護観察官)
4科目から1科目選択
解答時間:1時間45分
配点:3/10
心理学、教育学、福祉、社会学
裁判所事務官一般職
解答時間:1時間
配点:1/10
憲法

専門記述の難易度は?重要度は?

専門記述対策に多くの労力を費やす必要はない

労働基準監督官、法務省専門職員、外務専門職といった、試験段階から専門知識が非常に要求される職種を除いて、専門記述対策に多くの労力を費やすのは得策ではありません。

まず、国税専門官や財務専門官の専門記述が合否に与える影響は、非常に低いと考えて大丈夫です。

国税専門官や財務専門官は、公表されている配点は低め(2/9)ですし、筆記試験の合否はほぼ択一で決まるようです。

専門記述は選択解答で、答案作成するのはたった1科目です。

専門択一で幅広い科目からですが、国税専門官・財務専門官として採用するのに最低限必要な専門知識を有しているかは専門択一試験で確認できるからです。

東京都は、専門択一がなく、専門記述のみなので、よく「東京都の記述対策は難易度が高い」と煽っている向きもありますが、心配無用です。

合格者からの情報だと、東京都の筆記試験合否を決めるのは、圧倒的に教養択一と教養記述で、専門記述が合否に与える影響は非常に低いようだからです。

専門記述試験対策が重要な職種の例

外務専門職員

外務専門職員は、専門科目は記述試験だけが課されます。

出題科目は、憲法、国際法、経済学です。

各科目は3題出題されて、各科目で2題を選択解答します。

試験時間は各科目2時間の合計6時間となっています。

高度な事例問題が多く、質・量ともに難易度が高く、相当専門的な学習と対策が必要です。

試験委員の著書を読むことも有効な専門記述対策とされます。

労働基準監督官A(法文系)

労働基準監督官A(法文系)は、専門択一に加え、専門記述が課されます。

出題科目は労働法と労働事情の2科目で、試験時間は2時間です。

配点は2/7と高めなので、択一対策と並行した早めの記述対策が必要です。

専門記述の勉強法は?

ここでは、国税専門官、財務専門官、東京都における専門記述の勉強方法について解説します。

専門記述対策に必要な知識は、択一対策で得た知識でカバーできる

択一試験で出題される範囲>記述試験で出題される範囲

 専門記述対策といっても、必要とされる知識のベースになるのは、択一試験対策で勉強する内容と同じです。

その上で、択一試験で出題される範囲よりも、記述試験に出題される範囲は狭いと言えます。

択一試験は、単純正誤問題(正しい選択肢を選べ)だけでなく、組み合わせ問題、個数問題、虫食い穴埋め問題、並べ替え問題など、出題形式にバリエーションがあり、あらゆる分野が出題のネタになりますし、問題数も一回の試験で各科目から複数の問題が出題されます。

例えば、裁判所事務官であれば択一試験の憲法は、出題数が7問で選択肢が5つあるので、単純計算で35個の論点を出題できます。

他方、専門記述は、事例や1行問題といった出題形式に多少のバリエーションはあっても、要は「○○について論ぜよ」「○○について説明せよ」と一定の論点について記述を要求するだけです。

また、1回の試験で多くの論点を出題できません。

以上から、択一試験で出題される範囲は、記述試験で出題される範囲の方が狭くなるのです。

例えば、民法では連帯債務の絶対的効力事由・相対的効力事由は択一試験の頻出分野です。

ですが、記述ではほぼ出題されません。

以上から、専門記述用に新たに知識を補充する必要はありません。

定義・フレーズの暗記は必要

もっとも、専門記述試験では、真っ白な答案用紙を自分で埋めていかなければならないので、最低限の定義・フレーズの暗記は必要です。

特に学術的な文章では、定義は議論の大前提ですので正確に暗記しておきましょう。

逆に定義さえ正確に書ければ、読む方は「あ、こいつはできるやつだ」と勘違い(?)してくれます。

英単語を暗記するように、頻出用語の定義はしっかり覚えましょう。

同様に、典型論点についても、短いフレーズ(論証パターン)を暗記しておきましょう。

自分で答案作成する必要なし

教養記述のように、自分で答案例を作ったり、添削を受ける必要はありません。

参考書等にある参考答案を繰り返し読んで、論点ごとの「文章の流れ」をつかんでおいて、教養記述対策で勉強する論理的な文章の構成を応用すれば専門記述の答案は書けるようになります。

また、参考答案をそのまま書き写してみるだけでも、いいトレーニングになります。

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この記事の著者

小林 美也子講師 (講師紹介はこちら


大手資格予備校・地方自治体・企業・教育機関等様々な場所で,長年にわたり公務員試験,宅建試験の受験指導,職員研修を行う。

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