「現代文なんてどうやれば点を稼げるようになるのかわからない。」
「英語は苦手だから,英文は捨てている。」

こんな声をよくお聞きします。

ですが,公務員試験において数的処理に次いで出題数が多い「文章理解」を得点源にできれば,教養科目対策としては鬼に金棒です。

そこで,本稿では公務員試験の文章理解(英語・現代文・古文)の傾向と対策について徹底解説いたします。
これを読んで,現代文も英文も諦めることなく,得点源としてください!

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文章理解とはどんな問題?出題数は?

公務員試験の「文章理解」とは,筆記試験における教養択一試験の1分野で,現代文・英文・古文(漢文)が含まれます。

教養択一試験試験科目科目の種類
一般知能>数的処理判断推理 数的推理 資料解釈料解釈 空間把握
文章理解文章理解現代文 英文 古文(漢文)
一般知識人文科学世界史 日本史 地理 思想 文芸
自然科学数学 物理 化学 生物 地学
社会科学法律 政治 経済 社会
時事時事

ただし,古文(漢文)は一部の職種でしか出題されませんし,出ても1問です。

教養択一試験が課される職種では,「文章理解」は必ず出題され,かつ必須回答となっています。
しかも数的処理に次いで2番目に出題数が多いので,教養択一対策における重要科目といえます。

職種ごとに,出題数や内訳が異なりますので,いくつかの職種の具体例をご紹介しましょう。

総出題数一般知能一般知識
国家一般職
国税専門官
40題◼️27題(必須回答)
文章理解11題
(現代文⑥・英文⑤)

数的処理16題
◼️13題
(必須回答)
裁判所事務官40題◼️27題(必須回答)
文章理解10題
(現代文⑤・英文⑤)

数的処理17題
◼️13題
(必須回答)
東京特別区40題◼️28題(必須回答)
文章理解9題
(現文⑥・英文③)

数的処理19題
◼️12題
(一部選択回答)
東京都 40題◼️24題(必須回答)
文章理解8題
(現文④・英文④)

数的処理16題
◼️16題
(必須回答)
地方上級
全国型
50題◼️25題(必須回答)
文章理解9題
(現文③・英文⑤・古文①)

数的処理16題
◼️25題
(必須回答)

「文章理解」は,国家一般職で11題,特別区・地方上級は9題,東京都は8題も出題され,出題数から見ると数的処理についで重要科目といえます。

特に,地方上級以外は,一般知能の出題数が6割〜7割を占めています。
この3科目(数的処理・現代文・英文)しかない一般知能で満点近く得点するだけで,教養科目の合格ラインに達することができます。

他方,一般知識は3割〜4割しか占めていないので,一般知識だけで合格ラインに持っていくことは不可能な上に,総科目数は十数科目にも及びます。

このように,文書理解を得点源とできるかどうかが,教養対策の重要ポイントとなるのです。

また,本試験では,平均して1問あたり3〜4分で回答しなければなりません。

したがって,出題文全体を素早く読み,選択肢を分析し,正解に導くための作業を素早く行わないと時間切れになってしまいます。
まさに,事務処理能力が問われる科目です。

「文章理解」全体を通じて,難易度の平均値はセンター試験(大学入学共通テスト)未満といったところです。

現代文

現代文では,新書や社説にある内容が頻出で,文学作品が取り上げられることはほとんどありません。

職種を問わず正答率の高い問題が多く,正答しないと致命傷になりかねません。
内容把握の出題が圧倒的に多く,内容把握への対策をしておけば大半の問題に対応できるでしょう(要旨把握も内容把握対策で対応できます)。

英語(英文)

英文は現代文に比べて時事的な内容が多く,題材としては雑誌や英字新聞が目立ちます

大学入試と違って,「英文を読んで意味がわかればよい」で対応できます。
単語のスペルを覚える(英文を書けるようになる)ことも,発音記号を覚える必要もないのです。

古文(漢文)

古文(漢文)は出題頻度の低下が定着しています。

地方上級,国立大学法人等職員でわずか1題しか出題されません。
志望先や併願先,試験までの時間の余裕を考えて,対策をするか否かを考えるべきです。

難易度も高くありませんし,対策に時間を割くのは非常に効率が悪いので,ノー勉強対応でもよいと思います。

文章理解の勉強はいつから?何から始める?

教養択一の勉強順序としては,

  1. 数的処理
  2. 文章理解
  3. 理解が中心となる一般知識科目
  4. 暗記が中心となる一般知識科目

をおすすめしています。

この順序の根拠は,出題数が多いか否か,対策に時間がかかるのかどうかです。

まず,出題数が多いのでコストパフォーマンスがいいのですが,力をつけるのに時間がかかる以上,早い段階から着手して十分な勉強時間を確保すべきです。

また,一般知能(数的処理と文章理解)が得意で高得点を見込めるのであれば,一般知識対策はほとんどしなくても済みます。

中学高校時代から現代文が得意だった方や,外国語学科で勉強された方,英検1級やTOEIC高得点者のような方であれば,「文章理解」以外の科目に勉強時間を割り当てることができます。
ですが,一般知能が苦手で,あまり得点が見込めないようであれば,一般知識で勉強すべき科目を増やす必要があります。

このように,効率的な勉強スケジュールを立てるためにも,ぜひ,公務員試験対策の早い段階で,「文章理解」の過去問を何問か問いてみて,得意・不得意を判断すべきです。

文章理解における勉強の3つのコツ

文章理解全体の勉強のポイント
①毎日やる
②解法パターンを知る
③英文の過去問の復習は丁寧に

1 毎日コツコツ勉強する

「あまりにも当たり前のことじゃないか」と思われるかもしれませんが,文書理解は頭を鈍らせないことが大切なのです。

これって,筋トレと似ています。
たまに,ワーッとやっても筋肉痛になるだけで,筋肉は付きませんし,サボるとすぐに衰えます。
少しずつでいいから毎日やることが筋肉をつけて維持するコツです。

勉強時間は,1日10〜15分でも構いません。
とにかく毎日やることです。

公務員試験の勉強スケジュールは,問題数やページ数で立てては行けません。なぜなら,1日24時間,1週間7日,1年52週……本試験までに与えられている時間を変えることはできないからです。時間でなく量で予定を立ててしまうと,その量を消化するまで時間を無制限に使ってしまい,結局は勉強に当てられる時間内に終わらせられなくて消化不良に陥ります。日々の生活の中で,無理のない範囲で時間単位で予定を組むべきです。高校時代のような時間割を自分で作ることです(休憩時間も入れてくださいね)

2 解法パターンを知る

「文章理解」は,主に4つの形式で出題されます

内容把握選択肢の中から文章の内容と合致しているものを選ぶ問題で,
「文章の内容として,最も妥当なものはどれか」
「文章の内容に合致しているものはどれか」
という問われ方がされます。
要旨把握文章に示された筆者の趣旨・考え方に合致する選択肢を選ぶ問題で,
「文章の要旨として,最も妥当なのはどれか?」
「文章の趣旨として最も妥当なのはどれか」
という問われ方がされます。
空欄補充文中に設けられた空欄に選択肢にある語句や一文を当てはめる問題で,「文の      に当てはまるものとして最も妥当なのはどれか」
という問われ方がされます。
文章整序いくつかの短文に分割された文章を並べ替えて,
筋の通った文章にするための正しい順序を選ぶ問題で,
「次の短文A〜G」の配列順序として最も妥当なものはどれか」
という問われ方がされます。

現代文では,新書や社説にある内容が頻出で,文学作品が取り上げられることはほとんどありません。
職種を問わず正答率の高い問題が多く,正答しないと致命傷になりかねません。

内容把握の出題が圧倒的に多く,内容把握への対策をしておけば大半の問題に対応できるでしょう(要旨把握も内容把握対策でほぼ対応できます)。

圧倒的に出題が多い内容把握の解法

職種を問わず,流れは
まず選択肢を読んでから本文を読んで,次に選択肢の吟味をする
です。

先に選択肢を読めば,だいたいどんな内容の文章か見当がついて,時短になります。
もっとも,5つの選択肢のうち4つは誤りなので,じっくり読む必要はありません。

次に選択肢を吟味する際に,誤りの選択肢(5分の4)のパターンを知っておくと解きやすくなります。

誤りの選択肢のパターンを大別すると以下のようになります。

本文にない記述:一般論や常識として正しいが,本文では述べられていない

本文の内容と反対:「~である」と本文で述べられているのに,選択肢では
          「~でない」となっている。落ち着いて読めば見破るのは
          容易。

本文より言いすぎ:選択肢の内容が,本文で述べられている範囲を超えた解釈
          が加えられている。「常に」「必ず」「絶対に」などが選
          択肢にある場合は疑ってみるべき。

本文にない因果関係:本文には「AゆえにB」「AゆえにC」としか述べられて
           いないのに,選択肢に「AゆえにC」とある場合。使用
           されている語句自体は正しいので,引っかかりやすいの
           で注意が必要。

本文と因果関係が逆転:本文で「AゆえにB」と述べられているのに,選択肢
            では「BゆえにA」と逆になっている場合。語句自体
            は正しいので引っかかりやすい。同じ語句に印をつけ
            て流れを正確に把握するようにすべき。

要旨把握の解法

内容把握の解法でほとんど対応できます。

ただし,内容把握にはない誤りの選択肢のパターンとしては,選択肢が文章の内容として正しかったとしても,「文章の主旨」「文章の趣旨」「筆者が特に主張したいこと」になっていない場合があります。

要旨の前提や,条件の一部を選択肢の内容としている場合は誤りなので,それを読み取ることが重要です。

その際にキーワードとなるのが,指示語や接続語です。
特に,順接,逆説,並立・添加,対比・選択,説明・補足,転換,といった接続語の役割と具体例を押さえておくと便利です。

空欄補充の解法

接続語や指示語に注意が必要なのは内容把握や要旨把握と同様ですが,特に空欄の前後で使用されている接続語や指示語に注意が必要です。

文章整序の解法

選択肢から冒頭(1番目)にくる文章を絞り込むのが優先事項です。

また,指示語は重要キーワードで,指示語を含む文章がBで,指示語の指す内容として適切な語句を含む文章がAだとすると,Aは確実にBより後ろにくることがわかります。

ここで気をつけなければならないのは,必ずしもBの次にAが来るとは限らないことです。
つまり,「Bより後ろにA」≠「B→A」ですね。

3 英語(英文)は捨て科目にしない

最後に英文特有の勉強法についてご説明しましょう。

英文は現代文に比べて時事的な内容が多く,題材としては雑誌や英字新聞が目立ちます。

ところで,公務員の受験指導をする中でつくづく感じるのは,「英語が苦手」な受験生の多いことです。
「英語は苦手だから文章理解の英語は捨てています」このように述べる受験生のなんと多いことか!

ですが,大学入試と違って,「英文を読んで意味がわかれば」対応できます。
単語のスペルを覚える(英文を書けるようになる)ことも,発音記号を覚える必要もないのです。

しかも,圧倒的に出題数が多い内容把握・要旨把握の選択肢は,日本語で書かれています。
したがって,選択肢を読むだけで,何の話かは先に理解できます。

語彙力と基本的な文法知識さえ見につければ,確実に得点はアップします

特に数的処理が苦手な方ほど,英文は捨てるべきではありません。

語彙力アップのためには過去問とアプリを活用する

大学入試のようにターゲット◯◯のような,英単語集を端から暗記していくのはあまり効率が良くありません。

それより,過去問をやってみて,わからなかった単語は解説の翻訳や,辞書を引いて,問題文に直接書き込みながら覚えていきましょう。

単語帳を作るのは非効率的です。
そのために,過去問は問題文をコピーして使うと便利です。

辞書も,無料のアプリで使いやすいものがあるので,活用するといいでしょう。
通勤や通学途中の時間を有効利用するのであれば,英単語をミニテスト形式で学べるアプリも多くあるので,使ってみるのもおすすめです。

基本的な文法知識マスターにも過去問活用を

中学レベルの英文法を学べるわかりやすそうな本を一冊読んでみるのもいいかもしれません。

ですが,やはり過去問の活用です。

過去問を解いて,解説にある文法知識を潰すだけでも相当力がつきます。
全く同じ文章が出題されることはないとしても,使用される文法知識は普遍的です。

このように,頻出単語を知り,基礎的な文法知識を見につけるために,過去問をひとつひとつ丁寧に時間をかけて復習する方が,力になります。

そして,背景知識を見につけることも英文を読解するには重要ポイントです。

日本語で書かれてあっても,学んだことのない分野の学術論文なんて,頭に入ってこないですよね?
逆に自分の趣味や興味のあることなら,聞くだけでも意味がわかります。

英語も同じで,背景知識や前提知識があるだけで,書かれてある内容がわかりやすくなるものです。
なので,日本語の文章でいいので,国際ニュースに触れておく,海外の雑誌の日本語版を読んでおく,CNNの日本語通訳の入ったものを聞くといったことを日々積み重ねるだけで知識が身につきます。

これらは,択一・記述・面接全てに有益な時事対策を兼ねることにもなりますので,一挙四得です。

※関連コラム:【公務員試験】教養試験とは?勉強法や択一と記述(作文・論文)対策を解説

※関連記事:【公務員試験の科目一覧】教養科目と専門科目とは?

文章理解を対策するならアガルートがおすすめ!

文章理解の学習は,文章を読むことから始まります。

そして,文章を読む訓練は,教養・専門問わず全ての科目の勉強に必要な力です。
また,教養記述ができるようになるためにも必要な力です。

ぜひ,今すぐにでも勉強を始めて,毎日コツコツ続けていってください。
必ず,確実に合格に近づきます。

本稿が「文章理解」の得点アップ,ひいてはあらゆる科目のマスターのお役にたてば幸いです。

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この記事の著者

小林 美也子講師 (講師紹介はこちら


大手資格予備校・地方自治体・企業・教育機関等様々な場所で,長年にわたり公務員試験,宅建試験の受験指導,職員研修を行う。

難解な法律用語は平易な表現とたとえ話でかみ砕き,理解しにくい内容はオリジナルの挿絵でわかりやすく説明する。

テンポの良いメリハリの効いた講義で多くの合格者を輩出。時間が限られる受験生のために,エッセンスが詰まった学習効率が高い講義を展開する。

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