国家・地方公務員の公安職とは?種類・仕事内容の解説と年収を比較
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今回は、公安職の種類や仕事内容、それぞれの年収などを解説していきます。
一言で公務員の公安職といってもさまざまな職業が存在します。
地方公務員・国家公務員の違いはもちろん、働く場所や仕事内容まで異なるため、それぞれの違いや役割を正しく理解しましょう。
この記事を参考に、自分がなりたい職業を明確にし、後悔のない選択をしてください。
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公務員の公安職とは?
公務員の公安職とは、国・地域の秩序や治安を守ることを目的としている職業の区分です。公安職は公務員の種類の一つです。
その特性から実際に現場に出て働くケースが多く、事務職では得られない使命感ややりがいを持つことができます。
夜勤や土日の出勤など、変則勤務が多い点が特徴ですが、行政職と比較して給与も高額な傾向にあります。
また、公安職と聞くと多くの方は地方公務員の「警察官」「消防吏員」を想像するでしょう。
確かに公安職の多くはこの2種類ですが、それ以外にも国家公務員に該当する多岐に渡る職種が存在します。
公安職の種類一覧と主な仕事内容
ここでは主な公安職の種類や仕事の概要を解説します。
公務員の公安職に区分される職業には、具体的に何があるのでしょうか。
法務教官
「法務教官」とは少年院や少年鑑別所といった施設に勤務する国家公務員です。
法務省の専門職となっており、非行を犯した少年の更生を目的とした矯正教育や出院後の社会復帰のための支援、問題性や改善の可能性の探求などを行います。
また、刑務所や留置所といった刑事施設に勤務することもある点も特徴です。
受刑者の改善指導に携わり、更生のための指導や就労支援指導、教科指導などを行います。
法務教官になるには「法務省専門職員(人間科学)採用試験」への合格が必要です。
高倍率の試験ではありませんが、心理学や教育学、福祉といった専門的な知識が問われるため、併願する場合であっても個別的な対策を要します。
刑務官
「刑務官」とは刑務所や留置所といった刑事施設に勤務する国家公務員です。
法務省の矯正局に属しており、刑務作業や刑務所での生活の監督・指導などを行います。
また、留置所に勤務する場合もあり、裁判所への出廷の護送や、被疑者・被告人の逃走・証拠隠滅の防止なども重要な仕事内容です。
刑務官になるには「刑務官採用試験」に合格する必要があります。
難易度は高校卒業程度ですが、28歳まで受験が可能です。また、体力試験が実施される点も特徴といえます。
海上保安官
海上保安官とは、日本の海域を巡視船や航空機を用いて監視し、海上の治安と安全を守る仕事です。
国土交通省に属する海上保安庁の所属となります。
主な業務は「警備救難業務」「海洋情報業務」「海上交通業務」の3つです。
警備救難業務では不審船の取り締まりを行い、海洋情報業務では安全な航海のための情報収集を行います。
他方で海上交通業務では、海上交通の管理を行うのが主な仕事となります。
海上保安官になるための主な方法は「海上保安学校」または「海上保安大学校」を卒業することです。
在学中は学生であると同時に国家公務員の身分を持ち、給与を得ながら知識やスキルを習得します。
皇宮護衛官
皇宮護衛官とは、天皇陛下や皇后陛下といった皇族の護衛や、皇居・京都御所などの宮内庁が管轄する土地の警備が主な仕事の国家公務員です。
警察庁内に属する皇宮警察本部に所属することとなります。
皇族を近くで護衛する「護衛部門」や宮内庁管轄の土地を警備する「警部部門」、組織全体を円滑に機能させる「警務部門」から成り立っており、1都1府4県を異動しながら仕事を行います。
皇宮護衛官として働くには「皇宮護衛官採用試験」への合格が必要です。採用されたら、皇宮警察学校で訓練を受けた後に現場で働くことができます。
入国警備官
「入国警備官」とは、日本への不法入国や不法滞在が疑われる者の調査・摘発が主な仕事の国家公務員です。
法務省管轄の入国管理局所属となり、日本各地の入国者収容所入国管理センターや地方入国管理局、各空港などに勤務します。
主な仕事はパトロールや取り調べ、違反者の収容などです。
拳銃の所持や強制退去といった強い権限を与えられており、勤務先によっては夜勤がある点も特徴です。
入国警備官になるには「入国警備官採用試験」に合格する必要があります。倍率が10倍から20倍になる例も珍しくなく、難関試験といえるでしょう。
公安調査官
「公安調査官」とは、法務省の外局である公安調査庁に所属する国家公務員です。
主な仕事内容は、治安・安全保障上の脅威に関する情報収集です。
調査を行った結果、規制の必要があると判断された場合は、団体の解散や取り締まりなども行います。
原則は月曜から金曜の日中に勤務ですが、面談相手や現場の状況に合わせて休日や夜間の出勤となる場合がある点も特徴です。
公安調査官になるには、国家公務員一般職試験もしくは総合職試験に合格し、官庁訪問を経て採用される必要があります。
検察事務官
「検察事務官」とは検察庁に所属する国家公務員です。
「捜査公判部門」「検務部門」「事務局部門」のいずれかに配属され、検察官のサポートを中心とした業務を行います。
その名前から事務職と思っている方も多いですが、執行事務や捜査事務なども仕事内容となっており、一定の危険性も存在します。
検察事務官として働くには、国家公務員一般職試験もしくは総合職試験への合格が必要です。
その後、官庁訪問を行い採用される流れとなります。
警察官
警察官とは、地域住民を犯罪から守り、地域の保安に努める公務員です。国家公務員の警察官は警察庁に、地方公務員の警察官は都道府県警察に勤めます。
多くの警察官は地方公務員となっており、交番や駐在所、警察署などに配属され職務を遂行します。
警察官の主な仕事は管内のパトロールなどの防犯活動や、事件・事故時の現場保存、初動調査などです。
一方で多くの方が想像する事件の捜査は、刑事課の仕事となるため全員が携わるわけではありません。
警察官になるには国家公務員採用試験もしくは警察官採用試験に合格する必要があります。
その後、警察学校に入校し専門的な知識やスキルを習得してから現場に配属される流れです。
消防吏員
消防吏員とは、各地方自治体の消防本部に所属する地方公務員で、いわゆる「消防士」のことです。
消防士の仕事は主に「火災」「救急」「事故」「予防」「災害」の5つです。
火災や災害の現場に駆け付け、被害を最小限に留める仕事はもちろん、ケガ人の対処や救急車の出動などを行います。
また、未然に事故や災害を防ぐための予防活動も重要な仕事です。
消防吏員になるには各自治体が実施する公務員試験に合格する必要があります。
その後、消防学校で専門的な知識やスキルを習得して、消防士として現場に配属される流れとなります。
公務員公安職の年収を比較
公務員の公安職の給与は、行政職よりも高い傾向にあります。
具体的な給与は職業によっても異なりますが、弊社で計算した値は以下のようになっています。
種類 | 初任給 | 採用後の年収目安 | 平均年収 |
---|---|---|---|
海上保安官 (公安(二)) | 185,200円(地域手当なし) 222,240円(地域手当あり) ※海上保安学校・海上保安大学校の場合 | 約358万円 | 約672万円 |
公安調査官 (行政(一)) | 185,200円(地域手当なし) 222,240円(地域手当あり) | 約375万円 | 約666万円 |
検察事務官 (行政(一)) | 185,200円(地域手当なし) 222,240円(地域手当あり) | 約375万円 | 約666万円 |
刑務官 (公安(一)) | 173,400円~208,600円(地域手当なし) 208,080円~250,320円(地域手当あり) ※高卒~大卒の場合 | 約341万円~約410万円 ※高卒~大卒の場合 | 約626万円 |
皇宮護衛官 (公安(一)) | 173,400円~208,600円(地域手当なし) 208,080円~250,320円(地域手当あり) ※高卒~大卒の場合 | 約341万円~約410万円 ※高卒~大卒の場合 | 約626万円 |
入国警備官 (公安(一)) | 173,400円~208,600円(地域手当なし) 208,080円~250,320円(地域手当あり) ※高卒~大卒の場合 | 約341万円~約410万円 ※高卒~大卒の場合 | 約626万円 |
法務教官 (公安(二)) | 207,000円(地域手当なし) 248,200円(地域手当あり) ※大卒の場合 | 約406万円 ※大卒の場合 | 約672万円 |
警察官 (公安職給料) | 178,300円~211,100円(地域手当なし) 213,960円~253,320円(地域手当あり) | 約416万円 | 約722万円 |
消防吏員 (公安職給料) | 178,300円~211,100円(地域手当なし) 213,960円~253,320円(地域手当あり) | 約416万円 | 約635万円 |
※平均年収は平均給与月給×12ヶ月+平均給与額×4.39ヶ月で算出
※出典:令和4年度地方公務員給与の実態
※出典:令和5年国家公務員給与等実態調査の結果
※出典:令和4年分民間給与実態統計調査結果
公安職のなかでも公安職俸給表(二)に分類されている海上保安官と法務教官は平均年収672万円と他の公安職とくらべて平均年収が高い傾向にあります。
また、警察官・消防吏員の平均年収約569万円と民間企業の平均年収458万円と比べると公安職の平均年収は高いことがわかります。
公安職俸給表(一)と公安職俸給表(二)の違いとは?
「公安職俸給表(一)【公安(一)】」と「公安職俸給表(二)【公安(二)】」の違いは、給与の決定に用いられる俸給表の違いです。
多くの公安職は「公安職俸給表(一)」に該当しますが、一部の職種(海上保安官、法務教官)は「公安職俸給表(二)」となっています。
同様の級・号であれば、「公安職俸給表(二)」の方が高い給与となります。
公安職俸給表以外にも「行政職俸給表(一)」や「行政職俸給表(二)」、「教育職俸給表(一)」「教育職俸給表(二)」などもあります。
公安職の女性の採用について
現在は公安職での女性採用が増加しています。
例えば、2023年における法務教官の採用は約24%が女性です。
法務教官全体の合格者が280人に対して、女性の合格者が91人となっています。
※社会人合格者を含む
ほかにも、2023年の警察官採用試験(Ⅰ類)では、最終合格者1,128人に対して、女性の合格者が304人と、約30%を占めます。
公安職は男性の仕事という固定概念をもつ方も多いですが、現在は女性も活躍する仕事です。
そのため、女性だからという理由で公安職を選択肢から外すのではなく、本当に自分がやりたい仕事を目指すことが大切です。
※参考:法務省専門職員(人間科学)採用試験|国家公務員試験採用情報NAVI
※参考:採用案内(警察官) | 採用情報 | 令和5年度警視庁採用サイト
まとめ
今回は公務員の公安職の種類や仕事内容、年収などを解説しました。
一言で公安職といっても、国家公務員・地方公務員の違いはもちろん、業種や仕事内容もさまざまです。
そのため、漠然と「公安職に就きたい」と考えている方は、目標とする具体的な職種を見つけることが大切です。
また、現在は公安職の女性比率も高くなっています。
公安職は男性の仕事と思われがちですが、そのような固定概念は捨てて、女性であっても公安職を目指してみてはいかがでしょうか。
公安職につくには公務員試験を突破する必要があります。
まずは公務員試験の試験科目を確認し、対策するところから始めてはいかがでしょうか。
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▶資料請求して特典を受け取るこの記事の執筆者 渡邉新太
大学現役時に以下の公務員試験に独学で合格。
・国家公務員一般職
・国税専門官
・東京特別区
・地方上級(地元県庁)
そして、公務員としての勤務を経た後に、フリーランスのWebライターとして独立。
現在は公務員時代の知識や経験を活かして、多くの方の人生の選択に役立てるよう日々奮闘しています。