「県庁職員なんて難しくて難関大学出身でないと無理じゃないの?」
こんな誤解をお持ちの方も多いのではないでしょうか。

実は、県庁の採用試験はここ数年でドラスチックに変化しています。

民間企業との併願がしやすくなっていますし、筆記試験の負担が軽い採用区分もあります。
また、コロナ禍の影響もあって、採用人数も増加傾向にあります。

そこで、県庁職員の仕事内容や年収、試験情報や難易度を紹介していきます。
ぜひ本稿を参考にして、「無理かも」と敵前逃亡することなく、チャレンジして「県庁の星」を目指してください。

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県庁職員になるには?

県庁職員になるには、希望する県庁が実施している地方公務員試験に合格する必要があります。

地方公務員試験内容は、教養試験や専門試験、面接などがありますが、自治体によって試験内容が異なる場合があるため事前に確認しましょう。

受験資格は、大学卒業程度、高校卒業程度、短大卒業程度など様々ですが、あくまでも試験のレベルになります。高校卒業した方でも大学卒業程度の試験を受けることは可能です。

ただし、年齢制限があるため受験資格も事前に確認をしましょう。

県庁職員の仕事内容

県庁職員の仕事内容は、県下の市町村、国、企業など様々な団体との調整業務、県単位で進める事業の遂行といった感じでしょうか。

例えば、総合的な開発、治山・治水事業、環境問題、産業振興、道路・河川の管理、警察、義務教育・社会福祉の水準維持、国との関係調整事務など、市町村を超えて処理すべき事務や県全体で統一すべき業務といった広域的行政サービスを担います。

広いエリアでスケールや権限の大きい地方公務員の仕事がしたい方には、県庁職員がオススメです。

関連記事:地方公務員とは?働く場所と仕事内容、種類やなり方を解説

県庁職員の年収・給与  

県庁職員の年収は、月給(基本給+各種手当※1)+ボーナス(基本給×4.5ヶ月※2)の合計です。

※1 県庁職員には通勤手当、住宅手当、残業手当、扶養手当など様々な手当が法律で保障されています。
※2 何ヶ月分かは毎年変化します。

総務省の令和5年度地方公務員給与の実態によると、地方公務員(一般行政職)の平均基本給与月額は357,157円、給与月額は329,248円で、平均年収は約589万円(5,893,090円)でした。

上記平均基本給与月額には扶養手当と地域手当のみが合算されているため、あくまでも参考としてお考え下さい。

都道府県別一般行政職の平均基本給月額は、トップが東京都の386,278円で最下位が高知県の315,452円でした。年収にすると、トップの東京都は約637万円で、最下位の高知県は約520万円という結果になります。

区分平均基本給月額平均年収
東京都386,278円6,373,587円
高知県315,452円5,204,958円
令和5年度地方公務員給与の実態の平均給与額

ちなみに国税庁の令和5年分民間給与実態統計調査結果によると、民間企業に勤務した給与所得者の平均年収は460万円(男性569万円・女性316万円)
この数字と比較しても、ランキング最下位の高知県庁職員の給与は高い水準にあるといえます。

※平均年収は平均給与月額×12ヶ月+平均給与月額×4.5ヶ月(ボーナス)で算出
※出典:地方公務員給与実態調査
※出典:民間給与実態統計調査結果

県庁職員の異動・キャリアパス

県庁職員は、3〜4年おきに異動を繰り返し、採用された県庁のゼネラリストとして活躍することが期待されています。

特に、「大卒程度」で合格して採用されると、将来の幹部候補生とされて責任あるポストに配属され、昇進のスピードや昇進できる上限、給与など待遇面での優遇されることが少なくありません。

知事から副知事や副市町村長に任命される職員もいます。

県庁職員の転勤

県内での転勤は避けられません。
広い県庁だと転勤も一苦労と言えます。

とはいえ、婚姻・介護など家庭の都合は極力考慮され、民間企業で見られるよう理不尽な転勤はあまりないようです。

また、各県庁は1つ1つが別個独立した法人(会社のようなもの)なので、県をまたいでの転勤はありません。

県庁の公務員試験

県庁職員になるには、公務員試験に合格する必要があります。

県庁で実施される公務員試験の概要と試験日、難易度について紹介します。

採用試験の概要

県庁職員採用は、筆記試験と面接試験によって合否が決まります。

県庁で実施される公務員試の試験科目は、主に「教養択一」「専門択一」「教養記述」が課されます。

そして、全国の県庁の1次試験は同一日程で実施されます(ここしばらくは6月第4日曜)。

採用試験の「型」

教養記述は各自治体独自の課題が出題されますが、択一試験は共通問題が利用されるわけです。
加えて、県庁同士は併願ができないことになります。

試験問題作成機関が教養択一と専門択一の問題を作成して、全国で一斉に試験を実施するわけです。

もっとも、やはり、全く他と一緒は……という県庁もあります。
なので、若干アレンジした問題を使用する県庁が出てきました。

そこで、基本となる問題を「全国型」とし、「全国型」をアレンジしたものを「関東型」「中部北陸型」と呼びます

教養択一専門択一
全国型一般知能25問(全問回答)
一般知識25問(全問回答)
40問(全問回答)
関東型一般知能21問(全問回答)
一般知識19問(29問から選択)
40問(50問から選択)
中部北陸型一般知能25問(全問回答)
一般知識25問(全問回答)
40問(50問から選択)

ご自身が受験する県庁がどの型を採用しているかはチェックしておきましょう。

ちなみに、この同一日程で一斉に行われる試験のことを「地方上級」とか「地方上級試験」と言います。
あくまでも業界用語ですが、参考書や問題集の説明で使用されるので覚えておきましょう。

県庁ごとの試験難易度

このように、基本的に全国同じ問題で択一試験を実施するのであれば、どこの県庁を受けても同じだと思われるでしょうか?

ですが、大学入試のセンター試験を考えてください。
多くの大学で採用しているものの、どの大学も難易度は同じだと考える方はいませんよね。

県庁の採用試験も、同時に実施される択一試験、自体独自で出題される論文試験、そして面接試験の配分が異なります。

したがって、筆記試験でどれくらい選別されるのかで、筆記試験対策にかける時間や戦略が異なってきます。

また、東京や大阪のような大都市であれば、民間企業の採用がありますが、地方へ行けば行くほど、めぼしい企業の採用がないのが現状です。
加えて、東京都のような大きな自治体は毎年500〜600人と大量に採用します。
すると、地方の県庁は倍率が高くなるのは必然で、その意味での難易度は高くなります。

新方式の採用試験では面接が超超重視される

近年の公務員はますます人物本位・面接重視の傾向にあります。
さらに、県庁では、通常の採用形式(一般方式と呼ばれます)とは別に、「新方式」といわれる採用方式を実施する傾向にあります。

いずれも、「筆記試験」の負担を軽くして、民間企業と併願しやすくする採用形式を実施することが狙いです。

すると、採用予定人数のうち、何割かが「新方式」に割り当てられるので、「一般方式」の採用予定人数が減るわけです。
もちろん、「新方式」での受験を選択することもできますが、両方を併願することを認める県庁、認めない県庁があるので、注意が必要です。

県庁で働くメリットは?

県庁職員になるメリットは、何と言っても人脈が広がることです。

先に述べましたように、県庁の仕事は国、市町村、企業との交渉・連携・調整業務がメインです。
すると県の内外を問わず、業界の如何を問わず人脈は自ずと広がっていきます。

人と繋がることは煩わしさを伴う反面、一人でできないことをやってのけるパワーになります。
職場に選んだ県で、「将来の夢を実現する手がかりを掴むチャンス」に大いに恵まれたともいえます。

そして、頻繁に異動を繰り返すことは、様々な経験を積むことができます。
かつて、都庁の人事担当の方が「飽き性の人は向いていますよ」とお話されていました。

頻繁な異動があると落ち着かないと感じる方は、地方公務員はきついかも知れませんが、新しいことに頻繁に関われるのもメリットと考えられます。

同様に、県内での転勤が避けられないとしても、所詮は県内の移動です。
昔のように何時間も移動に時間がかかるものではありません。

逆に、身分保障がありながら、色んな場所に住めるのもメリットといえるのではないでしょうか。
筆者の教え子の中には、東京都に合格したのですが、給料もらいながら色んな場所に住みたいからと、島部(伊豆諸島や小笠原諸島も東京都です)を希望した強者(?)もいます。

関連記事:県庁はやめとけと言われる5つの理由とは?メリットと向いている人の特徴を紹介

【動画】市役所職員と県庁職員の違いとは?難易度・給与・仕事内容を徹底比較

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この記事の著者

小林 美也子講師 (講師紹介はこちら


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