「国家公務員ってどんな仕事をしているのかな」
「国家公務員になると全国転勤なのかな」
こんな声をよく聞きます。

国家公務員には様々な仕事があり、転勤も都道府県を越えての転勤がない場合もあります。

国家公務員について、採用試験の種類(職種)や仕事内容をわかりやすく説明していますので、是非あなたに合った試験を見つけてください!

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国家公務員とは?仕事内容は?

「国家公務員」とは、国の機関に従事する公務員をいいます。

※国会議員、大臣、裁判官や検察官なども国家公務員ですが、彼らは選挙などの特別な試験を受けて公務員になります。
ここでは、採用試験を受けて国家公務員になる場合について紹介していきます。

令和5年時点、国家公務員は全国で約58万5千人が働いています。

国家公務員の仕事は、医療や教育、食の安全、治安維持、防災など暮らしに身近なことから、裁判の運営、国会運営、安全保障、国家財政、外交まで、社会のあらゆる分野と関わっています。

国家公務員が働く場所

国の機関は、立法・司法・行政に分けられていますが、国家公務員の仕事もそれぞれの機関ごとに異なります

まず、立法府を担当するのは国会で、参議院・衆議院各々に議事運営等をサポートする事務局職員や法制局職員、国会のシンクタンク的役割をする国立国会図書館員といった職員がいます。

次に、司法部を担当するのは裁判所で、各裁判所における裁判運営をサポートする裁判所事務官や裁判所書記官、家庭裁判所において家事事件・少年事件に対する調査を担当する家庭裁判所調査官などが働いています。

最後に、立法と司法以外の国の作用を行政と言いますが、行政作用は様々な機関が担当し、多くの国家公務員が働いています。

国の行政機関は内閣府、総務省、法務省、外務省、財務省、文部科学省などの多くの機関に分かれていて、
財政、税務、防衛、防災、治安、外交、貿易、通信、産業、流通、教育、文化、育児、労働、医療、検疫、食糧、農業、漁業など、
日本国民の生活に関わるありとあらゆる分野について、職務に従事する国家公務員がいます。

また、霞ヶ関にある中央官庁(本府省)だけでなく、全国にある出先機関や海外の大使館、領事館など、世界中で日本の国家公務員は働いています。

国家公務員の種類(職種)と採用試験における区分

ここでは、国家公務員の種類ごとの仕事内容や採用区分について分かりやすく説明しましょう。

行政府の国家公務員

組織の規模が膨大な行政府は、様々な官庁に組織が分かれていて、職員の採用も官庁ごとに行われています。

ですが、採用試験の実施は、人事院という機関が一括して実施するのが基本で、外務省が独自に実施している外務専門員の採用試験などはその例外です。

その中でも、総合職と一般職は、合格=採用ではなく、合格後希望する官庁の面接(官庁訪問)を受け、合格して初めて採用となります。

これに対して、専門職は人事院と担当官庁が協働して採用試験を実施しており、受験段階から採用官庁が分かれているので、官庁訪問の必要はありません

また、社会人が受験できる主な国家公務員採用試験には、40歳未満を対象とした高卒レベルの「社会人試験(係員級)」、一定の職務経験が必要とされる大卒レベルの「経験者採用試験(係長級)」があります。

行政府の国家公務員の種類は下記の通りです。

  • 国家公務員総合職
  • 国家公務員一般職
  • 国家公務員専門職(皇宮護衛官、法務省専門職員、財務専門官、国税専門官、食品衛生監視員、労働基準監督官、航空管制官、海上保安官)
  • 外務専門員

関連記事:国家公務員の総合職と一般職の違いとは?仕事内容、年収、難易度を比較!

国家公務員総合職

国家公務員総合職は、主として政策の企画立案等の高度の知識、技術または経験等を必要とする業務に従事します。

いわゆる「キャリア組(官僚)」であり、中央官庁の幹部候補として政策立案、法案作成、予算編成などに携わり、早いスピードで昇進していきます。

国家公務員一般職

国家公務員一般職は、主として事務処理等の定型的な業務に従事します。

中央官庁だけでなく、全国にある出先機関でも採用があり、地元で国家公務員として働くことができる可能性が高い国家公務員です。

国家公務員専門職

国家公務員専門職は、特定の官庁の特定の職種として採用されることを前提とした国家公務員です。

職種としては、皇宮護衛官(大卒程度)、法務省専門職員(人間科学)、財務専門官、国税専門官、食品衛生監視員、労働基準監督官、航空管制官、海上保安官があります。

外務専門員

外務省が独自に実施する採用試験で、特定の言語と地域に特化した外交官として担当地域の情報収集・分析を行い政策立案を支えます。

経験者採用試験

民間企業等における実務経験のある人を、国の機関の係長級以上の官職に採用するための試験。
業務は、政策の企画・立案業務や法令業務等が挙げられますが、試験の種類や各府省が所掌する業務に応じて異なり、採用後に従事する業務内容は多岐に及びます。

司法府(裁判所)の国家公務員

司法府(裁判所)の国家公務員の種類は下記の通りです。

  • 裁判所事務官(総合職)
  • 裁判所事務官(一般職)
  • 家庭裁判所調査官補(総合職)

裁判所事務官(総合職)

政策の企画立案等に係る高い能力を有するかどうかを重視して行う採用試験で、裁判所事務官として採用されます。

裁判所事務官(一般職)

的確な事務処理に係る能力を有するかどうかを重視して行う採用試験で、裁判所事務官として採用されます。

家庭裁判所調査官補(総合職)

政策の企画立案等に係る高い能力を有するかどうかを重視して行う採用試験で、家庭裁判所調査官補として採用されます。

以上のほか、採用予定がある場合に、一般職試験(裁判所事務官、社会人区分)が実施されることがあります。

立法府(国会)の国家公務員

国会議員をはじめとする立法府(国会)の国家公務員の種類は下記の通りです。

  • 衆議院事務局職員(総合職・一般職)
  • 衆議院衛視
  • 衆議院法制局職員(総合職)
  • 参議院事務局職員(総合職・総合職技術・一般職・一般職技術)
  • 参議院専門職(衛視)
  • 法制局職員(総合職)
  • 国立国会図書館員(総合職・一般職)
  • 国立国会図書館員(資料保存専門職員)
  • 国立国会図書館員(情報システム・設備専門職員)

衆議院事務局職員(総合職・一般職)

衆議院での立法活動を補佐する仕事に従事します。

採用後は、基本的には会議運営部門、調査部門、その他の議員(院)活動補佐部門のいずれかの部門に配属されます。

衆議院衛視

衆議院の議院警察に従事します。

衆議院法制局職員(総合職)

議員発議の法律案・修正案及び委員会提出の法律案の立案の補佐、委員会の命による法制に関する予備的調査、議員等からの依頼による法制に関する調査等を行います。

参議院事務局職員(総合職・総合職技術・一般職・一般職技術)

参議院での立法活動を補佐する仕事に従事します。

採用後は、基本的には会議運営部門、調査部門、総務部門のいずれかの部門に配属されます。

参議院専門職(衛視)

参議院の議院警察に従事します。

法制局職員(総合職)

参議院において議員の立法活動を補佐します。

参議院議員などの依頼に基づいて法律案及び修正案の立案、法律問題の調査などの業務を行います

国立国会図書館員(総合職・一般職)

国立国会図書館の有する国会の活動の補佐、資料・情報の収集・保存、情報資源の利用提供という役割を果たすため、調査業務、司書業務、一般事務といった業務に従事します。

国立国会図書館員(資料保存専門職員)

各種図書館資料の保存修復業務、資料保存に関する企画・調査及び当該専門的知識を必要とする業務(国内外関係者への研修、外部関連機関との交流等)に従事します。

国立国会図書館員(情報システム・設備専門職員)

情報システム及び設備機器に係る企画・調達・維持・管理業務、図書館システムに係る調査研究業務並びに当該専門的知識を必要とする業務に従事します。

国家公務員の年収(一般職・総合職)

人事院の令和5年度国家公務員給与等実態調査によると、国家公務員の平均給与月額は412,747円、俸給は334,218円で、平均年収は約681万円(6,810,326円)でした。

国家総合職の年収国家一般職の年収は、平均給与月額は404,015円、俸給は322,487円で、平均年収は約666万円(約6,666,248円)でした。(「行政職俸給表(一)」の給与より)

国税庁の令和5年分民間給与実態統計調査結果によると、民間企業に勤務した給与所得者の平均年収は460万円(男性569万円・女性316万円)でした。

国家公務員の年収は民間企業と比較して高いことが分かります。

国家公務員の種類ランキング

令和6年度国家公務員試験の申込者数を基に人気な種類をランキング形式で紹介します。

最も申し込みが多く人気の種類は、国家一般職と国家総合職でした。

順位職種申込者数(a)受験者数最終合格者数(c)倍率(a/c)
1位国家一般職20,72015,1236,0753.4
2位国家総合職12,24910,1411,2859.5
3位国税専門官12,1618,5553,3583.6
4位労働基準監督官2,7991,3774316.5
5位財務専門官2,4221,2775274.6
6位法務省専門職員1,8801,3654514.2
7位皇宮護衛官7864272828.1
8位海上保安官506255846
9位食品衛生監視員339216704.8

国家公務員になるには

国家公務員になるには、国家公務員試験に合格する必要があります。試験合格後は、採用試験を経て、各省庁での研修や実務に従事します。

国家公務員の中には、国家総合職、国家一般職、国家専門職と複数の種類があり、それぞれ受験要件が異なります。

一般的に大学卒業程度の学歴が求められますが、職種によっては高卒や専門卒も対象となります。

国家公務員試験は、主に筆記試験と面接試験が実施されます。筆記試験では、教養科目と専門科目(行政法、経済学、英語など)が出題されるため、しっかりとした勉強が必要です。

国家公務員の試験概要

国家公務員の公務員試験は主に、教養試験と専門試験、人物試験の3つが実施されます。ただし、種類によっては政策論文試験や一般小論文が課せられるため試験内容は事前に確認しましょう。

今回は国家公務員総合職と国家公務員一般職の試験概要について紹介します。

国家公務員総合職の試験概要

国家公務員総合職の試験内容は、教養試験(多肢選択式)と専門試験(多肢選択式・記述式)のほかに政策論文試験と人物試験が課せられます。

また、外部英語試験を活用して総合点に加点がある特徴があります。

国家公務員採用総合職大卒程度試験の一次試験

試験種目解答題数
解答時間
配点比率内容(行政区分)
基礎能力試験
(多肢選択式)
30題
2時間20分
2/15公務員として必要な基礎的な能力(知能及び知識)
についての筆記試験
● 知能分野24題
  文章理解⑩
  判断・数的推理(資料解釈を含む)⑭
● 知識分野6題
  自然・人文・社会に関する時事、情報⑥
専門試験
(多肢選択式)
40題
3時間30分
3/15各試験の区分に応じて必要な専門的知識など
についての筆記試験
次の選択Ⅰ、Ⅱ、Ⅲ、Ⅳからいずれかを選択し解答
〔選択Ⅰ 政治・国際系〕 55題出題 40題解答
〔選択Ⅱ 人文系〕    55題出題 40題解答
〔選択Ⅲ 法律系〕    49題出題 40題解答
〔選択Ⅳ 経済系〕    46題出題 40題解答
※必須・選択問題は受験案内をご確認ください

国家公務員採用総合職大卒程度試験の二次試験

試験種目解答題数
解答時間
配点比率内容(行政区分)
専門試験
(記述式)
2題3時間5/15各試験の区分に応じて必要な専門的知識など
についての筆記試験
17科目から2科目選択
※詳細な科目は受験案内をご確認ください
政策論文試験1題2時間2/15政策の企画立案に必要な能力その他総合的な判断力
及び思考力についての筆記試験
人物試験3/15人柄、対人的能力などについての個別面接

国家公務員採用総合職大卒程度試験の英語試験

試験種目解答題数
解答時間
配点比率内容(行政区分)
英語試験外部英語試験(TOEFL(iBT))、TOEIC Listening & Reading Test
(公開テストに限る)、IELTS、実用英語技能検定)を活用し、
スコアに応じて総合点に15点又は25点を加算

出典:総合職試験(大卒程度試験)|国家公務員試験採用情報NAVI

国家公務員一般職の試験概要

国家公務員総合職の試験内容は、教養試験(多肢選択式)と専門試験(多肢選択式)のほかに一般小論文と人物試験が課せられます。

国家公務員一般職大卒程度試験の一次試験

試験種目解答題数
解答時間
配点比率試験内容
基礎能力試験
(多肢選択式)
30題
1時間50分
2/9公務員として必要な基礎的な能力
(知能及び知識)についての筆記試験
 知能分野24題
 文章理解⑩、数的推理④、資料解釈③
 知識分野6題
 自然・人文・社会に関する時事、情報⑥
専門試験
(多肢選択式)
40題
3時間
4/9【人物試験】
人柄や対人的能力など80題出題 40題解答
16科目(各5題)から8科目を選択し、
計40題解答についての個別面接
一般論文試験1題
1時間
1/9文章による表現力、課題に関する理解力など
についての短い論文による筆記試験

国家公務員一般職大卒程度試験の二次試験

試験種目解答題数
解答時間
配点比率試験内容
人物試験2/9人柄、対人的能力などについての個別面接

※出典:国家公務員採用一般職試験(大卒程度試験)|国家公務員試験採用情報NAVI

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#公務員 #国家公務員

この記事の著者

小林 美也子講師 (講師紹介はこちら


大手資格予備校・地方自治体・企業・教育機関等様々な場所で,長年にわたり公務員試験,宅建試験の受験指導,職員研修を行う。

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