公務員試験にはいくつもの法律系科目が出題されるけど、いつ、どこから手をつければいいかわからない。

とにかく科目数の多い公務員試験対策の悩みどころではないでしょうか。

そんな悩みにお答えすべく、本稿では法律系科目の出題傾向と勉強方法について解説します。

ぜひ参考にして、法律科目の効率的な勉強方法を掴んでください。

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法律系科目とは?

出題される法律系科目

大卒程度の公務員試験で専門科目が出題される場合、必ず法律系科目が含まれます。

公務員は法律に基づいて職務遂行するからです。

職種によって異なりますが、出題される法律系科目は、憲法、民法、行政法、刑法、労働法、商法、刑事訴訟法、民事訴訟法があります。

このうち、ほとんどの職種で出題される3本柱が、憲法、民法、行政法です。

法律系科目出題数

  択一式 記述式
国家一般職 ●16科目(各5問)から8科目(40問)選択
憲法、民法(総則・物権)、民法(債権・親相)、行政法、ミクロ経済、マクロ経済、財政学・経済事情、経営学、政治学、行政学、国際関係、社会学、心理学、教育学、英語(基礎)、英語(一般)
なし
国税専門官 ●必須2科目16問(民法・商法、会計学(簿記含む))
●選択9科目(各6問)から4科目(24問)選択
憲法・行政法、経済学、財政学、経営学、政治学・社会学・社会事情、英語、商業英語、情報数学、情報工学
●5科目のうち1科目選択
憲法、民法、経済学、会計学、社会学
裁判所事務官一般職 ●必須2科目20問(憲法⑦、民法⑬
●選択2科目(各10問)から1科目選択
刑法、経済理論)
憲法1問
地方上級・全国型 ●40題全問必須
憲法④、民法④、行政法⑤、刑法②、労働法②、ミクロ経済・マクロ経済学⑨、財政学 ③、経営学②、政治学 ②、行政学②、社会政策 ③、国際関係②
なし
東京都
(一般方式)
なし ●10科目から3科目選択
憲法、行政法 、民法、経済学、財政学、政治学、行政学、社会学、会計学、経営学、
東京特別区 ●55問(11科目各5問)から40問選択
憲法、民法(総則・物権)、民法(債権・親相)、行政法、ミクロ経済、マクロ経済、財政学、経営学、政治学、行政学、社会学
なし

公務員試験対策の鉄則は、出題される全ての科目ではなく、合格点を取るのに最低限度必要な科目だけ勉強することです。

法律系科目は専門科目の4割以上を占める職種がほとんどです。

しかも憲法、民法、行政法の3本柱で占められているのがほとんどです。

すると、合格に最低限度必要な科目は、憲法、民法、行政法の3つが基本となります。

そこで、ここからは、憲法、民法、行政法の択一試験対策を中心に解説していきます。

法律系科目の学習を始めるにあたり押さえておきたいポイント

科目ごとの優先順位

法律全体は有機的につながっています。

例えば、民法は関連法規が多いので、民法の一部を改正すると波及効果が多岐に及びます。

ですから、民法の改正作業には途方もなく長い時間とエネルギーを要します。

以上を前提にすると、優先順位のポイントは、憲法と民法を勉強してから他の法律科目を勉強することです。

憲法・民法→行政法・労働法・刑法・商法など

基本的に、憲法と民法はどちらを先に勉強しても構いませんが、憲法を先に勉強する方が多いようです。

理由は、他の法律科目よりは馴染みがあってとっつきがよく、法律科目の入門として最適だからです。

また、日頃から政治・経済など社会情勢に興味を持つことが公務員試験対策では重要ですが、憲法の基礎知識があれば、政治ニュースがより分かるようになるのも憲法をいち早く勉強するメリットです。

行政法は憲法と民法を勉強した後でないと理解に時間がかかります。

憲法の統治機構をベースにし、民法の概念を多々流用しているからです。

刑法も、憲法の人権規定における人身の自由(刑事手続)の知識を得てないと、根本的な理解に時間を要してしまいます。

商法は民法の特別法です。

民法の基礎知識なしにいきなり商法の勉強を始めてしまうと、理解に相当なエネルギーを必要とします。

労働法も同じく民法の特別法なので、民法を勉強した後に勉強すべきです。

また、勤労者の権利保護に関わる内容を含みますので、憲法の人権規定における社会権(勤労の権利・労働基本権)の知識があると理解が容易になります。

科目ごとの勉強の時期

勉強の時期を考える指針が2点あります。

理解を中心とする科目は早めにスタート
暗記を中心とする科目は遅めにスタート

理解したことは忘れませんが、暗記したことは、反復継続しない限り、いつか忘れてしまうので、できるだけもん試験に近い時期からスタートすべきだからです。

分量の多い科目は早めにスタート
少ない科目は遅めにスタート

これは、スケジュール管理の問題です。

分量の少ない勉強は、本試験間近に初めても調整が効きますが、分量が多い勉強は余裕を持って始めないと間に合わなくなる可能性があるからです。

以上から、理解が重要でかつ分量の多い民法は、できるだけ早くにスタートすべきです。

憲法は、法律科目のベースになるので、一早いスタートが必須ですが、本試験近くに再度キーワードなどの暗記項目を繰り返す時間を設ける必要があります。

行政法は、用語の意味や判例のキーワードなど、ゴリゴリの暗記がモノをいう科目ですから、遅めのスタートが肝要です。

※関連コラム:【公務員試験】専門科目の勉強法とおすすめ優先順位~択一&記述~

法律系科目の具体的な勉強法を確認しよう!

ここでは、法律系科目3本柱の勉強方法について解説しましょう。

全ては過去問に始まり、過去問に終わる

他の科目の勉強方法についてのコラムでも、勉強の手順としては、以下の優先順位を推奨しています。

①まず過去問を解く(読む)→②テキストで復習→③講義を受ける。

先ず過去問を「読む」ことから始めてください。

わからなくても止まってはいけません。

内容が頭に入らなくても気にしないことです。

とにかくスピード感を重視して、「過去問を読む」ことです。

その上で、ざっとテキストに目を通すと頭の中で体系的整理ができます。

そして、この段階で理解できた箇所があれば、その箇所の講義はスキップしてください。

全範囲の過去問を先に読むのは時間もかかりますし、先に読んだ内容をすっかり忘れてしまう危険があるので、分野ごとに以上の作業を行なうと良いでしょう。

そして、講義を受けたら、過去問を「解く」ことで、復習をして下さい。

テキストをきっちり読み返したり、いわんやノートにまとめるのは時間の無駄です。

ノートではなく、メモや印をつける

このようにして、過去問で復習した結果、間違った箇所には、後で見直した時に瞬時に(ここ重要です)わかるように印を付けたり、キーワードをメモ(ノートではなく、メモです)すると良いでしょう。

試験勉強は、結局は暗記です。

暗記は繰り返すことで定着します。

繰り返すためには、繰り返すべきことを絞り込む必要があります。

そのためには、情報量の多いノートではなく、一覧性のあるもの、短い言葉で記憶喚起できるものを残していくべきです。

憲法の勉強のコツ

人権に関しては圧倒的に判例の学習統治は条文に書かれてある制度内容や数字の暗記が重要です。

注意すべきは、憲法判例で重要なのは結論に至った「理由」です。

公務員試験でも合憲・違憲の結論部分は合っているけど、理由の部分が違っているから誤りという選択肢が随所にあります。

また、憲法は条文数も100条あまりしかなく、比較的読みやすい上に、前文と統治は条文内容(数字など)がベタに出題される傾向にあります。

民法の勉強のコツ

民法は、最後までやってみて初めて先に勉強したことの理解ができることが多々あります。

したがって、先ずは全体像を一気に掴むことです。

講義を受けるのであれば、分からない箇所があっても立ち止まらずに一気に聴き終えてしまうことです。

また、分量の多い民法の細かな知識を全て暗記するには無理があります。

ですから、絶えず「なぜこの制度があるのか」を理解するようにしましょう。

そうすれば、知識の穴を埋める応用力を身につけていくことができます。

行政法の勉強のコツ

同じような問題が繰り返し出題されるので頻出分野がはっきりしています。

加えて、用語の意味や判例のキーワードの暗記で対応できる問題がほとんどです。

したがって、過去問を徹底的に繰り返して、キーワードをピックアップしておいて、直前期に集中して暗記しましょう。

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  • 専門用語に抵抗がある方
  • 暗記だけではなく「理解」することで問題を解けるようになりたい方
  • 必要な知識に絞られた講義をお求めの方
  • 単元ごとの「解ける」を着実に増やしたい方

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この記事の著者

小林 美也子講師 (講師紹介はこちら


大手資格予備校・地方自治体・企業・教育機関等様々な場所で,長年にわたり公務員試験,宅建試験の受験指導,職員研修を行う。

難解な法律用語は平易な表現とたとえ話でかみ砕き,理解しにくい内容はオリジナルの挿絵でわかりやすく説明する。

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