【公務員試験】刑法とは?捨てるべき?頻出分野や難易度と勉強法を解説!
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専門科目の主要科目である憲法、民法、行政法、経済原論以外に刑法を勉強すべきかどうか、悩まれる方が多いのではないでしょうか。
本稿では
①刑法を勉強すべきかどうかの判断基準
②刑法を勉強する場合の効率的な方法
この2点について解説いたします。
ぜひ、参考にして超効率的な刑法の勉強法をマスターなさってください。
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「刑法」とはどんな科目?
刑法は勉強すべきか否か
専門試験の法律系の3本柱は、憲法、民法、行政法です。主要な公務員試験の法律系科目は、この3科目につきます。
刑法は公務員試験の法律系科目の一つで、出題のある職種が限定される上、出題数も少なかったり、選択解答なのが一般で、いわゆる汎用性に欠ける科目です。
なので、志望先や併願先、受験先の優先順位、学部によって、刑法を勉強すべきかどうかを検討する必要があります。
ざっくりと結論から申し上げると、
- 裁判所事務官第一志望ならば、刑法は勉強すべき。
- 労働基準官第一志望ならば、勉強してもいいかも。
こんな感じです。
詳しい理由は、以下で順次ご説明していきましょう。
刑法が出題される職種
職種 | 刑法/総出題数 |
国家一般職 | ― |
特別区Ⅰ | ― |
東京都ⅠB(記述式) | ― |
国税・ 財務専門官 | ― |
地方上級 全国型 | 2題/40題→全問必須解答 |
市役所C日程 | 2題/40題→全問必須解答 |
裁判所事務官 | 10題/40題→30題選択解答 (憲法7題、民法13題は必須解答、刑法または経済の10題選択解答) |
労働基準 監督官A | 3題/7科目36題→28題選択解答 |
国家一般職、特別区、東京都、国税・財務専門官では刑法の出題はありません。
併願される方や、第一志望の方が多い地方上位級や市役所では、例年2問出題されています。
労働基準監督官Aは、7科目36題の出題から、28題選択解答で、刑法は3題出題されます。
裁判所の専門試験は合計30問、そのうち憲法7問と民法13問は必答解答、残る10問は「経済学」か「刑法」の選択回答になります。
この10問については、問題選択ではなく科目選択となっているのに注意が必要です。
つまり、選んだ科目の10問全てに答えなくてはならないわけです。
どちらの科目を解答するかについては、試験当日に問題を見た上で選択できます。
刑法の頻出分野
刑法は大きく分けて2つの分野に分けられ、出題はそれぞれから均等なのが一般です。
【刑法総論】刑罰全般に共通する問題を取り上げる分野
例:犯罪成立要件、既遂と未遂、共犯関係、正当防衛、責任能力、執行猶予など
【刑法各論】個別の犯罪を取り上げる分野
例:殺人罪、窃盗罪、詐欺罪、放火罪、贈収賄罪など
刑法の難易度
窃盗罪や殺人罪、正当防衛、執行猶予……、犯罪に関する報道や映画、ドラマ、小説などで馴染みのある用語・概念が多いので、法律科目の中では一番具体的なイメージを持ちやすい科目ではないでしょうか。
ところが、実際に刑法のテキスト(専門書)を開いてみると、のっけから刑法理論が展開され、あらゆる項目で学説の対立が入り組んでいて、その整理に紙数が割かれているのに驚愕?辟易?します。
確かに、憲法や民法でも学説の対立はあるのですが、その熾烈さ?は刑法の比ではありません。
刑法は権力が国民に対して刑罰を科す(生命や自由を奪う)際のルールなので、刑法をどう解釈するかには、人間観や国家観、価値観などが如実に現れるからです。
「何故に国家権力が人を殺すことが許されるのか」と死刑存続をめぐる議論を思い浮かべるとわかりますよね。
なので、正攻法に勉強しようとすると難易度は高くなります。
しかし、「公務員試験に必要」な刑法の学習は決して難しくはありません。
刑法の学習にはちょっとしたコツが必要です。
ですが、このコツさえ掴めば難なく短期間でマスターできるのが、刑法という科目の大きな特徴です。
反対に、目的を見失った非効率的な勉強をすると刑法のラビリンスに迷い込んでしまうので、学習方法の選び方には注意が必要です。
刑法学習のコツについては、次章で解説いたします。
受験先別の対応
裁判所事務官
解答数30問のうち、10問は「経済学」か「刑法」の選択回答で、10問については、問題選択ではなく科目選択となっています。
まず、多くの受験生は「経済学」を選択しようとします。
「経済学」(経済原論ともいいます)は、ほとんどの職種で出題され、出題数も多いので、公務員試験対策には経済学の勉強は必須とされます。
また、「経済学」はボリュームがあり、勉強時間がかかるのが通例です。
であれば、「経済学」を勉強した上で、別途「刑法」の勉強をすることには躊躇するのが通例だからです。
ですが、裁判所の「経済学」は例年、難易度が高め安定で、例えば、国家一般職や特別区の問題よりは、難しいものがほとんどです。
他方、「刑法」は例年、総論5問・刑法各論5問で、出題内容もオーソドックスな条文や判例の知識問題で、変なひねりもなく、過去問をしっかりやっていれば解ける問題ばかりです。
つまり、めちゃくちゃコスパのいい科目なのです。
大学等で刑法の学習経験があればなおさらです。
以上が、裁判所事務官が第一志望という方には、「刑法」の勉強をオススメするする理由です。
さらに、経済学か刑法かは、試験当日に問題を見てから決めることができます。
仮に、現場でその年の経済学が簡単そうだなと思えば(ほぼあり得ないと思いますが)、経済学で解答すればいいのでしょう。
労働基準監督官A(以下、「労基」と略します)
7科目36題の出題から、28題選択解答で、刑法は3題出題されます。
難易度はそれほど高くはありません。
問題文は長めですが、問われる内容は頻出判例が基本で、過去問をつぶしておけば3問中2問は得点できるでしょう。
また、問題選択制なので、難問は回避することもできます。
労基を受験される方は、第一志望の場合がほとんどだと思います。
選択肢を増やす観点からも、刑法を勉強することを検討する価値はあります。
もっとも、刑法は汎用性に欠ける科目なので、労基が併願先のひとつに過ぎない場合には、捨て科目としてもいいでしょう。
地方公務員
地方上級や市役所対策として、刑法を勉強するのはオススメしません。
汎用性に欠け、地方公務員の刑法は出題数が少ないわりに難易度が高いからです。
難易度が高いと言っても、高度な専門知識が要求されるといった意味でなく、問題が練れていなくて、出題の意図がつかみにくいことが多いという意味です。
確かに、ほとんどが全問必須解答ですが、満点を取る必要はありません。
出題される科目全てを勉強するのは、公務員試験対策としては非効率的です。
刑法の学習経験がある、裁判所事務官などのために刑法を勉強する、場合以外、刑法は捨て科目としても良いでしょう。
刑法の対策をしよう!
過去問にはじまり過去問におわる
他の科目の勉強方法についてのコラムでも、勉強の手順としては、以下の優先順位を推奨しています。
①まず過去問を解く(読む)→②テキストで復習→③講義を受ける。
刑法も全く異なりません。
出題パターンが決まっているのと、同じ知識が繰り返し出題されるからです。
先ず過去問を「読む」ことから始めてください。
とっつきのいい各論から初めてもいいでしょう。
わからなくても止まってはいけません。内容が頭に入らなくても気にしないことです。
とにかくスピード感を重視して、「過去問を読む」ことです。
その上で、ざっとテキストに目を通すと頭の中で体系的整理ができます。
そして、この段階で理解できた箇所があれば、その箇所の講義はスキップしてください。
全範囲の過去問を先に読むのは時間もかかりますし、先に読んだ内容をすっかり忘れてしまう危険があるので、分野ごとに以上の作業を行なうと良いでしょう。
そして、講義を受けたら、過去問を「解く」ことで、復習をして下さい。
テキストをきっちり読み返したり、いわんやノートにまとめるのは時間の無駄です。
学説の対立は無視
先にも述べましたように、刑法は理論・学説の対立がシビアですが、公務員試験対策としては、無視して結構です。
新派VS旧派、結果無価値VS行為無価値、因果関係論、財産犯の保護法益……あらゆる項目に複数の考え方がありますが、判例さえ(判例がなければ通説)押さえておけば大丈夫です。
徹頭徹尾、条文知識と判例。これにつきます。
判例は、質より量でガンガンにキーワードを覚えましょう。
判例問題で引っ掛けてくるところは決まっているからです。
とにかく過去問をゴリゴリに解いて、キーワードを暗記することです。
条文の素読は効果的
刑法は条文数も少なく(全部で264ヶ条ですし、出題されない条文は飛ばしてください)、読みやすいので、条文を読むことは理解のショートカットになります。
六法なんて購入する必要はありません。
ネットで検索したものを、コピペして自分の使いやすい形に書式設定してプリントアウトすればいいです。
特に刑法各論(各個別の犯罪)では、法定刑が大体どれくらいなのかを知っておくと、理解度が格段に上がります。
例えば、殺人罪(刑法199条)が重い罪だということはご存知でしょう。
法定刑は「死刑又は無期もしくは5年以上の懲役」です。
現住建造物放火罪(刑法108条)は「死刑又は無期もしくは5年以上の懲役」です。
建物という重要な財産だけでなく、人の命を奪う危険性があるので、殺人罪と同様に重い罪なのです。
また、強盗致死罪(刑法240条)は「死刑又は無期懲役」です。
無理やり財産を奪った上に被害者を死なせてしまうのは、殺人より重い罪なのですね。
ついでにもうひとつ、外患誘致罪(刑法81条)は「死刑」一択です。
外国と通謀して日本へ武力を行使させるなんて、万死に値するというわけです。
このように、ざっくりとでも法定刑を知っておくと、刑法全体が何を大切にしているかを理解することに直結します。
プリントアウトした条文に、メモや印をつける
このようにして、過去問で復習した結果、間違った箇所には、後で見直した時に瞬時に(ここ重要です)わかるように印を付けたり、キーワードをメモする(ノートではなく、メモです)と良いでしょう。
先に説明した条文のプリントアウトする際に、書き込みしやすいように書式設定すればそれがメモになります。
試験勉強は、結局は暗記です。
暗記は繰り返すことで定着します。
繰り返すためには、繰り返すべきことを絞り込む必要があります。
そのためには、情報量の多いノートではなく、一覧性のあるもの、短い言葉で記憶喚起できるものを残していくべきです。
いつから刑法の勉強を始めるべき?
刑法は他の法律科目を勉強した後に取り組めば十分です。
専門科目オススメの勉強順 憲法or民法→行政法 経済学 ↓ 財政学 行政学 or 政治学 ↓ 経営学 国際関係 刑法 |
特に、地方上級や市役所対策として刑法を勉強する場合、専門科目全体の中では一番最後に勉強すべきです。
出題数が少ない割に、難易度が高く、時間対効果が低いですし、時間がなければ捨て科目にするのも有りだからです。
労基受験者も同様です。
ただ、裁判所事務官が第一志望の方は、もう少し早めに取りかかるといいでしょう。
それでも、年末か年明けすぐのスタートでも間に合います。
※関連コラム:【公務員試験】専門科目の勉強法とおすすめ優先順位~択一&記述~
最後に
最後まで読んでくださってありがとうございます。
いかがでしたでしょうか。
「刑法」、悩ましい法律科目かもしれません。
でも、はっきり申し上げて、勉強すると面白い科目です。
要件・効果がわかりやすく、三段論法(要件→あてはめ→結論)が非常にクリアです。
逆に面白いからと、のめり込み過ぎないように注意してくださいね。
本稿が効率的な刑法対策のお役に立てたのなら、幸いです。
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