「一般知識って、科目が多いし、何から手をつければいいかわからない。」
「一般知識の捨て科目って、どうやって考えればいいの。」

多くの公務員受験生が、こんな悩みをお持ちではないでしょうか。

本稿では、一般知能や専門科目との関係も含めて、一般知識とはどういった試験なのかや対策法を具体的に解説いたします。
ぜひ参考にして、効率的な一般知識対策を始めてください!

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「一般知識」ってどんな試験?

公務員試験の筆記試験には、「教養試験」と「専門試験」があります。

出題形式としては、

  • 「択一」(5つの選択肢の中から正解肢を1つ選択するマークシート方式)
  • 「記述」(与えられたテーマについて1000〜2500字ほどの文章を書く)

があります。

職種によって、出題される試験の種類・形式は異なります。

「一般知識」とは、ほとんどの公務員試験で出題される教養択一(5つの選択肢から正解を1つ選ぶ形式)の中の1分野です。

教養択一は、高校までに勉強した内容が出題され、大きく分けて「一般知能」と「一般知識」の2分野があります。
知能と知識、紛らわしいですね。

「一般知識」では公務員に必要な知識と教養を、「一般知能」では公務員に必要な事務処理能力が問われます。

教養択一試験試験科目科目の種類
一般知能>数的処理判断推理 数的推理 資料解釈料解釈 空間把握
文章理解文章理解現代文 英文 古文(漢文)
一般知識人文科学世界史 日本史 地理 思想 文芸
自然科学数学 物理 化学 生物 地学
社会科学法律 政治 経済 社会
時事時事

「一般知識」は人文科学、自然科学、社会科学、時事と非常に数多くの科目で構成されています。

ただし、職種によって、出題される科目・出題されない科目、科目による出題数は異なります。

人文科学

高校までの日本史、世界史、地理、思想、文芸で勉強した内容です。

※関連コラム:【公務員試験】人文科学の対策~世界史・日本史・地理・思想・文芸~

自然科学

高校までの物理、化学、生物、地学、数学といった、理科と数学に該当する内容です。

※関連コラム:【公務員試験】自然科学の対策~生物・地学・物理・科学・数学~

社会科学

政治・経済、法律、社会、国際などがこれに含まれます。

特に、政治・経済は出題数が多いのが一般的です。法律では憲法の条文知識が問われることが殆どです。

※関連コラム:【公務員試験】社会科学の対策~法律・政治・経済・社会~

時事

社会保障、労働問題、環境問題、消費者問題など現代日本の重要な政策課題についての内容が中心で、職種によっては、一般知識で最も多く出題されることもあります。

時事は教養記述対策や面接対策としても重要です。

※関連コラム:【公務員試験】時事問題とは?頻出テーマや例題を紹介

一般知識の出題数から重要性を読み解く

では、具体的に一般知識の各分野がどのような割合で出題されるのか、主な公務員試験の出題数をご紹介しましょう。

いずれも大卒程度の職種です。

回答時間総出題数一般知能一般知識
国家一般職
国家専門職
(国税・財務・労基など)
140分40題27題13題:人文科学4問(日本史、世界史、
地理、思想)
自然科学3問(物理、化学、生物or地学)
社会科学6問(政治、経済、社会)
時事3問
※生物or地学は年度によって異なる
裁判所事務官一般職180分40題27題13題:人文科学4問(日本史、世界史、
地理、思想)
自然科学4問(物理、化学、生物、地学)
社会科学5問(政治、法律、経済、社会)
東京特別区Ⅰ120分40題28題20題から12題選択回答:人文科学4問
(日本史、世界史、地理、思想)
社会科学4問(法律、政治、経済)
自然科学8問(物理、化学、生物、地学)
時事4問
東京都1B130分40題24題16題:人文科学3問(日本史、地理、文学・芸術)
社会科学3問(政治、法律、経済)
自然科学4問(物理、化学、生物、地学)
時事6問
地方上級・全国型120〜150分50題25題25題:人文科学7問(日本史、世界史、
地理、文学・芸術)
自然科学7問(数学、物理、化学、生物、地学)
社会科学11問(政治、法律、経済、社会)

一般知識の勉強にかける時間

一般知能の対策が難しいといわれる一番の要因は、教養択一試験全体に占めるウェイトが3〜5割と少ない割に、科目数が10科目以上にも及ぶ点です。

つまり、正面から勉強しようとすると、非常に時間がかかります。

この点、大学受験時にセンター試験を経験した方は、一般知識で出題される科目を多く勉強しているので、時間の節約が可能といえます。

一般知識で点を稼ぐ必要があるか

年度や職種によっても異なりますが、一般的に教養択一試験の合格ラインは5〜6割だといわれています。

また、科目ごとの基準点はないので、どの科目で得点しても構いません。

特に、国家公務員(27:13)・東京都(3:2)・特別区(7:3)は一般知能のウェイトが高くなっています。※数字は(一般知識:一般知能)

しかも、国家一般職は専門試験が教養試験の2倍の配点、国税専門官も1.5倍の配点になっています。

したがって、これらの職種では、一般知能の対策に力を入れ、一般知識は時事対策に集中し、他の時間は専門試験にあてるのが得策です。

他方、地方上級は一般知識の出題が全体の5割なので、一般知能だけで高得点を狙うことは逆に難しく、一般知識で得点を稼ぐことも考える必要があります。

なかでも、出題数が比較的多い社会科学に力を入れるといいでしょう。

一般知識の難易度

一般知識のレベルはおおむね、センター試験未満です。

稀に、難問もありますが、そのレベルに照準をあてて勉強する必要はありません。
公務員試験対策の基本は、みんなが正答する問題を落とさないことだからです。

もちろん、知識がゼロでも正解できるほど甘くはないので、出題傾向を知って、優先順位や勉強を始める時期を考えるべきです。

時間配分

上記の表から計算して、教養科目全体で1問あたりにかけられる時間は、平均して3〜5分です。

ですが、一般知能(現代文・英文・数的処理)は、時間のかかる問題がほとんどです。

したがって、戦略として、一般知識の暗記科目において1〜2分で回答できる科目を用意しておいて、余った時間を一般知能の回答時間にあてることを考えておくべきです。

実際、一般知能は考え始めると際限なく時間がかかってしまうのが通例です。

したがって、本試験でも

  • 先に一般知識を回答して、残りの時間を一般知能の回答にあてる
  • 頭が疲れないうちに一般知能の回答をして、その後で一般知識の回答をする

など、人によってどの順序で問題を解くのが効率的か、異なりますので、模擬試験などで検証することをお勧めします。

勉強の開始時期と順番は?

公務員試験対策を難しいと感じさせる要因は、何と言ってもセンター試験の比ではないほどの科目数の多さです。

特に、教養試験だけでなく、専門試験もある職種を受ける場合、負担は倍増します。

一般に、教養試験と専門試験の勉強時間の割合は、個人差や受験先による違いもありますが1:2と考えるべきです。

更に、多くの科目対策をする場合の鉄則は、数科目を並行して勉強することです。

例えば、10科目を1科目ずつ仕上げていったのでは、10科目が終わった時点で1科目の内容をほとんど忘れてしまうからです。

とはいえ、10科目全部を毎日並行して勉強するわけにはいかないので、効率的な勉強順序を吟味する必要があります。

教養科目全体の勉強順序としては、以下の順序がオススメです。

(一般知識に該当するのは、③〜⑥です)

①数的処理
②文章理解(現代文 英文)
③時事
④人文科学(日本史・世界史・地理・思想・文芸)
⑤社会科学(法律・政治・経済・社会)
⑥自然科学(生物・地学・数学・物理・化学)

①数的処理と②文書理解は、出題数が多く、マスターするのに時間がかかる科目なので、いち早く着手すべきです。

ある程度勉強が進めば、数的処理や文章理解でどのくらい得点できそうかが、わかってきます。

すると、一般知識でもぎ取るべき点数を考え、勉強すべき科目・分野を選ぶことができます。

なので、まず数的処理と文章理解の勉強を始めるべきなのです。

時事は、一般知識の中で比較的出題数が多く、教養記述や面接対策にもつながります。

また、日頃からニュースなどを意識的に聞くことでストックする必要があります。

④人文科学は、範囲も広く暗記量も膨大な割に、出題数が非常に少ない分野です。

したがって、一般知能で得点が見込めるかどうか判断した上で、「捨て科目」を作るかどうか決めるべきです。

⑤社会科学は、専門試験の対策をする方であれば、ほとんど勉強時間を割く必要がありません。

ご自身が勉強する専門科目と重ならない科目だけ、勉強時間を割けばいいでしょう。

⑥自然科学は、東京特別区のように出題数が多ければ格別、①〜⑤の対策で合格点に達することができそうか否かで、勉強するかどうか決めるべきでしょう。

勉強するにあたって大切なこと

取捨選択は科目でなく分野で考える

公務員試験では、出題される全てを勉強する必要がないのは、繰り返し申し上げていることです。

ただ、取捨選択の仕方は、科目ごとに考えるのは非効率的です。
たとえば、物理は苦手とする方が多い科目ですが、力学は数的処理の速さの応用で解ける場合もありますし、世界史や日本史よりも少ない暗記で対応できる頻出分野もあります。

このように、科目でなく、分野で取捨選択をするのが、効率のいい一般知識対策といえます。

過去問は重要な情報源

具体的に一般知識の勉強をする際に、いちばん最初にすべきは、過去問を「解く」のではなく「読む」ことです。

どの科目も、出題数が少ないのですから、過去問の量は多くありません。

また、出題数が少ないからこそ、出題者が主題したい分野は限られ、頻出分野は決まってきます。

なので、頻出分野を知るためにも、講義を受けたり、テキストを読む前に一気に過去問を「読む」べきです。

過去問の量が少ないので、目を通すのも数時間ですみます。

その上で、テキストの該当箇所に、過去問の問題番号をメモしておけば自ずと、勉強すべき箇所がわかってきます。

過去問は、情報源として活用するのが筆記試験対策の鉄則です。

※関連コラム:【公務員試験】教養科目の勉強法!~択一と記述(作文・論文)対策~

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みなさんがこれまで経験したことのないほど多くの科目をこなさなければならないのが、公務員試験です。

情報を得て、戦略をねることが何よりも合否を左右します。
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この記事の著者

小林 美也子講師 (講師紹介はこちら


大手資格予備校・地方自治体・企業・教育機関等様々な場所で,長年にわたり公務員試験,宅建試験の受験指導,職員研修を行う。

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