経済系の科目は、科目は勉強量も多く、計算を要する問題もあり苦手意識を持つものの、出題数も多く、捨て科目にするのは……

と悩んではいませんか。

ですが、「最初は苦手だったけど最終的には得点源になった」ほとんどの合格者がこのように語るのも経済系科目の特徴です。

本稿では、経済系科目の専門科目全体における優先順位、効率的勉強方法について解説します。

ぜひ参考にして、経済系科目の特徴をとらえ、苦手意識を克服してください。

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出題される経済系科目

大卒程度の公務員試験で専門科目が出題される場合、必ず経済系科目が含まれます。

専門科目だけでなく、教養科目の政治・経済でも出題されます。

経済とは生産と消費を中心とした社会のシステムを指しますが、公務員の職務には経済学的な視点が要求されるからです。

職種によって異なりますが、出題される経済系科目には、ミクロ経済学、マクロ経済学、財政学、経営学、会計学などが含まれます。

※ミクロ経済学・マクロ経済学をまとめて「経済学」「経済理論」「経済言論」などの名称を使用する職種もあります。

公務員試験経済系科目のほかに、法律系科目行政系科目があります。

経済系科目の内容

【ミクロ経済】

ミクロ経済学は、消費者や生産者といった個々の経済主体の行動に焦点を当て、市場でどのように価格が決定されるか、資源がどのように企業や家計に配分されていくかなどを考える経済学の領域です。

狭い視点(ミクロ的な視点)で社会の動きを見るので、ミクロ経済学と呼ばれます。

【マクロ経済】

マクロ経済学は、政国や政府のレベルで物価や消費、金融などの動きを国全体から考える経済学の領域です。

広い視点(マクロ的な視点)で社会の動きを見るので、マクロ経済学と呼ばれます。

景気の好・不況、円高・ドル安、有効求人倍率の上昇・下降などニュースで目にするのが、マクロ経済で取り上げられる内容です。

【財政学】

財政学は、政府の経済活動を歴史、制度、理論の側面から分析する経済学の領域です。

【経営学】

経済学は、組織(企業)を運営するために必要な経営資源を、いかに有効活用して組織(企業)を運営・発展させるかを研究する学問です。

【会計学】

会計学は、企業の決算書である損益計算書や貸借対照表など、企業の最も適正な利益の計算方法・表示について考える学問です。

経済系科目を数字で確認しよう!

経済系科目の出題数

  択一式 記述式
国家一般職 ◼️16科目(各5問)から8科目(40問)選択
憲法、民法(総則・物権)、民法(債権・親相)、行政法、ミクロ経済、マクロ経済、財政学・経済事情、経営学、政治学、行政学、国際関係、社会学、心理学、教育学、英語(基礎)、英語(一般)
なし
国税専門官 ■必須2科目16問(民法・商法、会計学(簿記含む)
■選択9科目(各6問)から4科目(24問)選択 (憲法・行政法、経済学、財政学、経営学、政治学・社会学・社会事情、英語、商業英語、情報数学、情報工学)
◼️5科目のうち1科目選択
憲法、民法、経済学、会計学、社会学
裁判所事務官一般職 ■必須2科目20問(憲法⑦、民法⑬)
■選択2科目(各10問)から1科目選択(刑法、経済理論
憲法1問
地方上級・
全国型
◼️40題全問必須憲法④、民法④、行政法⑤、刑法②、労働法②、ミクロ経済・マクロ経済学⑨、財政学 ③、経営学②、政治学 ②、行政学②、社会政策 ③、国際関係② なし
地方上級・
関東型題
◼️50題から40題選択
憲法④、民法⑥、行政法⑤、刑法②、労働法②、ミクロ経済・マクロ経済学⑫、財政学 ④、経済史①、経済政策②、経営学②、政治学②、行政学②、社会政策 ③、国際関係③
なし
地方上級・
中部・北陸型
◼️50題から40題選択
憲法⑤、民法⑦、行政法⑧、刑法②、 労働法②、ミクロ経済・マクロ経済学⑧、財政学 ③、経済政策②、経済事情③、政治学②、行政学②、社会政策 ②、社会学②、国際関係②
なし
東京都
(一般方式)
なし ◼️10科目から3科目選択
憲法、行政法 、民法、経済学、財政学、政治学、行政学、社会学、会計学、経営学
東京特別区 ◼️55問(11科目各5問)から40問選択
憲法、民法(総則・物権)、民法(債権・親相)、行政法、ミクロ経済、マクロ経済、財政学、経営学、政治学、行政学、社会学
なし

ほとんどの職種で、ミクロ経済、マクロ経済、財政学、経営学が出題されています。

地方上級・関東型は経済学の出題数が群を抜いて多いですが、選択解答です。

裁判所事務官は刑法か経済かの2択です。

会計学が出題されるのは少数派で、国税専門官は択一式では必須解答、記述式では選択解答です。

東京都は選択解答です。

→地方上級の型と希望の自治体がどの型に属するかについては、【公務員試験】地方上級の試験科目や難易度・対策法を型ごとに解説をご参照ください。

経済系科目の難易度

全般的に難易度はやや高めです。

もっとも、経済系科目を難しく感じさせるのは、用語と計算になじみにくいからです。

用語は外国語を勉強するときのように暗記、計算も基本の計算パターンの暗記で対応できます。

とはいえ、法律系・行政系に比べて暗記することは少なく、一旦頭に入ってしまえば、得点源になります。

裁判所事務官を受験される方は、併願を考えるならば経済理論の選択といきたいところです。

ですが、裁判所事務官の経済理論は例年難易度が高いので、裁判所事務官が第一志望の方は、刑法選択を考えてみるといいかもしれません。

経済系科目を勉強法を確認しよう

専門科目全体での優先順位

ほかのコラムでも繰り返しお伝えしていますが、科目選びのポイントは、

  1. 第一志望を中心に科目を選ぶ
  2. 併願先と重なる科目を選ぶ
  3. コスパの良い(出題数が多い)科目を選ぶ

の3点です。

すると、

  • 法律系科目:憲法、民法、行政法
  • 経済系科目:マクロ経済、ミクロ経済

これらの科目を優先的に勉強すべきことになります。

ほとんどの職種で主題される科目であることと、出題数が多い科目だからです。

順序としては、経済系→法律系がオススメです。

法律系の方が圧倒的に暗記することが多く、勉強から本試験までの期間を、できるだけ短くしたいからです。

経済系科目の勉強開始時期と優先順位

マクロ経済→ミクロ経済→財政学→経営学

ミクロとマクロ、どちらを先に勉強すべきか諸説ありますが、筆者はマクロ経済からがいいと思います。

計算や理論暗記がバランスよく、ミクロよりはとっつきがいいからです。

ミクロ経済は計算メインですが、必要とされる数学の知識は限られています。

財政学は経済学の知識を前提としている分野が多く、内容も重なるところがあるので、経済学をマスターしてから勉強すべきです。

財政学、経営学は年末以降になります

特に、経営学は短期集中と心がけ、1〜2週間で仕上げるようにスケジュールを立てておくといいでしょう。

経済系科目全体の勉強方法

経済系科目を難しく感じる要因は、言葉と計算の壁です。

言葉と計算の壁を乗り越えさえすれば、他学部出身者でも得点源にすることが可能なことを忘れないようにしてください。

「最初は無愛想だけど、最後には一番仲良くなれる」

これが経済系科目の性格です。

また、時事的な問題も多々出題されるので、時事対策が非常に重要です。

これは、教養科目対策にも兼ねることになります。

ミクロ経済・マクロ経済の勉強のコツ

まず、頻出分野からこなすことです。

マクロ経済:国民所得の決定、乗数理論
ミクロ経済:消費者理論と生産者理論

あたりが頻出分野です。

次に、用語に関しては、日本語と思わず外国語だと思って一つ一つ覚えていきましょう。

つまり、日本語のはずなのに言葉の意味がわからない!と落ち込む必要はありません。

最初に経済用語の日本語訳を考えた人に、日本語のセンスがなかっただけと達観しましょう。

この点は、法律系科目にも同じことが言えます。

さらに、経済学に必要なのは「数学」ではありません。

「経済学で使う簡単な計算ルール」さえ暗記すれば対応できます。

とにかく「わりきり」と「暗記」です。

ミクロ経済では、計算問題以外にもグラフ解読問題が出題されます。

グラフのパターンの暗記自分で実際にグラフを描く作業の2点が攻略ポイントです。

財政学

財政学は、暗記科目です。

経済学と出題内容がかぶる箇所が非常に多いので、経済学の後に勉強すべきです。

また、一般会計予算については、時事問題として教養試験でも出題されます。

その年の一般会計予算の規模の具体的な数字(額)などは、覚えておきましょう。

会計学

国税専門官では8問必須解答、財務専門官では6問選択解答の科目です。

会計学は範囲が広くつかみどころのない科目なので、やりだすと切りがありません。

また、科目ごとの足切りラインが無いので会計学以外の科目で得点を取れれば、合格点ラインをクリアできます。

したがって、仮に国税専門官が第一志望だとしても、満点を狙うべきではありません。

4〜5割をとれれば十分と割り切って、過去問を解いて、基本的で難易度の低い箇所だけを繰り替えすようにしましょう。

国税専門官が第一志望でないのであれば、捨て科目として他の科目で得点することを狙う作戦もありです。

経営学

短期集中で仕上げることのできる暗記科目です。

本試験間近に1〜2週間、経営学を勉強するスケジュールをたてておくことです。

【動画解説】経済科目の効率的な勉強法とは?コツや対策を徹底解説!

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この記事の著者

小林 美也子講師 (講師紹介はこちら


大手資格予備校・地方自治体・企業・教育機関等様々な場所で,長年にわたり公務員試験,宅建試験の受験指導,職員研修を行う。

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