競売不動産取扱主任者とはどのような資格で、どのような仕事と結びつき、また、資格を取得するメリットや国家資格化する可能性があるのかについて解説します。

さらには、なぜ合格後登録するために宅地建物取引士試験の合格が要件とされているのかなどについて、格安で不動産を手に入れるチャンスがある競売不動産に興味を持った方に読んでいただければ幸いです。

競売不動産取扱主任者とは

競売不動産取扱主任者とは、不動産競売の専門家として、一般消費者に対しアドバイスとサポートができる一定の知識・能力を持つことを証明する資格です。

競売不動産って聞いたことがありますか？

競売不動産とは、裁判所が行う競売手続きによってお金に換えられることになった不動産（土地、建物）のことです。

この競売不動産（土地、建物）の

• 入札（札を入れる）
• 落札（落とす）
• 明渡（出てってもらう）

に至る、競売不動産の取扱いに関する一定レベルの知識、能力を証明する資格が、競売不動産取扱主任者です。

今後、インターネットを媒介として一般消費者の参入がさらに進むことが予測されるされる競売不動産市場において、競売不動産をめぐるトラブルを未然に防ぎ、一般消費者が安心して競売制度を利用するために、競売不動産のアドバイスを的確に行える人材が競売不動産取扱主任者なのです。

競売不動産取扱主任者の仕事

不動産業従事者　仕事での活かし方

不動産物件を売買する宅地建物取引士は不動産のプロですが、競売不動産については知識のない方も多いのが現状です。

競売手続きの知識や民事執行法の知識など競売不動産の知識を習得することによって、不動産業従事者として、不動産に関わるほぼ全ての取引に対応することが可能となります。

金融機関従事者の場合　 仕事での活かし方

平成10年の民事執行法の改正で、競売不動産に抵当権を設定することができるようになっています。

住宅ローンを組んで競売不動産を落札できるのであれば、一般消費者の中でも競売不動産を狙う人が増えるはずです。

競売の正しい知識があれば、金融機関従事者にとって新たなビジネスチャンスが生まれます。

一般投資家 の場合

不動産を小売価格ではなく卸売価格で安く購入するための知識が身に付きます。

競売の落札価額データによると、競売物件は市場価格より15％～30％引き（物件によっては半値以下）で安く購入することが可能です。

一般投資家にとっては、ビジネスチャンスが広がっていると言えます。

競売不動産取扱主任者を取得するメリット

競売不動産取扱主任者を取得するメリットは以下の3つです。

• 仕事の幅が広がる
• 一般消費者から選ばれやすくなる
• ワンランク上の営業マンになる

メリット1　仕事の幅が広がる

不動産業従事者はもちろん、他の業種の方にとっても、不動産競売の知識を身に付けることで、不動産に関する様々な問題に対応することが可能となります。

メリット2　一般消費者から選ばれやすくなる

競売不動産は内覧が実際上難しいなど、一般消費者にとって競売不動産の落札は一定のリスクがあります。

そのようなリスクのある競売不動産を落札したいと考える一般消費者にとって、信頼できる業者を選ぶ際の目安になる資格が、競売不動産取扱主任者資格なのです。

メリット3　ワンランク上の営業マンになる

競売不動産については知識のない宅地建物取引士も多いのが現状なので、営業に際し、宅地建物取引士のワンランク上の存在として認識され、活躍できます。

競売不動産取扱主任者は国家資格になる？

競売不動産取扱主任者は民間資格ですが、2021年に国家資格化された賃貸不動産経営管理士のように国家資格化する可能性があります。

不動産バブルともいえる現在の状況が変化し、競売不動産に対して一般消費者の注目がより高まった時には、競売不動産に関する助言や手続き代行に関する法整備が進み、競売不動産取扱主任者が国家資格化する可能性があります。

また、競売不動産取扱主任者試験の合格後、競売不動産取扱主任者として登録をするには、宅地建物取引士試験に合格していることが必要です。

それは、競売不動産取扱主任者の資格は、不動産に関するより一般的な資格である宅地建物取引士としての知識、能力の上に積み上げられてこそ意味があるからです。

これによって、不動産に関わるほぼ全ての取引に対応することが可能となります。

かつてはダーティーなイメージが強かった競売不動産市場ですが、現在は、民事執行法の改正などにより、競売不動産市場は誰もが参加できる安全な市場になっています。

今後は、法整備がさらに進み、競売不動産取扱主任者の役割の重要性が強く認識される可能性があります。