競売不動産取扱主任者試験の難易度は「やや易しい」!他不動産資格との比較も紹介
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資格の勉強を進めていく上で、挑む試験がどのくらいの難易度なのかは気になるところです。正しい難易度を把握することで、必要な勉強量や試験に対する心持ちを定めることができます。
今回は競売不動産取扱主任者試験の難易度について、宅建やその他不動産資格との比較を交えながら解説していきます。
ぜひ早めに競売不動産取扱主任者試験の実態をつかみ、ご自身のやる気や学習効率のアップに役立ててください。
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目次
競売不動産取扱主任者試験の難易度は「やや易しい」
競売不動産取扱主任者試験の難易度は「やや易しい」に分類されます。
合格率や試験形式、出題範囲からみて、また他資格と比較した中でそれほど難しい試験ではないでしょう。
ただし、それは「簡単に合格できる」ということではありません。
あくまでも、難関国家資格を含む分類の中での話で、試験をあなどっていると不合格になる可能性は十分にあります。
競売不動産取扱主任者は合格率が30%ほどであり、受験資格もなく、出題範囲も限られています。
不動産系資格の代表、宅建試験の難易度が「普通」とされていることもあり、全体でみると「やや易しい」という分類が適切となってくるでしょう。
しかし、宅建試験自体合格率15〜17%。約6人に1人しか合格できない試験です。
標準的な学習時間は300〜400時間で、ある程度真剣に勉強に取り組んだ人でも不合格になってしまいます。
競売不動産取扱主任者試験は、難関の国家試験や宅建等と比較すると確かに易しく、難易度は「やや易しい」に分類されますが、必ず対策が必要な上、しっかりと理解していなければ合格できない内容のある試験だと言えます。
競売不動産取扱主任者が「やや易しい」とされる理由
競売不動産取扱主任者が「やや易しい」とされる理由は以下の6つです。
- 出題範囲は、民事執行法などが中心でそう広くない
- 公式テキストの範囲より出題される
- 四肢択一式のマークシート方式
- 不動産従事者が8割強の試験で、合格率30%はあなどれない
- 法律系資格のベースがない人には抵抗がある
- 過去問の公開がない分、勉強しづらいと感じる人も
試験の概要や、他資格との比較、勉強から競売不動産取扱主任者が「やや易しい」とされる理由をみていきます。
【競売不動産取扱主任者試験の概要】
試験概要 | 項目 |
受験資格 | なし |
試験形式 | ・マークシート方式 ・50問、4肢択一式 |
試験時間 | 2時間 |
合格率 | 30.4%(令和4年度) |
合格基準 | 32点/50点満点(令和4年度) ※合格基準点は試験実施年ごとに異なります(令和3年は非公開) |
出題範囲 | ・不動産競売手続きに関する基礎知識 ・不動産競売の法理論と実務 ・不動産競売を理解する前提となる法律知識 ・競売不動産の移転、取得等に関する税金等 |
競売不動産取扱主任者試験は、受験資格がなく誰でも受験することができます。
合格率は直近では30%〜33%。
合格基準得点は50問中30〜35点と約60%〜70%の正答率で合格できます。
1.出題範囲は、民事執行法などが中心でそう広くない
競売不動産取扱主任者試験の実際の出題範囲、学習のメインとなる部分はそう広くないため、比較的対策が容易で難易度は低めだと言えます。
競売不動産取扱主任者試験に関係する学習範囲は、宅建試験の範囲を含む「競売不動産を扱うために必要な知識」となるためかなり広範囲になります。
しかし、試験で重要視される点は「競売不動産の実務」や「実務に関わる法律等の知識」です。
具体的には民事執行法や抵当権を中心とした担保物権、賃貸借契約等の法律、実務上の流れが中心になります。
合格に必要な学習のメインとなる部分は限られていて、他の法律系資格試験、宅建試験等と比較して出題範囲はそう広くありません。
頻出ポイントを重点的に、効率的な勉強をすることで短期の対策も可能です。
2.公式テキストの範囲より出題される
さらに、出題範囲は公式テキストに掲載されている部分となるため、対策がしやすく試験の難易度をより下げています。
競売不動産取扱主任者には、試験実施団体から出されている「公式テキスト」があります。
競売不動産取扱主任者試験の問題はこの公式テキストの内容をきちんと理解し、知識として定着していれば解答できるものです。
つまりこのテキスト1冊の内容が完璧に頭に入っていれば、必ず合格をすることができます。
テキストの作成者は自らも不動産競売に携わり、試験実施団体の不動産競売流通協会の代表理事を務める青山一広氏。
内容も充実していて、不動産競売における実務の流れや法律解釈が非常にわかりやすくまとめられています。
初心者にとってはもちろん、既に現場で活躍されている実務者の手引き本としても好評です。
試験に向けてしっかりと対策しようという意欲さえあれば、抵抗感なく前向きに勉強を進められ、合格を掴むことができるでしょう。
公式テキストに加えて公式問題集を繰り返し解くことも大切になりますが、基本的にはその2つの教材で対策ができ、また内容自体もわかりやすいという点で、試験への難易度の壁は低くなっていると言えます。
関連コラム:【競売不動産取扱主任者試験】テキスト・問題集の効率的な使い方とおすすめ本紹介
3.四肢択一式のマークシート方式
試験形式も難易度にかかわってきます。
競売不動産取扱主任者試験は、宅建などと同様の四肢択一のマークシート方式。
論述などの問題がないので、正答できるかどうかは別として、うろ覚えでも解答することができます。
出題の傾向もいじわるなひっかけ問題が多いというわけでもなく、正しい知識を身に付けているか、公式テキストの内容をまんべんなく問う問題となっています。
資格試験対策として特殊なことはなく、一般的な資格試験と同様に、演習問題を繰り返しながらテキストを復習することで解答力を身に付けていくことができるため、試験の難易度はそう高くないと言えます。
4.不動産従事者が8割強の試験で、合格率30%はあなどれない
出題範囲が限られていて難易度が低くなっている一方で、競売不動産取扱主任者試験には気を付けなければならない点もあります。
競売不動産取扱主任者試験は、受験者における不動産業従事者が8割強といわれている中で合格率が30%ほどとなっています。
競売不動産取扱主任者試験の合格率は以前は40%でしたが、直近は30%ほどです。
試験に受験資格はありませんが、主任者登録には宅建士の合格が必要であり、またキャリアアップ等の目的で受験をする人が多いため、受験者は不動産従事者が多くを占めます。
一般不動産や競売不動産の取り扱いをしている人を含む合格率が、30%程度というのは少々低めであり、一概に「易しい」試験とは言いきれないでしょう。
5.法律系資格のベースがない人には抵抗がある
競売不動産取扱主任者試験は民事執行法等、不動産競売に関わる法律から多く出題されるため、法律系資格の受験者や合格者等、前提知識や学習ベースがない人にとっては難しく感じる可能性があります。
競売不動産取扱主任者は、前提として宅建試験合格者や受験者、不動産業従事者が受ける試験とされている傾向があります。
そのため、法律系の学習ベースについてはスルーされがちですが、宅建等と同じように初学者は法律的な考え方に抵抗を感じてしまっても無理はありません。
宅建合格者または宅建受験者でない一般の受験者が競売不動産取扱主任者試験を受ける場合には、出題範囲が限られているとはいえ、宅建と同等程度の難易度に感じるかもしれません。
6.過去問の公開がない分、勉強しづらいと感じる人も
競売不動産取扱主任者試験は過去問を公開していないため、過去問を繰り返し解くことによる学習ができません。
そのため、宅建の対策等で過去問を中心に学習を進めてきた人は、難しさを感じる場合もあるでしょう。
競売不動産取扱主任者試験のような暗記系の試験では、過去問を解いたり分析したりする学習が試験対策に非常に有効になります。
試験の傾向を掴み、正答率を上げていくことによって、試験への自信にもつながるでしょう。
競売不動産取扱主任者は公式の演習問題集によって問題演習を行うことができますが、150題に限られているので、過去問の勉強とは少々勝手が異なり、勉強しづらいと感じる人もいます。
競売不動産取扱主任者と宅建の難易度比較
競売不動産取扱主任者資格は、宅建試験と比較されることが多くあります。
宅建と比較すると「やや易しい」試験です。
競売不動産取扱主任者 | 宅地建物取引士 | |
受験資格 | なし | |
試験形式 | マークシート方式四肢択一 | |
問題数 | 50問 | |
試験時間 | 2時間 | |
合格基準点の目安 | 30〜35点 | 35点前後 |
合格率 | 約30% | 約15~17% |
出題範囲 | ・不動産競売手続きの基礎知識 ・法理論と実務 ・民事執行法、民法等・競売不動産の移転、取得等に関する税金等 |
・権利関係(民法) ・宅建業法 ・法律上の制限 ・税、その他 |
標準勉強時間 | 宅建の知識+20~25時間 | 300~400時間 |
競売不動産取扱主任者と宅建は試験形式が同じだが、宅建の方が難しい
競売不動産取扱主任者試験と宅建試験は、試験形式、試験時間、問題数、合格のために必要な正答率等が似ています。
受験資格は共に必要ありませんが、不動産従事者以外も受験することの多い宅建と比べ、競売不動産取扱主任者は既に不動産に従事している人の受験が多い傾向があります。
そのため、合格率だけを見て単純に難易度をはかることはできませんが、10ポイント以上の差は、やはり競売不動産取扱主任者の方が合格しやすいと言えるでしょう。
出題範囲については、宅建の範囲も含まれるため一見競売不動産取扱主任者の方が広範囲に見えますが、メインとなる部分は不動産競売の実務や民事執行法などの関連法律に限られます。
また、公式テキストの範囲にも限定され、頻出の出題部分はさらに狭くなっています。
宅建試験の出題範囲の方が実際には広範囲で、民法などは深い内容に感じられるため、難易度は高いと言えるでしょう。
宅建を持っていると競売不動産取扱主任者試験の難易度が下がる
宅建資格に合格していると、そうでない場合と比較して競売不動産取扱主任者試験の難易度は低くなります。
競売不動産取扱主任者試験のベースになるのは、法律的な考え方と不動産実務に関する流れの部分です。
宅建の基礎知識がある方であれば、宅建業法が適用されない競売不動産の特徴を把握し掴んでいくことで対策は比較的容易になります。
試験実施団体の(一社)不動産競売流通協会の公式サイトでも「宅建学習者であれば20〜25時間程度の勉強で合格できる」と記載されています。
ただし、宅建の合格から数年を経ていたり、忘れている部分が多かったりするとやはりその分アドバンテージは少なくなるでしょう。
また、あくまでもメインは民事執行法など競売不動産に関する知識となるので、宅建の知識のみでは合格することはできません。
宅建を持っていることは確かに有利にはなりますが、競売不動産取扱主任者資格試験対策は必ず必要であり、学習を積み重ねた人のみが合格を掴み取ることができます。
不動産資格の難易度比較
他の不動産関連の資格との関係性、難易度の比較から、競売不動産取扱主任者の難易度をみていきましょう。
営業系 | コンサル系 | 管理・事務系 | 建設・建築系 | |
非常に難しい | ・不動産鑑定士 | |||
難しい | ・土地家屋調査士 | ・1級建築士 | ||
やや難しい | ・マンション管理士 | |||
普通 | ・宅地建物取引士 | ・公認不動産コンサルティングマスター | ・管理業務主任者 ・土地区画整理士 ・建設業経理士 ・建設業経理事務士1級 |
・2級建築士 ・測量士 ・建築施工管理技士1級 |
やや易しい | ・競売不動産取扱主任者 ・宅建マイスター ・不動産仲介士 ・投資不動産取引士 |
・不動産証券化協会認定マスター ・任意売却取扱主任者 |
・賃貸不動産経営管理士 ・公認ホームインスペクター ・マンション維持修繕技術者 ・ビル経営管理士 |
・測量士補 |
易しい | ・敷金診断士 | ・マンション管理員検定 ・不動産知識検定1級 ・不動産実務検定1級 |
不動産に関する仕事は多岐にわたり、また不動産を取り扱うためには豊富な業務知識が必要なため不動産関係の資格は多数あります。
その中でも、宅建やマンション管理士、管理業務主任者という「不動産三大資格」と呼ばれる国家資格は難易度が高めになっています。
不動産に関わる資格の中で、最も難易度が高いのが不動産鑑定士です。
取得までに必要な勉強時間は最低でも2,000時間、期間は約1年〜3年程を要し、司法試験・公認会計士試験と並んで三大国家資格と称されることもあります。
合格率15〜17%の宅建も、国家資格・不動産系の資格の中では「普通」の難易度になります。
その中で、競売不動産取扱主任者は対策期間が比較的短く、受験資格もないことから「やや易しい」という部類に入ります。
同程度の難易度にある賃貸不動産経営管理士は、宅建士とならんで競売不動産取扱主任者と比較されることが多い資格です。
合格率は競売不動産取扱主任者と同じ約30%程度。
2018年度までは合格率50%程度と比較的易しい試験でしたが、2021年の国家資格化にあたり難易度が上昇傾向にあります。
現在では、競売不動産取扱主任者試験より難しいともいわれ、合格に必要な勉強時間は最低でも約100時間ほどです。
その他、競売不動産取扱主任者と同じ「やや易しい」難易度に入る資格・検定は民間資格が多いですが、専門的な知識を証明するものとして評価されるものです。
合格率はおおむね30〜50%台で、試験対策にかかる時間は20〜100時間程度。
受験者は不動産業務に携わっている場合が多く、いずれもある程度の前提知識があることが想定されます。
各試験ともに、知識を持ちながらも受験対策を怠らず、効率の良い学習をしている人が合格しています。
今後、競売不動産取扱動産取扱主任者試験の難易度は変化する?
競売不動産取扱主任者試験の難易度は当面は変わらないと予想されます。
この試験の目的が「競売不動産を正しく消費者へ説明できる」ために必要な知識を有しているかどうかを問うことであり、この試験の対策として、競売不動産の特徴を把握したうえで、競売不動産がどうやって出品され、どのような流れで入札から落札に至り、引渡しが行われるかの手続の流れと裁判所資料(3点セット)の理解がポイントであることに変わりはないからです。
ただ、将来的には、重要な法改正がなされたり、国家試験化に向けて本格的に動き出した場合には、難易度がアップする可能性があります。
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