貸金業務取扱主任者の勉強時間は?独学の場合&勉強方法を解説
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貸金業務取扱主任者資格取得を検討している人は、「どう勉強すれば合格できる?」「いつから勉強を始めればいい?」「目安の時間はどれくらい?」ということに興味があるはずです。また、「独学では無理なのか?ひょっとして一夜漬けでも合格可能?」と思っている人もいるかもしれません。
今回はそうした疑問を解消する、貸金業務取扱主任者試験の合格に必要な勉強時間の目安や過去問の勉強法などについて解説します。
貸金業務取扱主任者試験を受けようか迷っている方、これから貸金業務取扱主任者の勉強を始める方には参考になるはずです。ぜひ読んでみてください。
貸金業務取扱主任者の勉強時間の目安
貸金業務取扱主任者資格試験合格に必要な勉強時間は約180時間と言われています。
約180時間ということは、1日2時間勉強するとして3ヶ月程度になります。
これは、事前の知識がない場合です。
もちろん、このような勉強時間は正確に調べられているわけではありません。
ただ、試験問題の構成が似ている宅建士の試験では、合格率は過去10年で約15~18%、勉強時間は約300時間と言われています。
関連コラム:宅建に独学で合格するのに必要な勉強時間は?時期に応じた時間配分も解説
この点と比較すると、貸金業務取扱主任者試験の合格率では30%前後であり、宅建士の2倍程度ですから、勉強時間がその半分の約180時間という推計は合理性があると言えるかもしれません。
知識が少しでもある場合の勉強時間
試験内容について、また法律や実務の知識がある受験生の場合、必要な勉強時間はもっと短くなります。
貸金業務取扱主任者試験は以下の4分野で構成されています。
(a)法及び関係法令に関すること:これは貸金業法、出資法及び利息制限法等です(以下では単に貸金業法等といいます)
(b)貸付け・貸付けに付随する取引に関する法令・実務に関すること:これは民事法(民法・商法等)、民事手続法(民事訴訟法・民事執行法・民事保全法が中心)、倒産法(破産法・民事再生法が中心)等です(以下では単に民法等といいます)
(c)資金需要者等の保護に関すること:これは個人情報保護法、消費者契約法、不当景品類及び不当表示防止法等です。
(d)財務及び会計に関すること:これは財務会計等です。
出典:日本貸金業協会HP
貸金業務取扱主任者試験では、上の(a)〜(d)のうち、貸金業法等と民法等の出題が圧倒的に多いことが特徴です。
直近の試験では、全50問中、貸金業法が27問(54%)、民法が15問(30%)を占めました。
毎年同じ割合ではありませんが、過去10年だと
貸金業法等が25±3問
民法等が16±2問
の範囲です。
したがって、簡単にいえば、貸金業法等の知識があれば、180時間の半分程度、つまり、90時間程度までは短縮できます。
民法等も同様です。大学の法学部で学んだ方や、行政書士や司法書士、宅建士試験の勉強をしたという人であれば、180時間の4分の1〜3分の1程度、つまり、45〜60時間は短縮できます。
ただし、民法のような重要な法律は改正されるとかえって出題の可能性が増えるので、改正についてはしっかり押さえる必要があります。
財務会計は最大でも5問程度ですが、経理等の経験があったり、会計の知識があれば、財務会計部分は過去問をざっと見る程度で試験に臨むことも可能です。
貸金業務取扱主任者の試験に一夜漬けで臨むのは無謀?
実務の経験と法律は同一ではないものの、実際に貸金業務に携わっていれば、ある程度は勉強時間を短縮できます。
また、上記のとおり、貸金業法等や民法等の知識があれば、最大で90+60時間=150時間の短縮ができます。つまり、必要な勉強時間は30時間程度になります。
そもそも、30問半ばまで正解できれば貸金業務取扱主任者試験に合格可能なので、貸金業法等や民法等を熟知していれば、この場合、一夜漬けでも合格できる可能性があります。
ただ、一夜漬けで合格できる人がいたとしても、それはごくわずかです。
民法等の知識はあっても、1ヶ月程度はきちんと勉強することをおすすめします。
貸金業務取扱主任者試験の試験科目と難易度
貸金業務取扱主任者資格の勉強をするにあたり、試験の試験科目や出題範囲、難易度など基本情報を確認しておきましょう。
試験科目及び出題範囲
繰り返しになりますが、試験科目・出題範囲は下記の通りです。
1.法及び関係法令に関すること
貸金業を営む上での基本となる法律の知識を問う問題です。
貸金業法および同施行令、施行規則がメインですが、利息制限法などの関連法令からの出題もなされています。
2.貸付け及び貸付けに付随する取引に関する法令及び実務に関すること
民事法、民事手続法、倒産法、刑事法の4分野から関連する法令の知識を問う問題が出題されます。大学では法学部に通っていたなど、法律の素養があればこの分野の勉強がしやすいかもしれません。
3.資金需要者等の保護に関すること
個人情報保護法、消費者保護法など「貸金業を利用する人=資金需要者等を保護するための法律や制度」について出題されます。
4.財務及び会計に関すること
家計収支の考え方をはじめとする家計診断と、企業会計原則や財務諸表に関する知識を問う財務会計の2分野から出題されます。FP技能士や簿記検定などの学習経験があれば、この分野の勉強がしやすいかもしれません。
貸金業務取扱主任者試験の難易度は高くない
次に、貸金業務取扱主任者試験の難易度についても知っておきましょう。
貸金業務取扱主任者資格の取得難易度は決して高くありません。
令和4年度の貸金業務取扱主任者試験の合格率は26.6%でした。
以下のグラフは、過去5回分の試験の合格率をグラフにしたものです。
合格率は例年、だいたい3割前後で推移しています。10人受験したら3人は合格する計算です。
試験問題は試験科目および出題範囲に基づき、基本的な知識が身についているかを問う問題になっています。
まったく勉強せずに受かる試験ではないものの、3カ月程度集中して勉強すれば十分合格する可能性は出てきます。
関連コラム:貸金業務取扱主任者資格の難易度・合格率について解説!他の資格と比べると?
貸金業務取扱主任者の勉強方法
さきほど、勉強時間の合計が約180時間、期間にすると約3ヵ月とご説明しました。
勉強は下記の手順で進めるとよいでしょう。
- 「テキストを読む→問題を解く」を繰り返す
- 間違えた問題を復習する
- 過去問を解き、弱点を把握する
- 弱点を集中的に復習する(できれば模擬試験を受ける)
- 本番に備えて細かな復習をする
上記を試験までの3ヵ月の勉強スケジュールを大まかにまとめると、以下のようになります。
①1カ月目
「テキストを読む→問題を解く」を繰り返し、すべての単元を1回転させる。同時並行で間違えた問題のリストを作る。
②2カ月目前半
間違えた問題のリストを見直し、自分の習熟度が低い単元から優先して復習をする。
③2カ月目後半
過去問を解き始め、これについても間違えた問題のリストを作る。
④3カ月目
1カ月目、2カ月目で見えてきた自分の弱点となっている単元を集中的に復習する。できれば資格試験予備校に行き模擬試験を受験する。
⑤本試験直前
テキストや問題集に出てきた細かい数字の部分を復習する。
なお、本試験では法律上の規定のうち、一部の数字を改変して作った誤った選択肢が入っている問題が出題されるのは珍しくありません。「2週間」「50名あたり1名以上」など、数字がからむ規定は本試験前にあらためて復習しましょう。
貸金業務取扱主任者の勉強のコツ
貸金業務取扱主任者資格を取得するためには、以下のコツを心得て進めましょう。
- 満点を狙わない
- 過去問を活用する
- 勉強の優先順位をつける
- 通信講座を活用する
以降において、詳しく解説します。
満点を狙わない
満点を狙って勉強するのはやめましょう。貸金業務取扱主任者試験は相対評価のため、合格点は毎年変わりますが、それでも、だいたい7割(35点)を取れば合格できます。合格するのが大切なのであって、満点を取るのはそれほど重要ではありません。
過去問を活用する
過去問は必ず解きましょう。
まったく同じ問題が出題されるわけではありませんが、頻繁に出てくる論点はあります。頻繁に出てくる論点は、今後も出てくる可能性が高いと考えましょう。
貸金業務取扱主任者試験を主催する 日本貸金業協会HP には過去問が掲載されており、科目別設問形式別出題数も掲載されているので、論点の整理に役立てましょう。
勉強の優先順位をつける
貸金業務取扱主任者試験の出題範囲に含まれる論点でも、重要性はそれぞれ異なります。
頻繁に出題される論点を取りこぼさないよう、優先順位をつけて勉強しましょう。
通信講座を活用する
時間をかけず効率的に勉強したいなら、通信講座を活用しましょう。通信講座であれば、講師が優先順位をつけた上で講義を進めてくれるので、勉強がしやすくなります。
貸金業務取扱主任者の試験は独学でも合格できる?
貸金業務取扱主任者試験は50問中75%(35問)解答できれば合格の可能性が高いといえます。独学でも合格可能でしょう。
ちなみに、最近の過去問と解答は、日本貸金業協会HPから無料で閲覧・ダウンロードできます。
もちろん、勉強は効果的に進めましょう。非効率的にやっていると、次第に学習意欲を失ってしまいます。
小さな目標(マイルストーン)を定め、着実に目標を達成していく。これがベストな勉強法です。
通信講座などは、過去のデータを基にして、受験生が陥りやすい問題箇所が詳しく解説されていて、勉強のペースメーカーになってくれます。
また、このような試験の勉強をするのがはじめてな人は、最初、自力で問題を解くのはなかなか労力がかかります。過去問解説講座も利用すると、講師が講義内で一緒に問題を解いてくれるの勉強効率が上がります。
▼過去問解説講座つきのアガルートの合格カリキュラムはこちら
このため、180時間近い勉強時間の内容でも飽きずに進められる仕組みになっています。
ただ常々、人と違う勉強のやり方をしていたり、既にある程度の知識があったりすると、通信講座は「かったるい」と感じやすいです。
反対に、他人に引っ張ってもらいたい人や、細かいことをきちんとこなすのが好きな人、予備知識がほとんどない人には通信講座は適しています。
こうした通信講座のメリット・デメリットを考慮して自分の学習スタイルをつくると、楽しく貸金業務取扱主任者試験の勉強ができます。
貸金業務取扱主任者のおすすめ独学勉強法
民法等の知識がある人であっても、出題数が最も多い貸金業法については初めて学ぶのであれば、勉強期間は1ヶ月ほどは確保したいところです。
隙間時間の活用もおすすめです。
例えば通勤時間などで用語集や条文を暗記し、家やカフェなどでは貸金業法などの勉強をするなど。知識を得て過去問演習というパターンです。
独学の際の注意点を挙げていきます。
ノーマルな勉強法
ノーマルな勉強法とは、体系的に知識をインプットし、それに対する問題演習をしていく方法です。
例えば、中学・高校での日本地理の勉強をするとき、いきなり、「北海道でホタテの養殖で有名な湖は?」という問題をやりましたか?(ちなみに答えはサロマ湖)
普通、九州地方→中国地方→四国地方→・・・というように地方ごとに勉強をして、その都度、問題をやって、少しずつ知識を確かなものにして行ったはずです。
ところが、貸金業務取扱主任者試験等の資格試験の勉強では、とにかく過去問に飛びついてしまう人がいます。
何のインプットもなしに問題をやってランダムに知識を得ようとするのです。
これはゲーム的・クイズ的な感覚なので、ある意味やりやすいのは確かです。しかし、勉強としては非効率です。
また、民法等の法律の場合、原則と例外があります。「原則は○○、しかし、△△の場合は□□になる」というパターンです。
過去問をゲーム的にやっていくと、たまたま見た過去問で例外的なケースが正解になっていることがあります。この場合、例外が強く頭に入ってしまい、後々、原則が正解になっている問題に当たると、正解できない恐れもあります。
体系的に勉強すれば「原則は○○、しかし、△△の場合は□□という例外もある」という覚え方なので無理なく効率的に知識を覚えられます。
体系的な勉強は面倒だという人でも、少しずつ体系的に知識をインプットして行きましょう。
法律は当てはめ
例えば、過去問の中に次のような選択肢があります。
無効な行為は、当事者がその行為の無効であることを知って追認をしたときは、その行為をした時に遡って有効であるものとみなされる
(令和 3 年度 貸金業務取扱主任者資格試験問29肢1)
これは誤っているでしょうか、正しいでしょうか?
その鍵は、民法における「無効な行為」や「追認」という概念を正しく理解しているかにあります。民法第119条は以下の規定です。
第119条【無効な行為の追認】 無効な行為は、追認によっても、その効力を生じない。ただし、当事者がその行為の無効であることを知って追認をしたときは、新たな行為をしたものとみなす。
出典:e-Govポータル
この条文を読めば、上に示した選択肢が誤りであることがわかります。つまり、民法第119条を問題文に当てはめれば、その追認は「新たな行為をしたものとみなされる」からです。
このように、貸金業務取扱主任者試験に登場する選択肢では、民法等の条文の当てはめで答えが出てきます。
ただし、貸金業務取扱主任者試験中に条文は参照できません。しかも、「無効な行為」に似た「取り消しできる行為」も民法には登場します。この辺りの区別をきちんと覚えることが重要です。
タシタシ勉強法
貸金業務取扱主任者試験は多肢選択試験です。5択から正解を選ぶことになります。
選択肢は「正しいもの」の場合もあれば「誤ったもの」の場合もあります。
しかし、焦っていると、「誤ったもの」を選ぶ問題なのに、解いているうちにどちらを答えるのか分からなくなり、つい「正しいもの」を選んでしまうことがあります。
そこで、普段から、問題に誤答を足して問題難易度を上げる独自の問題集をつくることをお勧めします。
「正しいもの」を選ぶ問題であれば「誤ったもの」を付け足します。「誤ったもの」を選ぶ問題であれば「正しいもの」を付け足すのです。
過去問と解答は公開されているので、こうした独自の過去問題集をつくるのは容易です。
常に「誤ったもの」か「正しいもの」かを意識することになるので、本番の試験でも勘違いをしにくくなります。
まとめ
以上、貸金業務取扱主任者試験の勉強時間や勉強方法について解説してきました。
貸金業務取扱主任者試験の勉強時間は最大でも180時間程度。決して働きながらでも取得が無理な試験ではありません。
勉強をしていくうちに、自分の得意な部分と苦手な部分が見えてくるでしょう。得意な部分については、自分なりに理解した上で覚えられているものと考えて構いません。
一方、苦手な部分に関しては「理解が追い付いていない」など何らかの原因が考えられます。本試験までにその苦手部分をつぶす=理解をし、自分のものにする事を心がけましょう。
アガルートの通信講座を利用すれば、苦手分野についても何度でも無料で質問できます。
毎日忙しく生活する中で、自力でテキストを読み、理解し、問題を解くことを続けるのはなかなか難しいです。通信講座では、講師がテキストを説明してくれて、視覚でも聴覚でも学習を進めることができます。
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この記事の監修者 相賀 真理子 講師
家業の不動産業にも深く関わり、現在、不動産専門行政書士としても活動中。