貸金業務取扱主任者資格の難易度・合格率について解説!他の資格と比べると?
本ページにはプロモーションが
含まれていることがあります
貸金業務取扱主任者試験に興味はあるけれど、「難しいのかな?」と尻込みする人は少なくありません。しかし、実際は勉強をすれば十分合格する見込みのある試験です。
このコラムでは、貸金業務取扱主任者試験の難易度について、合格率や他資格との比較を紹介しながら解説していきます。合格するためのコツも解説しますので、参考にしてみてください。
目次
貸金業務取扱主任者試験の合格率
貸金業務取扱主任者試験の合格率は例年20%台後半~30%台前半ほどであり、「難関試験ではないものの、それなりに勉強して臨まないと合格は難しい」レベルの難易度だといえるでしょう。
令和5年度(2023年度)年度の貸金業務取扱主任者試験の合格率は31%でした。
貸金業務取扱主任者試験の合格率推移
貸金業務取扱主任者資格試験の過去17回の合格率推移です。
実施回 | 合格率 |
令和5年度(第18回)試験日:令和5年11月19日 | 31.0% |
令和4年度(第17回)試験日:令和4年11月20日 | 26.6% |
令和3年度(第16回)試験日:令和3年11月21日 | 32.2% |
令和2年度(第15回)試験日:令和2年11月15日 | 33.9% |
令和元年度(第14回)試験日:令和元年11月17日 | 30.0% |
平成30年度(第13回)試験日:平成30年11月18日 | 31.5% |
平成29年度(第12回)試験日:平成29年11月19日 | 32.5% |
平成28年度(第11回)試験日:平成28年11月20日 | 30.5% |
平成27年度(第10回)試験日:平成27年11月15日 | 31.2% |
平成26年度(第9回)試験日:平成26年11月16日 | 24.5% |
平成25年度(第8回)試験日:平成25年11月17日 | 28.1% |
平成24年度(第7回)試験日:平成24年11月18日 | 25.8% |
平成23年度(第6回)試験日:平成23年11月20日 | 21.8% |
平成22年度(第5回)試験日:平成22年11月21日 | 32.9% |
平成21年度(第4回)試験日:平成22年2月28日 | 61.7% |
平成21年度(第3回)試験日:平成21年12月20日 | 65.4% |
平成21年度(第2回)試験日:平成21年11月22日 | 65.2% |
平成21年度(第1回)試験日:平成21年8月30日 | 70.1% |
出典:【貸金業務取扱主任者】試験の結果について | 日本貸金業協会
貸金業務取扱主任者資格は当初、民間資格として運営されていましたが、平成22(2010)年から国家試験になりました。
第1回~第4回までの試験では合格率が60%以上と高くなっていますが、国家資格化された第5回(平成22年11月実施回)からは30%前後に下がっています。
貸金業法では、貸金業者の営業所には一定数の貸金業務取扱主任者を設置する必要があるとと貸金業法で定められており、制度が始まった当初は、合格率が極端に低いと貸金業務取扱主任者を設置できない営業所が急増する恐れがあったため、まずは必要な数を確保できるよう、合格率が緩めに設定されていたという背景もあります。
年齢別の合格率
年齢別・男女別の合格率についてもみてみましょう。
令和5(2023)年に行われた第18回試験の場合、合格者の平均年齢は38.9歳でした。
20代から40代の合格者が多いですが、50代以上も全体の2割弱となっており、幅広い年齢層が合格していることがわかります。
年齢別の合格率は下記の通りです。
年代 | 20歳代以下 | 30歳代 | 40歳代 | 50歳代 | 60歳代以上 |
構成比 | 30.1% | 28.6% | 21.3% | 17.3% | 2.6% |
合格率 | 35.0% | 32.6% | 27.6% | 26.8% | 38.5% |
出典:【貸金業務取扱主任者】令和5年度(第18回)試験の結果・試験問題の正答 | 日本貸金業協会
貸金業務取扱主任者試験とは?基本をおさらい
ここで貸金業務取扱主任者試験について、基本的な部分をおさらいしましょう。
貸金業務取扱主任者とはどんな資格?
貸金業務取扱主任者とは、貸金業の従事者に対して、貸金業に関する法令の規定を順守し、貸金業の業務を適正に実施するために必要な助言・指導を行うための国家資格です。
クレジットカード会社や消費者金融などの貸金業者の営業所では、従業員の50名に1人の割合で、貸金業務取扱主任者を設置することが義務付けられています。つまり、貸金業には貸金業取扱主任者が不可欠です。
貸金業を営む会社では、貸金業務取扱主任者資格の取得が昇進要件だったり、資格手当の給付対象だったりするのも珍しくありません。
貸金業務取扱主任者資格試験とは?
貸金業務取扱主任者になるためには、試験に合格し、登録する必要があります。
試験の概要をまとめました。
受験資格 | 誰でも受験可能 ※ただし、不正行為を働いたり、関与が疑われたりした場合は一定期間受験が禁止される。 |
試験日 | 例年11月第3週(2024年は11月17日(日)) |
合格基準・合格点 | 例年異なる(30点台前半のケースが多い) |
試験科目・配点 | 1.法及び関係法令に関すること(22~28問) 2.貸付け及び貸付けに付随する取引に関する法令及び実務に関すること(14~18問) 3.資金需要者等の保護に関すること (4~6問) 4.財務及び会計に関すること(2~4問) |
貸金業務取扱主任者の難易度は?他資格と比較
ご紹介した通り、貸金業務取扱主任者試験の合格率はだいたい30%前後です。難関試験ではありませんが、それなりに勉強して臨まないと突破は難しいでしょう。
また、合格するために必要な勉強時間は約180時間といわれています。1日2時間勉強できるとしたら90日かかる、といったペースです。
関連コラム:貸金業務取扱主任者の勉強時間は?独学の場合&勉強方法を解説
イメージしやすいように、他の資格と比較してみます。
宅建(宅地建物取引士資格試験)と比較
合格率 | 15~17% |
勉強時間 | 300時間~400時間程度 |
宅地建物取引士とは、不動産会社が公正な取引を行えるよう、宅地建物取引業法により設置を義務付けられている国家資格です。略称の「宅建士」「宅建」も広く用いられています。
マイホームを購入したり、アパートを借りたりするときには重要事項説明を受けますが、これは宅建士にしかできません。不動産会社にとってはなくてはならない資格であるため、昇進・昇給の要件になっているケースが非常に多いです。
宅建の合格率は例年15~17%です。
合格率が貸金業務取扱主任者と比べると半分位少なくなるので、宅建はその分難易度も上がります。
勉強時間も倍近く必要になるので、貸金業務取扱主任者の方が合格を目指しやすいと言えるでしょう。
宅建をすでに持っている方にも貸金業務取扱主任者資格の取得はおすすめです。
日商簿記試験2級と比較
合格率 | 8~30%前後 |
勉強時間 | 150時間~200時間程度 |
日本商工会議所では簿記検定試験を古くから実施しています。2022年現在、1級~3級、初級の4段階で実施されていますが、上から2番目のランクにあたるのが日商簿記検定2級です。
日本商工会議所のWebサイトによれば、日商簿記2級のレベルは以下のように位置づけられています。
高度な商業簿記・工業簿記(原価計算を含む)を修得し、財務諸表の数字から経営内容を把握できるなど、企業活動や会計実務を踏まえ適切な処理や分析を行うために求められるレベル。
簿記 2級 | 商工会議所の検定試験
簡単に言うと、企業で経理の実務を行うために十分な知識が身についているかが問われる試験といったところでしょう。一般企業の経理や会計事務所などに転職する場合、日商簿記2級をもっていれば未経験でも応募できるケースもあります。貸金業務取扱主任者試験に比べて汎用性の高い試験であると言えるでしょう。
簿記は絶対評価の試験であるため、合格率は受験回によってかなり違います。過去には8.6%という数字をたたき出したこともありました。難易度は、貸金業務取扱主任者試験より簿記2級の方がやや難しいと思われます。
2級FP技能士と比較
合格率 | 下記参照 |
勉強時間 | 150時間~300時間程度 |
ファイナンシャル・プランニング(FP)技能士とは、金、保険、年金などの幅広い知識と視野を持ち、ライフプランの設計を行うお金の専門家です。3級から1級までの試験区分が設けられ、日本FP協会と一般社団法人金融財政事情研究会が主催しています。
ファイナンシャル・プランナーを名乗る人の大半が取得している資格です。ただし、取得していなくてもファイナンシャル・プランナーとして仕事はできます。お金に関する幅広い知識を扱う試験であるため、貸金業者で働く場合にも役に立つ資格といえるでしょう。
2級FP技能士試験では、学科試験と実技試験の両方に合格しないと、最終合格にはなりません。合格率はそれぞれ以下のようになっています。
学科試験 | 20〜60%程度 |
実技試験(資産設計提案業務) | 40~70%程度 |
試験の難易度としては、貸金業務取扱主任者試験より合格しやすいと言えるでしょう。
貸金業務取扱主任者試験に合格するためのポイント
貸金業務取扱主任者は決して難しい試験ではありません。出題される論点や傾向を把握し、理解した上で問題演習を重ねれば、合格は見えてくるはずです。具体的に何をすれば良いかを解説します。
過去問で傾向を確認する
試験の傾向は、過去問を使って必ず確認しましょう。
日本貸金業協会のWebサイトでは、貸金業務取扱主任者試験の過去問が第1回(平成21年8月30日実施)から無料で公開されています。傾向を確認するには、最低でも過去5回分は解くことをおすすめします。
簡単な問題を落とさない
本試験では、簡単な問題を落とさないようにしましょう。
本試験では、かなり勉強を重ねてきた人でもすぐには答えられない難しい問題も出ます。しかし、そのような問題が解けなかったところで、大勢には影響しません。他の受験生も解けないので、差がつく原因にはならないからです。
むしろ、他の受験生の正答率が極めて高い問題=簡単な問題ができないほうがダメージが大きくなります。明らかに差がつくためです。
出題数が多い科目を重点的に勉強する
出題数が多い科目を重点的に勉強するのも効果的です。日本貸金業協会のWebサイトでは、科目別出題数の目安が掲載されています。
試験科目 | 出題数の目安 |
1. 法及び関係法令に関すること | 22~28問 |
2. 貸付け及び貸付けに付随する取引に関する法令及び実務に関すること | 14~18問 |
3. 資金需要者等の保護に関すること | 4~6問 |
4. 財務及び会計に関すること | 2~4問 |
試験科目全体 | 50問 |
「法及び関係法令に関すること」「貸付け及び貸付けに付随する取引に関する法令及び実務に関すること」のウエイトが高いので、まずはこの2つから勉強しましょう。
通信講座を活用する
短期間で合格を目指すのであれば、通信講座の利用がおすすめです。
自分でテキストを探し、選んだ教材を使って勉強し、合格を目指すことも可能でしょう。しかし独学では、学習範囲が広くなり、時間がかかってしまうことが多いです。
アガルートの通信講座では、過去問を中心とした知識のインプットを徹底しており、最低限の学習範囲で効率的に合格を目指せます。出題傾向を把握した講師による講義を上手に利用することは合格の近道と言えるでしょう。
自分に合ったやり方で、短期合格ができるといいですね。
この記事の監修者 相賀 真理子 講師
家業の不動産業にも深く関わり、現在、不動産専門行政書士としても活動中。