不動産鑑定士は、不動産の適正な価値を鑑定するための国家資格です。

不動産鑑定士に興味がある方は、不動産鑑定士になる方法を知りたいと考えているのではないでしょうか。

本コラムでは、どうすれば不動産鑑定士になれるのかについて解説します。

不動産鑑定士試験の受験資格や、不動産鑑定士になるために必要な費用についても触れているため、ぜひ最後までご覧ください。

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不動産鑑定士試験の受験資格はない!すでに撤廃されている

不動産鑑定士試験には、受験資格が設けられていません。

平成18年に受験資格が撤廃され、年齢や学歴にかかわらず、受験料さえ支払えば誰でも受験できるようになりました。

ただし、不動産鑑定士になるためには、短答式・論文式の両方の試験に合格後、実務修習を修了し、登録を行う必要があります。

試験に合格すれば、ただちに不動産鑑定士を名乗れるわけではないという点に注意しましょう。

不動産鑑定士になるまでの4ステップ

不動産鑑定士になるためには、以下の4つのステップが必要です。

不動産鑑定士試験の難易度は高く、合格までに時間を要するため、不動産鑑定士になるまでのステップをしっかり押さえておきましょう。

  1. 短答式試験を受験する(5月)
  2. 論文式試験を受験する(8月)
  3. 試験に合格したら、実務修習を受ける(12月から1~2年間)
  4. 不動産鑑定士として登録する

1年間の試験勉強に取り組んだ場合、勉強を開始してから不動産鑑定士になるまでにかかる期間の目安は、約2年半~3年半です。

以下で、各ステップの詳細を説明します。

①短答式試験に合格する

不動産鑑定士の短答式試験は、例年5月中旬に実施されます。

短答式試験の試験科目は、以下の2科目です。

  • 不動産に関する行政法規
  • 不動産の鑑定評価に関する理論

短答式試験はマークシート方式で行われ、1科目あたりの試験時間は120分です。

一度短答式試験に合格すれば、翌年および翌々年の短答式試験が免除されます。

②論文式試験に合格する

不動産鑑定士の論文式試験は、短答式試験から約3か月後の8月に実施されます。

論文式試験の試験科目は、以下の4科目です。

  • 民法
  • 経済学
  • 会計学
  • 不動産の鑑定評価に関する理論

論文式試験は、3日間に分けて実施されます。

「不動産の鑑定評価に関する理論」を除く3科目の試験時間は、各120分です。

「不動産の鑑定評価に関する理論」の試験は120分ずつ3回に分けて実施され、うち1回は演習試験となっています。

論文式試験は、短答式試験の合格者のみを対象とした試験です。

そのため、論文式試験に合格すれば、不動産鑑定士試験合格となります。

なお、論文式試験には科目免除制度が設けられており、司法試験および公認会計士試験の合格者は、一部科目の試験が免除されます。

③実務修習を受けて修了考査に合格する

不動産鑑定士になるためには、短答式および論文式の試験に合格後、実務修習を受け、修了考査に合格する必要があります。

不動産鑑定士の実務修習は例年12月上旬から始まり、1年コースと2年コースのいずれかを選択できます。

実務修習の内容は、以下の通りです。

  • 実務に関する講義
    Eラーニング形式で全16科目を受講する
  • 基本演習
    ゼミナール形式の講義を受講する
  • 実地演習
    指導鑑定士が在籍する不動産鑑定業者または指定大学機関において、全13類型の鑑定評価報告書を作成する

実務修習のすべての課程を修得した実務修習生は、修了考査を受けます。

修了考査の目的は、不動産鑑定士に必要な技能や能力を習得できたかどうかを確認することです。

修了考査では、択一式・記述式の考査および口述式考査が実施されます。

なお、修了考査によって実務修習の修了が認められなかった方は、再受験が可能です。

参考:不動産鑑定士になるまでの道のりは?

参考:各種手続等

④不動産鑑定士として登録する

実務修習を受け、修了考査に合格すれば、不動産鑑定士として登録できます。

登録を行う際は、国土交通省の地方整備局へ以下の必要書類を提出しましょう。

  1. 履歴書
  2. 下記いずれかの証書の写し
    ・不動産鑑定士試験第三次試験の合格証書
    ・不動産鑑定士試験の合格証書および実務修習の修了証
    ・不動産鑑定士試験第二次試験の合格証書および実務修習の修了証
  3. 成年被後見人・被保佐人の登記がないことの証明書
  4. 身分証明書
  5. 禁錮以上の刑に処せられた者に該当しない旨の誓約書
  6. 公務員でないことの誓約書もしくは証明書
  7. 住民票抄本

なお、登録の際は、6万円の手数料が必要です。

参考:鑑定士になるためには(鑑定士試験の概要)

参考:令和6年 不動産鑑定士試験受験案内

不動産鑑定士になる方法についてよくある3つの質問

ここでは、不動産鑑定士になる方法について、よくある3つの質問を紹介します。

  • 資格取得後のキャリアパスは?
  • 不動産鑑定士になるための費用は?
  • 大学に行っていなくても不動産鑑定士になれる?

資格取得後のキャリアパスは?

不動産鑑定士資格取得後の働き方は、企業内鑑定士または独立開業する人が多くを占めます。

企業内鑑定士として働く場合、不動産会社や鑑定事務所などへの就職が一般的です。

また、金融機関で担保物件の評価を行ったり、コンサルティング会社で不動産の運用に関する相談に対応したりと、さまざまな働き方が可能です。

さらに、不動産鑑定業者として独立開業すれば、努力次第で事業を拡大できるでしょう。

不動産鑑定士になるための費用は?

不動産鑑定士になるための費用の目安は、約38万円〜113万円です。

以下で、費用の内訳を紹介します。

受験手数料:12,800円

不動産鑑定士試験を受ける際は、12,800円の受験手数料が必要です。

不動産鑑定士試験の受験手数料は、受験内容にかかわらず一律に定められています。

短答式試験・論文式試験の両方を受験する場合も、いずれか片方だけを受験する場合も、受験手数料の金額は同じである点に注意しましょう。

実務修習の費用:約31万円~106万円

不動産鑑定士の実務修習を受けるためには、約31万円~106万円が必要です。

公益社団法人日本不動産鑑定士協会連合会が定める令和6年度の実務修習計画によると、実務修習の料金は310,100円です。

この料金には、講義・基本演習・修了考査の費用が含まれています。

また、実務修習の料金に加え、1演習あたり2,500円または6,900円の審査料が必要です。

審査料は演習の回数や内容によって異なるため、個人差があるでしょう。

なお、物件調査実地演習および一般実地演習の受講料は原則として無料ですが、実地演習実施機関で実地演習を受ける場合は、別途実地演習の料金が発生します。

各料金の上限は、以下の通りです。

  • 物件調査実地演習: 22,000円
  • 一般実地演習: 1演習あたり56,000 円

上限額の実地演習を受けた場合、最高金額は1,060,100円となります。

ただし、実地演習の料金は実施機関によって金額が異なるため、一概にいくらとはいえません。

費用が気になる方は、実地演習を受ける実施機関へ問い合わせましょう。

登録手数料:60,000円

不動産鑑定士として登録を行う際は、手数料として60,000円がかかります。

なお、上記で紹介した費用には、試験勉強にかかる費用は含まれていません。

トータルコストを把握したい場合は、試験勉強に必要なテキストや問題集などの費用も考慮する必要があるため、あくまで参考程度に考えましょう。

参考:令和6年 不動産鑑定士試験受験案内

参考:令和 5 年度実務修習実施計画

参考:鑑定士になるためには(鑑定士試験の概要)

大学に行っていなくても不動産鑑定士になれる?

不動産鑑定士試験には受験資格が定められていないため、大学に行っていなくても受験できます。

試験に合格し、必要な条件をクリアすれば、学歴にかかわらず不動産鑑定士になれるでしょう。

まとめ 

本コラムでは、不動産鑑定士になるための方法や、受験資格について解説しました。

不動産鑑定士試験には受験資格が設けられていないため、どなたでも受験できます。

一方で、不動産鑑定士として登録を行うためには、試験に合格後、実務修習を受け、修了考査に合格しなければなりません。

勉強開始から登録までには約2年半以上かかることが一般的であるため、長期的な計画が必要です。

独学に不安がある方や、最短距離での合格を目指したい方は、通信講座や予備校の利用を検討してみましょう。

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