不動産鑑定士と宅建士の違いは?ダブルライセンスはおすすめ?
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不動産資格の代表格である不動産鑑定士と宅建士ですが、資格取得を目指す方で次のようなお悩みやご要望を持つ方は多いのではないでしょうか。
「不動産鑑定士と宅建士の違いを知りたい」
「どちらの資格を取ったらよいかわからない」
「試験の難易度はどっちが高い?」
「両方取得した場合のメリットが知りたい」
このコラムでは、不動産鑑定士と宅建士の違いや、それぞれの試験の難易度と内容、どちらを取得すべきかについて解説します。
ダブルライセンスのメリットや、不動産鑑定士と宅建士についてよくある質問もまとめていますので、ぜひ参考にしてください。
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不動産鑑定士と宅建士の違いは?
不動産鑑定士は不動産の適正な価値を、評価し鑑定する専門家で、宅建士(正式名称:宅地建物取引士)は不動産の売買や賃貸などの取引において、手続きのサポートや法的なアドバイスを行う不動産取引の専門家です。
不動産鑑定士と宅建士は、どちらも不動産を取り扱う国家資格ですが、それぞれ異なる役割と専門性を持っています。
ここではそれぞれの違いを「仕事内容・役割」と「年収」の観点から解説します。
仕事内容・役割の違い
混同されることもある不動産鑑定士と宅建士ですが、仕事内容・役割は異なります。
簡単に言えば、不動産鑑定士は不動産の価値を評価、判定する仕事で、宅建士は不動産取引のサポートやアドバイスを提供する仕事です。
それぞれの仕事内容・役割を以下で紹介します。
不動産鑑定士の主な仕事内容・役割は次の3つです。
- 不動産鑑定評価
- 調査・分析
- コンサルティング
「不動産鑑定評価」では、国や都道府県の行う地価公示等の公的評価や、不動産を証券化する際の資産評価などを担います。この不動産鑑定評価は不動産鑑定士の独占業務となり、不動産鑑定士以外のものが鑑定評価を行うと刑事罰の対象となります。
「調査・分析」では、不動産価格の今後の展望や、不動産投資のための判断材料となる調査・分析を行います。
「コンサルティング」では、不動産の有効活用や都市開発のためにアドバイスをします。
宅建士の主な仕事内容・役割は、不動産取引で一般の顧客が不利な条件の契約を結んでしまわないように、売主と買主、貸主と借主の間に入って、適切にサポートを行うことです。
宅建士には以下の3つの独占業務があります。
- 重要事項の説明
- 35条書面(重要事項書面)への記名
- 37条書面への記名
それぞれの独占業務を簡単に解説しましょう。
「重要事項の説明」とは、不動産契約締結前に顧客が購入しようとしている不動産の権利者の情報や設備状況などの重要事項を説明することです。
「35条書面への記名」は、宅建士が重要事項を説明した後に、重要事項説明書(35条書面)に記名する業務となります。
「37条書面への記名押印」は、契約後のトラブルを防ぐために、代金の支払時期や支払方法などを記した37条書面に宅建士が記名し、売主・買主に交付することです。
年収の違い
宅建士の年収は一般的に350〜550万円と言われています。
令和5年分賃金構造基本統計調査の不動産業全体の平均年収は約536万円ですので、ここに含まれる宅建士の年収は、不動産業界全体の年収と同程度と言えるでしょう。
参考:宅建士の年収は?年収1000万円を超えるポイントも解説【宅地建物取引士】
一方、不動産鑑定士の年収は2019年の『賃金構造基本統計調査』によると約754万円です。
平均年収で比較すると不動産鑑定士は宅建士よりも、218万円年収が高いです。
不動産鑑定士のほうが宅建士よりも年収が高い傾向にあると言えます。
不動産鑑定士と宅建士の試験難易度は?どっちが難しい?
合格率と勉強時間の観点から見ると、不動産鑑定士のほうが難易度が高いです。
不動産鑑定士の合格率は、短答式試験が例年33〜36%、論文式試験が例年14〜17%で、最終合格率は例年4.6〜6.1%ほどとなっています。
「不動産最高峰資格」と呼ばれる不動産鑑定士の試験は、試験範囲が広く、多岐に渡る専門知識が求められるため、合格率はかなり低いです。
参考:土地・不動産・建設業:不動産鑑定士試験 試験結果情報 – 国土交通省
宅建試験の合格率は例年15〜17%です。
不動産鑑定士と比較すると高めの合格率ですが、決して簡単に取得できる資格ではありません。
不動産の基礎知識や法規制の網羅的な学習が必須なので、十分な準備が必要です。
次に合格に必要な勉強時間を比較してみます。
不動産鑑定士試験に合格するために必要な勉強時間は、最低2000時間と言われています。
一方、宅建士試験に合格するために必要な勉強時間の目安は、300〜400時間ほどです。
勉強時間が不動産鑑定士のほうが長い理由として2つ挙げられます。
1つは、出題範囲が不動産鑑定士の方が広いということ。2つ目は、宅建試験はマークシート方式の選択問題のみですが、不動産鑑定士試験は1次試験の選択問題に加え、2次試験の論文式問題があるということです。
なお、上記の勉強時間はあくまで目安なので、個人の学習・実務経験のレベルや勉強のペースによって必要となる勉強時間は異なります。
不動産鑑定士試験と宅地建物取引士試験に関連性はある?
不動産鑑定士試験と宅地建物取引試験に関連性はあります。
不動産鑑定士試験と宅建試験の学習内容は重複するものが多く、親和性が高いです。
それでは、2つの試験の学習内容の関連性を解説していきましょう。
不動産鑑定士の短答式試験で出題される37個の法律のうち、13個が宅建試験で学ぶものとなります。
まず、宅建試験の試験科目の「権利関係」「法令上の制限」「税法」「宅地業法」の学習内容は、不動産鑑定士試験の試験科目の「行政法規(短答式)」の学習内容に含まれます。
さらに、宅建試験の試験科目の「不動産鑑定評価基準」の学習内容は、不動産鑑定士試験の「鑑定理論(短答式)」「鑑定理論(論文)」の学習内容と関連があります。
また、宅建試験の試験科目の「権利関係」の学習内容は、不動産鑑定士試験の「民法(論文)」と学習内容と重なります。
このように、不動産鑑定士試験と宅建試験は学習内容に関連性が高いので、それぞれの試験で学んだことを活かせるのです。
不動産鑑定士と宅建士どちらを取るべき?
不動産鑑定士と宅建士のどちらを取るかは、資格を取得する目的や、資格取得にかかる時間を鑑みて選びましょう。
先にも述べたように資格取得にかかる勉強時間は、不動産鑑定士試験のほうが長いです。
試験合格後、宅建士は2日の講習で資格を使えるようになりますが、不動産鑑定士は1〜2年の実務修習が必要となります。
そのため、資格を取る目的や資格取得にかけられる時間を考えて、取る資格を選ぶ必要があります。
不動産鑑定士の資格を取るべきなのは、不動産の鑑定業務をしたい人です。
不動産の鑑定評価は独占業務なので、不動産鑑定士資格の取得が必須となります。
宅建士の資格を取るべきなのは、不動産取引の仲介業務を行いたい人です。不動産の売買や賃貸などの取引に関わりたい人は、宅建士を目指しましょう。
不動産鑑定士と宅建士のダブルライセンスはおすすめ?3つのメリットを紹介
学習内容が重複する不動産鑑定士と宅建士は、ダブルライセンスに向いている相性の良い資格です。どちらの資格も不動産の仲介や鑑定に役立つので仕事に活かすことができます。
また、2つの資格を持つことで専門性と信頼性が向上し、顧客の信頼獲得や、請け負う仕事の幅を広げるのにも役立つでしょう。
不動産鑑定士と宅建士のダブルライセンスを取得する具体的なメリットは次の通りです。
業務の幅が広がる
不動産鑑定士と宅建士の両方の資格を持つことで、不動産の評価や取引、仲介、管理まで幅広く手掛けることができます。
それにより業務の多角化や収益の最大化も可能です。
また、不動産鑑定士としての仕事がない場合も、宅建士として活動することができ、逆も然りです。
このようにダブルライセンスがあることで、業務の幅が広がり、柔軟に働くことができます。
独立開業が成功しやすくなる
ダブルライセンスを持つことで競合他社と差別化できるようになり、独立開業の成功率が上がるでしょう。
なお、不動産鑑定士と宅建士のダブルライセンスを持つ人はまだ多くありません。
宅建士の登録者数が100万人を超えている一方で、不動産鑑定士の登録者数は数千人~1万人程度しかいません。そのため両方の資格保有者は希少な存在です。市場での差別化や競争力を高め、顧客からの信頼を得やすくなります。
また、幅広い業務を受けることができるため、収入の安定も期待できます。
転職が有利になる
不動産鑑定士と宅建士の資格は、求人市場でも価値が高く、特に不動産業界の求人案件では資格保有者の募集が多いです。
不動産鑑定士、宅建士のどちらか一方の資格を持っているだけでも十分なアピールポイントとなりますが、両方の資格を持っていることで、自身の強みをさらに強調することができます。
ダブルライセンス取得者であることは、不動産の評価から取引、契約管理まで幅広い業務に対応できることを示すため、転職活動において大きなアドバンテージとなるでしょう。
不動産鑑定士と宅建士についてよくある質問
ここでは不動産鑑定士と宅建士に関するよくある質問について解説していきます。
宅建士から不動産鑑定士にステップアップするのは可能?
宅建士から不動産鑑定士にステップアップすることは可能です。
前述の通り、宅建試験は不動産鑑定士試験よりも取得しやすいため、まずは宅建士の資格を取得し、その後、不動産鑑定士に挑戦するのが良いでしょう。
また、不動産鑑定士の試験範囲の一部が宅建試験と重複しているため、宅建試験で学んだ知識を役立てられます。
このように宅建士から不動産鑑定士へのステップアップはスムーズに進めることができます。
宅建士の資格があれば不動産鑑定士試験が免除される?
宅建士の資格を持っていても、不動産鑑定士試験は免除されません。
不動産鑑定士の資格があれば宅建試験が免除される?
不動産鑑定士の資格の保有で宅建試験は免除されません。
ただし、宅建試験の5点免除の対象者となる場合があります。
宅建試験の5点免除制度とは、試験問題全50問のうち特定の5問が免除される制度です。
この制度によって、問題数が45問となり、試験時間も120分から110分となります。
5点免除制度を利用するには、国土交通大臣が指定する講習を受講して登録講習修了者証明書の取得が必要です。
参考:宅建試験の5点免除は有利になる?条件となる講習や申し込み方法も解説
まとめ
以上が不動産鑑定士と宅建士の違い・試験の難易度、関連性・ダブルライセンスについての解説となります。
不動産鑑定士と宅建士の違いは、以下の通りです。
- 不動産鑑定士は不動産の価値や評価に関する専門家で、不動産の鑑定、評価を行う
- 宅建士は不動産取引の専門家で、不動産の売買や賃貸借、管理などの取引に関する法的知識やアドバイスを提供する
不動産鑑定士のほうが試験の難易度が高く、年収も高い傾向にあります。
不動産鑑定士試験と宅建試験の学習内容は共通する部分が多く、ダブルライセンスが取得しやすい組み合わせです。
ダブルライセンスを持つことで業務の幅が広がり、年収を上げやすくなります。
さらに、競争力の強化、多様な顧客ニーズへの適応など、多くのメリットが期待できます。
不動産鑑定士も宅建士も独学での合格が難しい資格となります。特に不動産鑑定士は国家資格の中でも最難関とされています。
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