不動産鑑定士試験の勉強時間や勉強方法について悩んでいませんか?

不動産鑑定士試験についてはなかなか情報を収集することができず困っている方もいるのではないでしょうか?

このコラムでは不動産鑑定士試験の概要や合格に必要な勉強時間、合格までのスケジュール、科目別勉強時間の目安などがわかります。

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不動産鑑定士試験の概要

不動産鑑定士試験は、例年5月に実施される短答式試験と、例年8月に3日間かけて実施される論文式試験の2段階方式で実施されます。

なお、短答式試験の得点は論文式試験には持ち越されません。

試験科目は?

⑴短答式試験

短答式試験の試験科目と各科目の満点は下記の表のとおりです。

なお、「不動産に関する行政法規」(以下、行政法規)は短答式試験のみでの出題となります。

 科目名満点
短答式試験不動産に関する行政法規100点
不動産の鑑定評価に関する理論100点
合計200点

⑵論文式試験

論文式試験の試験科目と各科目の満点は下記の表のとおりです。

4科目で実施されますが、論文式試験における「不動産の鑑定評価に関する理論」(以下、鑑定理論)は記述式である論文(200点満点)と計算が中心として出題される演習(100点満点)の合計300点満点での出題となっています。

短答式試験と論文式試験の双方で出題され、論文式試験では総得点の半分を占める鑑定理論は、不動産鑑定士試験の最重要科目と言えるでしょう。

 科目名満点
論文式試験民法100点
経済学100点
会計学100点
不動産の鑑定評価に関する理論(論文)200点
不動産の鑑定評価に関する理論(演習)100点
合計600点

試験は2段階方式

論文式試験は短答式試験に合格した場合のみ受験できます。

なお、短答式試験に合格した場合、短答式試験の合格発表日から2年以内に行われる短答式試験が免除され、短答式試験を受験する必要がありません。

すなわち、短答式試験に合格した年を含め、3回まで論文式試験を受験することができます。

合格率は例年4.6~6.1%ほど

短答式試験と論文式試験を合わせた不動産鑑定士試験全体の合格率は、4.6%~6.1%程度です。

しかし実際はそれぞれの試験で合否が判定されるため、以下では短答式試験と論文式試験に分けて合格率を示します。

⑴短答式試験

過去5年間における不動産鑑定士試験(短答式試験)の合格率は下記の通りです。なお、過去5年間における合格に必要な得点率の平均は69.63%となっています。

年度受験者数合格者数合格率
2024年(令和6年)1,675名606名36.2%
2023年(令和5年)1,647名553名33.6%
2022年(令和4年)1,726名626名36.3%
2021年(令和3年)1,709名621名36.3%
2020年(令和2年)1,415名468名33.1%
2019年(令和元年)1,767名573名32.4%

出典:国土交通省 不動産・建設経済局 地価調査課 鑑定評価指導室

⑵論文式試験

過去5年間における不動産鑑定士試験(論文式試験)の合格率は下記の通りです。

なお、過去5年間における合格に必要な得点率を平均すると61.7%ですが、得点率に関係なく上位17%前後に入れるかどうかの競争試験と言ってよいでしょう。

年度受験者数合格者数合格率
2023年(令和5年)885名146名16.4%
2022年(令和4年)871名143名16.4%
2021年(令和3年)809名135名16.7%
2020年(令和2年)764名135名17.7%
2019年(令和元年)810名121名14.9%

(出典:国土交通省 不動産・建設経済局 地価調査課 鑑定評価指導室

不動産鑑定士試験の合格に必要な勉強時間は?

不動産鑑定士試験の合格には、一般的に2,800時間前後が必要とされています。

もちろん個人差がありますので、例えば大学等で民法や経済学、会計学等を勉強したことがある方、行政法規と出題範囲が重なる宅地建物取引士の受験経験がある方、暗記が苦にならない方などは、平均的な時間と比較してより短い時間で合格に必要な知識を習得できるでしょう。

短答式試験の勉強時間

短答式試験の合格に必要な時間の目安は800時間前後です。

なお、短答式試験のみで出題される行政法規は、37の法令が試験範囲となっており範囲が膨大ですから、学習に時間を要します。

一方で短答式試験に合格することだけを考えた場合、鑑定理論の試験範囲はかなり限られていると言えるため、比較的短時間で合格ラインに到達できるでしょう。

ただし、行政法規は論文式試験では出題されないことから、論文式試験まで見据えると鑑定理論により力を入れる必要があり、ご自身の受験プランに応じた勉強のバランスを考える事が必要です。

論文式試験の勉強時間

論文式試験の合格に必要な時間の目安は2,000時間前後です。

短答式試験では出題されなかった「民法」、「経済学」、「会計学」の学習に加え、論文式試験用の「鑑定理論(論文)」の学習や、「鑑定理論(演習)」対策として計算問題の訓練を行う必要があります。

なお、「民法」、「経済学」、「会計学」の3科目は学問的にはとても範囲の広く難解な科目ですが、不動産鑑定士試験においては司法試験や公認会計士試験のような極めて難解な問題が出題されるわけことはありません。

あくまで不動産鑑定士試験における中心は鑑定理論と考えてよいでしょう。

不動産鑑定士試験の最短合格に必要な勉強期間は?何年かかる?社会人に必要な学習期間も解説

ここでは不動産鑑定士試験の合格に必要な勉強期間の目安を確認します。

受験専念の方や時間の取れる学生の方で1日8時間程度勉強できる場合は9ヵ月から1年程度が目安となるでしょう。

一方、社会人の方で平日4時間、休日8時間程度学習できる方は1年半から2年程度の期間が必要となります。

不動産鑑定士試験は受験専念の方や、学生の方、フルタイムで働かれている社会人の方など、多様な方が受験しています。

その中でも、司法試験や公認会計士試験と比較すると社会人受験生の割合が多いのが特徴です。

社会人受験生の方でも計画的に学習時間を確保することで合格することは十分可能でしょう。

不動産鑑定士試験に合格するまでの学習スケジュールは?

短答式試験に合格した場合、翌年と翌々年における短答式試験の受験が免除されることから、論文式試験合格の目標年度を自身の置かれた状況に応じて設定することができます。

以下では、1年半から2年かけて合格を目指す場合と、1年で合格を目指す場合のそれぞれのスケジュールを記載しています。

1年半から2年で合格を目指す場合の学習スケジュール

1年半から2年で合格を目指す場合、遅くとも目標年度の前年1月から2月頃までには学習を開始するのが目安でしょう。

学習開始時から5月の短答式試験までの期間は鑑定理論と行政法規の2科目に集中し短答式試験の合格を目指します。

短答式試験に合格できれば8月の論文式試験にチャレンジでき、仮にその年の論文式試験に合格できなかった場合でも、本来の目標年度では論文式試験に集中できます。

また、1度論文式試験を経験している事は当然、次年度の受験時において有利に働くことでしょう。

1年で合格を目指す場合の学習スケジュール

1年で合格を目指す場合、9月から10月頃から学習を開始するのが目安でしょう。

目標年度の2月末頃までは短答式試験と論文式試験の学習を並行し3月末頃からは短答式試験の勉強に特化します。

特に両試験の共通科目である鑑定理論について、不動産鑑定評価基準及び不動産鑑定評価基準運用上の留意事項(以下まとめて、基準)の暗記を早いうちに完成させる事ができれば、論文式試験の直前期に他の科目に時間を充てることが可能となるため、ストレート合格の可能性が高まります。

不動産鑑定士試験の勉強内容・短期合格のための勉強法は?

ここでは、不動産鑑定士試験の勉強内容や勉強方法を解説いたします。

なお、鑑定理論については短答式試験対策として学習した内容はそのまま論文式試験に役立ちますが、基準の内容を答案用紙に表現できなければならないことから、より精度高く暗記する必要があります。

短答式試験の勉強内容・勉強方法

ここでは短答式試験の勉強内容を確認いたします。

鑑定理論の中心は基準の理解と暗記になります。

行政法規は、建築基準法や都市計画法、不動産の鑑定評価に関する法律など不動産鑑定士の実務で必要となる37に及ぶ法令についての理解となります。

なお、行政法規は法律を学ぶ科目ではありますが、各法令の条文のみが出題され、判例は出題されません。

鑑定理論の勉強方法としては、毎日基準に触れるのが基本となるでしょう。

短答式試験に合格するためには基準に記載されている専門用語の意味や不動産の鑑定評価で必要な手続きを理解する必要があり、また、ある程度は基準を暗記しておかなければなりません。

そのためにはできる限り早い段階で基準の言い回しに慣れ、専門用語の意味を理解しておく必要があります。

最初のうちは中々暗記が進まないのが通常であるため、毎日触れる事で暗記を習慣づけるのが良いでしょう。

行政法規の勉強方法としては、内容を理解している事を前提として、繰り返し過去問演習を行うのが良いでしょう。

特に行政法規では鑑定理論と比較して、過去に問われた事のある問題が繰り返し出題される傾向にあるため、過去問をマスターすることが合格のため効率の良い学習方法となります。

なお、行政法規で出題される法令は難易度に大きな差がありますから、正解することが比較的簡単な法令からマスターしていくのが効率的でしょう。

論文式試験の勉強内容・勉強方法

論文式試験の勉強内容としては、以下の表のようになります。

民法 民法第1編から第3編までを中心に、同法第4編及び第5編並びに借地借家法、建物の区分所有等に関する法律を含む。 民法では、条文や判例を学習しますが、必要な条文は問題用紙に記載されているため、条文の暗記をする必要はありません。
経済学 ミクロ及びマクロの経済理論と経済政策論。 経済学の理論や計算、グラフを中心に学びます。
会計学 財務会計論(企業の財務諸表の作成及び理解に必要な会計理論、関係法令及び会計諸規則を含む)。 会計学は記述の他に会計基準の穴埋め問題も出題され、計算問題が出題されることもあります。
鑑定理論 短答式試験から引き続き、基準の理解と暗記が学習の中心です。また、演習対策としては不動産の鑑定評価に必要な計算パターンの習得を行います。

論文式試験の勉強方法としては、テキストで内容を確認した後に、論証集等を用いて典型論点を幅広く押さえるのが良いでしょう。

近年の論文式試験は、小問形式で題意がわかりやすい問題が中心となっており、知っていれば解ける問題が多いためです。

なお科目にもよりますが、論文式試験は過去の出題と近年の出題では問題の傾向が大きく異なります。

過去問演習を行う場合には、近年の出題形式に近い比較的最近の年度において出題されている問題を中心として学習をするのが良いでしょう。

論文式試験の難易度は特に難しいため、予備校や通信講座を利用して勉強するのもおすすめです。

おすすめの勉強する順番は?

基本的には最重要科目である鑑定理論の学習から始め、次に行政法規の学習に入るのが一般的です。

宅地建物取引士の受験経験がある方は馴染みがある行政法規から始めても良いでしょう。

論文式試験のみの科目についてはご自身の興味がある科目の順番で問題ありません。

ただし、数学(グラフ、方程式、簡単な微分など)に苦手意識のある方は経済学の完成に時間を要する傾向にあるため、経済学の学習から始めると良いかも知れません。

どのような順番で勉強するかにかかわらず、鑑定理論については短答式試験から引き続き、可能な限り毎日基準に触れるようにしましょう。

なお、鑑定理論(演習)の学習は鑑定理論(論文)の学習後に行う必要がありますが、短答式試験の受験時に基準の理解や暗記を十分進めている方は、鑑定理論(演習)の学習も並行して行うことができます。

科目別勉強時間の目安は?

科目別における勉強時間の目安は以下にある表のとおりです。

なお、短答式試験の鑑定理論については、短答式試験の合格のみを考えた場合に必要となる目安時間ですから、可能であればより時間をかけることで早い段階から論文式試験まで見据えるのがよいでしょう。

 科目勉強時間の目安
短答式試験行政法規 450時間
鑑定理論 350時間
合計 800時間
論文式試験民法 450時間
経済学 350時間
会計学 300時間
鑑定理論(論文) 700時間
鑑定理論(演習) 200時間
合計2,000時間

このように時間の数字だけを見るとかなりの時間が必要だと感じるかもしれません。

しかし、上記の時間は机に向かって集中して学習する時間だけを想定しているわけではありません。

特に鑑定理論の学習は、いかに隙間時間を有効活用して基準に触れる事ができるのかが重要です。

隙間時間はいろんなタイミングで確保することができるはずですから、皆さんが考えるよりもかなり多くの時間を1日の勉強時間として確保できる事でしょう。

また、大学等で各科目の学習をしたことがある方、宅地建物取引士試験や日本商工会議所主催簿記能力検定試験、税理士試験等の受験経験がある方は、それぞれの科目の習得に想定される勉強時間よりも実際はかなり少ない勉強時間で済むはずです。

そのため、想定される時間の多さに不安を感じる必要はないでしょう。

まとめ

不動産鑑定士試験は、合格率が短答式試験で33%前後、論文式試験で16%前後となっており、必要な勉強時間も2,800時間程度と、決して簡単な資格試験ではありません。

しかし、難しい試験だからこそ取得する価値があると言えます。

また、継続した学習によって合格することができる試験でもあります。

不動産鑑定士に興味のある方に、本コラムが参考になったのであれば幸いです。

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この記事の著者

阿部 美幸

令和元年不動産鑑定士試験 合格
北海道大学大学院経済学院会計情報専攻 卒業
大手資格予備校の講師として公務員試験(経済系科目・法律系科目・会計学等)、日商簿記検定試験を⾧年指導。
効率的な勉強方法を追及するため、自身で様々な資格試験を受験し、合格している。
自身の学習経験に加え様々な合格者の学習方法を分析し、効率性を追及した講義と教材の提供を行っている。

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