不動産鑑定士は、不動産に関する資格の中でも難易度が高い国家資格です。

また、不動産鑑定士として働くには、試験合格後に実務修習を受けて登録をしなければなりません。

時間や労力がかかる不動産鑑定士を目指すのであれば、仕事の将来性は気になりますよね。

本コラムでは、不動産鑑定士の現状に触れながら仕事の将来性について解説します。

不動産鑑定士として今後も活躍するためのポイントも紹介するため、興味がある方はぜひ参考にしてください。

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不動産鑑定士の現状は?

不動産鑑定士の現状は、以下のとおりです。

  • 鑑定士の人数は少ない
  • 鑑定の仕事は減少傾向にある

鑑定士の人数は少ない

国土交通省の不動産の鑑定評価に関わる登録状況によると、令和5年1月1日時点で国土交通省に登録している不動産鑑定士は8,608人です。

なお、不動産鑑定士補の登録人数は1,190人でした。

また、不動産鑑定業者の事業実績によると、令和6年1月1日時点で不動産鑑定業者に所属している不動産鑑定士は4,496人です。

国内にある不動産に対して、不動産鑑定士の登録人数は決して多くない数だといえるでしょう。

不動産鑑定士の人数が少ない理由のひとつとして、不動産鑑定士試験の難易度が高いことが挙げられます。

なお、試験の難易度については参考のコラムで解説しています。

さらに詳しく知りたい方は、参考のコラム記事をぜひ一度ご覧ください。

参考コラム:不動産鑑定士試験の難易度・合格率は?難しすぎる?  |  不動産鑑定士試験コラム

鑑定の仕事は減少傾向にある

現在、不動産の鑑定に関する仕事は減少傾向です。

減少傾向になった背景には、日本国内の長引く不況が関係しています。

もともと不動産鑑定士は、1950年代半ばから1970年代初めの高度成長期に誕生した資格です。

高度成長期の人口増加と経済規模の拡大によって不動産取引の数が増加し、不動産鑑定士の需要も高くなりました。

しかし、現在の日本では人口が減少し、地方の過疎化も進んでいます。

公共事業や大型開発も減少傾向であるため、鑑定評価の仕事は減っていると言われています。

不動産鑑定士の将来性は?将来性なしって本当?

現状をふまえても、不動産鑑定士は将来性のある仕事と言われています。

将来性があると考えられる理由は、以下の3つです。

  • 独占業務があるので仕事が安定している
  • 相続や再開発にかかわる案件は増加傾向
  • 鑑定業以外の需要もある

独占業務があるので仕事が安定している

不動産鑑定士が行う不動産の鑑定評価は、独占業務です。

鑑定評価は不動産の売買などで必要になる業務のため、将来仕事が無くなることはないでしょう。

不動産鑑定評価とは、土地や建物などの価値を周囲の地理的状況や市場経済、法規制などのさまざまな要素を考慮して適正な評価額を算出することです。

不動産鑑定評価の結果は、不動産鑑定評価書というレポートにまとめます。

不動産鑑定評価書の作成についても、不動産鑑定士だけに認められている独占業務です。

なお、不動産鑑定士が行う鑑定評価は公的な信用力を持っています。

そのため、国や都道府県が行う公的な業務でも不動産鑑定士が必要とされています。

公的な業務の具体例は、以下のとおりです。

  • 土地の適正な価格を一般に公表するための地価公示
  • 地価調査業務
  • 相続税標準値地の評価
  • 固定資産税標準宅地の評価
  • 裁判上の評価       など

相続や再開発にかかわる案件は増加傾向

不動産鑑定士が必要とされる相続や再開発にかかわる案件は、今後増加していく見込みです。

そのため、不動産鑑定士の需要も高まっていくと考えられます。

相続に関する案件が今後増えていく背景には、高齢化社会の進行があります。

相続の対象には不動産関連も多いため、不動産鑑定評価を依頼される機会も多いでしょう。

特に親族とのトラブルを避けたい場合に、「専門知識がある第三者に鑑定してもらいたい」と依頼するケースが多い傾向です。

税理士とタッグを組んで、スムーズに相続が進むようアドバイスや交渉を行う仕事もあります。

また、国土の狭い日本では全国的に土地の再開発が必要です。

土地の価格は常に変動するため、再開発を進めていく際には不動産鑑定士が鑑定評価を行います。

さらに国際的な流れとして、日本でも企業の財務状況を示すために不動産資産価値を明らかにする企業が増えています。

企業から不動産鑑定評価を依頼されるケースの増加が期待されるでしょう。

鑑定業以外の需要もある

不動産鑑定士は鑑定業以外に、不動産に関する相談やコンサルティングを行う立場として需要があります。

実際に、知識と経験を活かして専門的なアドバイスを行うコンサルティング業を生業とする不動産鑑定士が増えています。

コンサルティングでの具体的な業務は、企業が保有する不動産の管理・運用や有効に利用する方法の提案、不動産投資や企業買収を行う際に必要な資産価値の評価などです。

また、市街地開発事業における権利調整なども、不動産鑑定士の知識を活かしてできる業務です。

不動産に関する高度な知識や経験があれば、さらに新たな需要が生まれる可能性もあるでしょう。

AIによって今後の需要がなくなるって本当?

今後、AIによって不動産鑑定士の仕事がすべて奪われる可能性は低いでしょう。

ただし、不動産鑑定士の仕事の一部をAIに任せることは、近い将来あるかもしれません。

近年AIなどのテクノロジーは急成長しており、不動産業界だけでなくあらゆる方面に大きな影響を与えています。

しかし、現在の技術だけでは、AIのみで不動産鑑定士の仕事をすべて行うことは難しいです。

ただし、開発が進めば、不動産鑑定書の作成などの定型業務や適正価格の算出などができるAIが登場する可能性は高いでしょう。

AIを活用する様になった場合、不動産鑑定士に求められる業務は鑑定結果の背景や理由の説明、不動産に関するアドバイス・コンサルティング業務などがメインになると予想できます。

AIが代わりに行う業務と不動産鑑定士の業務をわけ、AIをうまく活用できれば仕事の効率化や生産性のアップにつながるでしょう。

AIに完全に代替されないようにするためには、不動産鑑定士として最新の知識や技術を身に付け、クライアントのニーズに柔軟に対応できる実力を養うことが大切です。

不動産鑑定士としてこれからも活躍するには?

不動産鑑定士としてこれからも活躍するには、以下の3つのポイントを抑えると成果が出やすいでしょう。

  • 都市部で働く
  • 独立開業する
  • ダブルライセンスを取得する

都市部で働く

不動産鑑定士として活躍するには、地方ではなく都市部で働くのがおすすめです。

不動産取引は人口が多い都市部などで盛んに行われています。

地域別に見ても、ターミナル駅周辺を中心に再開発が進んでいる都市部では安定して仕事がある状態となっています。

一方で人口減少による過疎化が進んでいる地方では、不動産鑑定士の仕事は減少傾向です。

ただし、地方でも国や地方自治体から公的な仕事が受注できれば収入の安定につながるでしょう。

地方で不動産鑑定士の仕事を安定して行うには、公的評価の仕事を確保できる営業力が必要になります。

しかし、地方での公的評価にかかわる仕事の数は多くありません。

不動産鑑定士として長く活躍するには、都市部を選んだ方が成功しやすいでしょう。

独立開業する

独立開業を行うと、不動産鑑定士としてこれからも活躍できる可能性は高くなります。

独立開業の大きなメリットは、収入がアップしやすいことと定年がないことの2つです。

独立開業をした不動産鑑定士は、クライアントと直接取引ができます。

報酬や手数料などの設定や担当する案件数を自由に自分の権限で決められるため、収入アップしやすい環境です。

また、不動産鑑定士の登録に定年制度はないため、不動産鑑定士は生涯続けられる職業です。

ただし、勤めている不動産鑑定士事務所や一般企業に定年制度があれば、対象の年齢になった際に退職しなければなりません。

独立開業していれば定年制度を気にせず、働ける限り長く働けます。

ダブルライセンスを取得する

不動産鑑定士と相性の良い資格を取得すれば対応できる業務の幅が広がり、専門性が向上して長く活躍しやすくなるでしょう。

不動産鑑定士とのダブルライセンスにおすすめな資格は、以下のとおりです。

  • 宅建士
  • 税理士
  • 公認会計士

例えば、不動産鑑定士と宅地建物取引士(以下、宅建士)を持っていれば、不動産の鑑定評価から取引まで一貫して行える人材として、自分の市場価値が高くなります。

また、不動産の売買や譲渡、相続などには、必ず税金がかかわってきます。

不動産鑑定士と税理士のダブルライセンスであれば、不動産相続に関する仕事を1人で行える人材として重宝されるでしょう。

公認会計士は、企業の財務諸表の監査などがメイン業務の職業です。

担当した企業が保有する不動産の価値を算出する場合や、監査する法人が不動産関係の会社である場合に、不動産鑑定士の資格を持っていると役に立つでしょう。

まとめ

本コラムでは、不動産鑑定士の現状と仕事の将来性について解説しました。

以下、要点をまとめます。

  • 現状、不動産鑑定士は登録人数が少なく、不況により鑑定の仕事が減少している
  • ただし、不動産鑑定士の安定性と相続や再開発の案件が増加している点で、不動産鑑定士の将来性は期待できる
  • 不動産鑑定士は鑑定業務以外のアドバイスやコンサルティング業務でも需要があるため、将来性が見込める
  • 将来、不動産鑑定士の仕事が完全にAIに奪われる可能性は低い
  • 都市部で働く・独立開業する・ダブルライセンスを取得するなどの工夫で、これからも不動産鑑定士として活躍できる

長引く不況などで鑑定の仕事が減少しても、不動産に関する高度な知識と経験を活かして活躍することは可能です。

また、不動産鑑定士は独占業務がある国家資格であり、独立開業しやすいメリットもあります。

将来性が期待できる資格のため、不動産の仕事に携わりたい方は不動産鑑定士を目指してみましょう。

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