不動産鑑定士試験における経済学の難易度や勉強方法について悩んでいませんか?

特に経済学は数学が必要となることから、数学のレベルなどで不安になっている方もいらっしゃるのではないでしょうか。

このコラムでは試験科目の一つである経済学の概要や必要となる数学、試験合格のためにはどのような勉強をすると効率がよいのかがわかります。

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不動産鑑定士試験における経済学の概要は?出題範囲も紹介

不動産鑑定士試験における経済学は、論文式試験のみの出題であり、短答式試験では出題されません。

本試験においては文章やグラフ、数式を用いて解答する問題が出題されます。

不動産の鑑定評価を行うにあたって、直接的に経済学の知識が必要となる状況はそれほど多くはないと言えるでしょう。

しかし、不動産の鑑定評価は経済学を土台として価格を算定していますから、不動産鑑定士の素養として必要な科目となります。

経済学の試験内容・出題範囲

経済学の試験内容は、問われた内容に対して、経済理論を文章で説明する問題、自分でグラフを答案に描き説明する問題、与えられた数式を解く計算問題などが中心として出題されます。

グラフを描く問題や計算問題は必ず毎年度の試験において出題されるといったわけではないですが、基本的にはどちらも出題されると考えておいたほうが良いでしょう。

なお、グラフの描き方は思い出せないが、数式では説明できるという場合が経済学においてはありえますが、問題文に「必ずグラフを図示して答えること」などの指示がある場合もあるため注意が必要です。

経済学の出題範囲は、ミクロ及びマクロの経済理論と経済政策論となります。

大学の経済学部において学ぶミクロ経済学とマクロ経済学が出題範囲と考えて頂ければよいでしょう。

ただし、試験委員の先生によっては応用的な問題、例えば都市経済学や財政学の知識を問われる問題や、近年の経済指標を題材とした時事的な問題が出題される場合もあります。

なお、基本的にはミクロ経済学の範囲から1問、マクロ経済学の範囲から1問出題されますが、ミクロ経済学の範囲から2問出題されるといったこともあるので念の為、注意しましょう。

合格率・合格ライン

不動産鑑定士試験では、科目ごとの合格というものは存在せず、合計点で合否の判断がされます。

過去5年間における不動産鑑定士試験(論文式試験)の合格率、合格点及び経済学の平均点は下記の通りです。

合格に必要な得点率は平均すれば61.7%ですが、上位17%前後に入れるかといった競争試験と言ってよいでしょう。

論文式試験では、総合点が合格ラインを超えていても、各科目が一定点に達しない場合は不合格となります。

経済学は数学に苦手意識があるか否かが点数にある程度の影響を与えるため、得点差が開きやすい科目であると考えられますから、一定点を割らないように注意が必要でしょう。

年度合格率合格点経済学の平均点
2024年(令和6年)17.4%400点41.6点
2023年(令和5年)16.4%369点48.5点
2022年(令和4年)16.4%369点47.5点
2021年(令和3年)16.7%380点49.1点
2020年(令和2年)17.7%380点57.1点
2019年(令和元年)14.9%353点40.1点
(出典:国土交通省 不動産・建設経済局 地価調査課 鑑定評価指導室

出題形式と配点

不動産鑑定士試験における経済学の試験問題は、論述式の大問2題を2時間で解答する形式ですが、文章の穴埋め問題が出題されることもあります。

配点は民法や会計学と同様に100点です。

経済学の特徴として、試験委員の先生によって出題形式が大きく異なることがあります。

そのため、大問1問当たりの問題文の分量が1頁の場合もあれば、3頁から4頁程度ある場合もあります。

不動産鑑定士試験の経済学で必要な数学レベルは?

経済学では数学が必須ですが、不動産鑑定士試験における経済学においては、高度な数学の知識を必要とする問題の出題が抑制されており、受験生に対して配慮がなされています。

そのため、数学が苦手な方であってもあまり不安になる必要はないでしょう。

試験において特に必要とされる数学の知識は、⑴グラフ、⑵簡単な微分、⑶方程式です。

微分については高校数学の問題で問われるようなものとは異なり、極めて簡単に計算できるものとなっています。

そのため、高校数学で学習する微分の知識が全く残っていない方でも特に問題はありません。

また方程式については、連立方程式が解ければとりあえず問題ないでしょう。

ただし、試験の問題は文字式として出題されますので、文字式が極めて苦手な方はある程度慣れる必要があります。

経済学に合格するには?勉強法のポイント3つ

ここでは、経済学の勉強法のポイントを3つ紹介します。

  • 他の科目より復習をしっかりと行う
  • 過去に出題された難問はあまり気にしない
  • 試験委員の先生によって影響を受ける場合がある

他の科目より復習をしっかりと行う

経済学は、他の科目以上に復習が大事となります。

これは、先に学習した単元を次の単元で用いることが比較的多いといった特徴があるため、苦手な単元をそのままにしてしまうと、次の単元が理解できないといった事が多くあるためです。

そのため、1つ1つの単元をしっかりとマスターしていくことを心がけるようにするとよいでしょう。

過去に出題された難問はあまり気にしない

過去の本試験問題の中には、受験生の大多数が解答できないような難解な問題が出題された事がありますが、必要以上に気にしなくてよいでしょう。

平成29年度の試験から高度な数学の知識を必要とする問題の出題を抑制する配慮がなされているため、それ以前の問題と現在の問題では傾向が少し異なります。

また、受験生全体の中で経済学の勉強に十分な時間をかける事ができている人はそれほど多くはないため、本試験でとても難しい問題が出題された場合はあまり点差がつかない傾向にあります。

過去問演習等を行う方は、過去に出題されたことがある難問に時間をかけるよりは、基本的な内容の理解を高めることをまず意識するとよいでしょう。

試験委員の先生によって影響を受ける場合がある

経済学は、不動産鑑定士試験において最も試験委員の先生対策が必要な科目とされています。

例えば、試験委員の先生が交替することによって、問題文の分量や大問1問当たりに占める計算問題の割合、出題される分野の傾向などについて、前年度までの試験問題と大きく異なる場合があります。

もちろん、経済学の基本的な知識が問われることは試験委員の先生が誰かによって異なるわけではないため、勉強内容自体が変わるわけではありません。

そのため、試験委員の先生対策だけに特化するような勉強は必要ないですが、過去問の傾向と異なる出題がされる場合が多い科目であることには注意が必要でしょう。

試験委員の先生がどのような問題を出題したとしても受験生全員が同じ条件です。

合格のためには他の受験生が解答できるような基本的な問題に答えることができればよく、必要以上に試験委員の先生対策について気にする必要はないでしょう。

まとめ

経済学は数学を用いることから、勉強を始める前には不安に思う方が多い科目です。

しかし、不動産鑑定士試験における経済学では高度な数学は必要とされません。

不動産鑑定士試験受験生は必ずしも数学を得意としている方ばかりが受験するわけではないですから、必要以上に不安に思う必要はないでしょう。

ただし独学よりも、通信講座でプロの講師に教えてもらったほうが、学習の効率は上がります。

最短合格を目指している人は、ぜひアガルートを利用して学習してみてください。

不動産鑑定士に興味のある方に、本コラムが参考になったのであれば幸いです。

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この記事の著者

阿部 美幸

令和元年不動産鑑定士試験 合格
北海道大学大学院経済学院会計情報専攻 卒業
大手資格予備校の講師として公務員試験(経済系科目・法律系科目・会計学等)、日商簿記検定試験を⾧年指導。
効率的な勉強方法を追及するため、自身で様々な資格試験を受験し、合格している。
自身の学習経験に加え様々な合格者の学習方法を分析し、効率性を追及した講義と教材の提供を行っている。

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