不動産鑑定士試験の民法に合格するには?勉強法のポイント3つ
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不動産鑑定士試験における民法の勉強方法について悩んでいませんか?
同じ民法でも司法試験や公務員試験などの情報は多く見つかりますが、不動産鑑定士試験の情報は相対的に少なく不安になっている方もいらっしゃるのではないでしょうか。
このコラムでは試験科目の一つである民法の概要や出題形式、試験合格のための効率良い勉強法がわかります。
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不動産鑑定士試験における民法の概要は?出題範囲も紹介
不動産鑑定士試験における民法は、論文式試験のみの出題であり、短答式試験では出題されません。
本試験においては条文や判例の理解を用いて、与えられた事例を解決する問題が出題されます。
不動産の鑑定評価を行うにあたっては、取得時効、所有権、地上権、賃貸借など民法の知識が必要になることから、不動産鑑定士として必要な科目となります。
民法の試験内容・出題範囲
民法の試験内容としては比較的長文の事例問題が出題されます。
不動産鑑定士試験という特殊性から、不動産に関する事例問題の出題が特に多いと考えてよいでしょう。
そのため、不動産に関する事例問題として出題しやすい論点(例えば、不動産物権変動に関する論点や抵当権に関する論点など)が高い頻度で出題される傾向にあります。
民法の出題範囲は、民法のうち財産法を中心に、家族法、民法の特別法である借地借家法、建物の区分所有等に関する法律を含みます。
家族法の分野は遺産分割など、財産法と関連する分野のみ出題されると考えればよいでしょう。
また、借地借家法や建物の区分所有等に関する法律が出題された場合は、条文を手がかりにその場で考えればわかるような基本的な問題が出題される傾向にあります。
そのため学習の中心は、財産法の範囲における条文の理解と関連する判例の理解となります。
なお民法では1つの論点に対して複数の解釈が存在する事も多くあります。
しかし、不動産鑑定士試験における一般的な受験生は、論点に対するご自身が採用する説のみを答案に記載できるよう準備しており、他の説までは学習の手がなかなか回らないのが現状と考えてよいでしょう。
合格率・合格ライン
不動産鑑定士試験では、科目ごとの合格というものは存在せず、合計点で合否の判断がされます。
なお、総合点が合格ラインを超えていても、各科目が一定点に達しない場合は不合格となります。
どのくらいの人数がこの科目足切りとなっているかは公式の発表がなく不明ですが、毎年一定数の人が該当していると言われており、注意が必要でしょう。
過去5年間における不動産鑑定士試験(論文式試験)の合格率、合格点及び民法の平均点は下記の通りです。
合格に必要な得点率は平均すれば61.7%ですが、上位17%前後に入れるかといった競争試験と言ってよいでしょう。
年度 | 合格率 | 合格点 | 民法の平均点 |
---|---|---|---|
2024年(令和6年) | 17.4% | 400点 | 45.9点 |
2023年(令和5年) | 16.4% | 369点 | 47.8点 |
2022年(令和4年) | 16.4% | 369点 | 50.5点 |
2021年(令和3年) | 16.7% | 380点 | 49.6点 |
2020年(令和2年) | 17.7% | 380点 | 52.0点 |
2019年(令和元年) | 14.9% | 353点 | 45.7点 |
出題形式と配点
不動産鑑定士試験における民法の試験問題は、論述式の大問2題を2時間で解答する形式となっています。
配点は経済学や会計学と同様に100点となっています。試験問題の特徴として、解答に必要な条文が問題文に掲載されていることが挙げられるでしょう。
そのため、条文の文言を暗記する必要はなく、司法試験や公認会計士試験のように条文集が貸与されて、試験中に必要な条文を自分で引くという作業も不要となります。
なお、大問内において2問程度の小問が問われますが、近年ではそのうち1問が条文上の要件を指摘してあてはめる問題が、もう1問はいわゆる論点型の問題が出題されるのが一般的です。
近年における民法の出題は、以前と比べて問題文が長文となっているといった傾向にあります。
問題文が長文である方が書くべき内容が明確になっている事が多いため、問題として解答しやすくなっていると考えてよいでしょう。
本試験当日の特徴として、時間的制約がかなり厳しいという点があります。
不動産の鑑定評価に関する理論(以下、鑑定理論)で出題される演習という科目を除けば、本試験において最も時間が足りない科目だと考えてよいでしょう。
民法に合格するには?勉強法のポイント3つ
ここでは、民法の勉強法のポイントを3つ紹介します。
- 答案の書き方を大事にする
- 要件とあてはめが大事
- 論証自体の暗記はそれほど重要ではない
答案の書き方を大事にする
民法は法律科目であることから、法的三段論法と呼ばれる答案の書き方に関する一定の方法論があります。
不動産鑑定士試験における他の科目と異なり、知識のインプットだけではなく、事例問題に応じた答案の書き方についても一定程度練習する必要があるでしょう。
なお、司法試験等とは異なり不動産鑑定士試験における民法はあくまで教養科目ですから、採点上は配慮してもらえると考えられます。
そのため試験時間が足りない等の理由で、多少法的三段論法が崩れていたとしてもある程度の点数はもらえると思われるものの、試験上は可能な限り法的三段論法を守った方がいいでしょう。
要件とあてはめが大事
不動産鑑定士試験における民法では、条文上の要件を丁寧に指摘し事例の内容にあてはめることが重要となります。
そのため、条文から要件を抽出できるようにしておく必要がありますし、条文上明確とは言えない要件についてはテキスト等を用いて事前に把握しておく必要があります。
また、あてはめの練習のためには過去問等の事例問題を自分で解いてみるとよいでしょう。
論証自体の暗記はそれほど重要ではない
不動産鑑定士試験では、鑑定理論という科目を学習している弊害からか、民法の学習において論証等の暗記精度を高めることに終始する人もいらっしゃいます。
しかし試験において重要なのは、必要な判断基準(規範)を落とさず指摘することと、丁寧なあてはめをすることです。
鑑定理論における不動産鑑定評価基準の暗記のように、論証等の文言を正確に暗記しなければならないというものではないので注意しましょう。
まずは要件をしっかりと押さえた上で、どのような論点が存在するのかを幅広くテキストや論証集を用いて確認する事が重要です。
その上で、各論点の結論と結論に対応する理由をなにか1つ押さえることが目標となります。
なお、不動産鑑定士試験において出題される論点は判例があるものが中心となります。
特にこだわりがなければ判例の立場を押さえておくだけでよく、学説までの深い学習は余裕がなければ気にしなくてよいでしょう。
まとめ
民法は法律科目である事から、答案の書き方などで初学者の方が戸惑う科目です。
しかし、司法試験のように法律の専門家になるための試験ではないことから、求められるものは決して高いレベルのものではありません。
法的三段論法や、事例問題の解答方法を身に着け、安定的な点数を取れることを目指しましょう。
独学で学習を進めるのが難しい人は、不動産鑑定士試験の通信講座を活用することで、効率よく学習を進められます。
不動産鑑定士に興味のある方に、本コラムが参考になったのであれば幸いです。
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令和元年不動産鑑定士試験 合格
北海道大学大学院経済学院会計情報専攻 卒業
大手資格予備校の講師として公務員試験(経済系科目・法律系科目・会計学等)、日商簿記検定試験を⾧年指導。
効率的な勉強方法を追及するため、自身で様々な資格試験を受験し、合格している。
自身の学習経験に加え様々な合格者の学習方法を分析し、効率性を追及した講義と教材の提供を行っている。