【不動産鑑定士試験】会計学の勉強法は?試験のレベルも解説
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不動産鑑定士試験における会計学の難易度や勉強方法について悩んでいませんか?
他の国家資格と比較すると不動産鑑定士試験についての情報は少ない状況であり、情報収集がしにくいことから不安になっている方もいらっしゃるのではないでしょうか。
このコラムでは試験科目の一つである会計学の概要や問題のレベル、試験合格のためにはどのような勉強をすると効率がよいのかがわかります。
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不動産鑑定士試験における会計学の概要は?試験のレベルも解説
不動産鑑定士試験における会計学は、論文式試験のみの出題であり、短答式試験では出題されません。
一般的に財務会計と呼ばれる範囲を中心に学習し、複雑な簿記上の処理や管理会計に関する知識については、ほとんど必要としないと考えてよいでしょう。
一部計算が出題される場合もありますが、理論問題を中心として出題されます。
日本商工会議所主催簿記検定試験(以下、日商簿記)の学習経験がある場合には用語の意味をある程度学習しており、イメージを持ちやすいため有利となるでしょう。
なお、固定資産の減損会計、棚卸資産の評価、賃貸等不動産の時価等の開示など、不動産の鑑定評価と会計学は密接に関係する科目と言えます。
そのため、不動産鑑定士として重要な科目となります。
会計学の試験内容・出題範囲・試験レベル
会計学の試験内容は、会計基準の理解を問う問題が中心となります。
出題範囲としては企業会計審議会による「企業会計原則」や「固定資産の減損に係る会計基準」、企業会計基準委員会による「財務会計の概念フレームワーク」や「資産除去債務に関する会計基準」など、財務会計に関する会計基準が広範に出題されます。
試験問題のレベルとしては、日商簿記1級会計学の理論部分や税理士試験財務諸表論の理論部分で問われるような理論問題が中心ですが、公認会計士試験論文式試験(会計学)で問われるような難易度の高い問題が出題されることも稀にあります。
記述問題として出題される問題のレベルとして例を挙げると、「負ののれんが発生する原因について答えよ」や「固定資産の減損処理は時価評価に該当するか説明せよ」といったレベルを想定するとよいでしょう。
参考としてですが、すでに公認会計士試験に合格している方が会計学の免除制度の申請を行うか、それとも免除制度を使わず会計学で得点を稼ぎ出すかについて話題になることがあります。
公認会計士試験の学習をされている場合、不動産鑑定士試験における会計学の学習範囲のうち99%以上を学習済みと言え、基本的には高得点の獲得が期待できます。
しかし両試験では出題傾向が大きく異なる事には注意が必要でしょう。
公認会計士試験の論文式試験においては貸与される基準集に記載されているものや、基礎的すぎて出題可能性が低いため暗記する必要性が比較的乏しい論点なども、不動産鑑定士試験においては出題されるためです。
具体的には「引当金の設定要件」、「繰延資産の定義」、「減価償却の必要性」などです。
なお、他の受験生より深い知識を解答に表現することで加点を得ることは、答案用紙のスペースの関係から難しいことが多いため、考えない方が良いでしょう。
合格率・合格ライン
不動産鑑定士試験では、科目ごとの合格というものは存在せず、合計点で合否の判断がされます。
過去5年間の不動産鑑定士試験(論文式試験)の合格率、合格点及び会計学の平均点は下記の通りです。
合格に必要な得点率は平均すれば61.7%ですが、上位17%前後に入れるかといった競争試験と言ってよいでしょう。
会計学の特徴としては、教養三科目(民法、経済学、会計学)の中で最も平均点が低い年が多い事です。これは科目の性質上、会計基準から離れて自分の言葉で説明して部分点を取る事が難しいためと考えられます。
論文式試験では、総合点が合格ラインを超えていても、各科目が一定点に達しない場合は不合格となります。
会計学は部分点が取りにくい科目であるため、足切りにならないよう特に注意が必要でしょう。
年度 | 合格率 | 合格点 | 会計学の平均点 |
---|---|---|---|
2024年(令和6年) | 17.4% | 400点 | 51.8点 |
2023年(令和5年) | 16.4% | 369点 | 42.5点 |
2022年(令和4年) | 16.4% | 369点 | 44.7点 |
2021年(令和3年) | 16.7% | 380点 | 48.6点 |
2020年(令和2年) | 17.7% | 380点 | 53.1点 |
2019年(令和元年) | 14.9% | 353点 | 38.1点 |
出題形式と配点
会計学の出題形式は、記述問題、会計基準の穴埋め問題、計算問題で構成されます。
このうち計算問題に関しては毎年出題されるとは限りません。
大問2題が出題され、配点は100点となっています。
近年における会計学の記述問題は試験問題の見直しもあり、複数の小問から構成されています。
各問の記述量は大きく減少しており、各小問の記述量は2行から5行程度の場合が多く、問われている内容のみを端的に解答する出題と考えてよいでしょう。
具体的には、不動産の鑑定評価に関する理論(論文)、民法、経済学においては大問1問(50 点相当)当たり 50 行の解答スペースが与えられるのが通常ですが、会計学においては 15 行から20行程度の記述量となります。
そのため、本試験において最も時間的余裕がある科目と考えてよく、時間が足りないということはほとんど考えられないでしょう。
会計学に合格するには?勉強法のポイント3つ
ここでは、会計学の勉強法のポイントを3つ紹介します。
- 出題の偏りを意識する
- 定義は優先的に覚える
- 出題形式等が変更されている事に注意する
出題の偏りを意識する
不動産鑑定士試験の特殊性から、資産に関連する出題が多くなっています。
例えば、「棚卸資産」、「固定資産」、「資産除去債務」、「減損会計」、「リース会計」などは頻出と考えてよいでしょう。
もちろん「引当金」など、資産との関連が低い内容も当然出題されることがありますから、わからない問題が出題された場合に白紙答案とならないよう、試験対策としては苦手分野を作らないように学習することが重要ではあります。
しかし、出題頻度はかなり偏りがありますから、優先順位を考えながらメリハリを付けた学習をすると良いでしょう。
定義は優先的に覚える
以前の試験と比較すると減少傾向にあるものの、定義に関する出題は近年の試験でも多く出題されています。
特に、会計基準に記載のある定義については穴埋め問題で出題されることも多く、また、定義を理解していれば内容の理解にも繋がるため、定義は優先的に覚えるようにしましょう。
出題形式等が変更されていることに注意する
以前の会計学では長文の論述問題が出題されていましたが、現在は小問形式の短文記述問題や文章の穴埋め問題など、出題形式が変更されています。
また、会計基準は改正や新設が多くあります。
資格試験を受験する上での学習方法として過去問演習は有効ですが、会計学については出題の傾向を掴むなどの効果を期待した場合、過去問演習の重要度が他の科目と比較するとかなり劣るため注意しましょう。
まとめ
会計学は不動産の鑑定評価と密接に関係する科目であり、扱う業務にもよりますが、実務上も重要とされる科目です。
受験年度によっては問われる内容が難しい場合もありますが、科目としての平均点が低いことが多い科目ですから必要以上に不安に思う必要はないでしょう。
出題の偏りを意識しながらメリハリを付けて効率的に学習していただければと思います。
メリハリある学習で最短合格を目指したい人は、予備校・通信講座の利用もおすすめです。
不動産鑑定士に興味のある方に、本コラムが参考になったのであれば幸いです。
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令和元年不動産鑑定士試験 合格
北海道大学大学院経済学院会計情報専攻 卒業
大手資格予備校の講師として公務員試験(経済系科目・法律系科目・会計学等)、日商簿記検定試験を⾧年指導。
効率的な勉強方法を追及するため、自身で様々な資格試験を受験し、合格している。
自身の学習経験に加え様々な合格者の学習方法を分析し、効率性を追及した講義と教材の提供を行っている。