【介護福祉士国家試験】「障害の理解」の基本情報と勉強法
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「介護福祉士試験の『障害の理解』の科目は仕事で関わらないからな…覚えにくそう…」
そんな風に思ってりまう方もいるのではないでしょうか。
介護福祉士試験の受験生の多くが高齢者介護の仕事をしている方なので、苦手意識を持つことは当然かもしれません。
この記事では、障害の理解への苦手意識を克服するヒントや勉強法について解説します。
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「障害の理解」科目とは?
「障害の理解」は、受験生が苦手な科目のひとつとされます。
「障害の理解」は、総問題数125問のうち10問と出題数は多くありません。
しかし、出題範囲が「障害の概念」「障害のある人の心理」「障害に伴う機能の変化と日常生活への影響」「地域におけるサポート体制」「家族への支援」などと、幅広い分野から出題されます。
また、多くの受験生にとって馴染みのない分野であることから、苦手意識が強い科目といえます。
第33回(令和2年度)介護福祉士試験の受験者の内訳を確認してみましょう。
受験者総数84,032人のうち、「障害者福祉施設の介護職員等」は 5,222人だけで、残りの78,810人、93.78%の受験者は、日頃、障害者とかかわりのない仕事をしています。
つまり、多くの受験生は、「『障害の理解』とは関係のない仕事をしている」という意識から、苦手意識を抱いているといえるのです。
しかし、「障害の理解」の出題範囲をよく見ると、「難病」や心臓機能障害・腎臓機能障害などの「内部障害」といった、高齢者介護の仕事をする受験生に関係のある分野も含まれています。
また、地域共生社会の動きや共生型サービスの導入などを考えると、高齢者介護の仕事をする受験生も、「障害の理解」の知識は必要不可欠なものと考えた方が良いでしょう(共生型サービスとは、介護保険サービスと障害福祉サービスを、一つの事業所において一体的に提供する取り組みです)。
「障害の理解」の勉強法
「障害の理解」をやみくもに勉強すると、苦手意識がさらに高まり知識や理解が定着しません。
多くの受験者に馴染みのない科目なので、まずは苦手意識を克服するためにも、同科目全体の把握が重要です。
ただ、「障害の理解」だからといって受験勉強自体に特別な勉強法は必要ありません。
資格試験の一般的な勉強法であるインプット・アウトプットや模擬試験の受験が最も効率的と言えます。
「障害の理解」全体を把握するが大切
「障害の理解」の出題範囲は、介護福祉士試験の主催団体の公益財団法人社会福祉振興・試験センターが公表している試験科目別出題基準によると、下図のような構成になっています。
障害の理解の試験科目別出題基準 | ||
障害の基礎的理解 | 障害の概念 | ・障害の捉え方、ICIDH(国際障害分類)からICF(国際生活機能分類)への変遷、その他 |
障害者福祉の基本理念 | ・ノーマライゼーション、リハビリテーション、国際障害者年の理念、その他 | |
障害の医学的側面の基礎的知識 | 身体障害 | ・視覚障害の種類と原因と特性 ・聴覚障害、言語機能障害の種類と原因と特性 ・肢体不自由の種類と原因と特性 ・内部障害の種類と原因と特性 |
精神障害 | ・精神障害の種類と原因と特性 ・高次脳機能障害の種類と原因と特性 |
|
知的障害 | ・知的障害の種類と原因と特性 | |
発達障害 | ・発達障害の種類と原因と特性 | |
難病 | ・難病の種類と原因と特性 | |
障害のある人の心理 | ・障害が及ぼす心理的影響 ・障害の受容・適応と適応機制、その他 |
|
障害に伴う機能の変化と日常生活への影響 | ・障害のある人の特性を踏まえたアセスメント | |
連携と協働 | 地域のおけるサポート体制 | ・行政、関係機関との連携 ・障害者総合支援法における協議会との連携 ・その他 |
チームアプローチ | ・他の福祉職種との連携 ・保健医療職種との連携 ・その他 |
|
家族への支援 | 家族への支援 | ・家族の障害の受容の過程での援助 ・家族の介護力の評価 ・家族のレスパイト ・その他 |
「障害の理解」の科目全体を見ると、馴染みのない分野だと思い苦手意識があった同科目が、他の科目との関連や仕事での馴染みがある分野も含まれていることがわかります。
少しでも馴染みがあると苦手意識は薄らいでいくのではないでしょうか。
他の科目と重複する分野は関連づけて勉強する
「障害の理解」は、他の科目と重複する分野を関連づけて勉強すると効率的です。
他科目と同科目の重複している分野は
■介護の基本
ICF、ノーマライゼーション、リハビリテーション、チームアプローチ、地域におけるサポート体制
■介護過程
チームアプローチ
■認知症の理解
チームアプローチ、家族への支援
などがあります。
この他にも、「社会の理解」の科目には、「障害者自立支援制度」という分野が含まれています。
また、試験科目別出題基準に載っているもの以外でも、試験勉強を進めていくと、所々で「障害の理解」と関連している分野が見つかります。
他の科目と関連づけることで、苦手意識を薄め、効率的に勉強することが大切です。
関連コラム:【介護福祉士国家試験】「介護の基本」の基本情報と勉強法
関連コラム:【介護福祉士国家試験】「介護過程」の基本情報と勉強法
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関連コラム:【科目別】介護福祉士国家試験問題の出題傾向と勉強の優先度
仕事をイメージしながら勉強する
仕事で関係している分野は、普段の仕事をイメージしながら勉強すると効率的です。
「難病」「内部障害」「チームアプローチ」「家族への支援」などは、高齢者介護の仕事をしている方には、普段の業務で携わっている分野かもしれません。
ここで、第33回(令和2年度)介護福祉士試験の「障害の理解」の問題を見ていきましょう。
心臓機能障害のある人に関する記述として,最も最適なものを1つ選びなさい。 1 塩分の制限は必要としない。 2 呼吸困難や息切れなどの症状がみられることが多い。 3 日常生活で外出を避けるべきである。 4 ペースメーカーの装着者は,身体障害者手帳の交付対象から除外される。 5 精神的なストレスの影響は少ない。 (正解は2) |
この問題は、内部障害の一つである心臓機能障害についての問題です。
心臓機能障害という用語だけ見ると、とても難しく感じます。
しかし、心臓機能障害の原因となる主な疾患は、狭心症や心筋梗塞、高血圧、不整脈などです。
現在の職場で、狭心症や不整脈を患っている利用者をイメージできれば、十分に正解にたどりつける問題です。
高齢者介護の仕事をしている受験生なら、一度は聞いたことがある病気や、かかわっている利用者が患っている病気などが、「障害の理解」には含まれています。
このように普段の仕事を通して「障害の理解」を勉強することで、苦手意識が薄らぎ効率的に勉強できます。
基本はインプット・アウトプット
勉強法としては、参考書・過去問題集を使ったインプット・アウトプットや模擬試験参加が遠回りのように感じますが効率的で確実な勉強法といえます。
インプット・アウトプット
資格試験の王道の勉強法は、インプット・アウトプットにつきるといえるでしょう。
なぜなら、インプットした知識や理解を、アウトプットで復讐することにより知識や理解が定着するからです。
インプットには参考書やテキスト、アウトプットには問題集や過去問題集が適しています。
「障害の理解」だから特別な勉強法が存在するわけではなく、むしろ馴染みのない「障害の理解」だからこそ、インプット・アウトプットの勉強法が良いのです。
また、アウトプットの問題を解くという行為は試験本番でも行うことなので、本番対策にもなるともいえます。
模擬試験に参加する
試験対策として、模擬試験の受験もおススメします。
試験本番と同じ時間配分で問題を解くことで、時間配分がわかるだでけではなく、試験の緊張感や疲労感を体験できるからです。
模擬試験はただ解いて終わりではなく、受験した後に、しっかりと復習することで知識・理解の定着に繋がります。
模擬試験によっては、試験後に解説講座を行っているものもあるので、機会があれば出席してみると、新しい学びがあると思います。
模擬試験は会場で行うタイプと自宅で行うタイプの2種類があります。
より試験本番に近い状態で、緊張感や疲労感を体験できるのは、会場で行うタイプです。
様々な専門学校や都道府県介護福祉士会が模擬試験を主催しているので、一度調べてみるといいでしょう。
対策講座も検討する
「障害の理解」の勉強に限ったことではありませんが、介護福祉士試験の受験勉強に自信の無い方には、通信講座や通学講座もいいかもしれません。
介護福祉士試験は独学でも合格が可能な資格試験ですが、仕事や家庭と両立させながらの試験勉強はとても大変なので、確実に合格したいなら通信講座や通学講座の受講を検討しても良いでしょう。
確かに受講費用はかかりますが、施設・事業所勤務の方であれば介護福祉士を取得することで毎月資格手当がつきます。
施設・事業所によっても異なりますが、ひと月に5,000~30,000円の手当がつくことを考えると、1年でもとは十分とれると言って良いでしょう。
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▶資料請求して特典を受け取るこの記事の監修者 遠藤 愛 講師
全くの異業種から介護の世界に飛び込み、訪問介護員として介護業界での勤務をスタート。住居環境・経済状況が様々なケースを担当。
現在は、医療ソーシャルワーカーとして、地域の在宅・施設の福祉職と協働しながら、数多くの高齢者・障害者とその家族への退院支援業務にあたる。