【科目別】介護福祉士国家試験問題の出題傾向と勉強の優先度
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介護福祉士は介護の分野で国に認められている唯一の国家資格であり、取得を目指す人は多いです。
しかし科目数や出題形式が多いため、仕事と並行しながら勉強をして合格できるか不安に感じている人は多いと思います。
今回はそんな悩みを解消するため介護福祉士国家試験について試験科目・出題形式を中心に解説していきます。
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- 介護福祉国家試験の科目
- 介護福祉士試験の問題形式
- 介護福祉士国家試験の13の科目の問題の難易度と勉強の優先度
- 介護福祉国家試験に合格するのに必要な勉強時間
- 介護福祉国家試験は科目毎の重要なポイントを抑えることが重要
介護福祉国家試験の科目
介護福祉士国家試験では筆記試験があり、解答方法はマークシート方式で5つの選択肢から「正しいもの」及び「最も適切なもの」等を1つ選ぶ方式になっています。
出題は4つの領域の12の科目と総合問題を合わせた13科目で構成されています。
試験科目は13科目ですが、「人間の尊厳と自立(2問)」と「介護の基本(10問)」、「人間関係とコミュニケーション(2問)」と「コミュニケーション技術(8問)」は1つの科目群として扱うため、科目群としては11科目群になります。
介護福祉士国家試験の分野及び科目名 | |
分野 | 科目名 |
人間と社会 | 1 人間の尊厳と自立 |
2 人間関係とコミュニケーション | |
3 社会の理解 | |
介護 | 4 介護の基本 |
5 コミュニケーション技術 | |
6 生活支援技術 | |
7 介護過程 | |
こころとからだのしくみ | 8 発達と老化の理解 |
9 認知症の理解 | |
10 障害の理解 | |
11 こころとからだのしくみ | |
医療的ケア | 12 医療的ケア |
総合問題 | 13 総合問題 |
介護福祉士試験の問題形式
出題される問題数は125問、試験時間は220分です。
総合問題については1つの事例から3問出題される形式で、全部で4つの事例が出題されるので合計12の問題が出題されます。
出題数と試験時間の関係から1つの問題にかけられる時間は、1分30秒位になります。
いままで出題された問題についてはこちらで確認することができます。
介護福祉士国家試験の13の科目の問題の難易度と勉強の優先度
それでは、介護福祉士国家試験の各科目について、重要度や難易度について解説していきます。
介護福祉士国家試験は科目数が多いので、詳細に各科目の対策をすることで合格に繋がります。
1 人間の尊厳と自立(2問)
介護サービスを提供する上で、正しい倫理観や教養があるかを、この科目では求められます。
倫理観をもって利用者や家族への返答ができるか、人権や人間の尊厳に影響を与えた人物について出題されます。
出題範囲については人間理解や人権、利用者の尊厳のあり方等幅広く問われます。
問題の難易度と勉強の重要度
基本的な倫理観や用語の意味について理解していれば解ける問題が多いので難易度としては低めです。
日本だけでなく海外の福祉制度などについて、出題されることもあるので勉強する際は意識して勉強しましょう。
リッチモンドはほかの科目でも出てくるの人名を覚えましょう。
関連コラム:【介護福祉士国家試験】「人間の尊厳と自立」の基本情報と勉強法
2 人間関係とコミュニケーション(2問)
利用者とのコミュニケーションの取り方や、コミュニケーションを通した自己覚知について出題されます。
人間の尊厳と自立の科目同様、出題数が少ないので確実に1問は正解する必要があります。
問題の難易度と勉強の重要度
基本的なコミュニケーション方法についての知識があれば解ける問題が多いので、そこまで難易度は高くありません。
試験対策としては過去に出題された問題をよく分析し、ラポール、受容、共感、傾聴などの重要な項目は押さえておきましょう。
過去に出題された問題もでるので、分析しておきましょう。
関連コラム:【介護福祉士国家試験】「人間関係とコミュニケーション」の基本情報と勉強法
3 社会の理解(12問)
行政が行っている福祉制度から主に出題されます。
介護保険制度だけでなく成年後見制度や地域包括支援システムなどからの出題もあり、制度の内容について正しく理解しているか問われます。
問題の難易度と勉強の重要度要度及び難易度
出題範囲については介護保険制度・障害者自立支援制度・共生型サービスについて頻出しています。
ただし、近年は障害分野や生活保護法など幅広い福祉制度に関する知識も求められるようになっています。
勉強する際は、各制度の対象者・利用方法などを整理して分かるようにしておきましょう。
社会保障の財源など介護現場で仕事しているだけでは、分からない問題も出題されるため詳細な学習が必要になります。
そのため難易度としては高めです。
関連コラム:【介護福祉士国家試験】「社会の理解」の基本情報と勉強法
4 介護の基本(10問)
介護を行う上で必要な法令や倫理感などについて基本的な事柄が問われます。
高齢者領域だけでなく障害領域からの出題もあるので、勉強する際は1つの領域に隔たらないようにしましょう。
問題の難易度と勉強の重要度度及び難易度
用語を理解していないと分からない問題も出題されますが、基本的な介護に対する知識があれば解ける問題が多いので、難易度としては低めです。
社会福祉士及び介護福祉士法・ICF・介護福祉士の職業倫理について頻出しています。
介護福祉士の定義(義務と罰則、登録)については理解しておきましょう。
最近創設された介護医療院や共生型サービスについても、概要などを把握しましょう。
関連コラム:【介護福祉士国家試験】「介護の基本」の基本情報と勉強法
5 コミュニケーション技術(8問)
介護の場面で必要となるコミュニケーションについて問われる科目です。
問題の難易度と勉強の重要度
主にコミュニケーション方法についての出題がされるので、出題範囲も広くなく勉強しやすいです。
障害や疾病によりコミュニケーションが難しい方とのコミュニケーション方法、家族とのコミュニケーション方法、介護記録を書く際の留意点は頻出しています。
コミュニケーションが難しい方とのコミュニケーションのとり方については、各障害別に特徴や対応方法をまとめておきましょう。
バイスティックの7原則はコミュニケーションをとるうえで重要になるので、理解しておきましょう。
事例問題も出題されますが、難易度はそれほど高くないので高得点を狙いたい科目です。
関連コラム:【介護福祉士国家試験】「コミュニケーション技術」の基本情報と勉強法
6 生活支援技術(26問)
介護福祉士国家試験の中で1番出題数が多い科目です。
利用者の方を支援していく上で、必要な技術や知識について問われます。
問題の難易度と勉強の重要度
出題数が1番多い科目なので、重要度は高く、確実に得点につなげたいです。
食事介助、入浴介助、排泄介助の3大介助から終末期の介助方法など幅広く出題されますが、馴染みやすい出題が多く、イラストを用いた問題も出題されます。
基本的な介助方法、終末期のケア、睡眠障害がある利用者への対応が頻出しています。
実際の業務で経験していることからの出題が多いので、実務を通して確認しておきましょう。
近年介助技術だけでなく住居環境や家事についての出題もされるため、知識をつけておくといいです。
関連コラム:【介護福祉士国家試験】「生活支援技術」の基本情報と勉強法
7 介護過程(8問)
介護福祉士が利用者を援助する際の考え方について出題されます。
利用者の悩みを表面的に受け取るのではなくその背景を理解し、より良い援助をしていく上で活かされます。
問題の難易度と勉強の重要度
現場で実際に経験したことを参考に解答できるので、難易度としてはそこまで高くありません。
介護過程の目的、短期目標を設定する理由が頻出しています。
介護サービスをおこなう目的や、情報収集の方法、目標を設定する理由など整理しておきましょう。
事例問題も出題されますが、基本的な知識があれば解けるので高得点を狙いましょう。
関連コラム:【介護福祉士国家試験】「介護過程」の基本情報と勉強法
8 発達と老化の理解(8問)
発達と老化の理解では幼児期の対応から高齢者の対応まで幅広く出題されます。
老化によって発生する栄養状態の悪化や嚥下機能についての出題も見られます。
問題の難易度と勉強の重要度
人体の構造や疾病についても出題されるため、知識がないと解けない問題が多いのが特徴です。
法律での年齢規定、加齢による身体状況の変化、高齢者がかかりやすい病気が頻出しています。
かかりやすい病気については、糖尿病や便秘など一般的な病気が出題されることが多いので整理しておきましょう。
出題される老化現象や疾病などは一般的なものが多いので、学習する際は頻出用語を押さえて過去に出題された問題も復習しておくといいでしょう。
関連コラム:【介護福祉士国家試験】「発達と老化の理解」の基本情報と勉強法
9 認知症の理解(10問)
各認知症の特徴や具体的な症状な症状を理解しないと、解けない問題が多いです。
認知症になった本人だけでなく、認知症の人の家族に対する支援も出題されます。
問題の難易度と勉強の重要度
各認知症に対する知識や中核症状・周辺症状に対する知識があれば解ける問題が多いです。
認知症の原因疾患、認知症の種類と症状の特徴、治療と検査法、家族への支援方法が頻出しています。
勉強する際は、各認知症の原因疾患や特徴などをしっかりと整理しましょう。
今後の認知症ケアの方向性や地域で認知症の方が生活していくための施策も出題されているので、覚えておきましょう。
学習する際は認知症の症状だけでなく、社会的な背景についても学習して高得点に繋げましょう。
関連コラム:【介護福祉士国家試験】「認知症の理解」の基本情報と勉強法
10 障害の理解(10問)
障害の理解では、障害種別ごとの、種類、原因、特性などについて出題されます。
QOL・ノーマライゼーション・ICF・リハビリテーションなどとも関係が深い単元なので、並行して学習しておく必要があります。
問題の難易度と勉強の重要度
障害者関連の法律やICIDHなどからの出題もあり、きちんとした対策をする必要がある科目です。
ICF、障害者関連の法律、障害の原因になる疾患は頻出しています。
その他にもQOL、ノーマライゼーション、リハビリテーションなどについても問われることがあるので意味を理解しておきましょう。
近年は障害者の地域移行に関する出題も増えているので、確認が必要です。
関連コラム:【介護福祉士国家試験】「障害の理解」の基本情報と勉強法
11 こころとからだのしくみ(12問)
知識や介護現場でよく見られる、疾患の原因や生活上の注意点などを出題される傾向が強いです。
身体的な症状からどのような病気の症状が見られるかなどの問題が出題されます。
問題の難易度と勉強の重要度
医療的な内容も多いので戸惑う人もいると思いますが、出題される内容は嚥下のプロセスや出題される症状などは普段介護の現場で、見られるものが多いので対策していれば難しくない科目です。
身体の変化からどのような症状がおきているか問う問題が多く、排泄の状態や終末期の身体の変化が頻出しています。
マズローの欲求階層説やライチャードの老年期の性格類型なども出題されるので、整理しておきましょう。
関連コラム:【介護福祉士国家試験】「こころとからだのしくみ」の基本情報と勉強法
12 医療的ケア(5問)
2017年度の介護福祉士国家試験から導入された科目です。
介護職が行うことができる医療行為や、医療行為を行う上での備品の管理の仕方などが出題されます。
範囲はそれほど広くありませんが、確実な知識が求められます。
問題の難易度と勉強の重要度
出題数が5問と少ないので、0点を取らないよう注意する必要があります。
経管栄養、喀痰吸引が頻出しています。
勉強する際は手順だけでなく、安全に実施する方法についても理解しましょう。
疑問点がある際は職場の医療職の方に聞くことをおすすめします。
過去に出題された問題と似たような出題もされることがあるため、過去問をよく繰り返し復習し対策しましょう。
関連コラム:【介護福祉士国家試験】「医療的ケア」の基本情報と勉強法
喀痰吸引をする際の介護職のできる範囲や経管栄養の栄養剤の保存方法なども出題されるので、介護職が行える医療行為についてよく理解しておく必要があります。
13 総合問題出題数12問(1事例3題出題され、合計4事例出題される)
人間と社会・介護・こころとからだのしくみ・医療的ケアの4領域から幅広く出題されます。
高齢者の方への支援方法だけでなく、障害をもつ人や法令など幅広い知識をもつ必要がとなります。
問題の難易度と勉強の重要度
4領域から出題されることもあり、横断的な知識が求められるため難易度は高いです。
用語が分かっていないと解けない問題が多くあるので、過去問を中心に勉強をして分からない用語をできるだけ減らしましょう。
そのため、この科目のための勉強をするのではなく各科目の知識をしっかりと付けていましょう。
関連コラム:【介護福祉士国家試験】「総合問題」の基本情報と勉強法
介護福祉国家試験に合格するのに必要な勉強時間
介護福祉国家試験に合格するためには約250時間が必要です。
平日2時間、休日3時間の勉強時間で4ヶ月ほど、毎日2時間の勉強時間で5ヶ月ほどかかります。
関連コラム:介護福祉士試験に必要な勉強時間は250時間!内訳とスケジュールを解説
試験には3ヶ月前でも合格することはできますが、効率よく勉強する事が重要になってきます。
試験までのスケジュールを立ててみて、250時間の勉強時間が確保できなそうな場合には通信講座や予備校などを検討されることをおすすめします。
関連コラム:介護福祉士国家試験は3ヶ月前からで間に合う?短期間で合格する勉強方法
関連コラム:介護福祉士国家試験の通信講座・予備校おすすめ6社を徹底比較!費用や特徴を解説
介護福祉国家試験は科目毎の重要なポイントを抑えることが重要
ここまで介護福祉士の国家試験について解説してきました。
科目が多く、難しそうと感じた人も多いと思いますが、介護福祉士の国家試験は例年合格率は70~80%と高く、科目毎に重要なポイントを抑えて勉強をすれば合格することは難しくありません。
ただし、注意点として介護福祉士国家試験では、0点の科目があると合格点に達していても不合格になります。
なので科目毎に勉強の優先度をつける必要がありますが、特定の科目だけを勉強するのではなく、すべての科目の対策をすることが重要です。
難易度が低い科目でも、手を抜かず勉強しましょう。
関連コラム:介護福祉士試験は過去問だけで受かる!理由と活用法を解説
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全くの異業種から介護の世界に飛び込み、訪問介護員として介護業界での勤務をスタート。住居環境・経済状況が様々なケースを担当。
現在は、医療ソーシャルワーカーとして、地域の在宅・施設の福祉職と協働しながら、数多くの高齢者・障害者とその家族への退院支援業務にあたる。