生活支援技術は、食事や入浴、排泄など生活を送るうえで必要な介護技術について出題されます。

1問でも多く得点するためには、項目ごとにまとめたり自立支援の視点で事例を読み解くなど勉強法に工夫が必要です。

生活支援技術の概要と勉強法を紹介していきますので、どのように修得していこうか迷っている方はぜひ参考にしてください。

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「生活支援技術」科目とは?

生活支援技術は、介護領域の中で介護の基本、コミュニケーション技術、介護過程と並び4科目で構成されています。

その中でも生活支援技術は試験問題150問のうち26問と最も多く出題されており、介護福祉職にとって基本的かつ重要な科目であるといえます。

生活支援技術はとても広い範囲で出題されます。

介護が必要な高齢者や障害者に介護技術をどう活用するのか、という視点に加え、尊厳や自立支援といった価値感まで問われますので、出題数も多いのは当然といえます。

生活支援技術の重要度

生活支援技術は、国家試験科目の中で基礎知識となる最重要科目として位置づけられます。

この科目で基本要素をおさえておかないと、介護領域での知識が深まらないだけでなく、事例問題も理解できません。

生活支援技術の問題数と難易度

生活支援技術の出題数は全150問中26問あり、事例問題も出題されています。

難易度は科目全体と比較すると、やや易しい科目に分類されますので、この領域で1問でも多く点数を取ることが、合格へのカギとなります。

関連コラム:【科目別】介護福祉士国家試験問題の出題傾向と勉強の優先度

「生活支援技術」の勉強法

生活支援技術は、範囲が広いのでしっかりと出題基準を確認し、何を学ぶか整理してから勉強を始めましょう。

生活支援技術は、例年出題項目から万遍なく出題されており、近年は特に、

  1. 項目ごとの介護技術の要点
  2. ICF指標の理解
  3. イラスト問題
  4. 自立支援の視点

がポイントになります。

この4つのポイントについて、具体的な勉強法を紹介していきます。

1.要点整理は表にすると覚えやすい

介護技術は範囲が広いので、覚える内容が多岐にわたります。

食事や入浴、排泄場面における介護のポイントや留意事項を項目ごとに表でまとめると頭に入りやすくなります。

また時間があるときにいつでも表をみられるよう持ち歩くと効率よく学習できます。

大項目ポイント
身じたくの介護・潜在能力を引き出す工夫
・マグネット式のボタン
(細かい手指動作ができない人)
自立に向けた食事の介護・安全な姿勢
(テーブルに肘がつく程度の高さ)
・嚥下体操が大事 

2.ICFの視点がポイント

ICFは、利用者の状態を多角的に把握する指標のことで、国際生活機能分類とよばれます。

この指標はWHO(世界保健機関)が2001年に採択したもので、利用者の健康状態や生活状況、環境面などを多角的に情報収集、分析できる点が特徴です(下の図)。

参考:厚生労働省「ICFの構成要素間の相互作用」

ICFが優れている点は、それぞれの要素が相互に影響しあっていることが目に見えることです。

例えば、認知症で心身機能の低下が進行しても、地域での活動や参加の機会を保つことで、心身機能の低下を遅らせる場合があります。

ですから介護福祉職は現状の課題を分析しながら、利用者の強みを生かした支援計画を立てることができます。

3.図を使用した問題

生活支援技術は、毎年数問イラストを用いた問題が出されます。

第33回では、高齢者が寝た状態で体位交換する際に力点を問う出題と、洗濯表示の記号に関する問題がそれぞれイラストを用いて出されました。

ただし、イラスト問題への対策として、例年基礎知識を身につけておけば解ける内容となっていますので、特別な準備をする必要はありません。

4.出題基準「自立に向けた~」がポイント

出題基準をみると食事や入浴・清潔保持、排泄の介護などすべての項目には「自立に向けた~」という言葉がついています。

これは、介護福祉職は利用者のすべてを介護するという意味ではなく、「利用者が持っている力をうまく引き出しながら介護する」という役割があるからです。

第33回の問題を例に、自立に向けた支援の考え方を解説します。

問題48

Kさん(72歳,女性,要介護2)は、脳梗塞で入院したが回復し、自宅への退院に向けてリハビリテーションに取り組んでいる。トイレへは手すりを使って移動し、トイレ動作は自立している。

退院後も自宅のトイレでの排泄を希望している。Kさんが自宅のトイレで排泄を実現するために必要な情報として、最も優先されるものを1つ選びなさい。

1 便意・尿意の有無
2 飲食の状況
3 衣服の脱衣の様子
4 家族介護者の有無
5 トイレまでの通路の状況

正解は5です。

この事例で重要なのは、Kさんはリハビリテーションに取り組んだことで、病院では手すりを使って移動できて、トイレ動作が自立している点です。

つまり、退院後も自宅のトイレでで排泄したいというKさんの意向が可能かどうかを見極めるためには「自宅でのトイレまでの通路状況がどうなっているか」という情報が重要になります。

もし病院と同じように手すりを使って移動できる環境であれば、Kさんは家族や介護福祉職に頼らず、自分の力で退院後もトイレに行けるのことが明確になり、不要な介護でKさんのできる力を奪わずに済みます。

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この記事の監修者 遠藤 愛 講師

遠藤 愛 講師

全くの異業種から介護の世界に飛び込み、訪問介護員として介護業界での勤務をスタート。住居環境・経済状況が様々なケースを担当。

現在は、医療ソーシャルワーカーとして、地域の在宅・施設の福祉職と協働しながら、数多くの高齢者・障害者とその家族への退院支援業務にあたる。

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