介護福祉士国家試験の実技試験は実質廃止?免除の条件と対策方法を紹介
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介護福祉士国家試験は介護福祉士の質を担保するため、筆記試験と実技試験の2種類が実施されます。
筆記試験は全員共通で受験することが決められていますが、実技試験は免除される方もいます。
今回は介護福祉士の実技試験試験について、受験申込から実技試験対策、実技試験の過去問について見ていきましょう。
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介護福祉士国家試験では筆記試験の後に実技試験があり、両方とも合格しなければ介護福祉士の登録はできません。
では介護福祉士国家試験の実技試験はどのような方が受ける必要があるのか、見ていきましょう。
実技試験は実質廃止?資格制度の見直しで実技試験が免除になるルートがほとんどに
2017年1月より、介護福祉士試験の実技試験が多くのルートで免除され、代わりに実務者研修が義務化されました。
実技試験を受ける必要がある人は?
実務試験を受ける必要がある人は福祉系高校ルートとEPA(経済連携協定)ルートの一部の方です。詳しく見ていきましょう。
福祉系高校ルート
受験申込時に介護技術講習に参加するかどうかを選択することになります。
平成20年以前に入学された方、平成21年以降に特例高校へ入学された方で介護技術講習に参加していない方は実技試験を受けなければなりません。
福祉系高校は平成21年以降に入学した方と平成20年以前に入学した方で異なります。
平成21年以降に入学された方はそのまま筆記試験のみの受験で実技試験は免除されます。
しかし平成20年以前に入学された方は旧カリキュラムになるため、実技試験を免除するためには介護技術講習に参加しなければなりません。
また特例高校の場合は更に9ヶ月以上の実務経験が必要となり、加えて介護技術講習に参加することで、実務試験は免除となります。
EPAルート(EPA介護福祉士候補者の方)
EPAルート(EPA介護福祉士候補者の方)は受験申込時に介護技術講習または実務者研修の受講をして実技試験を免除するか、受講せずに実技試験を受験するか選択することになります。
介護技術講習に参加するのであれば、実技試験を免除できます。
実技試験の日程
第35回(令和4年度)の試験概要では令和5年3月5日(日曜日)の予定です。
実技試験は筆記試験の後日、受験することになります。例年、3月上旬に開催されます。
実技試験の内容と出題範囲
実技試験の内容は、渡された事例にそって実技を行い、その内容を5分間で採点します。
要介護者の安全・安楽の確保や要介護者とのコミュニケーション、要介護者の自立支援・自己決定が採点要件になります。
実技試験は筆記試験に合格した方のみが受験可能です。
実技試験の合格基準
実技試験は出された課題の総得点のうち60%程度を基準として計算されます。
課題の難易度によって合格点が補正されるため、60%以下となることもありえます。
補正された合格点以上の得点を獲得できれば合格です。
実技試験が免除される条件
実技試験が免除される条件とは、どのような条件があるのでしょうか。
介護福祉士の実技試験免除ルート
介護福祉士国家試験の実技試験免除ルートは多く、大半が免除されます。
カリキュラムの中に実技試験と同等の内容が含まれていたり、実際に現場で実務経験を積んでいることが前提となっているため実技試験は免除されます。
福祉系高校ルート
福祉系高校ルートでは平成20年以前の入学者や特例高校の場合、介護技術講習の受講が条件です。
平成21年以降の入学者であれば新カリキュラムとなっているため、実技試験が免除されます。
経済連携協定(EPA)ルート
EPAルートの場合でも介護技術講習の修了または実務者研修を修了することにより実技試験を免除する事ができます。
養成施設ルート
養成施設ルートの場合、在学中に実習へ出るため現場での経験を得る事ができ、実技試験を免除することが可能です。
実務経験ルート
実務経験ルートの場合も実際に現場で介護を行いながら受験するため、実技試験を免除することが可能です。
介護過程・介護過程IIIを修了または履修する
介護過程、介護過程Ⅲを修了または履修することで、下記の方が実技試験の免除を受けることができます。
- 特例高校(専攻科を含む)を卒業し、9ヶ月以上介護等の業務に従事した方
- 福祉系高校(専攻科を含む)を卒業した方(平成20年度以前の入学者)
- EPA介護福祉士候補者
介護過程・介護過程Ⅲは実務者研修または介護福祉士養成施設などのカリキュラム内に含まれている科目になります。
介護過程・介護過程Ⅲを修了後に引き続き行われる実技試験を3回までを免除することができます。
実技試験が免除される期間は?いつまで?
実技試験が免除される期間はそれぞれのルートによって異なります。
福祉系高校ルートやEPAルートの介護技術講習修了にて免除となる場合には、講習修了後の2年が基本となっています。
養成施設ルートや実務経験ルートで介護過程・介護過程Ⅲを修了した場合には、その後3回目までの受験で免除とすることができます。
筆記試験が不合格で実技試験が受けられなかった場合でも、実技試験の免除期間は減っていくため注意が必要です。
実技試験免除申請のやり方
実技試験を免除する申請方法を紹介していきます。
(以下項目は社会福祉振興・試験センターHP参照)
実技試験免除申請が必要な人
実技試験免除が必要な方は、
- 福祉系高校(「特例高校」及び「平成20年度以前入学者」)卒業の資格で受験される方
- EPA介護福祉士候補者の方
となっています。
上記の2種類の方は実技試験免除申請が受験申込時に必要です。
受験申し込み時に研修を修了している場合
受験申し込み時に必要な研修を終了している場合には、申し込み用紙とともに研修を修了したとき発行される証明書の原本を提出します。
受験申し込み時に研修を修了していない場合
申し込み時に研修を終了していない方は、介護技術講習の実施者から交付される「介護技術講習受講決定通知書」を受験申込用紙に添付して提出することとなります。
講習終了後に「介護技術講習修了証明書」を試験センターへ提出します。
実技試験免除申請を変更する場合
受験申し込み時に講習修了見込みで提出していた方が、何らかの理由で修了しなかった、または受講しなかったなどで修了証の交付を受けられなかった場合には「実技試験免除申請取下書」を試験センターに提出します。
注意しなければならないのは、実技試験免除申請取下書は翌年の1月13日までに消印のあるものに限られます。
期限までに提出できない場合は、筆記試験に合格したとしても実技試験を受験する事ができなくなるため、注意が必要です。
受験申し込み時に注意すること
「介護技術講習」を修了しただけでは介護福祉士国家試験を受験したり、介護福祉士の資格登録はできませんので注意が必要です。
また介護技術講習修了証や介護技術講習受講決定通知書は原本を提出しなければなりません。
手許に届いたときには大切に保存しておきましょう。
実技試験に合格するための対策
実技試験に合格するためにはどのような対策をしたらよいでしょうか。
詳しくみていきましょう。
実技試験に適した服装
実技試験の場合は動きやすい服装や滑りにくい靴で受講することをおすすめします。
実技試験は筆記試験と違い、実際に身体を動かして採点されます。
動きにくいワイシャツやスカート、腕に小物をつける、サンダルやハイヒールでの参加は絶対に避けてください。
柔軟性がある上着にストレッチ性のあるズボン、滑りにくい靴で受験して、受験前には腕時計やブレスレットははずすようにします。
動きやすい服装ですが冬に試験が開催されるため、上着で調整できるような格好で受験しましょう。
実技試験の勉強方法
要介護者の安全・安楽の確保や要介護者とのコミュニケーション、要介護者の自立支援・自己決定の3つが大切なポイントとなります。
この3つをしっかりとポイントを押さえておくことが大切です。
要介護者の安全・安楽の確保
介助をする際、転倒やけがにつながるような介助をしないようにしましょう。
高齢者は急な動作への反応が遅くなってしまいます。
動作をするときには声をかけて、相手の反応を待ってから動き始めるようにしましょう。
要介護者とのコミュニケーション
無言で介助をされると要介護者に不安を与えてしまうことになります。
動作ひとつひとつを説明し、理解を得られるように声をかけましょう。
コミュニケーションは相手の反応が返ってきて成り立ちますので、反応があるまで待つ事が大切です。
要介護者の自立支援・自己決定
要介助者の状態を考えて、自己決定できる方には選択肢を示して選んでもらうようにしましょう。
要介助者への介護方法を採点されますが、全てを介助をすると自立支援を阻害してしまいます。
実技試験の過去問
ここからは過去問を紹介していきます。
過去問第28回介護福祉士実技試験
山田さん(85)は、右上下肢に麻痺があります。移乗は一部介助が必要です。 車いすを使用して、全介助で移動しています。 山田さんは、テラスでレクリエーションを終えて、車いすに浅く座っています。 山田さんは、少し疲れたと言って、飲み物を希望しています。 途中にある段差を超えて食堂まで移動してください。 そして、椅子に移乗して、飲み物をすすめるまでの介助を行ってください。 山田さんの返事は、「はい」または、うなずくだけです。
過去問第27回介護福祉士実技試験
青木かおるさん(93歳)は、下肢筋力が低下して杖を使用しています。立ち上がりと歩行に一部介助が必要です。 今、本人は居間で横になっています。 青木さんは「窓の近くにある植木に水をやりたい」と言っています。 青木さんが窓の近くまで移動して、いすに座るまでの介護をしてください。 青木さんは右利きです。 青木さんの返事は、「はい」または、うなずくだけです。
過去問第26回介護福祉士実技試験
遠藤ミツさん(80歳)は、2ヶ月前に視力を失い、生活全般に一部介助を必要としています。 遠藤さんは、食事に行く準備を整え、身だしなみを気にしています。 居室のいすに座っている遠藤さんを食堂まで歩行介助してください。 そして、遠藤さんが食卓について、スプーンを持つまでの介助をしてください。 本日の献立はカレーライスです。 遠藤さんの返事は、「はい」または、うなずくだけです。
以上 引用元:介護福祉士 実技試験 過去問と動画
まとめ
介護福祉士国家試験は筆記試験と実技試験に分かれています。
免除できるのであれば、免除したほうが合格へは近道です。
自分が実技試験を免除できるのかどうかを確認し、受講できそうであれば介護技術講習や実務者研修を受講して、国家試験に望むことをおすすめします。
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