今回は介護福祉士とはどのような資格なのか、社会福祉士など他の資格と何が違うのか、どのようなルートで取得できるのかを解説していきます。

介護の資格はさまざまありますが、介護業界で国家資格は介護福祉士のみです。

介護福祉士を目指すためには、資格に関する情報を把握しておく必要があります

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介護福祉士とは

介護福祉士とは「介護に係る一定の知識や技能を習得していることを証明する唯一の国家資格」とされています。(日本介護福祉士協会HP参照

介護福祉士は何かしらの障害を抱えた方が生活していく中で障害となることを、一緒に克服しながら自立した生活ができるように支援することが仕事です。

これから高齢者社会が目前に迫っている日本では、介護福祉士の活躍が期待されています

介護福祉士の仕事内容

では介護福祉士の仕事内容について見ていきましょう

介護福祉士の仕事は

  • 身体介護(オムツ交換、入浴介助、更衣介助、移動介助など)
  • 生活介護(調理、掃除、買い物、洗濯など)

ですが、この内容では介護職員初任者研修修了者や実務者研修終了者と同じになってしまいます。

介護福祉士にしかできない仕事は「アセスメントをして計画を立て、実施した後に計画を修正していく」という計画の立案と修正を行います。

その人の状態を見て、何が必要なのか、どのような目標を設定して関わっていかなくてはいけないのかなどを自分で考えていかなくてはいけません。

また自立支援に向けての指導や職員の育成、多職種との連携などを行っていきます。

この役割が介護福祉士の専門性といわれるところです。

介護福祉士国家試験について

介護福祉士になるためには国家試験を受験して合格しなければなりません

国家試験へ向けてスケジュールを組んでいくことになりますので、情報をしっかり見ていきましょう

国試の情報は公益社団法人社会福祉振興・試験センターのホームページへ記載がされます。

社会福祉振興・試験センターHP

試験日

第35回試験の予定について見てみましょう

受験受付:令和4年 8月上旬から9月上旬

試験日:筆記試験 令和5年上旬  実技試験 令和5年3月上旬

関連コラム:介護福祉士国家試験の日程・申し込み・完全ガイド

試験内容

第34回の介護福祉士国家試験内容について見ていきましょう。

①筆記試験

人間の尊厳と自立、人間関係とコミュニケーション、社会の理解、介護の基本、コミュニケーション技術、生活支援技術、介護過程、発達と老化の理解、認知症の理解、障害の理解、こころとからだのしくみ、医療的ケア、総合問題

②実技試験

介護等に関する専門的技能

難易度合格率

介護福祉士の合格率は平均して約70%程です。

厚生労働省が発表する「介護福祉士試験合格発表」では、令和3年度が72.3%、令和2年度71.0%、令和元年69.9%となっています。

関連コラム:介護福祉士の合格率と合格基準点(難易度補正)について解説!  

介護福祉士になるのは簡単?介護職員初任者研修や社会福祉士、ケアマネージャーとの比較

介護福祉士の国家試験合格率は約70%です。介護福祉士に比べて他の資格はどうなのでしょうか

社会福祉士は合格率が約30%、ケアマネジャーは18~23%と合格率が出ています。

初任者研修は正確な合格率の公表はありませんが、ほぼ100%だと言えるでしょう。

なぜなら、万が一不合格になった場合でも再試験が受けられるため、ほとんどの方が合格することができます。

(厚生労働省「社会福祉士国家試験の受験者数・合格者の推移」「介護支援専門員実務研修受講試験の実施状況について」より)

初任者研修と比べれば合格率が低く見えますが、国家資格の上位資格であるケアマネジャーや大学や短大を卒業して受験する社会福祉士と比べると合格しやすいと言えるでしょう。

しかしケアマネジャーも社会福祉士も介護分野に属するものの、介護福祉士とは専門性が違いますのであくまでも比較での参考と思っておいてください

介護福祉士になるには?

では介護福祉士になるために必要な道順を解説していきます。

介護福祉士になるためには下記のようなルートで取得を目指すようになります。

それではひとつずつ見ていきましょう。

養成施設ルート

養成所ルートで取得する場合を見ていきます。

受験資格

高校等を卒業していれば、養成学校へ進学することができます

福祉系大学や社会福祉士養成施設等、保育士養成施設等を卒業しても介護福祉士養成施設へと進むことができます。

介護福祉士の資格を取得するまでの流れ

養成施設ルートで介護福祉士を取得する基本的な流れとしては、4ステップあります。

  1. 養成施設卒業
  2. 介護福祉士国家試験(筆記試験のみ)を受験
  3. 合格証が届き次第、社会福祉振興・試験センターへ登録手続き
  4. 介護福祉士登録証が届いて、介護福祉士として働く

養成施設ルートに該当する養成施設には4種類あり、主に福祉系の学科に進むことになります。

  • 介護福祉士養成施設
  • 福祉系大学
  • 社会福祉士養成施設等
  • 保育士養成施設等

①へ進学した場合には卒業時に受験資格がもらえます。

②⓷④へ進学した場合にはその後介護福祉士養成施設で1年以上学び、筆記試験になります。

筆記試験を受験し、実技試験は免除となります。

合格できれば介護福祉士資格取得となります。

なお介護福祉士養成施設を令和8年度までに卒業できれば、国家試験に合格しなくても5年後に介護福祉士として登録することができます。

早く介護福祉士として勤務したい方は5年待たずに合格するよう頑張りましょう

実務経験ルート

では実務経験ルートを見てみましょう

受験資格

すでに介護施設などで経験を3年以上積んでいて、

  • 実務者研修
  • 介護職員基礎研修と喀痰吸引研修

のいずれかを修了していることが受験資格となっています。

以前までは実務経験のみで受験することが可能となっていましたが、法改正によって平成29年度からは養成所の卒業または上記の研修が必須になりました。

実務者研修について

実務者研修は、以前のヘルパー資格でいえば1級と同等の資格です。

新しい研修と思われがちですが、2013年に誕生しています。

実務者研修を受講していると、介護福祉士国家試験の受験資格が得られ、実技試験を免除することができます。

計画作成やサービス担当責任者になることも可能となっています。

研修内容も介護福祉士の国家資格に対応したものになっており、医療的ケアとして喀痰吸引や経管栄養も実施できます(※実際に行う際には喀痰吸引研修の実地研修を受講する必要があります)

介護福祉士の資格を取得するまでの流れ

実務経験3年以上に加え、実務者研修または介護職員基礎研修と喀痰吸引研修を修了していれば受験することができます

筆記試験のみの受験で実技試験は免除となります。

順序は前後しても大丈夫ですので、実務経験を積んでいる途中に研修を修了させておきましょう。

実務経験ルートで介護福祉士を取得するときの流れは、

  1. 実務者研修修了+必要経験年数をクリア
  2. 介護福祉士国家試験を受験(実技試験は免除)
  3. 合格証が届き次第、福祉振興・試験センターにて登録申請
  4. 介護福祉士登録証が届いて介護福祉士として働く

という流れになっています。

福祉系高等学校ルート

では福祉系高等学校ルートを見ていきましょう。

受験資格

平成21年度以降入学の方と平成20年度以前入学、特例高校等で変わってきます

平成21年度以降の入学者はそのまま卒業と同時に受験資格が与えられます。

平成20年度以前の入学者や特例高校等は所定の研修を受けなければなりません。

介護福祉士の資格を取得するまでの流れ

平成21年度以降の入学者についてはそのまま卒業する年に国家試験を受験することが可能で、合格すれば介護福祉士として登録ができます。

平成20年度以前の入学者と特例高校等の卒業者は介護技術講習または介護過程・介護過程Ⅲの研修を受講すれば実技試験は免除となります。

受講しない場合には筆記試験を終えた後に実技試験もクリアしなくてはいけません。

特例高校等を卒業した場合には実務経験を9カ月以上積む必要があるので注意しましょう。

経済連携協定(EPA)ルート

経済連携協定(EPA)とは外国からの留学生を対象に経済活動を通じた国同士の連携強化を目的に作られた制度です。

平成20年度よりスタートされ、毎年多くのEPA介護福祉士候補者を受け入れています。

EPA介護福祉士候補者は実務経験3年以上積み、介護技術講習または介護過程・介護過程Ⅲ、実務者研修のいずれかを修了すれば、実技試験免除となります。

外国からの受け入れのため、日本語に不慣れな方もいらっしゃいます。

実技試験では適切な声のかけ方も大切なため、可能であれば研修を修了し実技試験を免除するほうが合格に近づけるでしょう。

実務経験の日数がわからないときは?

受験資格の実務経験が基準に到達しているかどうかわからない方はぜひこちらを利用してみてください

介護福祉士の従業期間計算表

入職日と退職日を入れると、自身が経験している日数がすぐに算出されます。

実務経験の日数が申し込み時に足りていなくても大丈夫?

介護福祉士の国家試験申し込みは8月頃ですが、この時に実務経験日数が足りていなくても問題はありません

実務経験日数の基準は試験日当日までですので、試験日(例年であれば筆記試験が1月末、実技試験が3月上旬)を確認して計算してみましょう。

介護福祉士国家試験に合格した後には手続きが必要

介護福祉士の国家試験に無事合格したら、介護福祉士の登録手続きが必要になります。

細かい説明はこちらで解説していますので、ご覧ください。

関連コラム:【介護福祉士試験】合格後の登録手続き、登録証送付の流れを紹介

私はどのルート?パターン別資格取得ルートの選び方

自分に合ったルートで合格を目指すために、ルートの特徴を見ていきましょう

国家試験を受験するまでのパターンを見てきましたが、これから介護福祉士の取得に向けて動く方はどのルートで目指すか迷いますよね。

自分に合ったルートを見つけてください。

介護職の人が働きながら取得するなら実務経験ルート

すでに介護職として働いているのであれば、実務経験ルートでの取得がおすすめです。

養成施設や福祉系高校ルートは、収入が減少してしまうからです。

通学すると、平日や夜間に講義が入ったり実習へ行かなくてはならなくなります。

そのため勤務時間が短くなったり手当が少なくなるため、収入の減少につながります。

現場ですでに技術やある程度の知識を習得できているので、再度高額な学費を払って収入が減ってしまうルートを選択することはないでしょう。

介護職の人が働きながら介護福祉士の資格取得を目指すなら、実務経験ルートで経験を積みながら、実務者研修や介護職員基礎研修、喀痰吸引研修を修了して国家試験に臨んでください

介護職未経験の社会人は養成施設ルート 介護職に転職か夜間学校へ

まだ現場で未経験の場合は養成施設ルートでの取得がおすすめです。

実務経験を積んで受験しようと思うと最低3年はかかってしまいます。

養成施設コースであれば2年で国家試験の受験資格がもらえ、しっかりとした専門知識を習得することができます。

福祉系大学を卒業している方や、社会福祉士養成施設、保育士養成施設を卒業している方は、介護福祉士養成施設に1年以上の通学で受験資格があります。

福祉系の大学を卒業されている方はすでに取得している福祉の授業は免除できます。なので、養成施設ルートなら介護福祉士を目指しやすくスキルアップにも役立ちます。

また養成施設には夜間の学校や通信制の学校もあります。

介護職へ転職し、通信で単位を取ったり仕事終わりに学校に通い、収入を得ながら受験を目指すことも可能です。

介護職員初任者研修(旧ヘルパー2級)の有資格者が介護福祉士を目指すなら実務経験ルート

初任者研修を修了している方であれば、すでに現場へ出ることが可能です。実務経験ルートを目指しましょう。

実務を経験しながら研修へ参加し、取得を目指しましょう。

3年のうちに実務者研修を修了できれば、収入アップにもつながります。

また実技試験も免除になりますので、比較的資格が取得しやすいでしょう。

最短で介護福祉士を目指すなら養成施設ルート

これから最短で介護福祉士の国家試験を受けようとするのであれば、2年制の養成施設へ通うことが最短ルートになります。

実務経験を積むとなると最短で3年は必要となってしまいます。

最短で取得したいのであれば養成施設で2年間勉強し、国家試験を受験しましょう。

前項でも説明したように、社会福祉士養成施設や保育士養成施設、福祉系大学を卒業している方は介護福祉士養成施設へ通うのは1年間で大丈夫です。

介護福祉士を目指したい方はぜひ、養成施設ルートで目指してください。

介護福祉士になるためには筆記試験が必須!勉強法と勉強スケジュールについて

受験機会が一年に1回しかないため、できるなら1度で合格したいですよね。筆記試験の勉強方法やスケジュールがカギになってきますので、解説していきましょう。

養成施設ルートや実務経験ルートでの受験では実技試験を免除できる制度になっています。

しかし筆記試験はどのルートでも必ず受験しなければならず、不合格になる方も多く出てきます。

介護福祉士国家試験の勉強を始めるなら何ヶ月前から?

試験勉強を始めるのは、一日でも早く始めるに越したことはないです

しかし仕事しながらの勉強、または学校に通い単位を取得しながら勉強するとなると、国家試験の勉強だけに集中することは難しいです。

筆記試験で不合格になる方の特徴としては主に勉強時間が足りなかったことが要因です。

難しいとは思いますが、一時の辛抱と思って遅くても6カ月前から勉強は始めましょう。

後ほど説明しますが、問題集を繰り返し行うことが重要になってきます。

コツコツ積み重ねるためには6カ月がギリギリです。

試験が終わった後に「もっと早く始めていればよかった」と後悔しないためにも短時間でもいいので早めに始めることをおすすめします。

介護福祉士の筆記試験で合格するための勉強法

出題基準を網羅している過去問題集を繰り返し行うことが知識習得の近道となります。

介護福祉士の筆記試験は基本的に決められた範囲(介護福祉士国家試験科目別出題基準)からしか出題されません。

そして過去問題集は何冊も買わず、1冊を繰り返し行うことがとても重要になってきます。

過去問題集は過去の国家試験問題を集めたものになりますので、どの問題集を選んでも同じような問題が収録されています。

過去問題集は過去5年以内の物を買い、必ず法改正に即した問題訂正されているものを選びましょう。

問題集を選ぶポイントとしては、解説が読みやすいと感じるものを自分で選びます。

問題集の違いは解説に現れます。

図や表、イラストが多いものから細かい解説まで記載されているものとさまざまです。

値段で選ばず、中身をきちんと見て選びましょう。

ここをおろそかにすると長続きしない上に、何度問題を解いても頭に入りません。

一冊を最低3回は繰り返し行うことをおすすめします。

気が遠くなるかもしれませんが、コツコツと繰り返すことが合格のためには必須です。

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