イタリア語の資格・検定の種類を徹底解説 ~実用イタリア語検定・CILS・CELI・PLIDAの違いとは~
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本コラムでは、実用イタリア語検定・CILS・CELI・PLIDAの違いについて解説しています。
イタリア語のスキルを証明するための資格や検定には、いくつかの種類があります。
イタリア語を習得したいが、どの資格や検定を選べばいいかわからないと感じている方も多いのではないでしょうか。
本コラムでは、各資格・検定の内容や試験の概要などを紹介しているため、ぜひ参考になさってください。
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イタリア語検定を受けるメリットは?
日本で受験できるイタリア語の資格は、「実用イタリア語検定」「CILS」「CELI」「PLIDA」の4種類です。
ここでは、イタリア語検定を受けるメリットを3点紹介します。
イタリア語の勉強の成果が出せる
イタリア語検定を受けるひとつ目のメリットは、イタリア語の勉強の成果を感じられることです。
語学を習得するためには一定の学習期間が必要であるため、段階ごとに知識の定着度をチェックする必要があります。
検定試験の結果によって、自分の学習の成果を判断できるでしょう。
自分のイタリア語のレベルを証明してもらえる
自分のイタリア語のレベルを証明してもらえることは、イタリア語検定を受ける最大のメリットのひとつです。
イタリア語の勉強を続けていると、語学力の向上を実感できる場面があります。
しかし、自分で自分の学習レベルを正確に判断することは困難です。
自分では正しいイタリア語を話せているつもりでも、客観的なフィードバックを受けられる機会がなければ、実際の語学力を把握することは難しいでしょう。
検定試験を受けることで、客観的に自分のイタリア語のレベルを把握できます。
また、試験の結果によって苦手な分野や誤った知識を認識できるため、自分の課題が明確になるでしょう。
就職などの自己アピールに使える
イタリア語検定は、就職などの自己アピールにも役立ちます。
イタリア語は、英語や中国語と比べてマイナーな言語であると言われています。
イタリア語を話せる方の人数は限られているため、イタリア語検定を取得していれば、スキルとして評価されやすいでしょう。
また、検定試験はレベル別に分類されているため、企業に対して客観的な語学力のレベルをアピールできます。
4つのイタリア語資格の違いとは?
日本で受験できる4つのイタリア語資格は、それぞれ主催団体や受験対象が異なります。
各検定の概要は、以下の通りです。
実用イタリア語検定 | CILS | CELI | PLIDA | |
---|---|---|---|---|
受験対象 | 日本語を理解している方で、イタリア語能力の証明をしたい人向け | イタリア語能力を証明したい、イタリア語を母国語としない外国人や在外イ タリア人、イタリアへの移民者向け | 教育・研究エリアにおけるイタリアの大学、高等教育機関入学資格取得を目指す外国人向け | 外国⼈学⽣の⼤学への⼊学を促進するための資格で、イタリア語を母国語としない人向け |
レベルの基準 | 独自の基準 | CEFR基準 | CEFR基準 | CEFR基準 |
試験回数 | 年2回 | 年2回 | 年2回 | 年3回 |
主催 | イタリア語検定協会(日本) | シエナ外国人大学(イタリア) | ペルージャ外国人大学(イタリア) | ダンテ・アリギエーリ協会(イタリア) |
日本で受験できる主なイタリア語検定は、「実用イタリア語検定」「CILS」「CELI」「PLIDA」の4種類です。
4つの検定のうち、「CILS」「CELI」「PLIDA」の3つはイタリア国内の機関・団体が主催しており、CEFR(ヨーロッパ言語共通参照枠)に準拠する形でレベルが分類されています。
一方で、「実用イタリア語検定」の主催団体は日本国内のイタリア語検定協会であり、独自の基準によるレベル分けが行われています。
イタリア語検定を選ぶ際は、各検定の情報を把握したうえで判断すると良いでしょう。
実用イタリア語検定(伊検)とは
実用イタリア語検定とは、日本国内の機関が実施しているイタリア語検定です。
実用イタリア語検定は民間資格であり、1級~5級までの6段階に分かれています。
実用イタリア語検定の主な受験対象は、イタリア語の能力を証明したい日本語話者です。
そのため、海外でイタリア語能力を証明する必要がない場合は、この検定を取得すれば十分であると言われています。
実用イタリア語検定の試験概要は、以下の通りです。
試験日
実用イタリア語検定の試験は、年2回実施されます。
例年の試験日は、以下の通りです。
- 春季(準2級・3級・4級・5級):3月中旬
- 秋季:(全級)10月の第一日曜日
- 秋季(1級・2級の二次面接試験):12月の第一日曜日
なお、2025年の春季は以下の日程で開催される予定です。
- 一次試験 2025年3月9日(日)
- 二次試験 2025年4月27日(日)
2024年の秋季が中止になったことで、例外的に春季で1級・2級の試験も行うこととなりました。
試験会場
実用イタリア語検定の一次試験は春季はオンライン、秋季は試験会場で行われます。
二次試験は、東京および大阪の会場、またはオンラインで実施されます。
2025年から一次試験を国内受験した場合も、二次試験をオンラインで受験することが可能となりました。
例年であれば春季はオンライン実施のため自宅などから受験可能でしたが、2024年の秋季試験が中止になった関係で2025年は試験会場で行うことが決定しました。
2025年春季の試験会場は、以下のエリアが予定されています。
- 北海道、宮城、東京、新潟、石川、愛知、京都、大阪、岡山、広島、福岡、宮崎、沖縄、ミラノ
2025年春季検定に関する最新の情報は、イタリア語検定協会の公式サイトをご確認ください。
試験内容
実用イタリア語検定の試験内容は、受験級によって異なります。
5級から準2級までの検定試験は、一次試験のみです。
一次試験では、リスニング・筆記・作文の3種類の試験が行われますが、4級および5級の場合は作文試験がありません。
対して、2級および1級の検定試験では、一次試験に加え、口頭試問による二次試験が実施されます。
レベル
実用イタリア語検定は、以下の6つのレベルに分かれています。
- 1級
- 2級
- 準2級
- 3級
- 4級
- 5級
受験料
実用イタリア語検定の受験料は、以下の通りです。
- 1級:15,000円
- 2級:12,000円
- 準2級:9,000円
- 3級:8,000円
- 4級:6,000円
- 5級:5,000円
参考:第57回(2023年秋季)検定日程 – 検定試験日 : (一次) 10月1日(日)
実用イタリア語検定について詳しく知りたい方は、以下のコラムをご覧ください。
関連コラム:実用イタリア語検定とは?試験の内容や級のレベル、過去問についても紹介
CILS(チルス)とは
CILS(チルス)とは、シエナ外国人大学が実施するイタリア語検定のことです。
CILSは外国人を対象としたイタリア語学力の検定試験であり、A1~C2までの6つのレベルに分かれています。
CILSは1588年にまで遡る古い歴史をもつ資格試験であり、世界的に認められた公式の資格試験でもあります。
CILSでは、各レベルにおいて5科目の検定試験が行われますが、合格点に達していない科目は18か月以内の再受験が可能です。
CILSの試験概要は、以下の通りです。
試験日
CILSの試験は、年2回実施されます。
例年の試験日は、以下の通りです。
- 夏期:6月上旬
- 冬期:12月上旬
2024年の夏期試験は、6月5日から7日にかけて実施されました。
2024年の冬期試験の実施日は以下の通りです。
日程 | 実施級 |
2024年12月5日(木) 11:00~19:00 | UNO(B1) 中級 DUE(B2) 中上級 |
2024年12月6日(金) 11:00~19:00 | A2 初級 TRE(C1) 上級 QUATTRO(C2)最上級 |
試験会場
CILSの試験会場は、東京または大阪のイタリア文化会館です。
試験内容
CILSの試験では、以下の5科目が出題されます。
- 聴解(Ascolto)
- 読解(Lettura)
- 文法(Analisi strutture comunicazione)
- 作文(Produzione scritta)
- 口頭試験(Produzione orale)
レベル
CILSは、以下の6つのレベルに分かれています。
- A1
- A2
- B1
- B2
- C1
- C2
受験料
CILSの受験料は、以下の通りです。
- A1: 15,000円
- A2: 15,000円
- B1: 20,000円
- B2: 23,000円
- C1: 24,000円
- C2: 27,000円
上記の受験料は、全科目を受験した場合の金額です。
なお、初回は必ず全科目の受験が必要であるという点に注意しましょう。
1科目ごとの受験料は、以下の通りです。
- A1: 3,500円
- A2: 3,500円
- B1: 4,500円
- B2: 5,000円
- C1: 5,500円
- C2: 6,500円
参考:シエナ外国人大学CILS – イタリア文化会館東京 イタリア語学校
CELI(チェリ)とは
CELI(チェリ)とは、ペルージャ外国人大学が実施するイタリア語検定のことです。
CELIはイタリア外務省によって認定された国際的な公式資格であり、主な受験対象は、イタリアの大学や高等教育機関への入学資格取得を目指す外国人です。
また、CELIはA1~C2までの6つのレベルに分かれており、初回受験から1年間以内であれば再受験できます。
CELIの試験概要は、以下の通りです。
試験日
CELIの試験は、例年6月と11月に実施されます。
次回試験日は2024年11月23日(土)に開催予定です。
試験会場
CELIの試験は、ペルージャ外国人大学の認定会場で実施されます。
レベル
CELIは、以下の6つのレベルに分かれています。
- A1 CELI impatto
- A2 CELI 1
- B1 CELI 2
- B2 CELI 3
- C1 CELI 4
- C2 CELI5
受験料
CELIの受験料は、以下の通りです。
- A1 CELI impatto:16,000円
- A2 CELI1:20,000円
- B1 CELI2:22,000円
- B2 CELI3:24,000円
- C1 CELI4:25,000円
- C2 CELI5:28,000円
CELIの1科目ごとの受験料は、以下の通りです。
- A1 CELI impatto:4,000円
- A2 CELI1:4,800円
- B1 CELI2:5,000円
- B2 CELI3:5,600円
- C1 CELI4:5,800円
- C2 CELI5:6,400円
PLIDA(プリダ)とは
PLIDA(プリダ)とは、ダンテ・アリギエーリ協会が主催するイタリア語検定です。
PLIDAはイタリア政府公認の検定試験であり、外国人学生のイタリアの大学への入学を促進するために実施されています。
PLIDAはA1~C2までの6つのレベルに分かれており、初回受験から1年間以内であれば再受験が可能です。
PLIDAの試験概要は、以下の通りです。
試験日
PLIDAの試験は、例年5月と11月に実施されます。
2024年はA2・B1レベルの試験が9月15日に実施され、A1レベルを除く全レベルの試験が11月17日に実施される予定です。
2024年はA1レベルの試験が実施されないため、注意しましょう。
試験会場
PLIDAの試験会場は、受験会場は東京のアリギエーリ協会のみです。
試験内容
PLIDAの試験内容は、聴解・読解・作文・口述です。
レベル
PLIDAは、以下の6つのレベルに分かれています。
- A1
- A2
- B1
- B2
- C1
- C2
受験料
PLIDAの受験料は、以下の通りです。
- A2: 10,300円
- B1: 14,700円
- B2: 14,700円
- C1: 21,300円
- C2: 21,300円
2024年に試験が実施される各レベルの科目ごとの再受験料は、以下の通りです。
レベル | 1科目 | 2科目 | 3科目 |
---|---|---|---|
A2 | 2,200円 | 4,400円 | 6,600円 |
B1 | 3,700円 | 6,800円 | 10,200円 |
B2 | 3,700円 | 6,800円 | 10,200円 |
C1 | 5,200円 | 9,500円 | 14,100円 |
C2 | 5,200円 | 9,500円 | 14,100円 |
なお、PLIDAの試験を受ける際は、受験料のほかに年間6,000円のダンテ会員費が必要です。
参考:PLIDAイタリア語資格試験 | ダンテ・アリギエーリ協会 東京支部
【タイプ別】おすすめイタリア語検定の選び方
イタリア語検定を選ぶ際は、自分の目的に合ったものを選びましょう。
ここでは、タイプ別のイタリア語検定の選び方を紹介します。
自分のイタリア語のレベルを客観的に把握したい
自分のイタリア語のレベルを客観的に把握したいという方には、実用イタリア語検定がおすすめです。
特に、日本国外でイタリア語の能力を証明する必要がない場合は、実用イタリア語検定が有力な選択肢となるでしょう。
実用イタリア語検定は、今回紹介した4つのイタリア語検定の中で最も受験料がリーズナブルです。
また、日本語の参考書の種類が豊富であるため、試験対策を行いやすくなっています。
さらに、日本国内の試験会場の数が多く、オンラインIBT方式による受験も可能であるため、受験にかかる負担を抑えられるでしょう。
就職や転職の際にイタリア語の能力をアピールしたい
就職や転職の際に役立つイタリア語の資格が欲しい方には、実用イタリア語検定またはCILSがおすすめです。
国内の企業からイタリア語のスキルを評価されたい場合は、比較的受験しやすい実用イタリア語検定が良いでしょう。
実用イタリア語検定は国内での知名度が高く、等級が英検と似ているため、企業からの理解を得られやすいと考えられます。
対して、海外の企業に対してイタリア語のスキルをアピールしたい場合は、世界的に認められた公式な資格であるCILSが適しています。
イタリアの学校に入学したい
イタリアの学校に入学したい場合は、CELI・PLIDA・CILSのいずれかを取得すると良いでしょう。
CELI・PLIDA・CILSは、いずれもイタリア政府によって認定された国際的な資格です。
また、これらの検定試験はイタリア国内の機関や団体によって実施されており、イタリアでも広く認知されています。
そのため、イタリアの学校に対して一定の語学力を証明する際に役立つでしょう。
なお、CELI・PLIDA・CILSは、イタリアでは同等の効力があると言われています。
どの資格を取得するか迷った場合は、受験料や試験会場などの条件を比較し、受験しやすいものを選びましょう。
イタリア国籍を取得したい
イタリア国籍を取得したい方は、CILSを取得しましょう。
イタリア国籍を取得するためには、最低でもCILSのB1レベルに合格している必要があります。
また、CILSでは、イタリア国籍を取得しようとしている方を対象とした「CILS B1 Cittadinanza」という試験も行われています。
イタリア語を使った仕事をしたい
将来イタリア語を使った仕事に就きたいと考えている方には、CILSまたは実用イタリア語検定がおすすめです。
海外で活躍したいなら、海外での知名度が高く、イタリア国籍の取得にも役立つCILSが良いでしょう。
日本国内で通訳として活躍したい場合は、実用イタリア語検定を受けてから、通訳案内士を目指すという選択肢があります。
通訳案内士になるためには、最低でも実用イタリア語検定2級の取得が必要です。
また、実用イタリア語検定1級に合格すれば全国通訳案内士試験の筆記試験語学科目の免除を受けられるため、有利な条件で受験できるでしょう。
CEFR(ヨーロッパ言語共通参照枠)とは
CEFR(ヨーロッパ言語共通参照枠)とは、外国語の能力を測るための国際的な基準のことです。
CEFRの各レベルの概要は、以下の通りです。
段階 | CEFR | 求められるレベル |
---|---|---|
熟達した言語使用者 | C2 | 最上級レベルの言語使用者として、聞いたり読んだりした内容のすべてを容易に理解できる。取得した言語情報を用いて、根拠や論点の一貫性を保ったまま再構築できる。流暢かつ正確な自己表現ができる。 |
C1 | 上級レベルの言語使用者として、高度な内容の長文を理解できる。流暢かつ自然な自己表現ができる。社会生活上および学問上や職業上の目的で、効果的に言語を使用できる。複雑な話題について、詳細な文章を作成できる。 | |
自立した言語使用者 | B2 | 中上級レベルの言語使用者として、複雑な文章の主要な内容を理解できる。ネイティブスピーカーと流暢かつ自然なやりとりができる。幅広い話題に関するわかりやすく詳細な文章を作成できる。 |
B1 | 中級レベルの言語使用者として、身近な話題の要点を理解できる。イタリア国内の一般的な事態に対処できる。身近な話題に関して、筋の通った簡単な文章を作成できる。 | |
基礎段階の言語使用者 | A2 | 基礎レベルの言語使用者として、ごく基本的な内容やよく使われる表現を理解できる。簡単で日常的な内容に関する情報交換に対応できる。 |
A1 | 初心者レベルの言語使用者として、よく使われる日常的表現や基本的な言い回しを理解できる。挨拶や自己紹介などの簡単な質疑応答を行える。相手の協力を得られれば、簡単な会話ができる。 |
それぞれのイタリア語検定とCEFRの比較
ここでは、CEFRによってレベル分けされているCILS・CEFR・PLIDAの各検定と、実用イタリア語検定のレベルを比較します。
各イタリア語検定のレベルは、以下の通りです。
CEFRレベル | CILS | CELI | PLIDA | イタリア語検定 |
---|---|---|---|---|
A1 | CILS A1 | CELI Impatto | PLIDA A1 | 5級 |
A2 | CILS A2 | CELI 1 | PLIDA A2 | 4級 |
B1 | CILS UNO-B1 | CELI 2 | PLIDA B1 | 3級 |
B2 | CILS DUE-B2 | CELI 3 | PLIDA B2 | 準2級 |
C1 | CILS TRE-C1 | CELI 4 | PLIDA C1 | 2級、1級 |
C2 | CILS QUATTRO-C2 | CELI 5 | PLIDA C2 | – |
CEFRレベルを大まかに分類すると、A1およびA2が基礎レベル・B1およびB2が中級レベル・C1およびC2は上級レベルとなります。
ただし、実用イタリア語検定には、C2レベルに該当する受験級がありません。
まとめ
本コラムでは、実用イタリア語検定・CILS・CELI・PLIDAの違いや、各イタリア語検定の概要を紹介しました。
本コラムのまとめは、以下の通りです。
- 日本国内で受験できる主なイタリア語検定は、実用イタリア語検定・CILS・CELI・PLIDAの4種類
- イタリア語検定を受ければ、自分のイタリア語のレベルを客観的に把握できる
- イタリア語検定は、就職や転職の際の自己アピールに役立つ
- イタリア語検定を受ける際は、自分の目的に合ったものを選ぶことがおすすめ
イタリア語検定は、種類によって試験の実施方法やレベル分けの基準が異なります。
自分の目的に合ったイタリア語検定を選び、適切な試験対策を行いましょう。
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