ITパスポートが活かせる企業や仕事とは? 活用事例を紹介
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ITに関する基礎的な知識を有することを証明するITパスポート。合格者に対して優遇措置や支援策を講じる企業や団体も増えている注目度の高い試験です。
その一方、「IT」という名称から「どんな仕事で活かせるのか分からない」「デジタル分野以外の仕事では取得しても無駄なのでは」と疑問に思っている方も多いのではないでしょうか。
この記事では、ITパスポートを活かせる仕事や、各企業での活用事例について詳しく解説します。受験を検討している方はぜひ参考にしてください。
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ITパスポートとは?役に立つ資格?
ITパスポートとは、経済産業省が認定している「情報処理技術者試験」という国家資格のひとつです。
2009年に始まった比較的新しい試験ですが、ITに関する基礎的な知識を広く身につけられる「IT入門試験」として年々注目度が上昇。
2023年時点で累計応募者数は200万人超という人気の資格です。
コンピュータの仕組みといったITの基本情報だけでなく、マーケティングや法務など、ITを実務に活かすための知識までが試験範囲となります。
合格すればスキル面・実務面で知識を持った人材であることを証明できるため、業務のIT化が著しい現代においてキャリアの選択肢を増やす一助となるでしょう。
例年の合格率も約50%と高め。専門用語をたくさん覚える必要はありますが、応用問題はあまり出題されない傾向があるため、試験対策は難しくありません。
最近は大学や企業で入試や採用の優遇条件に設定されていたり、人材育成のカリキュラムに利用されることも増えています。
近年ではリモートワークの普及などに伴い、ITにまったく関わらない業務の方が珍しいという状況になりつつあります。
ITの専門職に就いていない方にとっても、持っていて損のない、役立つ資格といえるでしょう。
試験内容や難易度、必要な勉強時間など、試験についてより詳しく知りたいという方は下記コラムを参考にしてください。
参考:ITパスポートとは?試験内容・難易度・合格率・必要な勉強時間を簡単に解説
ITパスポートが活かせる企業や仕事
- 事務職
- 公務員
- IT企業の営業職
- サポート職
ITパスポートで認定される知識は、少しでもパソコンを使う企業や仕事であればどのような場所でも活かせます。
特に、ITスキルだけでなく、コンプライアンスやマーケティング知識が重宝される業種で役立てることができるでしょう。
事務職
事務職はITパスポートを活かせる代表的な仕事です。
書類作成・データ入力・メールを使った顧客とのやり取り・情報管理など、多くの業務に知識を役立てられます。
ITパスポートは、実務で責任感を持ってパソコンを使う能力と知識が身につくため、それまで事務職の経験がなかったとしても、重要な仕事を担う人材として活躍できるでしょう。
最近では歓迎条件や必須条件に「パソコンの基本操作」が設定されていることも多くあります。
事務職は求人の倍率が高い人気の職種ですが、ITパスポートの合格者であることは頭ひとつ抜けた強力なアピールポイントになるはずです。
公務員
ITパスポートの知識は公務員の業務に活用できます。
特にネットワークや情報のセキュリティ・法務に関する知識は、公務員の職務や自治体に対する信頼を左右する重要なものです。
公務員は職務上、個人情報の厳密な管理や法律・法令を意識した業務に携わることも多くあります。
情報漏えいに対する危機感や法令遵守の責任感がいっそう厳しく求められる職種である以上、法務の知識もカバーするITパスポートの知識はとても役に立つでしょう。
近年では、職員のネットリテラシーの低さが招いたトラブルが全国的な問題に発展した実例もあります。
情報セキュリティやコンプライアンスに対する意識の高さは公務員全体に求められる重要な資質となっており、職員にITパスポートの取得を推奨する自治体も増えています。
ITパスポートの取得時にしっかり知識を得たことをアピールすれば、採用時にも良好な印象を残せるでしょう。
IT企業の営業職
IT企業の営業職には、ITパスポートの知識が役立ちます。
ネットワークや端末に関する知識があることで自社製品やシステムをより深いレベルで理解でき、顧客に対して効果的なプレゼンテーションができるでしょう。
何かを売り込む時には、「何がセールスポイントなのか」を明確にすることが重要です。
ITパスポートはインターネット環境やデジタル端末の知識を身につけられるため、「他社製品と比べてどのような特徴があるか」「導入にどのようなメリットがあるか」を深掘りできるようになります。
自社製品をしっかり理解している営業マンのプレゼンテーションには圧倒的な説得力が生まれます。知識を有することで、自社にも顧客にも重宝される存在として活躍できるはずです。
サポート職
ITパスポートの知識は、テクニカルサポートをはじめとするサポート職の業務に役立ちます。
顧客の問い合わせに素早く対応する必要のあるサポート業務において、デジタル領域に関する知識が豊富であることは強力な武器です。
取り扱う製品・システムをより深く理解できることは顧客に適切かつ迅速なサポートを提供することに繋がり、自社に関わる体験全体の満足度をあげることができるでしょう。
不具合やトラブルに対する問い合わせも、ITパスポートの知識をもとに「どのような原理で動作する製品・システムなのか」まで把握していればスムーズに対処できるはず。
周辺機器との兼ね合いや設定の間違いなどを正確に看破できる優秀なオペレーターとして活躍できるでしょう。
企業におけるITパスポートの活用事例
ITパスポートは、全国の大手企業・官公庁・自治体などで活用されています。
組織によっては入社前に取得を推奨したり取得を支援する制度を取り入れたりといった対応が取られていることもあるため、進路を考える際には要チェックです。
企業の活用事例
株式会社朝日新聞社
朝日新聞社では「全ての人に意味のあるメディア」を目指してIT技術の積極的な導入に力を入れており、全社員にITパスポートの取得を推奨しています。
支援内容は、内定者に参考テキストを配布し取得を促す・受験者のバウチャーを会社が負担するなどです。
株式会社大塚商会
IT企業大手である大塚商会では、ITに関する基礎知識は職種を問わず必須であるとの判断から、ITパスポートを全職種に必須の「パスポート」であるとして取得を推奨しています。
通信教育講座の提供・合格者に対する受験料負担や報奨金制度などの支援策を実施中です。
株式会社大林組
大林組ではデジタル化を核とした業務プロセスやビジネスモデルの革新を目指しており、人材の育成を目標に、オリジナル研修を通じてITパスポートの取得を促しています。
ITパスポートを含めた情報処理技術者試験を「推奨資格」に指定するとともに、受験手数料を会社負担とすることで取得をサポートしています。
株式会社オリエントコーポレーション
オリエントコーポレーションでは「金融ビジネスにITは必要不可欠」としてITパスポートの取得を奨励し、全社員のITリテラシーとビジネスパーソンとしての基礎力向上を目指しています。
主な支援制度として、学習費用の一部補助・奨励金の支給などが実施されています。
株式会社ジェーシービー
国際カードブランド大手のジェーシービーでは、決済ビジネスに必須のITリテラシー向上のため、ITパスポートの取得を推奨・支援しています。
合格者に対しては受験手数料が会社負担になるほか、報奨金も支給されます。
株式会社ファンケル
ファンケルではデジタル化が進む社会の変化に即応するため、ITリテラシーの全体要素を総合的に学べるITパスポートの取得を奨励しています。
合否を問わず受験料を会社負担にする・学習用の教材を配布するなど、受験者全員を対象にした積極的な支援が実施されています。
参照:企業における活用事例│独立行政法人情報処理推進機構(IPA)
官公庁の活用事例
特許庁
特許事務システムを業務の基盤とする特許庁では、情報システムに携わる人材育成の一環としてITパスポートをはじめとする情報処理技術者試験の受験を強く推奨しています。
高度試験に合格した場合はCIOと幹部による合格祝賀会が開かれます。
デジタル庁
デジタル庁では、業務の中核を担うデジタル人材の育成、また一般職員のリテラシー向上を目的として、ITパスポートのシラバスに準拠した特別な研修を実施しています。
研修コースの修了後は、実際にITパスポートを受験することも可能です。
埼玉県警察
埼玉県警察では情報処理の知識を有する人材育成のため、ITパスポートをはじめとする情報処理技術者試験を推奨しています。
情報処理技術者試験の受験は警察官採用試験において加点対象となります。
兵庫県警察
兵庫県警察では、サイバー犯罪捜査に携わる人材の育成の一環として、ITパスポートを含む情報処理技術者試験を活用しています。
警察官採用試験の教養試験において、情報処理技術者試験が加点対象のひとつとなっています。
参照:官公庁・自治体などにおける活用事例│独立行政法人情報処理推進機構(IPA)
自治体の活用事例
東京都
東京都では、都の情報化を着実に推進できる人材を育成するために独自のプログラムを策定。特に、総務局情報システム部ではITパスポートの取得を部全体で支援しています。
職員が受験する際に受験料を補助する・経験者採用の際に合格者の採用試験を一部免除するといった支援策が実施中です。
茨城県
茨城県では、県下企業の生産性向上や成長産業・分野への労働移動促進のため、企業などを対象とする「茨城県ITパスポート等取得支援補助金」を実施中です。
企業が従業員にITパスポートなどの試験を受験させる場合、受験料・試験対策講座受講料・参考図書購入費など経費の一部が助成されます。
栃木県
栃木県では、デジタル県庁の実現・より便利で質の高い県民サービスの提供を目的として、自治体の業務とデジタル技術の知見を兼ね備えた人材を育成しています。
対象となる職員が情報処理技術者試験に合格した場合、受験手数料を全額補助する支援を実施。
特に情報処理技術者試験のなかでも、ITパスポートの積極的な受験を職員に促しています。
愛媛県
愛媛県ではDXによる地域経済の活性化を目指しており、県内企業が従業員にITパスポート合格を支援する場合などに県が経費の一部を補助する制度が実施中です。
対象の従業員がITパスポートに合格した場合の受験手数料・試験対策講座の受講料のほか、DXに関する講座の受講料が補助対象となります。
参照:官公庁・自治体などにおける活用事例│独立行政法人情報処理推進機構(IPA)
ITパスポートは社会で活かせる資格
この記事では、ITパスポートが活かせる企業や仕事について、以下の内容で解説しました。
- ITパスポートはITの基礎情報だけでなく、マーケティングや法務など実務面の知識もカバーできる
- 事務職・公務員・IT企業の営業職・サポート職など、デジタルの知識と実務の両方を必要とする仕事で特に活かせる
- 大企業や官公庁、自治体などでもDX人材の育成を目的として活用事例が増えており、受験が補助される・採用試験で有利になるなど、さまざまな支援策が実施されている
デジタル化が著しい社会において、開始以来ますます注目が集まっているITパスポート試験。
スキル面だけでなく、デジタルリテラシーやマーケティングといった実務面での知識も身につくため、合格できれば有用なIT人材として幅広い仕事で活躍できる資格です。
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