ITパスポート試験を目指す方で、次のような疑問や不安をお持ちの方は多いのではないでしょうか。

「ITパスポート試験のストラテジ系分野って、どんな内容が出るの?」

「ストラテジ系の学習は経営学の知識ゼロでも理解できる?」

このコラムでは、ITパスポートのストラテジ系分野の概要、配点、出題範囲について詳しく解説します。

過去問から抜粋した問題例の紹介や、ストラテジ系が苦手な方へのアドバイスもありますので、ぜひ最後までご覧ください。

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ITパスポートのストラテジ系とは?

ITパスポート試験は、「ストラテジ系」、「マネジメント系」、「テクノロジ系」の3分野から構成されています。

ストラテジ系はその一つで、企業経営に関する基本的な知識や用語などが問われます。

出題されるのは、財務、法務、経営戦略など、経営全般に係る基本的な考え方、特徴などの問題です。

ITパスポート試験は多肢選択式(四肢択一)の出題形式で、試験時間は120分、問題数は100問となります。

そのうちストラテジ系の出題数は35問程度と、テクノロジ系(45問程度)に次いで多い出題数となっています。

ストラテジ系の知識は、ITを活用したビジネス戦略の構築や経営判断において重要な要素となるので、基礎からしっかり学びましょう。

ITパスポート試験の全分野の試験概要を知りたい方は、下記記事を参照ください。

参考コラム:ITパスポートとは?試験内容・難易度・合格率・必要な勉強時間を簡単に解説

ITパスポートのストラテジ系の出題範囲

ストラテジ系の出題範囲は「企業と法務」、「経営戦略」、「システム戦略」の3つに分けられています。

それぞれの分野から10問程度ずつ出題され、合計35問程度がストラテジ系分野の出題数となります。

ストラテジ系の具体的な出題範囲は下表の通りです。

分野大分類中分類
ストラテジ系企業と法務・企業活動・法務
経営戦略・経営戦略マネジメント
・技術戦略マネジメント
・ビジネスインダストリ
システム戦略・システム戦略
・システム企画
参考:【ITパスポート試験】試験内容・出題範囲

次に、「企業と法務」、「経営戦略」、「システム戦略」それぞれの出題内容を紹介していきます。

企業と法務

「企業と法務」は、ストラテジ系の中でも比較的身近に感じられる分野です。

ここでは、会社の基本的な仕組みや経営の役割、さらには会社の資金の流れや法律の遵守といった側面が問われます。

具体的には、「会社とは何か」、「経営者の役割」、「会社のお金の管理」、「守るべき法規制」などが中心となり、企業活動と法務に関する知識が求められるのが特徴です。

この出題範囲の中分類は、「企業活動」と「法務」の2つ。

それぞれ詳細な出題範囲は次のようになります。

企業活動

  • 企業活動や経営管理の基本
  • ITの利活用に関する社会的動向
  • 問題解決法やPDCA、データ可視化
  • データ(ビッグデータを含む)を活用した業務改善
  • 財務諸表や損益分岐点などの会計・財務知識

企業活動では、企業や経営管理に関する基本的な考え方を理解することが重要です。

業務改善やPDCAの実践といった管理の基礎知識が求められます。

法務

  • 知的財産権(著作権法、産業財産権関連法規など)、セキュリティ関連法規(サイバーセキュリティ基本法、不正アクセス禁止法など)、個人情報保護法、労働基準法、労働者派遣法、その他の取引関連法規 などの身近な職場の法律
  • ソフトウェアライセンス(ライセンス形態、ライセンス管理など)の考え方、特徴
  • コンプライアンス、コーポレートガバナンス、情報倫理
  • 標準化の意義

法務では、知的財産権やセキュリティに関する法律、コンプライアンスに重点が置かれています。

経営戦略

経営の基礎知識を含んだ、ITを活用した経営について出題されます。

これはビジネスや商売の概念を理解し、どのように経営を進めるべきかを問う内容です。

例えば、経営とは何か、どのような手法があるのかといった基本的な事項や、ビジネスや技術の動向を予測・分析し、目標を設定・評価することが含まれます。

また、代表的な情報システムがどのようなものかという観点からも問われます。

経営戦略の中分類は、「経営戦略 マネジメント」、「技術戦略 マネジメント」、「ビジネス インダストリ」の3つです。

それぞれの試験範囲は次のようになります。

経営戦略 マネジメント

  • SWOT分析、PPM(プロダクトポートフォリオマネジメント)、CRM、顧客満足度、SCMなど、経営情報分析手法や経営管理システムに関する基本的な考え方

経営戦略マネジメントでは、経営分析の手法や顧客管理の重要性が問われます。

技術戦略 マネジメント

  • 技術開発戦略の意義と目的

技術戦略マネジメントでは、新技術の意義や目的に関する理解が必要です。

ビジネス インダストリ

  • 電子商取引、POSシステム、ICカード、PFID応用システムなど、 各種ビジネス分野での代表的なシステムの特徴
  • AIの活用領域と活用目的、AI利活用の際の留意事項
  • エンジニアリング分野や電子商取引での代表的なシステムの特徴
  • loTや組込みシステム、ロボットなどの特徴、動向など

ビジネスインダストリでは、AIやloTを活用した具体的なシステムや技術動向が学習の焦点となります。

システム戦略

経営戦略の結果として、新たなシステムが必要と判断された際に、そのシステムを導入するための知識が問われます。

業務をどのようにシステムに落とし込むか、システム化の計画から要件定義、調達計画、そして実施までの流れについて出題されます。

システム戦略の中分類は「システム戦略」と「システム企画」の2つです。

それぞれの試験範囲は以下の通りです。

システム戦略

  • 情報システム戦略の意義と目的、戦略目標、業務改善、問題解決などの考え方
  • 業務モデルにおける代表的なモデリングの考え方
  • グループウェアやオフィスツール、SNS等を用いたコミュニケーション
  • コンピュータ及びネットワークを利用した業務の自動化・効率化の目的、考え方、方法
  • クラウドコンピューティングなどの代表的なサービスを活用する際のソリューションビジネスの考え方
  • ITの技術動向(ビッグデータ、loTなど)に関する知識
  • AI、ビッグデータ、loTなどの活用方法や考え方
  • システム活用促進・評価活動の意義と目的

システム戦略では、情報システムの目標設定や業務改善、技術動向の理解が重視されます。

システム企画

  • システム化計画の目的
  • 現状分析などに基づく業務要件定義の目的
  • 調達の基本的な流れ(見積書、提案依頼書〔RFP〕、提案書など)

システム企画では、具体的なシステムの導入手順や調達計画が重要な要素となります。

ITパスポートのストラテジ系の問題例

ここでは、ITパスポート試験の過去問題から、ストラテジ系分野の中でも特に出題数が多いとされる「企業活動」、「法務」、「ビジネスインダストリ」の3つの中分類より問題例を紹介いたします。

これらの問題を通じて、試験の出題傾向を把握し、効果的な学習に役立てていただければ幸いです。

企業活動

問題:企業の収益性を測る指標の一つであるROEの”E”が表すものはどれか。

(令和2年秋期 問30)

ア.Earning(所得)
イ.Employee(従業員)
ウ.Enterprise(企業)
エ.Equity(自己資本)

引用:【ITパスポート試験】過去問題 令和2年度分 問30【ITパスポート試験】過去問題 令和2年度 解答例

法務

問題:あるソフトウェアは、定額の料金や一定の期間での利用ができる形態で提供されている。この利用形態を表す用語として、適切なものはどれか。

(令和6年春期 問21)

ア.アクティベーション
イ.アドウェア
ウ.サブスクリプション
エ.ボリュームライセンス

引用:【ITパスポート試験】過去問題 令和6年度分 問21【ITパスポート試験】過去問題 令和6年度 解答例

ビジネスインダストリ

問題:CADの導入効果として、適切なものはどれか。

(令和2年秋期 問24)

ア.資材の所要量を把握して最適な発注ができる。
イ.生産工程の自動化と作業の無人化ができる
ウ.生産に関連する一連のプロセスを統合的に管理できる。
エ.設計データを再利用して作業を効率化しやすくする。

引用:【ITパスポート試験】過去問題 令和2年度分 問24【ITパスポート試験】過去問題 令和2年度 解答例

ITパスポートのストラテジ系が苦手な人は

ストラテジ系分野では、財務や法務、経営戦略など、経営全般に関する基本的な考え方や特徴の網羅的な理解が必要です。

このため、覚えるべき用語が多く、特に学生や主婦など普段馴染みのない方には難しく感じられるかもしません。

社会人の場合は、経営に関する知識が仕事とリンクしていたり、学んだ内容を実務に活かすイメージができたりすると、学習が進めやすいでしょう。

ストラテジ系分野が苦手であったり、難しさを感じていたりする方には、通信講座を利用した勉強法が推奨されます。

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まとめ

ITパスポート試験のストラテジ系分野は、企業経営に関する基本知識を問うもので、「企業と法務」、「経営戦略」、「システム戦略」の3つに分けられています。

試験では、全100問中35問程度がこの分野から出題され、企業活動、経営戦略マネジメント、システム戦略などの専門知識や用語の網羅的な理解が求められます。

経営学やIT知識のない方は、基礎から丁寧に学習する必要があるので、通信講座を利用した勉強方法が効果的です。

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