今回は、行政書士法人第一綜合事務所の伊藤 暁一様にインタビューを行いました。

行政書士業務の内容やスケジュールなど詳しくご回答いただいています。

これから行政書士を目指す方は、ぜひ参考になさってください。

なぜ資格を取得しようと思ったのですか?

私は行政書士になる前はBtoBのIT系商社に勤めていました。

商品開発部門にいた頃,自社で取り扱うIT商材と助成金・補助金の申請をパッケージにした商品を企画したことがあり,そのとき『本人に代わって書類を作成することを生業にできるのは行政書士のみ』ということを知りました。

それから数年経過して,私は人事部門への社内転職を狙って社労士の資格を取ろうと考え,参考書を買いに書店へ行きました。
その際に,たまたま行政書士試験の参考書が目に留まりました。

懐かしさもあって参考書を手にしてみると,行政書士の実務について書かれていて,その多様ぶりに驚きました。

なかでも国際業務に興味を抱き,社労士と比べて受験科目もとっつきやすかった行政書士試験を受験してみることにしました。

1回目の受験は腕試し感覚で軽い気持ちで受験してしまい,それはもう惨憺たるものでした。
半分以上白紙のまま途中退席したことをよく覚えています。

いつしか目的が「社内転職」から「行政書士として働く」に変わり,2回目の受験勉強は本気で取り組み,合格することができました。

主にどのような業務をされているのですか?

行政書士法人第一綜合事務所に入社してしばらくは,ビザ申請手続きの実務を担当していました。

しかしその後,経営企画部門へ異動となり,現在は計数管理やマーケティング,業務改善などバックオフィス業務を幅広く担当しています。

1日の簡単なスケジュールを教えて下さい

8:40 出社,デスク周りの清掃,当日のスケジュールを確認

9:00 始業,メールや社内のチャットを確認

9:30 ホームページで公開しているコラムの執筆,校正

11:30     業務改善に関する施策の検討

じっくり考える業務は,できるだけ午前中に取りかかるようにしています。

13:00 ランチ,基本的に一日中デスクワークなので,ランチは意識的に外出するよう心がけています。

14:00 お客様向け営業ツール,社内の業務マニュアルの制作,整備

15:00 社外の御取引先,協力会社様との打合せ

17:00 顧客管理システムの入力チェック,集計

18:30 タスクの進捗確認,翌日以降のスケジュールとタスク整理

19:00 退社

なぜ独立開業をしようと考えたのですか?

もともと独立志向だったわけではありません。

資格が取れたら大きな事務所に入って,プロ集団の一員になりたいと合格前まで思っていました。
しかしいざ合格してみると,自分自身の法律職での市場価値に大きな不安を覚えました。

私が合格したのは40歳の頃ですが,これまで法律に携わる職歴は一切なく,もちろん外国人のビザの知識もありません。

「40歳・業界未経験」というプロフィールでは,とても勝負できないと思いました。
とはいえ年齢はどうにもできませんから,せめて「業界経験者」になろうと考えました。

一日でも早く実務経験をつけるには,独立開業しか選択肢が思いつかなかった。

というのが独立開業した理由です。

それまで20年近く会社員をやってきたので,一度組織から解放されたい,一人で自由にやってみたいという気持ちも,もちろん多少はありました。

なぜ一度独立してから行政書士法人 第一綜合事務所に入所をしようと考えたのですか?

ありがたいことに,開業後ほどなくしてお客様に恵まれ,数々の案件をご用命いただけるようになりました。

全く未経験の業界なので,実務は毎日が勉強で,一日ごとにバージョンアップしている自分に,これまでにないやりがいを感じていました。

しかし,行政書士の仕事は「実務」だけではなく,営業や集客,経理など「事務所経営」も並行してこなしていく必要があります。

「実務」の面白さを知っていくうちに,もっと実務スキルを磨くために没頭したい,集中したい,でもそればかりできない…

気づけば,実務も事務所経営もどちらも中途半端で,目の前のことをひたすら処理することでいっぱいになっていました。

この状態は,独立開業すると訪れる「壁」のようなもので,このタイミングでアルバイトなり補助者なりスタッフを採用して拡大していくことが王道なのだと思いますが,私はそれよりも,プロ集団に加わるチャンスがないかということを考えていました。

行政書士法人第一綜合事務所を選んだ理由は,国際業務のトップランナーだからです。

独立開業直後,入管業務を学ぶセミナーで,代表の若松の講演を聞く機会があり,日本の入管行政に対する熱い思いに触れ,法律家としての姿勢に感銘を受けました。

あまり持ち上げると胡散臭くなってしまうのでこれぐらいにしますが,私はそこで「入るなら第一綜合」と決めました。

それからしばらくして,経験者枠の求人があり,ダメ元で応募してみました。
もし入れなければ,いまの一人事務所をどうにかする方法を改めて模索するつもりでした。

行政書士法人 第一綜合事務所に入所した後の印象は?

入所後の印象は「想像していた以上にきちんとしている。」ということです。

少しでも疑問があれば法令や文献をしっかり読み込んだり,諸官庁へ連絡して入念に確認したり,専門家として基本的な行動なのですが,一般企業の会社員だった私にとっては「そこまでするの?」と驚いたのと同時に,これまでの私自身の仕事に対する姿勢を反省するきっかけにもなりました。

また,書類の作成や保管の仕方,社内の業務携連から郵送物の梱包方法まで,いつ・誰が・何を・どのように行うのか社内ルールが細かく設定されており,全員がそのルールに沿って動いていました。

ルール,ルールというと自由度が無くて窮屈なイメージを抱くかもしれませんが,しっかりしたルールがあるからこそ,「誰もやらずに放置する。」ということがなく,誰がやっても一定のクオリティが保たれ,途中で担当が変わってもスムーズに動けるということを学びました。

何人ものスタッフが手分けして日々たくさんの書類を作成していますが,完成物を見ても誰が作ったものなのかわかりません。
これこそ,全員が同じクオリティで仕上げられている証だと思います。

全員で「第一綜合品質」を作り上げているところに,プロ意識を強く感じました。

事務所への入所と独立の違いを教えて下さい

私の場合は「一人で独立開業」と「大きな事務所に入る」という2つを経験しましたが,大きな違いは『チームプレイができるかどうか』だと思います。

嬉しいことも,大変なことも,時に腹立たしいことも,チームで共有・共感し合えるというのは,なかなかいいものですね。私は一人でやってみて,チームプレイの良さを再認識しました。

もともと「一人でやってみたい!」という強い思いがあって独立開業したわけではないから余計にそう感じているのかもしれません。

もうひとつは,一人事務所ではなかなか関わることができないような仕事にも,携われる機会が多いということです。

例えば,非常に難易度の高いご相談や,年に一度あるかどうかの珍しいご相談など,案件の幅がとても広いと感じます。

仕事の魅力ややりがいを感じる時を教えて下さい

「行政書士ならではの仕事」ということであれば,国際業務はお客様の人生の岐路でお手伝いできるということが,やりがいにつながっていると思います。

ビザは「命の次に大切なもの」と言われています。

帰化申請は「国籍を変える」という一生に一度あるかないかのイベントに携わることになります。

どちらも結果次第でお客様の人生が大きく変わる可能性があり,それだけ責任も重大です。

ビザも帰化も法務大臣に大きな裁量があり,「書類が揃っていれば許可される」という手続きではありません。

だからこそ,許可を取るためのプランは百人百様です。

そこに国際業務の面白さがあると私は思っています。

今後の展望等がありましたら教えて下さい

弊社だけでなく,行政書士業界全体として遅れている感が否めない「業務のIT化やDX化」を積極的に推進していきたいですね。

私たち行政書士法人第一綜合事務所が先頭を切って,業界をリードしていきたいです。

あとは,行政書士として,新たな書類作成業務を開拓できたら面白そうだなとも考えています!

これから資格取得を目指している方へメッセージをお願いします

「行政書士の資格を取ってやりたいこと」を,できるだけ具体的にイメージしておくことをおすすめします。

それがワクワクするものであれば,勉強のモチベーションになりますし,合格してからのアクションも明確になります。

資格の取得は「試験日」という共通の締め切りと,「合格」というゴールがあるので道に迷うことはありませんが,資格を取ったあとは自分で道を見つける必要があります。

特に行政書士は,「合格後はこの道があります」のような決まったルートがなく,資格を持っているだけで転職できるような業界でもありません。

『行政書士の資格を取って,○○○の○○○をやっていきたい!』ということを,ぜひ一度,紙に書き出してみてください。

この記事の著者  行政書士法人第一綜合事務所 伊藤 暁一

1980年生まれ。東京都調布市出身。 携帯電話販売代理店でアフターサービス窓口業務,広告代理店で法人営業,カフェチェーン運営会社で広告宣伝,IT企業で営業企画に従事。IT企業在職中に行政書士試験に挑戦。 2019年11月 令和元年度行政書士試験 不合格 2020年11月 令和2年度行政書士試験 合格 2021年6月 行政書士登録(登録番号第21080668号)。 個人事業主として開業。入管・帰化業務,ドローン飛行許可業務を取扱う。 2023年3月 行政書士法人第一綜合事務所へ入社。※ ※行政書士は複数の機関等に所属できないため個人開業の事務所は廃業。

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