行政書士と海事代理士、難易度が高いのはどっち?ダブルライセンスにメリットはある?
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「何か法律系の国家資格を取得したい」「8士業のいずれかを取得したい」と思っている人の中には、行政書士と海事代理士で迷っている人や、ダブルライセンスに興味がある人もいるのではないでしょうか。
行政書士試験と海事代理士試験の合格率を比較すると、行政書士のほうが圧倒的に低く、「何度が高い」といえます。
しかしそれは、「海事代理士試験が簡単である」という意味ではありません。
海事代理士を受験する人の多くは、すでに行政書士をはじめとする他士業資格を保有しているためです。
今回は、行政書士と海事代理士の難易度やダブルライセンスのメリットについて解説します。
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行政書士とは、さまざまな書類を作成する専門家です。
行政書士が扱う書類には、以下のものがあります。
官公署に提出する書類 | 国や都道府県、市区町村などに提出する書類 【例】 ・建設業許可申請書 ・農地転用許可申請書 ・道路使用許可申請書 など |
権利義務に関する書類 | 権利の発生や存続、変更、消滅を目的とした書類 【例】 ・契約書(贈与・売買・賃貸借・雇用・委託など) ・遺産分割協議書 ・内容証明 ・示談書 など |
事実証明に関する書類 | 社会生活における利害に関することを証明する書類 【例】 ・現地調査のうえ作成する位置図や案内図、現況測量図など ・議事録 ・財務諸表(貸借対照表・損益計算書など) ・申述書 |
また、上記の書類に関する相談業務や、代理申請も行えます。
海事代理士とは
海事代理士とは、海で働く人を支える海の法律家です。
「海の行政書士」と呼ばれることもあります。
例えば以下のような業務を行います。
船舶の登記手続き | 所有権保存登記・所有権移転登記など |
船舶の測度・登録手続き | 船舶総トン数測度申請・仮船舶国籍証書交付申請など |
船舶の検査に関する手続き | 船舶検査申請・有効期間延長申請など |
船員の労働に関する手続き | 船員手帳の交付申請・雇入契約書の作成・船員の就業規則作成など |
船舶の資格に関する手続き | 小型船舶操縦士免許の更新・失効再交付など |
このように、船舶に関するさまざまな申請を代理したり、相談に対して適切なアドバイスを行ったりします。
海事代理士の仕事の多くは、行政書士も行えます。
しかし船舶総トン数測度申請や船員の就業規則の作成などは、海事代理士にしか行えない「独占業務」です。
行政書士と海事代理士の難易度はどちらが高い?
行政書士試験と海事代理士試験では、行政書士試験のほうが難易度が高いといえます。
それぞれの合格率は以下のとおりです。
行政書士 | 海事代理士 | ||
筆記試験 | 口述試験 | ||
2023年 | 13.98% | 55.7% | 94.9% |
2022年 | 12.13% | 55.1% | 98.5% |
2021年 | 11.18% | 55.3% | 98.6% |
2020年 | 10.72% | 54.2% | 62.3% |
数字で見ると、圧倒的に行政書士試験のほうが合格しにくいことがわかります。
ただし、単純に合格率が高い=簡単というわけではありません。
海事代理士試験を受験する人の多くは、すでに行政書士や司法書士といった他士業の資格を保有しているためです。
一定の法律知識が身についている人や試験慣れしている人が多いことが、高い合格率につながっているといえるでしょう。
なお、それぞれの試験科目は以下のとおりです。
▼行政書士試験
法令 | ・憲法 ・行政法 ・民法 ・商法 ・基礎法学 |
基礎知識 | ・一般知識 ・行政書士法等行政書士業務に密接に関連する諸法令 ・情報通信・個人情報保護 ・文章理解 |
▼海事代理士試験(筆記試験)
一般法律常識 | ・憲法・民法・商法(海商のみ) |
海事法令 | ・国土交通省設置法 ・船舶法 ・船舶安全法 ・船舶のトン数の測度に関する法律 ・船員法 ・船員職業安定法 ・船舶職員および小型船舶操縦者法 など |
業務上ではかかわる機会の多い行政書士と海事代理士ですが、試験内容は大きく異なり、共通の科目といえば憲法しかありません。
もし行政書士と海事代理士のダブルライセンスを狙うなら、同時に勉強するのではなく一つひとつ確実に取り組んでいくことをおすすめします。
行政書士と海事代理士のダブルライセンスにメリットはある?
行政書士と海事代理士のダブルライセンスにはメリットがあるといえます。
なぜなら、ダブルライセンスを取ることで業務の幅が広がり、周囲との差別化を図れるためです。
また、両者は相性のよい資格でもあります。
例えば、船舶の登記や船舶総トン数測度申請などは海事代理士として行い、マリーナの使用許可は行政書士として行うなどです。
どちらかの資格しか保有していなければ外注したり紹介したりする必要のある業務を、ひとりで行えるようになることは大きなメリットといえるでしょう。
実際に、多くの海事代理士が行政書士とのダブルライセンスで活躍しています。
逆にいうと、業務が海に絞られる海事代理士1本でやっていくことは難しく、独立しても食べていけない可能性があります。
そのため、行政書士メインで活動し、海に関する業務が舞い込んだ時に海事代理士として仕事を行うというスタンスがおすすめです。
関連コラム:行政書士のステップアップにおすすめのダブルライセンスは?7つの資格を紹介
まとめ
行政書士と海事代理士の難易度の違いやダブルライセンスのメリットなどについて解説しました。
試験の難易度を比較すると、海事代理士よりも行政書士のほうが高いといえます。
しかし海事代理士試験を受験する人は、すでに行政書士や司法書士試験を突破していることが多く、受験生のレベルが高いために合格率も引き上げられていることが考えられるため、数字だけを見て「簡単」であると判断することは危険です。
なお、行政書士と海事代理士の資格は相性がよく、ダブルライセンスを狙うことには大きなメリットがあります。
行政書士とのダブルライセンスを狙うなら、同時に勉強するのではなく一つずつクリアしていきましょう。
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