法改正により、令和6年度(2024年度)以降の行政書士試験が大きく変わります。

今回の法改正を受けて、「行政書士試験の何がどう変わるのか」「勉強や試験対策の仕方もこれまでと変える必要があるのか」といった不安を抱えている受験生も多いのではないでしょうか。

細かい法改正はいくつかありますが、もっとも大きく変わるのはこれまで「一般知識」と呼ばれていた分野です。

当コラムでは、法改正で行政書士試験の何が変わったのか、今後どのように試験対策をしていけばよいのかなどについて解説します。不安なく行政書士試験合格を目指すためにも、ぜひ最後までご覧ください。

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「一般知識」⇒「基礎知識」に!法改正で行政書士試験の何が変わる?

令和5年9月に「行政書士試験の施行に関する定め」が一部改正され、令和6年度(2024年度)の行政書士試験より適用されることが決定しています。

行政書士試験で大きく影響を受ける部分といえば、これまで「一般知識」と呼ばれていた分野です。

まず、名称が「行政書士の業務に関連する一般知識等」から「行政書士の業務に関し必要な基礎知識」へと変更されます。

そして、行政書士試験の試験科目もこれまでと変わります。

新・旧の試験科目は以下のとおりです。

●一般知識
●行政書士法等行政書士業務と密接に関連する諸法令
●情報通信・個人情報保護
●文章理解
●政治・経済・社会
●情報通信・個人情報保護
●文章理解

試験に加わった「行政書士法等行政書士業務と密接に関連する諸法令」については、まったく新しい分野が追加されるというよりは、平成17年に行われた改正で撤廃された分野がまた戻ってくるといったイメージです。

行政書士法等行政書士業務と密接に関連する諸法令とは、行政書士法、戸籍法、住民基本台帳法などを指します。

基礎知識の出題数は択一式が14問とこれまでと変わらないため、苦手とする人が多い政治・経済・社会などの出題数がこれまでよりも少なくなることが予想されます。

行政書士の業務に関する法改正について

前章で解説したこと以外にも、行政書士法などで法改正が行われています。

例えば行政書士法第1条では、「国民の権利利益の実現に資することを目的とする」という文言が追加されました。

また、行政書士法人に関しては、これまで社員ひとりでの設立は認められていませんでしたが、今回の改正により社員ひとりでも設立できるようになっています。

そのほか、行政書士会による注意勧告に関して、以下の規定が新設されています。

『行政書士法第17条の2 行政書士会は、会員がこの法律又はこの法律に基づく命令、規則その他都道府県知事の処分に違反するおそれがあると認めるときは、会則の定めるところにより、当該会員に対して、注意を促し、又は必要な措置を講ずべきことを勧告することができる』
出典:行政書士法の一部を改正する法律

行政書士法の改正についても、しっかり押さえておきましょう。

ほかにも、嫡出推定規定の見直しや女性の再婚禁止期間の廃止など、民法においても法改正があり、令和6年4月1日から施行されています。

参考:法務省:民法等の一部を改正する法律について

令和6年度の行政書士試験では、法改正に注意する必要があるでしょう。

法改正で行政書士試験の対策法は変わる?

法改正によって試験内容が変わるとはいえ、これまでの試験科目については出題範囲が変わるわけではありません

そのため、試験対策についてもこれまでと大きな違いはありません

ただし、古い教材を使用している場合は改正点がカバーできないため、最新のものを用意しましょう。

また、行政書士法や戸籍法、住民基本台帳法の対策としては以下の通りです。インプットは、スクールのインプット講座を利用して、各法律の条文を習得しましょう。アウトプットとしては、各スクールの模試で出題された問題をストックしておくのが良いでしょう。

行政書士の業務に必要な諸法令については、政治・経済・社会などとは異なり、範囲が限定されています。

試験科目が増えた=大変だと思うかもしれませんが、「改正前よりも対策自体はしやすくなった」「点数が取りやすくなった」と前向きにとらえ、今のうちからしっかり対策しておきましょう。

そのほか、行政書士会による注意勧告に関する規定の対策として、司法書士試験の過去問のうち、司法書士法第61条に関連する問題を解くことも効果的です。

司法書士法第61条とは、行政書士法第17条の2と同様、単位会が会員に対して注意勧告できることについての規定です。

試験は違っても、問題に触れておくことはよいトレーニングになるでしょう。

令和6年度から行政書士試験が変わる?変更点と対策法を動画で解説

YouTube動画としては、【行政書士試験】アガルートの最短ルートTVに『【知らないとまずい】令和6年度から行政書士試験が変わる?変更点と対策法を解説』をUPしていますので是非ご覧ください。

また、押さえておくべき重要な法改正として、民法 家族法(親族)と、行政法 地方自治法について、動画で解説しています。こちらのもしっかり自分が押さえられているか確認するためにも、ぜひご覧ください。

動画:【2024年 行政書士試験】法改正から逃げないで!絶対に押さえておくべき重要法改正を解説!

まとめ

行政書士試験に関する法改正について解説しました。

当コラムをまとめます。

法改正の行政書士試験への影響まとめ

  • 令和6年度(2024年度)の行政書士試験から「行政書士試験の施行に関する定め」の一部改正が適用される
  • 「一般知識等」が「基礎知識」に変更され、試験科目として「行政書士法等行政書士業務と密接に関連する諸法令」が追加される
  • 行政書士法自体も改正されているため対策が必要である
  • 追加された科目もあるが、もともとある科目についての対策法に変わりはない

法改正を知らないまま法改正前の情報で勉強を続けていると、間違ったことを覚えてしまうおそれがあります。

特に独学の場合は、法改正があっても誰も教えてくれず、間違ったことを勉強していても誰も指摘してくれないため要注意です。

しかし、予備校や通信講座を利用していれば、このような法改正にも随時対応が可能なため、安心して勉強に専念できます。

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この記事の監修者 豊村 慶太 講師

豊村 慶太講師


行政書士受験指導のカリスマ。早稲田大学3年次にわずか2か月の学習期間で行政書士試験に合格。
大手資格予備校LECで12年以上にわたり、行政書士試験の受験指導を行い、基幹講座・単科講座・全国向け収録講座のみならず、大学学内講座(成城大学・学習院大学)も担当。
LEC時代・アガルート移籍後を通じて、19年以上の講師歴を通じて、のべ1万人以上の受験生を指導(2023年4月時点)。高い合格率に定評がある。

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グルメを中心としたブログも人気。趣味は、サーフィン・スキューバダイビング・ゴルフ・トランペット・神社仏閣めぐり。

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