行政書士試験は、年齢や学歴関係なく誰でも受験できる試験です。

しかし、行政書士試験の受験を検討している人の中には、試験の内容についてまだ具体的にはわかっていないという人もいるのではないでしょうか。合格するためにまずすべきことは、敵をよく知ることです。

当コラムでは、行政書士試験の内容や試験科目、配点について解説します。科目ごとの対策方法についても解説しているため、行政書士試験合格を目指す人はぜひ最後までチェックしてみてください。

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行政書士試験の試験概要

試験日時例年11月 第2日曜日
13時~16時(3時間)
受験資格なし。年齢、性別、学歴、国籍等関係なく誰でも受験可能。
試験科目●行政書士の業務に関し必要な法令等
・民法
・行政法
・憲法
・基礎法学
・商法・会社法
●行政書士の業務に関し必要な基礎知識
・一般知識
・行政書士法等行政書士業務と密接に関連する諸法令
・情報通信・個人情報保護
・文章理解
合格基準①法令科目で122点以上得点すること
②基礎知識で24点以上得点すること
③合計で180点(全体の6割)以上得点すること
(絶対評価)
難易度合格率10%前後
受験費用受験手数料は10,400円
参考:試験概要 | 行政書士試験研究センター

行政書士の試験内容 試験科目と配点

問題数や配点は年度によって異なる場合があります。以下は目安として参考にしてください。

出題形式(配点)科目問題数配点合計基準点
法令科目5肢択一式(1問4点)基礎法学2問8点244点122点
憲法5問20点
行政法19問76点
民法9問36点
商法・会社法5問20点
多肢選択式(1問8点)憲法1問8点
行政法2問16点
記述式(1問20点)行政法1問20点
民法2問40点
基礎知識5肢択一式(1問4点)一般知識14問56点24点
行政書士法等行政書士業務と密接に関連する諸法令
情報通信・個人情報保護
文章理解
60問300点180点

行政書士試験の分野には、大きくわけて「法令科目」「基礎知識」の2つがあります。

さらに法令科目は「基礎法学」「憲法」「行政法」「民法」「商法・会社法」の5科目基礎知識は「一般知識」「行政書士法等行政書士業務と密接に関連する諸法令」「情報通信・個人情報保護」「文章理解」の4科目にわかれます。

試験には300満点中180点以上で合格できますが、法令科目、基礎知識それぞれに基準点が設定されており、合格するためには両方の基準点をクリアしなければなりません。

たとえば、法令科目のみで180点獲得できても、基礎知識で20点しか取れなければ不合格です。

両方の基準点をクリアしつつ、トータルの得点が180点以上になる必要があるため、ただやみくもに勉強し受験するのではなく戦略も必要でしょう。

科目と配点、出題形式をまとめると下記のようになります。

なお、法改正によって、これまで「一般知識等」と呼ばれていた分野の名称が「基礎知識」に変わっています。

また、新たな科目が追加されるなどの変更も生じたため、基礎知識については科目ごとの出題数が現時点で不明です。

ただし、法令科目に関しては従来どおりであるため、基礎知識全体の問題数が14問であることは変わりません

基礎知識の変更点については後述します。

【法令科目】どんな科目?対策は?

法令科目は以下の5科目です。

  • 民法
  • 行政法
  • 憲法
  • 基礎法学
  • 商法・会社法

数ある法律の中でも、行政書士の業務と深い関わりのある法律のみに絞られています。特に民法や行政法、会社法などは、実際に行政書士として実務を行う際に関わる可能性のある法律です。

試験内容が「実務に関係ない」といわれることもありますが、民法は私法の一般法ですし、行政法で学ぶ内容は、行政書士実務で取り扱う個別法(例:建築基準法)をうまく使うための大きなフレームを学ぶことになります。会社法で取り扱う「設立」分野も行政書士業務と結びつく部分があります。また、将来的に司法試験・司法書士試験等のダブルライセンスも見据えているのであれば、避けては通れない科目ばかりです。

ここでは、勉強する際におすすめの順序で、科目別の試験内容と対策のポイントをご紹介します。

なお、学習する順番については、法改正などにより予備校の配信スケジュールがずれることがあります。その場合は配信スケジュールに準拠してください。

民法

民法の配点は300満点中76点と、行政法の112点に次ぐボリュームがあります。全体の25%を占めると考えれば、合否を左右する重要科目のひとつであることがわかるでしょう。

特に近年は法令科目が難化傾向にあり、中でも民法はその傾向が強いといわれています。そのため、いかに効率的な学習と正しい対策をできるかが合格の鍵を握ります。さらに、民法は私法の一般法であり、民法の考え方は行政法でも有用ですし、民法と商法は一般法と特別法の関係であることから、商法を学ぶ上で民法を知らないないのでは話になりません。

民法の出題数や配点は以下のとおりです。

出題形式出題数配点
5肢択一式9問36点
記述式2問40点
合計11問76点

民法 対策のポイント

民法を攻略するためには、AやB、Cといった人物が登場する事例問題を解けるようになることが必須です。

ただし事例問題は、ただ条文や判例を丸暗記しただけでは解けないようになっています。条文や判例を正しく理解し、ケースごとにどのような条文や判例が該当するのかを考えながら正解を導き出さなくてはなりません。

また、5肢択一式の勉強をする際に、常に記述式を意識することも重要です。

「5肢択一式で問われた知識が記述式でも問われたらどう書くか(事案[J]を見て何のテーマ[T]かが分かるようにする。J→Tの視点)」を考えたり、基本的な用語や制度について簡潔にかけるようにトレーニングしたりするなど、日頃から意識して学習しましょう。もったいないミスを防げるよう、漢字を正確に書けるようにしておくことも大切です。

行政法

行政法の配点は300点満点中112点です。全体の37%と、全科目の中でもっとも大きなウェイトを占めています。

行政法の出題数や配点は以下のとおりです。

出題形式出題数配点
5肢択一式19問76点
多肢選択式2問16点
記述式1問20点
合計22問112点

行政法 対策のポイント

行政法は憲法や民法に比べてなじみがない分、とっつきにくさを感じる人が多いかもしれません。

しかし、条文の知識をそのまま問われる問題が多く過去問での学習が有効であるため、学習しやすく力を伸ばしやすい科目でもあります。

学習のコツは、できるだけ具体的なイメージをもつことです。

例えば、スピード違反で取り締まりにあい、免許停止処分を受けた場合を例に挙げてみましょう。免許停止処分は行政処分です。処分が不当だと思う場合は行政不服審査法に基づいて不服申し立てできますが、審理の結果として処分が妥当だと判断されれば、不服申し立ては棄却されてしまいます。

また、免許停止処分を受けた際は、超過速度に応じて反則金(行政罰)が科されます。

さらに、地方自治法は、皆さんが済んでいる地方公共団体(例:高知県・秋田市等)の話であり、その地方の長や議員の話ですからより身近に感じられるでしょう。

このように、身近な例をイメージしてあてはめれば、より理解は深まるでしょう。

なお、条文を学習する際についても、条文が適用される場面や適用された場合にどのような結果になるのかなどをイメージしながら学習することによって、理解が深まり記憶に残りやすくなります。

憲法

憲法は人権、統治の2分野から出題されます。

「300点満点中28点」と考えると、それほど重要度が高くないように思えるかもしれません。しかし、「あと1問取れていたら合格できていたのに」というケースは珍しくありません。できるだけ多くの問題を獲得できるようにする努力は必要でしょう。

出題数や配点は以下のとおりです。

出題形式出題数配点
5肢択一式5問20点
多肢選択式1問8点
合計6問28点

憲法 対策のポイント

人権の分野では、主に判例の知識が問われます。判決文の中で、実際に試験に出題される箇所はある程度決まっているため、過去問を用いて出題傾向を探り、つかむことが効率的な学習には必要です。

しかし、判決だけを押さえておけば通用するような問題ばかりではなく、過去には判決文要約を並べ替える問題が出題された年もありました。そのため判決だけでなく、判決に至った一連の流れ(判断枠組み)をなんとなくでも理解しておいたほうがよいでしょう。

また、統治の分野では、条文知識がそのまま出題されることが多い傾向にあるため、条文知識を固めつつ、過去問を繰り返し解くことが重要です。「司法権」の分野は判例学習も重要です。

憲法は出題数こそあまり多くありませんが、憲法のできが試験に大きく影響することもあります。

安定して得点できるようになっておきたい科目です。

基礎法学

基礎法学は、5肢択一式の問題が2問出題されます。行政法や民法などと比べたら重要度は下がるかもしれません。しかし、1点足りずに落ちてしまうケースも少なくないため、捨て科目にしてしまうのはもったいないでしょう。

出題形式出題数配点
5肢択一式2問8点

基礎法学 対策のポイント

法学一般の幅広い知識の中から出題されるため範囲が広く、2問のうち1問はトリッキーな問題が出題される傾向にあるのが基礎法学の特徴です。1問目から長文を読まされ、戦意を削がれてしまうこともありますが、そういうものだと割り切って冷静にもう1問を取りにいきましょう。

そのためには手を広げすぎず、過去問でしっかり演習をしておくことが重要です。

法令科目をすべて学習すると、法律そのものの構造や基本原理が自然と身につきます。全体のおさらいとして、基礎法学を法令科目の最後に学習することもおすすめです、あまり時間をかけないようにしましょう。

商法・会社法

商法・会社法は以下のように、5肢択一式の問題が全部で5問出題されます。範囲が膨大な割に出題数が多くないためついつい放置してしまいがちですが、捨ててしまうにはもったいない科目です。

出題形式出題数配点
5肢択一式(商法)1問4点
5肢択一式(会社法)4問16点
合計5問20点

商法・会社法 対策のポイント

商法に関しては、最低限基本的なことを押さえておくとよいでしょう。具体的には、テキスト・過去問・模試です。

一方会社法は、「株式会社の設立」や「機関」などの分野が理解しやすく頻出分野でもあります。2問は獲得するつもりで学習しましょう。時間がない場合は、「株式会社の設立」だけはやりましょう。

特に会社法は、将来的に会社設立手続きやコンサルティングの業務を行う際に必要となる知識です。合格後の自分の姿をイメージしながら学習すると、モチベーションも維持しやすいのではないでしょうか。

【基礎知識】どんな科目?対策は?

基礎知識とは、もともと「一般知識等」と呼ばれていた分野のことです。改正により、令和6年度の試験から「基礎知識」へと名称が変わります。

また、内容についても以下のように変更されます。

  • 新たな科目「行政書士法等行政書士業務と密接に関連する諸法令」の追加
  • 旧一般知識等の科目「政治・経済・社会」の名称を「一般知識」へと変更

令和6年度以降、基礎知識の科目は以下のとおりです。

  • 一般知識
  • 行政書士法等行政書士業務と密接に関連する諸法令
  • 情報通信・個人情報保護
  • 文章理解

変更点はありますが、変わらない部分もあります。例えば情報通信・個人情報保護、文章理解は従来どおりという認識でよいでしょう。

一般知識も、問われる内容としては旧政治・経済・社会と同様と想定されます。

また、足切りにあわないよう「基準点を突破する」「文章理解を得点源にする」といった注意点もこれまでと変わりません。

基礎知識では高得点を狙うよりも、確実に足切りを免れられるようにすることが重要です。まんべんなく学習するのではなく、点数を取れるところで確実に取るという意識で臨みましょう。

ここでは、科目別に試験内容と対策のポイントをご紹介します。

一般知識

旧政治・経済・社会からは例年5肢択一式の問題が7〜8問出題されていましたが、「行政書士法等行政書士業務と密接に関連する諸法令」が新たな科目として追加されたこともあり、令和6年度の試験では何問出題されるかが読めません。

ただし、これまで3〜4問出題されていた情報通信・個人情報保護と3問出題されていた文章理解には変更を加えず、7〜8問出題されていた政治・経済・社会から数問「行政書士法等行政書士業務と密接に関連する諸法令」に振り分けられる可能性があります。そうすると、旧政治・経済・社会の出題数は減ることになります。

旧政治・経済・社会はとにかく範囲が広く、足切りにあう原因になることも少なくありませんでしたが、出題数が減ればこれまでよりも足切り対策がしやすくなるでしょう。

一般知識 対策のポイント

一般知識に関しては、旧政治・経済・社会と同様の対策方法で問題ないでしょう。

旧政治・経済・社会の頻出分野は以下のとおりです。

  • 各国の政治制度
  • 日本の選挙制度
  • 国際問題
  • 金融政策
  • 財政問題
  • 環境問題
  • 社会保障制度
  • 労働問題

まずはテキストと過去問を押さえましょう。新聞を読む習慣をつけることや、日頃からニュースに対してアンテナを張っておき、気になったニュースをネットで検索することなども効果的です。

ただし、時間をかけすぎることはおすすめしません。出題数が減る場合はさらに出題ポイントが予測しにくくなるため、時間をかけたところで成果が出るとはかぎらないためです。

全問正解を目指すのではなく、例えば3〜4問出題されるなら2問獲得を目標にするなど、「頑張りすぎない」ことがポイントです。

一般知識で2問、行政書士法等行政書士業務と密接に関連する諸法令で2問、情報通信・個人情報保護で2問、文章理解で3問正解できれば、計9問(36点)で合格基準点を余裕で突破できます。

行政書士法等行政書士業務と密接に関連する諸法令

令和6年度の試験から新たに追加される科目が「行政書士法等行政書士業務と密接に関連する諸法令」です。

ただ、諸法令に関しては「新たに生み出された未知の分野」というわけではなく、平成17年の改正以前に出題されていた行政書士法や戸籍法、住民基本台帳法などがまた戻ってくるといったかたちです。

出題数は不明ですが、行政書士法、戸籍法、住民基本台帳法からそれぞれ1問ずつ出題される可能性があります(行政書士法が2問の可能性もあります)。

行政書士法等行政書士業務と密接に関連する諸法令 対策のポイント

「行政書士法等行政書士業務と密接に関連する諸法令」の対策としてできることは、

講義・テキストをベースに過去問を解くことです。各スクールの模試を受けることも大事です。

過去(行政書士法等が出題されていた平成17年より前)に出題された問題をベースに、試験問題を作成することが考えられるためです。

また、行政書士法や戸籍法、住民基本台帳法の条文を確認することも重要です。

司法書士試験の試験科目である「司法書士法」の出題傾向が参考にされる可能性も考えて、司法書士法ではどのような知識が問われているかを見てみるのもよいでしょう。もっとも、これは時間に余裕がある人のみです。

なお、テキストはもちろん、六法なども以前のものではすべての試験科目がカバーできないため、最新のものを購入することをおすすめします。

情報通信・個人情報保護

これまで情報通信・個人情報保護からは、5肢択一式の問題が3〜4問出題されていました。

今回の改正がどのように影響するかはわかりませんが、情報通信・個人情報保護は基本的な知識を問われる問題が多いため、得点源にしやすい科目です。出題数に変動があるかどうかにかかわらず、全問正解を狙うつもりで臨みましょう。

情報通信・個人情報保護 対策のポイント

情報通信では、情報や通信技術に関する基本的な用語知識が出題される傾向にあります。難易度はあまり高くなく、用語の意味を知っているだけで正解肢に辿り着けるような問題も多く出題されます。

そういった問題を取りこぼさず確実に正解できるよう、用語と意味を正しく理解しておくとよいでしょう。

また、個人情報保護の分野については、以下のような法律の条文知識が問われます。

  • 個人情報保護法
  • 行政機関個人情報保護法
  • 情報公開法
  • 公文書管理法

法令科目と同様に、テキストや条文、過去問を中心とした学習が有効です。学習した分だけ得点につながりやすい分野であるため、得意分野にできれば基礎知識の攻略がぐっと楽になるでしょう。

文章理解

これまで文章理解からは、5肢択一式の問題が決まって3問出題されていました。令和6年度の試験でも、これまでどおり3問出題されることが予想されるものの、どうなるかはわかりません。

ただ、情報通信・個人情報保護と同様に、文章理解も得点源にできる科目のひとつです。全問正解できるようできるだけ多くの問題に触れましょう

文章理解 対策のポイント

以前は並べ替えや空欄補充、文章要旨把握問題がまんべんなく出題されていましたが、近年は空欄補充型の問題のみが出題される傾向にあります。

国語力も重要ですが、空間補充はテクニックが比較的使いやすい出題形式です。苦手意識がある人はできるだけ早めに取り掛かり、とにかく問題を解くことに慣れましょう。近年の文章理解は難易度が低めで得点しやすいのが特徴です。ぜひ全問正解し、基礎知識の得点源としてください。

文章理解で安定して3問正解できれば、あとは3問取るだけで24点を突破できるため、足切りにあう可能性はかなり減るはずです。

行政書士試験3つの出題形式

前述のとおり、行政書士試験には、以下の3つの出題形式があります。

  • 5肢択一式
  • 多肢選択式
  • 記述式

それぞれ例として、過去問とともに解説します。

5肢択一式

5肢択一式問題とは、基本的には5つの選択肢の中から正しいもの、または誤っているものを1つ選んで解答する出題形式で、解答は1問ずつマークシート用紙にマークします。

5肢択一式の問題(令和4年度 行政書士試験問題4)

薬局を営むXは、インターネットを介した医薬品の通信販売を始めたが、法律は一定の種類の医薬品の販売については、薬剤師が対面で情報の提供および薬学的知 見に基づく指導を行うことを求めている。そこでXは、この法律の規定が違憲であり、この種の医薬品についてもネットで販売する権利が自らにあることを主張して出訴した。この問題に関する最高裁判所の判決の趣旨として、妥当なものはどれか。

1  憲法 22 条 1 項が保障するのは職業選択の自由のみであるが、職業活動の内容や態様に関する自由もまた、この規定の精神に照らして十分尊重に値する。後者に対する制約は、公共の福祉のために必要かつ合理的なものであることを要する。

2  規制の合憲性を判断する際に問題となる種々の考慮要素を比較考量するのは、第一次的には立法府の権限と責務であり、規制措置の内容や必要性・合理性については、立法府の判断が合理的裁量の範囲にとどまる限り、裁判所はこれを尊重する。

3  本件規制は、専らインターネットを介して販売を行う事業者にとっては職業選択の自由そのものに対する制限を意味するため、許可制の場合と同様にその必要性・合理性が厳格に審査されなければならない。

4  本件規制は、国民の生命および健康に対する危険の防止という消極目的ないし警察目的のための規制措置であり、この場合は積極目的の場合と異なり、基本的人権への制約がより小さい他の手段では立法目的を達成できないことを要する。

5  本件規制は、積極的な社会経済政策の一環として、社会経済の調和的発展を目的に設けられたものであり、この種の規制措置については、裁判所は立法府の政策的、技術的な裁量を尊重することを原則とする。

令和4年度 行政書士試験問題|過去の試験問題 | 行政書士試験研究センター

※試験問題の無断転載は禁止されています。

5肢択一式対策のポイント

全問題の中で圧倒的に出題数が多いのは5肢択一式の問題であるため、学習の際は5肢択一式の過去問や予想問題を中心に解いていくことになるでしょう。過去問を活用した効果的な時短学習方法は、過去問を「解くもの」ではなく「読むもの」ととらえて取り組むことです。特に、学習の初期段階で、過去問を「解く」ことに時間がかかりすぎてストレスを感じている方は「読む」学習法はオススメです。

そのために注意すべきポイントは以下の2つです。

(1)正しい選択肢は暗記用として活用する

正しい選択肢を、そのまま暗記用として活用してみましょう。本試験で出題されるかたちのままインプットすることは、テキストの内容を丸暗記するよりも効率的です。解説とあわせて読み込めば、知識の定着につながるでしょう。

また、関連する条文や判例がある場合は、テキストの該当ページや条文、判例集を読み込むことも効果的です。

(2)誤りの選択肢を正しい選択肢に直してみる

誤りの選択肢も、ただ誤りだと切り捨ててしまえばそれまでですが、使いようによっては学習に活かせます。どの部分が誤りなのかを探しだし、どのように直せば正しい選択肢になるのかを考えることで知識の定着が図れるでしょう。

また、誤りの選択肢に慣れ親しむことで、本試験ではどのように引っ掛けてくるかがなんとなく掴めてきます。まさに「誤りの選択肢こそが教えてくれる」といっても過言ではないでしょう。

多肢選択式

多肢選択式問題とは、一言でいえば語群選択問題です。

用意された20の語句の中から空欄に当てはまるものを選ぶ形式で、例年憲法から1問、行政法から2問の計3問出題されています。

多肢選択式の問題(令和4年度 行政書士試験問題25)

※試験問題の無断転載は禁止されています。

多肢選択式対策のポイント

20も語句があると混乱してしまうのではと不安に思うかもしれませんが、同じ語句が入る箇所には同じ記号を当てはめてくれてあるため、それがヒントになります。しっかりと5肢択一式の知識が入っていれば、正解にたどり着けるでしょう。もしわからなくても、ある程度消去法が通用する部分でもあります。

また、5肢択一式は不正解の場合まったく得点になりませんが、多肢選択式の場合、1問あたり8点と配点が高いうえ、すべて正解しなくても部分点がもらえます。そのため、諦めずにとにかくひとつでも多く解答を埋めることが大切です。

なお、多肢選択式の問題には、文章理解に必要な空欄補充のテクニックが応用できます。文章理解対策をあわせて行うと効果的です。

記述式

記述式とは、解答を40字程度で記述を行う形式の出題方法で、例年行政法から1問、民法から2問の計3問出題されています。

なお、記述式に対する具体的な採点基準は、合格発表後に解答例が公表されるものの、公開はされていません。

記述式の問題(令和4年度 行政書士試験問題44)

開発事業者であるAは、建築基準法に基づき、B市建築主事から建築確認を受けて、マンションの建築工事を行い、工事完成後、Aは当該マンションの建物につき、検査の上、検査済証の交付を受けた。これに対して、当該マンションの隣地に居住するXらは、当該マンションの建築計画は建築基準法令に適合せず、建築確認は違法であり、当該マンションも、そのような建築計画に沿って建てられたものであるから違法であって、当該マンションの建物に火災その他の災害が発生した場合、建物が倒壊、炎上することにより、Xらの身体の安全や家屋に甚大な被害が生ずるおそれがあるとして、建築基準法に基づき違反建築物の是正命令を発出するよう、特定行政庁であるB市長に申し入れた。しかしながら、B市長は、当該建築確認および当該マンションの建物に違法な点はないとして、これを拒否することとし、その旨を通知した。
 このようなB市長の対応を受け、Xらは、行政事件訴訟法の定める抗告訴訟を提起することにした。この場合において、①誰を被告として、②前記のような被害を受けるおそれがあることにつき、同法の定める訴訟要件として、当該是正命令がなされないことにより、どのような影響を生ずるおそれがあるものと主張し(同法の条文の表現を踏まえて記すこと。)、③どのような訴訟を起こすことが適切か。40 字程度で記述しなさい。

(参照条文)
建築基準法
(違反建築物に対する措置)
第 9 条 特定行政庁は、建築基準法令の規定又はこの法律の規定に基づく許可に付した条件に違反した建築物又は建築物の敷地については、当該建築物の建築主、当該建築物に関する工事の請負人(請負工事の下請人を含む。)若しくは現場管理者又は当該建築物若しくは建築物の敷地の所有者、管理者若しくは占有者に対して、当該工事の施工の停止を命じ、又は、相当の猶予期限を付けて、当該建築物の除却、移転、改築、増築、修繕、模様替、使用禁止、使用制限その他これらの規定又は条件に対する違反を是正するために必要な措置をとることを命ずることができる。

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記述式対策のポイント

苦手意識がある人や、本試験の際にどのように書けばよいのかわからず、白紙で提出してしまう人もいます。たしかに、行政法・民法ともに条文や判例の知識を問われる問題が多く、基本的な知識が入っていない状態ではなかなか書けません。

記述式の出題範囲は5肢択一式の範囲の中から出題されます。したがって、まずは5肢択一式の学習に努め、一通り知識が入ってから取り組むことをおすすめします。

日々の学習で記述式対策をするにはどうするべきか?この点について述べましょう。このやり方は学習初期段階から役立ちます。実践してみてください。

①JTを意識する 

Jは「事案」、Tは「テーマ」です。

例えば、「法定地上権」の過去問を解いているときに、「仮に記述式で出題されるとしたら、この問題文のような事案で出題されるのだろうな」と考えながら学習するのです。まさに「J→T」のトレーニングです。逆も役立ちます。

例えばテキストを読んでいる際に「即時取得」というテーマが出て来たら、漫然と読み飛ばすのではなく、「即時取得が記述式で出題されるとしたら、具体的にはどういう事案になるのかな?」と頭で考えるのです。なんなら実際に絵を書いてみるのです。これは「T→J」のトレーニングです。

②KWを記憶する 

KWとは「キーワード」です。

例えば、①により、問われていることが法定地上権だったと分かったとしましょう。しかし、法定地上権の成立要件を覚えていなければ意味がありません。

ですから、要件・効果等の重要な要件は暗記していきましょう。もっとも、この②は単なる暗記ですから難しくはありません。

記述式学習の要諦は、日々の学習でいかに①のJTを意識した学習ができるかです。

そして直前期には過去問とは別に記述式問題集を1冊用意し、何周か解いておくとかなり力がつくでしょう。

配点については1問20点と高く、全問正解できれば60点です。部分点ももらえるため、得意にしない手はありません。とにかく書くことを意識しましょう。

注意しなければならないのは、誤字脱字が減点対象になる点です。誤字脱字だらけの状態では、せっかく書くべきことがうまく書けても得点を落としてしまいます。せめてテキストに出てくる用語くらいは、正しく書けるようにしておきたいものです。

行政書士試験の合格基準

行政書士試験の大きな特徴は、明確な合格基準が設けられており、合格基準点以上得点できれば合格できるところです。

合格基準は以下のとおりです。

①法令科目で122点以上得点すること
②一般知識で24点以上得点すること
③合計で180点(全体の6割)以上得点すること

合格するためには、3つの条件をすべて満たす必要があります

さらに、注意点も3つあります。

注意1. 足切りがある

まずは「足切りがある」ということです。

例えば、法令科目で満点を取ったとしても、基礎知識で24点に満たなければ不合格になってしまいます。

そのため、単に180点以上取れればよいという考えではなく、法令科目と基礎知識の両方で得点できるようになっておく必要があります。

関連コラム:行政書士試験における足切り(基準点)とは?概要と足切り点を解説

注意2. 180点に到達するか

次に、合格基準のうち①②を満たしても、180点に到達しない場合があるという点です。

①122点+②24点=146点
③180点ー146点=34点

上記の場合、①②の条件はクリアしていますが、合格には34点足りません

そのため、足りない34点をどこかで獲得できるようになっておかなければなりません。

なるべく苦手や捨て科目を作らないようにし、得意を伸ばしていくなどの戦略が必要です。

注意3. 法令科目の得点が合否を左右する

3つ目は、基礎知識で満点を取っても、合格基準点である180点に到達するためには法令科目で124点以上取らなければならないため、結局合否を左右するのは法令科目の得点だということです。

基礎知識にも気を配りながら、法令科目を中心に学習計画を立てる必要があるでしょう。

まとめ

行政書士試験の内容や試験科目、配点、科目別の対策法などについて解説しました。

行政書士試験は合格率10%前後という難関資格です。たった1割しか合格できないと考えると、自分には無理なのではないかと思って諦めてしまう人もいるかもしれません。しかし、難しい試験だからこそ、合格できたときには世界が変わったような気持ちになれます。

また、試験を通して得られるものもたくさんあります。

これから行政書士試験合格を目指して勉強を始めたいという人や、一度は諦めたもののもう一度頑張りたい人、何度か受験しているもののなかなか合格できないという人には、資格スクールの通信講座がおすすめです。

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是非ともアガルートの行政書士試験講座を受講して、効率よく合格を目指しましょう。

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この記事の監修者 豊村 慶太 講師

豊村 慶太講師


行政書士受験指導のカリスマ。早稲田大学3年次にわずか2か月の学習期間で行政書士試験に合格。
大手資格予備校LECで12年以上にわたり、行政書士試験の受験指導を行い、基幹講座・単科講座・全国向け収録講座のみならず、大学学内講座(成城大学・学習院大学)も担当。
LEC時代・アガルート移籍後を通じて、19年以上の講師歴を通じて、のべ1万人以上の受験生を指導(2023年4月時点)。高い合格率に定評がある。

初学者向けの入門カリキュラムでは、豊富な具体例を使い「圧倒的わかりやすさ・面白さ」で一気に合格ラインへと引き上げる。
中上級者・上級者向けの講座では、行政書士試験の過去問に加えて、行政書士試験以外の「他資格過去問」を利用した深みと厚みのある講義でリベンジを全力で後押しする。
常に「過去問」「問題演習」を意識しながら、受講生と一緒に手を動かして、自然に理解しやすく記憶が定着しやすい講義は、歴代の数多くの「豊村クラス」出身合格者の非常に高い支持を得ている。

グルメを中心としたブログも人気。趣味は、サーフィン・スキューバダイビング・ゴルフ・トランペット・神社仏閣めぐり。

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