難関試験である技術士第二次試験の筆記試験を終え、見事合格したら、口頭試験も絶対突破しましょう。

ここでは技術士口頭試験について改めて紹介するとともに、口頭試験の対策のポイント、よくある設問と答え方のポイントなどについて、一般的な例をあげて解説いたします。

本番前にぜひ参考にしてください。

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技術士 口頭試験の概要

技術士第二次試験は筆記試験と口頭試験があり、先に実施される筆記試験に合格した者だけが口頭試験を受験できます

なお、二次試験を申込む際に必要な実務経験証明書は、口頭試験でも使われる資料となりますので、しっかりと把握しておきましょう。

日程

口頭試験は年に1回、12月~1月までの間の日程で、受験者に別途通知されます。

例年7月、二次試験は下記のようなスケジュールになっています。

筆記試験:7月第3月曜日(祝日)とその前日の日曜日
10月下旬~11月上旬:筆記試験合格発表
12月上旬~翌年1月中旬頃:口頭試験
3月中旬:口頭試験合格発表

口頭試験の試験会場は東京のみとなるので、地方の方は事前の準備が必要です。

関連コラム:技術士試験日&申し込み方法完全ガイド!第一次・第二次試験日程は?

配点と評価基準

20部門と総合技術監理部門、それぞれの口頭試験の試験時間・配点・合格基準は下記の通りです。

20部門

技術部門 試問事項 試験時間 配点 合格基準
20部門
技術士としての実務能力
コミュニケーション、リーダーシップ
20分
30点
60%以上の得点
評価、マネジメント 30点
60%以上の得点
技術士としての適格性
技術者倫理 20点
60%以上の得点
継続研さん 20点
60%以上の得点

総合技術監理部門

技術部門 試問事項 試験時間 配点 合格基準
総合技術監理部門(必須科目)
総合技術監理部門の必須科目に関する技術士として必要な専門知識及び応用能力
経歴及び応用能力
20分
60点
60%以上の得点
体系的専門知識 40点
60%以上の得点
総合技術監理部門(選択科目)
※20部門と同じ
技術士としての実務能力
コミュニケーション、リーダーシップ
20分
30点
60%以上の得点
評価、マネジメント 30点
60%以上の得点
技術士としての適格性
技術者倫理 20点
60%以上の得点
継続研さん 20点
60%以上の得点

 

上記の通り、合格するにはすべて60%以上の得点が必要となります。

口頭試験ではどんなことが問われる?

口頭試験では技術士にとって必要となる能力や適格性といった資質能力(コンピテンシー)について問われます。技術士としての実務能力や適格性について質問されるので、事前にしっかりと回答を準備しておくように心がけていきましょう。

実務経験では「どのようなコミュニケーションをとってきたか」「リーダーシップをどのように発揮できたのか」「業務の評価や改善する内容」などが質問されます。

コミュニケーション・リーダーシップ、評価、マネジメントに対して、自分がどのように向き合って課題を解決してきたのかをまとめておきましょう。

技術士としての適格性については技術士者倫理と継続研さんについて問われます。技術者倫理は公益確保の責務、継続研さんは技術士CPDについて説明できるようにしておきましょう。

特に継続研さんの技術士CPDは、日本技術士会のホームページ上にも掲載されていますので、口頭試験対策の際には必ず目を通しておくことが重要です。

参考:
技術士CPD活動実績の管理及び活用制度の開始|公益社団法人 日本技術士会
技術士CPD(継続研鑚) Q&A|公益社団法人 日本技術士会

口頭試験の評価基準について

実務経歴証明書にある「業務内容詳細」がポイントです。こちらの小論文は文字数が720字内と制限があり、分かりやすく説明しなければなりません。

しかも、口頭試験はこの小論文を基に質問されることになり、記載通りの内容を答えるのは避けましょう。

あらかじめ質問されるであろう内容をまとめて回答をハッキリと言えるようにプレゼンを準備しておくことが大切です。

また、筆記内容を含め、経験した業務に関連する倫理違反事例や事故事例の質問もされる場合がありますので、こちらも合わせて回答できるようにしておきましょう。

口頭試験でよく聞かれる質問と回答例・回答方法

口頭試験でよく聞かれる代表的な質問と、適切な回答例と回答方法(ポイント)をいくつか紹介します。

口頭試験対策の参考にしてみてください。

技術的体験を中心にした経歴内容及び応用能力

【ケース1】

質問:「実務経験証明書の経歴の説明を●●分程度で簡潔にしてください。」

回答方法:

上記試問で、5つの経歴を含めて、詳細経歴について、説明してください。

質問の意図をよく考えてから答えることが大切です。

試験官は、受験者が提出した経歴や技術的体験論文や記述試験をもとに質問を投げかけます。

【ケース2】:

質問:「なぜこの業務を詳細経歴にしたのですか?」

回答と提出書類の内容に違いがあるなど、試験委員が受験者の説明内容に疑問を持ったとき、このようなことを聞かれることがあります。

回答方法:

5つの経歴のうち、その1つが詳細経歴です。深く試問されるのは、詳細経歴です。その他4つの経歴は、簡潔に応答します。

なお、「質問に答えられない=不合格」と決まったわけではありません。
質問の意味がわからない場合は、「申し訳ありません。◯◯ということでしょうか?」聞いて確かめるのが一番です。

質問の意味を理解しないまま答えると、話の意図を汲み取れない人だと判断されてしまうかもしれません。

技術士試験では「コミュニケーションスキル」が非常に重要です。わからないことを正直に聞く能力も評価のポイントとなります。

試験官とコミュニケーションを取る、ということを意識しましょう。

【ケース3】

質問:「お応えいただきました●●について、あなたはどのような観点で対策を採用したのですか?」

回答例:

「(はい。●●の対策ですね。)私は、○○を観点に、・・・技法を対策案として運用しました。」

【ケース4】

質問:その観点の●●対策では、困難と考えますが、他に対策案はありませんか?防げないのですが、そのほかにありますか?

回答例:

「今は、思い出せません。」

試験官と受験者の考えに違いがあるのは当然です。

経歴や技術的体験論文や記述試験の内容に関連するものは、事前に調べておくと良いかもしれません。

適格性及び一般的知識

適格性及び一般知識では、技術士法3義務、技術士法2責務を中心に技術者倫理等について試問されます。

【ケース1】

質問:「コンピテンシーについて、あなたが知っている2項目を示し、簡潔に説明してください。」

回答例:

「私は、常にコンピテンシー項目を念頭に業務を進めています。
業務課題を設定した後は、制限条件内で業務を完了しないといけません。特に2項目となると、リーダーシップとマネジメントです。
①リーダーシップ項目では、誰にどのように発揮するか、②マネジメント項目では、経営資源を配分をどのように配分するかを考えています。
当然、技術者倫理のことは、大前提です。技術士として、倫理観と信頼を必要とする3つの職務と2つの職務がありますが、最初に3義務からお答えします。
第44条は信用失墜行為の禁止、第45条は技術士の秘密保持義務、第46条は技術士の名称を表示する義務です。
次に、2責務を答えます。第45-2条は技術士などの公益を確保する責務があり、第47-2条は技術士の資格を向上させる責務です。以上が3義務2責務です。」

【ケース2】

質問:守秘義務は誰に対して義務を負うべきだと思いますか?

回答例:

「従事するビジネスによって対象は異なりますが、所属する組織はもちろんのこと、公衆の利益の確保を念頭に守秘義務があると考えています。」

【ケース3】

質問:あなたが技術士になるとき、将来あなたの資格をどのように使用しますか?

回答例:

「企業ネットワークのインフラ設備を構築してきましたが、地域の発展に積極的に貢献できる技術士になりたいです。」

また、「技術士補をもっていますが、技術士補ではできないことがありますが説明してください。」という質問もあります。

自分の言葉で説明できるよう、技術士法をしっかりと理解しておきましょう。

技術士 口頭試験Q&A

技術士口頭試験の合格率と対策について、アガルートの技術士講座を担当する日比講師が回答いたします。

Q.筆記試験を除いた、口頭試験だけの合格率はどれくらいですか?

A.おおよそ85%です。

口頭試験は、面接試験ではありません。筆記試験と同様、技術士の資質能力(コンピテンシー)についての能力の有無を確認する試験です。

筆記試験は、問題文の設問に文章で解答しますが、口頭試験は試験委員の試問に対して、口頭で応答(回答)します。よって筆記試験以上に整理をしておかなければ対応できません

私は、「口頭試験は、落ちる試験ではない」と考えています。しかし実際には、15%程度の筆記合格者が涙を飲んでいるのです。やっと筆記試験に合格したのに口頭試験で不合格となると、精神的ダメージも大きくなります。

私の技術士試験指導の経験から、口頭試験不合格の傾向は3つあります。

一つ目は、口頭試験を単なる面接と勘違いし、口頭試験対策を全くしていない場合、二つ目は、試験委員と口論や試問内容と関連のない持論を展開する場合です。三つ目は、行政批判をする場合です。

Q.口頭試験対策のポイントを教えてください。

上記をもとに、ポイントを整理しました。

1.口頭試験対策をじっくりを練る

口頭試験で試問される項目は、技術士としての実務能力と技術士としての適格性です。主に受験申込書と共に提出した実務経験証明書をもとに試問されます。

口頭試験受験時は、上記証明書を作成してから、6ヶ月以上が経過し、経歴内容のイメージも薄れていますので、再度の整理をお勧めします。自身の経歴であっても思い違いや曖昧さが募り、口頭試験直前で見直しと整理をしないと正確に応答できません。

また、実務経験証明書の内容を暗記して臨むことは控えましょう。全て暗記することに執着すると、応答できなかった時のダメージが大きすぎます。

実務経験証明書の技術背景、課題設定の観点・理由とその内容、課題解決の方策を軸にどのように課題を設定し、方策を運用したか、コンピテンシー項目で整理しておくことが有効です。

このようにじっくり整理した内容を口頭試験時間の20分間を念頭に応答練習を重ねます。可能ならば、実務をしている技術士に練習台になってもらいましょう。

2.倫理違反事例・事故事例を調べておく

実務経験証明書に記載した経歴に関連する倫理違反事案や事故事例を業界新聞、専門書などで正確に調べておきましょう

先輩技術士や社内情報を参照し、簡潔に整理しておきます。インターネットの事例調査は有効です。事例の事実関係を中心に整理しておきます。

マスコミに出演される評論家や業界のご意見番の意見は、必ずしも事例の事実関係を正確に反映しているとは限りませんから、注意しましょう。

3.行政批判や国家に対する不満を述べない

技術士試験は、国家試験です。国家や行政に対する不満や意見は、試験内では応答しない方が良いです。これは不満や意見を言うことがいけないのではなく、試験委員の試問内容に正確に応答していないという判断になるからです。

また技術士試験受験者は、業務経験が豊富で高度な水準の技術を保有したばかりです。技術者としてのプライドや自信から、試験委員の試問に対し、「その質問は、適切ではないのでは…」など、意見したり、口論すると残念な評価になります。

まとめ

試験官からの質問と答え方がわかれば、自信をもって口頭試験にチャレンジできます。

口頭試験本番で落ち着いて受け答えできるよう、事前準備を万全にしておきましょう。

予備校が出している口頭試験の単科講座を使って対策するのも有効です。

関連コラム:技術士二次試験の概要まとめ!受験資格・科目配点・合格基準までわかりやすく解説

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この記事の監修者

日比 幸人 講師

北海道大学卒業後,工業用界面活性剤と食品油脂を製造する会社のプラントマネジャーを経て,大手製薬会社系列食品会社で食品素材の研究・開発ならびにテクニカルサービス業務を経験。


1994年に独立し,技術コンサルタント会社を創業,現在に至る。


平成28年,技術士(経営工学部門と総合技術監理部門を併願)試験を受験し,合格。

平成29年3月2部門同時登録。同年から技術士試験受験指導にも携わり,先達の導きもあり,4年間で数十名の受験生を支援する。

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