技術士 森林部門とは?難易度や取得メリット、勉強方法を解説!
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技術士の中でも、森林事業関連の高度な専門性を有する技術士森林部門。
大規模な公共事業などに関わる機会も多いことで人気・需要ともに高く、「難易度はどのくらい?」「試験の内容は?」などと気になっている方もいるでしょう。
当コラムでは、技術士森林部門の概要や取得メリット、取得難易度などを詳しく解説します。林業や土木作業に興味がある方はぜひ参考にしてください。
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技術士森林部門とは?
技術士森林部門とは、森林事業に対して専門性をもった技術士に与えられる資格です。
森林関連の業務を幅広く担当し、以下の分野を主な専門領域とします。
- 林業林産業:森林計画及び森林管理
- 森林土木:土木事業 治山など
- 森林環境:森林地域及びその周辺の環境の保全など
いずれも山林・水源といった自然資源の維持保全、山地災害の防止など、国民の生活や安全を守るために重要な役割を担う分野です。
主な就業先としては、木材生産に関わる事業所や地方営林局など。
資格範囲から大規模な土木作業に携わることも多いため、公務員として重要な公共事業を担当している方もいます。
技術士森林部門を取得するメリット
技術士森林部門を取得するメリットは以下のとおりです。
- 専門性・信頼性を証明できる
- 活躍の場を広げられる
- 社会的責任と倫理観が向上する
専門性・信頼性を証明できる
技術士資格は、森林に関する高度な専門知識と技術、豊富な実務経験を持つことの証明となります。
資格取得の過程で、森林資源の管理や森林生態系の保全、林業技術の向上など、幅広い知識と能力が審査されるからです。
これにより森林所有者・自治体・企業などからの信頼性が向上し、より責任ある業務を任される機会が増加します。
森林は地球温暖化防止・生物多様性保全・国土保全など、多岐にわたる公益的な役割を果たす存在です。
技術士は、これらの機能を適切に管理し、持続可能な森林経営を推進する役割を担います。
高度な専門性を活かし、科学的根拠に基づいた意思決定を行うことで、森林の健全な育成と多面的機能の発揮に貢献できるでしょう。
活躍の場を広げられる
技術士資格は、森林関連のコンサルタントや研究機関、行政機関など、幅広い分野でのキャリアアップに繋がります。
公共事業の入札、大規模な森林管理プロジェクトにおいて、技術士の専門性が高く評価されるからです。
また、国際的な森林関連プロジェクトへの参加や技術指導など、海外まで活躍の場を広げることも可能。
森林分野における専門家としての地位を確立し、社会的な評価と経済的な安定を得られるでしょう。
他にも森林に関する政策立案や事業推進に貢献したり、次世代の森林技術者の育成にも携わったりと、活躍の場の広い資格です。
社会的責任と倫理観が向上する
技術士は、森林の公益的機能を維持し、環境保全に貢献する責任を負います。
資格取得の過程で、技術者倫理に関する知識を深め、社会的責任を自覚することが求められるからです。
森林は、地球環境の保全に不可欠な存在であり、その維持管理には高い倫理観がなくてはなりません。
技術士は、専門知識や森林に関する法令や規制、倫理観に基づき、環境に配慮した持続可能な森林管理を推進します。
持続可能な森林経営を実践し、豊かな森林を次世代に継承することで、社会全体の持続可能な発展に貢献できるでしょう。
技術士森林部門の難易度は?
技術士森林部門の試験難易度は、総合的に見て「難しい」といえます。
最大の要因としては、合格までに第一次試験・第二次試験の両方を突破する必要があることなどが挙げられるでしょう。
第一次試験の合格率
技術部森林部門の第一次試験の難易度は「やや難しい」といえます。
以下は、技術士森林部門の第一次試験における直近5年間の合格率をまとめたものです。
年度 | 受験者数 | 合格者数 | 合格率 |
令和6年度 | 295名 | 116名 | 39.3% |
令和5年度 | 281名 | 117名 | 41.6% |
令和4年度 | 241名 | 91名 | 37.8% |
令和3年度 | 288名 | 102名 | 35.4% |
令和2年度 | 232名 | 76名 | 32.8% |
直近の合格率は30〜42%ほどを推移しています。
2段階ある試験の第一次試験の突破率としてはやや低いといえるでしょう。
さらに、高度な専門知識を習得した人が多く受験している点にも注意が必要です。
学習を積んできた受験生でも第一次試験の時点で半数以上が不合格ということは、見かけの合格率以上に難しい試験と考えた方がよいでしょう。
第二次試験の合格率
技術士森林部門の第二次試験の難易度は「難しい」といえます。
以下は、技術士森林部門の第二次試験における直近5年間の合格率をまとめたものです。
年度 | 受験者数 | 合格者数 | 合格率 |
令和6年度 | 272名 | 33名 | 12.1% |
令和5年度 | 270名 | 49名 | 18.1% |
令和4年度 | 277名 | 44名 | 15.9% |
令和3年度 | 259名 | 59名 | 22.8% |
令和2年度 | 236名 | 61名 | 25.8% |
直近の合格率は、12〜26%ほどを推移しています。第二次試験のみの結果にもかかわらず、非常に低い数値を記録しています。
推定値ですが、第一次試験・第二次試験の両方に挑戦した場合の最終合格率は5〜10%程度しかありません。
技術部森林部門は公共事業のような大規模なプロジェクトに関わることも多く、重い責任を伴う資格です。
国民の安全を左右する事業を担当できることを考えれば、試験の難易度の高さも当然といえます。
技術士森林部門の難易度が高い理由
技術士森林部門の難易度が高い背景には、以下の3つの要因が挙げられます。
- 高度な専門知識と技術が求められる
- 実務経験に基づく応用力が重視される
- 高度な倫理観と社会的責任が求められる
高度な専門知識と技術が求められる
森林は気象・地形・土壌・動植物など、多様な要素が複雑に絡み合う生態系なため、技術士には広範な知識と技術が求められます。
森林資源の管理・森林生態系の保全・林業機械・木材加工・森林法規など、対象範囲は多岐にわたり、各分野における深い専門性が必要です。
また森林は地球温暖化防止や生物多様性保全、国土保全など多くの機能を有しており、持続可能な森林経営には幅広い知識と技術がなくてはなりません。
技術士試験では、これらの機能を適切に評価し、最適な管理計画を立案できる能力が問われます。
実務経験に基づく応用力が重視される
技術士試験では、単に知識を問うだけでなく、実務経験に基づく応用能力が重視されます。
森林調査や森林計画、林業事業の実施など、現場での経験を通じて培われた実践的な知識や判断力が必須です。
過去の事例を分析し、新たな課題に対する解決策を提示できる能力も評価されます。
森林形態は、地域特性や対象地域における解決課題が異なるため、画一的な知識だけでは対応できないからです。
試験では、これらの能力を評価するため、具体的な事例に基づいた問題が出題されます。
高度な倫理観と社会的責任が求められる
森林は公益的機能を持つ重要な社会資本であり、技術士には高い倫理観と社会的責任が求められます。
森林法規の遵守や環境保全への配慮、地域社会との連携など、多岐にわたる側面から責任を果たさなくてはなりません。
試験では、技術者倫理に関する問題や持続可能な森林経営に関する問題が出題され、技術士としての適性が評価されます。
森林域は、一度破壊されると回復に長い年月を要するため、慎重な管理が必要です。
技術士は、専門家としての知識と倫理観に基づき、長期的な視点で森林の保全と利用を両立させる必要があります。
技術士森林部門の試験内容
ここでは、技術士森林部門の試験内容について以下の内容で解説します。
- 第一次試験の概要
- 第二次試験の概要
第一次試験の概要
受検資格
技術士森林部門の第一次試験には、特別な受験資格はありません。
試験内容
技術士森林部門の第一次試験の内容は「基礎科目」「適正科目」「専門科目」の3科目構成です。
科目ごとに合否判定が設定されており、それぞれの科目で50%以上得点できれば合格となります。
試験形式は筆記で、科目ごとの具体的な出題内容は以下の通りです。
【基礎科目】
- 設計・計画に関するもの(設計理論、システム設計、品質管理等)
- 情報・論理に関するもの(アルゴリズム、情報ネットワーク等)
- 解析に関するもの(力学、電磁気学等)
- 材料・化学・バイオに関するもの(材料特性、バイオテクノロジー等)
- 環境・エネルギー・技術に関するもの(環境、エネルギー、技術史等)
【適性科目】
技術士法第四章(技術士等の義務)の規定の遵守に関する適性
【専門科目(森林部門)】
- 林業
- 森林土木
- 林産
- 森林環境
第二次試験の概要
受検資格
技術士森林部門の第二次試験では、以下のような受験資格が設けられています。
- 修習技術者(JABEE課程修了を含む)もしくは技術士補として技術士を補助した経験が規定以上あること(必要な年数は出願経路によって異なる)
- 科学技術関連の専門的応用能力が必要な分析・試験などの業務の従事者、または対象業務の指導者の監督下で業務に従事+技術士補となる資格を取得したあとからの業務従事期間が規定以上あること(必要な年数は出願経路によって異なる)
- 科学技術関連の専門的応用能力が必要な分析・試験などの業務、または対象業務の指導者としての業務に従事した経験が規定以上あること(必要な年数は出願経路ごとに異なる)
「技術士補」は、技術士試験の第一次試験に合格した場合に登録・取得できる資格です。
すなわち、技術士森林部門の第二次試験を受験するためには、通常第一次試験の合格と実務経験が必要となります。
必要な実務経験は状況によって変わりますが、4年以上もしくは7年以上と設定されています。
参考:公益社団法人日本技術士会|令和7年度技術士第二次試験の実施について
試験内容
技術士森林部門の第二次試験の内容は「筆記」「口述」の2セクション構成。
各セクションのそれぞれの科目で60%以上得点できれば合格となり、技術士森林部門の資格を得られます。
セクションごとの試験内容は以下の通りです。
【筆記試験】
- 総合技術監理部門
・必須科目(択一・記述試験)
・選択科目(申請により免除可能 技術士二次試験合格者・登録者に限る) - 総合技術監理部門を除く技術部門:必須科目×1/選択科目×2
【口述試験】
- 総合技術監理部門(必須科目)
- 総合技術監理部門(併願の場合、選択科目に対して課される)
- 総合技術監理部門を除く技術部門(二次記述試験の合格者に対して課される)
技術士森林部門の勉強方法
技術士森林部門の勉強方法について、第一次試験・第二次試験それぞれ解説します。
第一次試験の勉強方法
技術士森林部門の第一次試験は、基礎科目・適性科目・専門科目の3科目で構成されます。
基礎科目は、広範囲の科学技術分野から出題されます。
設計・計画 / 情報・論理 / 解析 / 材料・化学・バイオ / 環境・エネルギー・技術など、幅広い知識を偏りなく強化することが大切です。
過去問から出題傾向、得意分野と苦手分野を分析し、苦手分野を重点的に学習しましょう。
技術士法第四章および技術士倫理綱領を熟読し、技術者倫理に関する理解を深めることも大切。
過去問から倫理的な感覚と判断力、技術者としての社会的な役割や責任について考え、試験前に自身の考えをまとめてください。
その後は専門書や論文、関連法規などを活用し、体系的な知識を整理します。森林・林業に関する最新の政策・技術動向を把握することも重要です。
各科目に十分な学習時間を確保し、計画的に学びましょう。特に専門科目は解答に時間がかかるため、時間配分の練習をしておくことが合格のカギです。
第二次試験の勉強方法
技術士森林部門の第二次試験に合格するには、専門知識と実務経験、そして高度な論述能力が求められます。
試験範囲は、森林生態学・森林施業・森林土木・林産利用など幅広く、学術論文や研究報告書、行政資料から知識を集め、体系的に整理することが重要です。
特に地球温暖化対策や生物多様性保全、持続可能な森林経営など、重要な政策課題に関する知識は必ず押さえておきましょう。
加えて、森林・林業に関連する法律体系を正しく理解することも必須条件。
法規の目的、運用事例などを体系的に整理し、試験で問われる可能性のある内容を重点的に学習してください。
自身の専門知識と実務がどのように関連しているか、過去のプロジェクト事例を分析し、課題や解決策、成果などを明確にすることで、論述に深みが増します。
具体的な試験対策としては、数年分の過去問を分析し、論文演習・模擬試験を通して出題傾向の把握と答練をすることが重要です。
可能であれば、アガルートのような通信講座を活用して、作成した答案を経験豊富な技術士や指導者に添削してもらいましょう。
客観的な評価をもらうことで、自身の弱点を発見し、論理的な答案を作りやすくなります。
まとめ
当コラムでは、技術士森林部門について以下の内容で解説しました。
- 技術士森林部門は、技術士の中でも森林事業に高い専門性を有する資格
- 第一次試験の合格率は30〜40%、第二次試験の合格率は15〜25%ほど
- 第一次試験に受験資格はないが、第二次試験の受験には実務経験が必要
技術士森林部門の難易度は、シビアな合格基準も相まって非常に高いです。最終合格率は例年10%に満たないと推定され、独学で合格するのは厳しいでしょう。
効率よく確実に合格を目指すのであれば、アガルートの講座受講を検討してみてください。
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この記事の監修者
北海道大学卒業後,工業用界面活性剤と食品油脂を製造する会社のプラントマネジャーを経て,大手製薬会社系列食品会社で食品素材の研究・開発ならびにテクニカルサービス業務を経験。
1994年に独立し,技術コンサルタント会社を創業,現在に至る。
平成28年,技術士(経営工学部門と総合技術監理部門を併願)試験を受験し,合格。
平成29年3月2部門同時登録。同年から技術士試験受験指導にも携わり,先達の導きもあり,4年間で数十名の受験生を支援する。
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