技術士電気電子部門の難易度・年収・受験資格・勉強法
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今回は技術士電気電子部門受験を検討する時に気になる難易度と合格率、受験資格、勉強方法をまとめて解説いたします。
資格保有者の年収などについても解説するので、参考にしてみてください。
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合格率から見る技術士電気電子部門の難易度
まずは難易度の指標となる合格率について、第一次試験・第二次試験それぞれ見ていきましょう。
技術士電気電子部門第一次試験の合格率推移
令和5年度の技術士第一次試験 電気電子部門の合格率は38.2%でした。
過去5年間の合格率は下記の通りです。およそ30〜50%前後で推移しています。
年度 | 受験者数 | 合格者数 | 合格率 |
令和5年度 | 1,310名 | 501名 | 38.2% |
令和4年度 | 1,430名 | 522名 | 36.5% |
令和3年度 | 1,548名 | 513名 | 33.1% |
令和2年度 | 1458名 | 704名 | 48.3% |
令和元年度 (再試験) | 377名 | 193名 | 51.2% |
令和元年度 | 749名 | 388名 | 51.8% |
技術士電気電子部門第二次試験の合格率推移
電気電子部門二次試験の合格率は、令和5年度で9.2%です。一次試験の合格率と比べると格段に低くなっています。
過去5年間の合格率は下記の通りです。10%前後で推移しています。
年度 | 受験者数 | 合格者数 | 合格率 |
令和5年度 | 1,024名 | 94名 | 9.2% |
令和4年度 | 1,023名 | 99名 | 9.7% |
令和3年度 | 1,077名 | 108名 | 10.0% |
令和2年度 | 952名 | 124名 | 13.0% |
令和元年度 | 1,229名 | 150名 | 12.2% |
二次試験の受験資格は、一定の実務経験を積むことなどの条件を満たさないと得られません。
受験するためのハードル自体が高いので、ほとんどの受験者は能力も合格しようとする意欲もあるはずです。
それにも関わらずこの合格率ですから、二次試験がいかに難しい試験であるかが理解していただけると思います。
技術士(電気電子部門)の資格取得を目指すには、まずはこの事実を認識する必要があります。
関連コラム:技術士試験の難易度は?一次・二次試験の合格率全部門総合&部門別にまとめ
技術士電気電子第二次試験の合格率が低い理由
技術士の二次試験は筆記試験と面接試験に分かれており、筆記試験に合格できなければ面接試験には進めません。
そして、合格率が特に低いのは筆記試験の方になります。ここでは、二次筆記試験の合格率が低い理由について述べていきます。
問題が記述式である
合格率が低い最大の理由は、一次試験と異なり問題が記述式になっていることです。それだけで、問題が択一式である一次試験と比較して対策が難しくなります。
記述するべき分量が大きい
二次筆記試験では、必須科目1で答案用紙3枚、選択科目2で答案用紙3枚、選択科目3で答案用紙を3枚、合計9枚の答案用紙に解答を書きます。
論文を書いているといってよいレベルの分量です。論文を書くことが実務に含まれる研究職などでなければ、ほとんどの受験者はこの分量の文章を通常業務で、しかも手書きで書くことはないと思います。
答案を作成するだけでもハードな試験だということです。
しかも、試験開始後に初めて問題を見て、それに対する解答を考え、考えを制限時間以内に文字にしなければなりません。
すなわち「アウトプット」というプロセスが必要となり、知識があるだけでは解答できないわけです。
特に選択科目3の配点は、1問だけで100点満点中30点と重視されています。ここで点を取れないと、筆記試験合格からは大きく遠のきます。
仮に合格できても、その後の面接試験で内容に対して厳格に質問され、面接で挽回できないと合格は難しくなると考えた方がよいでしょう。
仕事をしながら試験勉強をしなければならない
二次試験の受験には、実務経験が必要になります。
また、技術士の資格を取ろうとしている人は、現在勤めている職場で資格が必要となって受ける、というケースがほとんどです。
つまり、仕事をしながら試験勉強をしなければなりません。仕事と試験勉強の両立は、人によっては大変な困難を伴うことでしょう。
この点が、無条件で受験できる(学生などでも受験できる)一次試験と比較して、二次試験の合格率が低い一因となっていると考えられます。
電気電子に関連する技術分野が広い
電気電子分野の技術は、自動車で使われるシステム制御の開発やタブレット開発などさまざまな場面で幅広く使われています。
そのため、技術士の試験においても、広い範囲から出題されることを想定しなければなりません。そのために試験勉強が難しいという一面もあるでしょう。
難関資格である技術士(電気電子部門)資格を取得するためには、電気電子分野に関する幅広い知識を取得すること。そして、論文を書くのに慣れておくといった対策が求められます。
技術士電気電子部門の平均年収
厚生労働省の令和5年賃金構造基本統計調査によると、技術士の平均年収は約615万円でした。
部門ごとの年収は公表されていないため一概にはいえませんが、求人サイトを見ると技術士電気電子部門の年収は500~800万円が多いようです。
勤続年数の長さ実務経験の有無などによって、年収もアップしていきます。管理職に就いた場合、年収800万円以上を目指せる可能性もあるかもしれません。
ちなみに、一般企業で働く会社員の平均年収は450万円前後です。技術士電気電子部門の年収は、サラリーマンの約1.5倍以上ということになります。
技術士電気電子部門の主な転職先
技術士は、科学技術分野の知識を持つ国家資格です。技術士電気電子部門では、電気エネルギーや情報通信などに関する技術面のコンサル業務を行います。
技術士電気電子部門を取得した後は、電気や情報通信に関するコンサルティング会社に就職・転職するのが一般的です。
コンサルティングがメインの技術士電気電子部門は、科学技術や電気工学について興味がある方が向いています。
クライアントの抱える課題のヒアリングや改善策の提案など、問題解決に必要なコミュニケーション能力が重要です。
業務内容 | 電気エネルギーや情報通信の技術面のコンサルティング業務 |
向いている人 | 電気エネルギーに興味のある人 想像力や企画力がある人 コミュニケーション能力がある人 |
主な転職先 | コンサルティング会社 |
電気電子部門の技術士が年収アップする方法
次に、技術士電気電子部門の方の年収をアップさせるには、次の方法が考えられます。
大手のコンサルティング会社に転職する
技術士の多くがコンサルティング会社で活躍しています。このコンサルティング会社の規模が大大きいほど、年収が多い傾向です。
資格手当がより多く付与される会社に転職する
資格手当が多く付与される会社に転職する、というのも年収アップの方法です。
現在の会社の手当てがない、あるいは少ないという場合は、規模だけでなく資格手当も確認しておきましょう。
技術士電子電気部門の受験資格
一次試験の受験資格
技術士電子電気部門一次試験は、誰でも受験できます。
技術士電子電気部門の一次試験は、学歴の制限はありません。
ちなみに、合格者の最終学歴は6割以上が大学卒です。「技術士第一次試験 統計情報」によれば、受験者の大半が20〜30代となっています。
二次試験の受験資格
技術士電子電気部門の二次試験を受けるには、受験申込みの時点で下記の(1)および(2)の要件を満たしていることが必要です。
(1)技術士第一次試験に合格している。もしくは、日本技術者教育認定機構(JABEE)認定コースを修了している。
(2)次の①~③のうち、いずれかの業務経験を有していること。 なお、下記期間には、大学院における2年の研究機関を含めることができます。
①術士補の登録日以降、技術士補として4年を超える期間技術士を補助している。
②技術士補となる資格を有した日以降、監督者の下で、科学技術に関する業務について、4年を超える期間従事している。 (監督官は、技術士である必要はありませんが、職務上の上下関係に基づき、常時技術的指導を行い得る立場にある者、設計・計画等に関する技術的指導、レポート作成指導ができる者、という規定があります。)
③科学技術に関する業務について、7年を超える期間従事している。
大半の方は、(1)一次試験に合格、(2)③の組み合わせで受験資格を得ている方が多いようです。
技術士一次試験の一部免除
一次試験では、「基礎科目」「適正科目」「専門科目」を含めた3科目すべてに合格する必要があります。
ただし、平成14年以前に一次試験の合格を経ずに二次試験に合格している場合は、下表のように試験科目が免除されます。
なお、電気電子部門一次試験は、他の部門(情報工学部門、経営工学部門)と異なり特定の資格保持によって免除になる科目はありません。
該当する資格 | 免除になる科目 |
電気電子部門と同一の技術部門で第一次試験を受験する場合 | 基礎科目、専門科目が免除(適性科目のみ受験) |
電気電子部門以外の技術部門で第一次試験を受験する場合 | 基礎科目が免除(適性科目、専門科目を受験) |
技術士電気電子部門の勉強方法
技術士電気電子部門の二次試験に合格するために有効と考えられる勉強方法を記していきます。
参考書や問題集を使って勉強する
電気電子工学に関する専門的な本を使って勉強することは、試験対策のひとつです。
とはいえ、二次試験の受験者は仕事と勉強を両立しなければならず、勉強するための時間がありません。
技術士電気電子部門の受験に特化した参考書や問題集を使い、繰り返し読む・問題を解くことが大切です。
関連コラム:【技術士電気電子部門】おすすめ参考書7選
自分のレベルに合った参考書で、受験する分野に関する知識を蓄え論文を書くために必要なポイントを押さえていきましょう。
自分で勉強のスケジュールを立てて着実にこなしていける人であれば、この方法でも十分に合格を狙えます。
過去問を試しに解いてみる
技術士試験の過去問は、「日本技術士会」の公式サイトからダウンロードして解くのも良いでしょう。
過去問と全く同じ問題が出題される可能性は高くないと思いますが、「どのような問題が出題されるのか」を把握できるようになります。
また、自分の得意分野に関する問題を制限時間内に解答してみてください。制限時間内に、手書きで自分の考えを論文にすることがどれだけ大変なのかを知っておくことも重要です。
通信講座を使って勉強する
独学では、合格に必要なレベルに達しているのかわからず不安という人は、通信講座を利用するのもひとつの手段です。
合格レベルに達するために教材な教材があらかじめ用意されており、最短ルートで合格に近づけるのではないでしょうか。
技術士電子部門は独学で合格できる?
技術士試験(電気電子)の一次試験は、独学でも合格できます。
ただ、二次試験は独学での合格は非常に厳しいといえるでしょう。二次試験は答えが1つではないからです。
仮に独学で勉強しても、自分の解答が合格点なのかどうか客観的に判断できません。
自分の勉強方法があっているのかわからないまま、非効率な勉強を続けてしてしまうリスクがあります。
手取り足取り誰かに教えてもらわないといけない、というわけではありません。技術士試験二次試験は「考える試験」です。
「考える」方向性が合っていないと、無駄に長い時間かけて勉強することになる可能性もあります。
そのため、二次試験の勉強は、第三者に客観的に解答を添削してもらうことが重要です。
オンライン講座を受けるメリット
技術士電気電子部門の資格取得を目指すなら、オンライン講座をおすすめします。オンライン講座を受講するメリットは、下記の通りです。
- 自分の都合の良いタイミングで受講できる
- 自宅から受講できる
- 客観的な意見がもらえる
受験生の大半が、仕事や家事、育児を両立しながら試験勉強しています。
自分の時間がとれる夜や早朝に、自宅やコワーキングスペースなどで受講できるオンライン講座は大きなメリットだといえます。
先ほどもお話しましたが、技術士(電気電子)試験では第三者に客観的に自分の解答を添削してもらうことが合格への近道です。
人によっては「誰かに自分の答案を見てもらうのは恥ずかしい「自分の答案に対して否定的な評価を受けることが怖い」と思うかもしれません。
しかし、第三者の評価・指摘事項を冷静に受け止め、合格ラインの答案とするための自分の課題と対応策を考えることで、確実に自身の力量が合格ラインへ近づいていきます。
第三者となる人は、会社の先輩・上司でも構いませんが、できれば「技術士二次試験の内容と対策を熟知した専門家」に頼むと良いでしょう。
その道のエキスパートである予備講師は、客観的・合理的・論理的にあなたの答案の添削を指導してくれます。
まとめ
技術士電気電子部門に合格するには、電気電子分野に関する幅広い知識を身につけるのはもちろん、最後まで諦めないことが肝心です。
技術士の試験は年に一度しか受けられませんが、受験回数の制限はありません。今年は不合格でも、もしかしたら次の年は合格できる可能性も十分にあります。
自分に合った勉強の計画を立てて地道に試験対策を行っていけば、難関とされる技術士試験に合格できるのではないでしょうか。
技術士資格の基本情報の解説はこちら:技術士とはどんな資格?受験資格・仕事内容・技術士になるまでの流れを解説
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