技術士建設部門の難易度は?勉強法を講師が解説!
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技術士建設部門の二次試験は合格・登録まで、数回受験をした方も珍しくなく、数ある建設系技術資格のなかで、最も難しい国家試験です。
フィールド業務が多いため、勉強の時間確保が難しく、効果的な受験対策を知っているかが合格の勝因になります。
技術士建設部門第二次筆記試験に興味がある方、また過去に受験経験があり、残念な結果になった方向けに受験対策の一助として書きました。参考にしてください。
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目次
合格率から見る技術士建設部門の難易度
難易度の指標となる合格率を見ていきましょう。
技術士建設部門第一次試験の合格率推移
令和5年度の技術士第一次試験 建設部門の合格率は36.7%でした。
過去5年間の合格率は下記のように推移しています。
年度 | 受験者数 | 合格者数 | 合格率 |
令和5年度 | 8,738名 | 3,209名 | 36.7% |
令和4年度 | 8,888名 | 3,661名 | 41.2% |
令和3年度 | 8,581名 | 2,483名 | 28.9% |
令和2年度 | 7,284名 | 2,891名 | 39.7% |
令和元年度 | 4,924名 | 2,344名 | 47.6% |
技術士建設部門第二次試験の合格率推移
令和5年度の技術士第二次試験 建設部門の合格率は9.8%でした。
過去5年間の合格率は下記のように推移しています。
年度 | 受験者数 | 合格者数 | 合格率 |
令和5年度 | 13,328名 | 1,303名 | 9.8% |
令和4年度 | 13,026名 | 1,268名 | 9.7% |
令和3年度 | 13,311名 | 1,384名 | 10.4% |
令和2年度 | 11,763名 | 1,216名 | 10.3% |
令和元年度 | 13,546名 | 1,278名 | 9.4% |
合格率を比較すればわかる通り、第二次試験の難易度は第一次試験よりも格段に上がります。
どう対策するべきか、試験の構成から確認していきましょう。
技術士建設部門第二次試験(筆記試験)の構成
受験資格は他部門と同様、第一次試験は誰でも受験可能であり、第一次試験に合格、もしくは大学等で指定された教育課程(JABEE認定コース)修了者は、定められた実務経験を積んだあと、二次試験を受けられます。
関連コラム:技術士とはどんな資格?受験資格・仕事内容・技術士になるまでの流れを解説
第二次試験は筆記試験と口頭試験からなります。
筆記試験は例年7月上旬、口頭試験は筆記試験合格者に対して、11月下旬から翌年1月中旬にかけて実施されます。
今回は、筆記試験について書きました。
筆記試験は、必須科目と選択科目から構成されます。
また選択科目は、11科目(土質及び基礎、鋼構造及びコンクリート、都市及び地方計画、河川・砂防及び海岸・海洋、港湾及び空港、電力土木、道路、鉄道、トンネル、施工管理・施工設備及び積算、建設環境)からなり、受験申込時に受験者の実務経験に沿って選択します。
以下にその内容を記しました。
必須科目
建設部門全般にわたる専門知識、応用能力、問題解決能力及び課題遂行能力に関する範囲が記述式で問われます。
試験解答時間は2時間です。
注意すべきは、その出題範囲です。
11の選択科目全般を含む建設部門全体から総合的な出題であることを忘れないようにしましょう。
出題された問題の主旨を建設部門全体で俯瞰し、視野を広く評論にならないように技術者視点で記述解答します。
選択科目視点で深掘りした解答をすると、評価を得ることが難しくなります。
専門分野のベテラン技術者になるほど、専門分野を深掘りしがちになります。
解答には、十分注意しましょう。
必須試験の評価は、複数の試験委員の定性評価を点数化し、その平均が60%以上の得点で合格になります。
選択科目
受験申込時に選択した選択科目についての専門知識及び応用能力並びに問題解決能力及び課題遂行能力に関する範囲が問われます。
選択科目Ⅱ(Ⅱ―1・Ⅱ―2)とⅢからなります。
Ⅱ―1では、出題された専門知識の技術背景と内容を的確に記述し、可能な限り定量的表現をするなど、詳細記述を心掛けましょう。
またⅡ―2では出題内容に対する応用能力および問題解決能力および課題遂行能力を問われます。
受験者の実務経験の広さと深さによって、解答する範囲と内容が異なります。
設問が何を要求しているのかを良く把握したうえで、自分の実務経験の要素を念頭に解答する必要があります。
Ⅲは、必須試験と同じような傾向の問題ですが、出題範囲と設問視点が異なります。
選択科目の専門技術者の視点で、設問に沿って深掘りをした回答をします。
評価は、複数の試験委員の定性評価を点数化し、その平均が各々60%以上の得点で合格になります。
Ⅱは、Ⅱ―1とⅡ―2の総合評価(Ⅱとしての評価)、Ⅲは、単独評価になります。
技術士試験は知識確認試験ではない
令和元年度以前の数年間の必須試験は、択一試験が採用され、知識確認の観点もありました。
しかし現在では、必須科目、選択科目(Ⅱ―1を除く)とも技術士試験制度主旨から記述式試験に統一されています。
専門知識確認試験ではなくなりました。
関連リンク:技術士第二次試験の科目 |公益社団法人 日本技術士会
合格するために必要な勉強時間と学習スケジュール
必要な勉強時間
勉強期間は、最低6か月は必要です。
可能であれば、8か月は確保しましょう。毎日2時間の勉強で500時間程度は必要になります。
技術部門の受験資格を満たした実務経験者であっても、通年、技術文書を書いている人などいません。
勉強というよりも、記述練習です。
多数の技術系国家試験は、知識を系統的に暗記し、短答もしくは記述で解答します。
この延長で技術士建設部門の勉強時間を捉えると、大きく時間をロスします。
技術士試験は、技術的解決の思考プロセスを解答する
技術士試験は、専門知識の確認試験ではありません。専門技術者の課題解決や応用能力について、実務経験に根差した技術者思考の解答を要求されています。
技術士試験建設部門を受験する技術者は、受験の決意時点ですでに専門技術者です。実務経験を念頭に設問を正確に把握し、もれなくダブりのない技術課題解決プロセスの答案記述練習には500時間は必要です。
試験日までのバックワードスケジューリング
例年7月中旬ごろに筆記試験があります。
試験日から現時点に日程をバックワード(建設部門ではいつも使いますね)して、勉強(記述練習)計画を立てましょう。
試験日と現時点のギャップ日数を常に把握をして、進捗管理をするのです。工事計画と同じです。
例えば、本日が2月15日で、試験日が、7月18日(令和4年度の試験予定日)の場合、試験まで153日余とわかります。
ここから自身のスケジュールと照らし合わせ、毎日終業後1時間の専門知識確認(キーワード整理)、土日時間を確保して、過去問を回答する記述練習の時間計画を立てます。
勉強(記述練習)に便利なアイテム4つ
1.試験関連資料
国土交通白書・観光白書・第4次社会資本整備計画・地方財政白書の4資料は、常備しましょう。
上記のほとんどはインターネットで閲覧できます。
試験対策使用を目的にダウンロードして、PDF化した資料を準備しましょう。
すべて読み込むのではなく、これらの概要を目次⇒白書(資料)概要の順で把握し、重要箇所を備忘します。
熟読をせず、試験に必要な情報整理を目的に臨みましょう。
なお、これから技術士になる皆さんです。ダウンロード後の著作権には、十分注意と配慮をしましょう。
2.建設部門過去問5年分
公益社団法人日本技術士会のホームページに過去問題のデータベースがあります。
建設部門必須科目と選択科目の最低3年分(新制度の過去問)をダウンロードし、出題傾向を分析して、キーワード集を作ります。
キーワード集は、自身が解説できないものに絞り、整理します。
建設部門は、令和元年度の新制度においても、選択科目の変更はありませんでした。
余裕があれば、過去5年間に遡り、過去問題を収集してください。
特にⅡ―1はキーワード整理には有効な問題群です。
3.選択科目で選択した技術専門書
選択科目で選択した科目専門書は手元に一冊おきましょう。
技術内容の確認整理にも使えますが、重要なのは専門書の目次とその項目です。
例えば、「土質工学」と題する専門書の目次がどのような項目から構成されているかを把握することは、答案構成目次を作るうえで大変有用です。
関連白書の目次、説明図表の挿入とその体裁を確認することも同時に進めましょう。
専門書籍と関連白書の目次は、必要事項を規定スペース内で編纂しなければならず、見やすさに加え記述項目の配置参考になります。
4.自作キーワード集
3~5年間分の過去問題(必須と選択科目)から、出題傾向の確認と重要キーワードの抽出を行います。
重要キーワードは、自作キーワード集に集積して、自身が解説を付けておきましょう。
解説内容は、技術の内容とその背景、技術課題や問題点、関連業際技術などです。
自身で整理総括したキーワード集は、実務における専門知識整理に役立つだけでなく、記述問題の視点検討や記述内容に大きく貢献します。
努力が報われない勉強法3パターン
ここでは私が技術士建設部門の受験指導をして気になったことを書きます。
先にも述べたように多くの受験者は、技術士試験受験申込の時点で、実務経験豊富な専門技術者です。
また試験は知識確認試験でなく、自身の実務経験を念頭に専門技術者の立場で課題解決と応用能力を発揮する思考プロセスを解答することでした。
ここを忘れていると以下のような間違いをしてしまい、残念な結果になります。
1.過去問解答事例集を暗記する
先達技術士が後輩指導のために提供された論文例や受験対策予備校が販売する合格答案事例があります。
これらの解答事例集を一から暗記、また一部を写し取り、論文記述の参考にする受験者が多くいらっしゃいます。
これを繰り返す限り、合格は大変です。
その理由は、上記した通りです。
技術士試験答案は、あなたの技術解決プロセスに沿った思考を解答しないと評価されません。
記述した論文内容は、あなたのオリジナルであり、今まで培った技術課題解決の成果物であることを忘れないようにしてください。
2.論文数を量産する
少なくとも技術士試験の解答論文を量産する意味はありません。
出題された題意(問題で要求している項目と内容のこと)に対して、正確に応答することができていない限り、論文を量産しても、評価に値しません。
題意で要求していることは何か、これに適切かつ評価者たる試験委員各位に誤解なく、正確に伝えるためにどのように目次を構成し、的確なキーワードを配置して、文章化するかが要になります。
論文練習は、量ではなく、質が重要であることを忘れないようにしましょう。
3.対策講座をはしごする
初学者によくあることです。
気になった対策講座を順番に受講することです。
受験合格に対する熱意は、大変評価できるのですが、知らないことを知ることのみでは合格できません。
一つこれと決めた講座でじっくり根を下ろし、深掘りしましょう。
受験対策講座の講師は、みな辣腕技術士です。
受験対策で無駄なことや間違ったことはいいません。
しかし、いくつか講座の梯子をすると、些末な個所の不一致に意識が向かい、いつのまにか本論を外してしまいます。
じっくり検討し、自己研鑽を軸に勉強(記述練習)しましょう。
あなたが留意すべき勉強法のポイント 3つの具体的勉強法とは
以下に勉強法の重要ポイントを書きました。
1.あなた専用の技術キーワード集を作る
記述試験の答案を記述する材料が、技術キーワードです。
論文作法を知っていても材料であるキーワードの理解がないと解答論文は書けません。
市販の参考書を傍らに置き、過去問題(必須科目と選択科目)から、知らないキーワードを抽出、解説を200字程度で付けます。
2.パラグラフライティング手法を習得する
技術論文の作法です。
解答を連綿と記述せず、設問に従い解答目次を作り、各目次に対して見出しとその内容で構成する段落(パラグラフ)形式で記述する方法論のことです。
技術士試験答案を含む技術文書(論文)は、この方法で書きます。
3.記述練習
過去問題を中心にパラグラフライティング手法で解答練習をします。
設問に的確に応答するためには、複数の練習が必要です。
また解答した答案は、必ず技術士登録者などの識者に校閲してもらうことが近道になります。
これを繰り返すことで、題意を外さないオリジナル論文を作ることができます。
技術士試験建設部門は独学で合格できるか
技術士試験は、独学でも正しく対策をすれば必ず合格できます。
ここで時間効果性を考えてほしいのです。
無限に時間があるならともかく、仕事をしながら、家庭サービスをし、難関国家資格に臨むことは並大抵ではありません。
「今年は絶対に合格する」と強い決意があっても、ペースメーカがないからです。
自分で完璧と思っても、試験評価者から見れば異なった見解もあります。
設問で解答要求されていることを正確に把握し、これに対して具体的かつ論理的に記述する姿勢であれば、合格できるのです。
適切な先達の助言で技術士試験の対策をすることは、合格が早期に近づくだけでなく、無駄な時間消費を防止できます。
技術士試験の制度主旨を熟知した通信講座の活用も効果的な受験対策のひとつです。
関連コラム:技術士建設部門のおすすめ参考書&問題集5選
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この記事の著者
北海道大学卒業後,工業用界面活性剤と食品油脂を製造する会社のプラントマネジャーを経て,大手製薬会社系列食品会社で食品素材の研究・開発ならびにテクニカルサービス業務を経験。
1994年に独立し,技術コンサルタント会社を創業,現在に至る。
平成28年,技術士(経営工学部門と総合技術監理部門を併願)試験を受験し,合格。
平成29年3月2部門同時登録。同年から技術士試験受験指導にも携わり,先達の導きもあり,4年間で数十名の受験生を支援する。
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