ファイナンシャルプランナー2級試験の実技には、5つの種類があります。
そのため、どの実技試験を選べばよいのか、悩んでいる方も多いのではないでしょうか。

今回はファイナンシャルプランナー2級試験における実技試験について解説していきます。

5つの実技試験の試験範囲や、実施月、合格点、合格率などを詳しくご紹介。
このコラムを読めば、ファイナンシャルプランナー2級試験の実技はどれを選べばいいのか、解決することができます。

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ファイナンシャルプランナー2級試験における実技は5種類ある

ファイナンシャルプランナー2級試験は「日本FP協会(以下、FP協会)」と「金融財政事情研究会(以下、きんざい)」の2つの指定試験機関が運営しています。

学科試験については、きんざい・FP協会、いずれも同じ内容が出題されます。

異なるのは「実技試験」。
ファイナンシャルプランナー2級試験の実技は「5種類」あり、FP協会が1種類、きんざいが4種類を実施しています。

指定試験機関試験内容
FP協会資産設計提案業務
きんざい個人資産相談業務
きんざい中小事業主資産相談業務
きんざい生保顧客資産相談業務
きんざい損保顧客資産相談業務

※参考:2級 試験範囲ファイナンシャル・プランニング技能検定 2級

試験の申込みをする際に、上記の5種類の中から1種類を選んで受験します。
一度に複数の実技試験を受けることはできません。

では、5つの実技試験の試験範囲にはどのような違いがあるのか、みていきましょう。

「資産設計提案業務」の試験範囲(FP協会)

資産設計提案業務は、学科試験の試験範囲(ライフプランニングと資金計画、リスク管理、金融資産運用、タックスプランニング、不動産および相続・事業承継)について、次の4つの項目を審査されます。

  • 関連業法との関係及び職業上の倫理を踏まえたファイナンシャル・プランニング
  • ファイナンシャル・プランニングのプロセス
  • 顧客のファイナンス状況の分析と評価
  • プランの検討・作成と提示

ファイナンシャルプランナーと関連業法との関係から、キャッシュフローや個人バランスシートの分析など、幅広い知識が求められる試験になります。

「個人資産相談業務」の試験範囲(きんざい)

個人資産相談業務は、学科試験の試験範囲について、次の4つの項目を審査されます。

  • 関連業法と関係および職業上の倫理を踏まえたファイナンシャル・プランニング
  • 個人顧客のニーズ及び問題点の把握
  • 問題の解決策の検討・分析
  • 顧客の立場に立った相談

個人顧客の保有している金融資産や不動産に関する具体的な設例が出題され、顧客のニーズや問題点を適切に把握できているかどうか等を問われます。

「中小事業主資産相談業務」の試験範囲(きんざい)

中小事業主資産相談業務は、「中小事業の経営者」を主に対象とした実技試験。
中小事業の経営者等の資産や経営状況に基づいて、資産運用や事業経営、税務などの相談業務に乗るというシーンを想定した問題などが出されます。

具体的には、学科試験の試験範囲について、以下の4項目を中小事業主資産相談業務では審査されます。

  • 関連業法との関係及び職業上の倫理を踏まえたファイナンシャルプランニング
  • 中小事業主のニーズ及び問題点の把握
  • 問題の解決策の検討・分析
  • 顧客の立場に立った相談

「生保顧客資産相談業務」の試験範囲(きんざい)

生保顧客資産相談業務は、「生命保険」をメインとした実技試験。
生命保険の顧客の属性や保有している資産などに関する具体的な設例が出題され、その設例の問題点や顧客の求めるニーズを把握できるかどうか等を問われます。

具体的には、学科試験の試験範囲について、以下の4項目を生保顧客資産相談業務では審査されます。

  • 関連業法との関係及び職業上の倫理を踏まえたファイナンシャルプランニング
  • 生保顧客のニーズ及び問題点の把握
  • 問題の解決策の検討・分析
  • 顧客の立場に立った相談

「損保顧客資産相談業務」の試験範囲(きんざい)

損保顧客資産相談業務は、「損害保険」に特化した実技試験です。

損保顧客資産相談業務では、学科試験の試験範囲について、以下の4項目を審査されます。

  • 関連業法との関係及び職業上の倫理を踏まえたファイナンシャルプランニング
  • 損保顧客のニーズ及び問題点の把握
  • 問題の解決策の検討・分析
  • 顧客の立場に立った相談

自動車保険や火災保険、地震保険といった「損保商品」をはじめとする保険商品の知識などが必要になります。

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ファイナンシャルプランナー2級実技の違い~実施月・合格点・合格率~

実施月問題数合格点
資産5月・9月・翌1月40問(10題)60点以上/100点
個人5月・9月・翌1月15問(5題)30点以上/50点
中小9月・翌1月15問(5題)30点以上/50点
生保5月・9月・翌1月15問(5題)30点以上/50点
損保9月15問(5題)30点以上/50点

ファイナンシャルプランナー2級の実技は、試験の種類によって「実施月」が異なります

5月・9月・翌1月の「年3回」試験があるのが、FP協会の「資産設計提案業務」と、きんざいの「個人資産相談業務」および「生保顧客資産相談業務」の3つです。

9月・翌1月の「年2回」実施されるのは、きんざいの「中小事業主資産相談業務」。
そして、きんざいの「損保顧客資産相談業務」のみ、年に1度、9月に実施されています。

ファイナンシャルプランナー2級実技試験の合格点は、FP協会ときんざいとで異なります。

FP協会の合格点は、100点満点のうち「60点以上」。
きんざいの合格点は、50点満点中「30点以上」。
いずれも「6割以上」正解できれば、合格です。

きんざいは実技試験が4種類ありますが、いずれも同じ基準が設けられています。

試験の配点については非公開となっており、どのような配点基準になっているかを確認するには、合格発表日まで待たなければなりません。

とは言え、FP協会ときんざい、いずれの実技試験も「絶対評価」を採用しているため、他の受験生の出来栄えによって合格点が変わることはなく、比較的対策は立てやすいでしょう。

合格率2024/92024/52024/12023/92023/5
資産56.5%54.87%61.12%52.02%58.61%
個人44.44%38.77%37.11%41.36%39.76%
中小24.35%53.58%35.92%
生保36.74%53.18%45.27%40.17%39.20%
損保61.60%60.07%

全体的な合格率はあまり変わりません。

FP協会の方がきんざいよりも合格率が高い傾向にありますが、これは学科も同様。
そのため、問題の違いというよりも、受検者層の違いであると一般的に推測されています。(きんざいは団体受検が多い)

中小・損保は受検者数が少なく、年度によって合格率にバラつきが見られます。

生保は生命保険関係者が受けることが多く、仕事ですでに一定の知識を有していることから、合格率が高くなっていると推測されます。

そのため、ファイナンシャルプランナー2級の実技においては、「〇〇を選んだから合格しやすいorしにくい」という事態は、あまり考えられないと言えるでしょう。

ファイナンシャルプランナー2級実技はどれを選べば良い?

ここまでファイナンシャルプランナー2級試験の実技について説明してきましたが、結局のところ、どれを選べばよいのでしょうか。

それは、「現在働いている職種」や「目指したい業界」によって変わります。

例えば、すでに保険業界で働いている人や、将来的には保険の仕事に就きたいと考えている人は「生保顧客資産相談業務」または「損害顧客資産相談業務」がおすすめ
個人のお客を想定した保険の相談対応について、実務的な知識を得られるためです。

現在抱えているクライアントが経営者や富裕層の方、あるいは、そのような方を対象としたコンサルティングを学びたい方は、「中小事業主資産相談業務」が役に立つでしょう。
中小事業主資産相談業務の内容は、FP1級技能士の学科試験と試験範囲が似ているので、FP1級の取得を視野に入れている方も、こちらがおすすめです。

「就きたい業界がまだ決まっていない」という方は、「資産設計提案業務」または「個人資産相談業務」を選ぶのが無難です。
幅広い知識を学べるため、どのような業界についても役立つ知識を得られます。

加えて、受験生の60~70%以上が、「資産設計提案業務」または「個人資産相談業務」を選んでいます。
テキストや問題集が豊富に揃っていますし、通信講座の取り扱いもこの2種類が多くなっているので対策を講じやすいのも利点となるでしょう。

また、年3回受検するチャンスがある部分もメリットです。

「資産設計提案業務(FP協会)」と「個人資産相談業務(きんざい)」との違いはあまりありませんが、どちらかで迷っているのならば、合格率の高いFP協会(資産設計提案業務)を中心に検討してみると良いでしょう。

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目指している方へ

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  • 過去問の解説を読むだけでは不十分

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