ファイナンシャル・プランニング技能検定(以下、FP技能検定)を受検される方は、実技試験の内容が気になっているのではないでしょうか。

実技試験の内容は実施団体によって異なるため、出題科目や合格率を把握しておきたいですよね。

本コラムでは、FP技能検定の実技試験について解説します。

各級における実技試験の合格率や、おすすめの対策なども紹介しているため、ぜひ参考になさってください。

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FP技能検定の実技試験とは?

FP技能検定の実技試験では、応用的な知識が問われます。

学科試験では基礎的な知識が問われるのに対し、実技試験では、より実務に近い知識が求められるでしょう。

なお、実技試験の問題形式は、実施団体および受検級によって異なります。

以下に、学科試験および実技試験の問題形式を記載します。

試験問題形式
学科試験3級:マークシート方式
2級:マークシート方式
1級(FP協会):学科試験なし
1級(きんざい):マークシート方式および記述式
実技試験3級:マークシート方式
2級:記述式
1級(FP協会):記述式
1級(きんざい):口頭試問方式
参考:【2024年】FP技能検定試験の概要~試験日・申込方法・試験形式・試験時間

FP技能検定の実技試験は実施団体によって異なる

FP技能検定3級の実技試験は、実施団体や選択する科目によって3種類に分かれています。

以下に、各実施団体における実技試験の内容を記載します。

実施機関実技科目
FP協会資産設計提案業務
保険・年金・資産運用・不動産・相続・タックスプランニングなどの分野
きんざい個人資産相談業務
保険・年金・資産運用・不動産・相続・タックスプランニングなどの分野
きんざい保険顧客資産相談業務
保険に関する知識を中心に、リスク管理の分野
参考:3級 試験範囲 | 日本FP協会
参考:ファイナンシャル・プランニング 技能検定 3級

日本FP協会(以下、FP協会)の実技試験は「資産設計提案業務」のみであるのに対し、一般社団法人 金融財政事情研究会(以下、きんざい)の実技試験では、「個人資産相談業務」または「保険顧客資産相談業務」のいずれかを選択可能です。

きんざいの「保険顧客資産相談業務」は保険業務に特化した内容であるため、保険に興味がある方や、保険業界で働いている方におすすめ。

また、FP協会の「資産設計提案業務」では、日常生活とかかわりの深いお金の知識が出題されます。

なお、FP協会の「資産設計提案業務」ときんざいの「個人資産相談業務」は似た内容が出題されますが、FP協会の方がやや出題範囲が広いです。

FP技能検定の実技試験は実施団体によって合格率が異なり、FP協会の実技試験の方が合格率が高い傾向があります。

そのため、合格率が高い実技試験を選びたい方は、FP協会の実技試験がおすすめです。

FP技能検定3級の実技試験について詳しく知りたい方は、以下のコラムをご覧ください。

関連コラム:ファイナンシャルプランナー3級試験の実技はどっちが良い?きんざい?FP協会?

FP協会ときんざいでは合格点が違う

FP技能検定の実技試験における合格点は、実施団体によって異なります。

以下に、各実施団体における実技試験の合格点および問題数を記載します。

・FP協会

合格点問題数
3級60点以上/100点20問(マークシート方式)
2級60点以上/100点40問(記述式)
1級60点以上/100点20問(記述式)

・きんざい

合格点問題数
3級30点以上/50点15問(マークシート方式)
2級30点以上/50点5問(記述式)
1級120点以/200点面接2回
参考:【2024年】FP技能検定試験の概要~試験日・申込方法・試験形式・試験時間

このように、FP技能検定の実技試験は、実施団体によって合格点や問題数が異なります。

ただし、いずれも6割以上の得点が必要であるという点に注意しましょう。

なお、各問題の配点は公表されていません。

FP技能検定の実技試験の合格率は?

FP技能検定における実技試験の合格率は、学科試験の合格率よりも高い傾向があります。

以下に、各級における学科試験および実技試験の合格率を記載します。

  • 【FP3級】実技試験の合格率
  • 【FP2級】実技試験の合格率
  • 【FP1級】実技試験の合格率

【FP3級】実技試験の合格率

3級FP技能検定における直近5回分の合格率は、以下の通りです。

FP協会学科合格率実技合格率
2024年1月83.14%86.56%
2023年9月74.78%77.67%
2023年5月88.25%86.83%
2023年1月85.25%88.34%
2022年9月80.78%84.44%
きんざい学科合格率実技合格率
2024年1月46.40%48.61%
2023年9月37.19%57.87%
2023年5月54.13%59.80%
2023年1月56.00%50.95%
2022年9月43.41%49.46%
参考:ファイナンシャルプランナー3級の難易度と合格率を解説!本当に簡単?

FP協会が実施する3級FP技能検定の実技試験の合格率は、約80%〜90%で推移しています。

対して、きんざいが実施する3級FP技能検定の実技試験の合格率は、約40%〜60%となっています。

FP協会が実施する試験は、きんざいの試験よりも、学科試験・実技試験ともに合格率が高めです。

また、学科試験よりも実技試験の合格率が高いことがわかります。

【FP2級】実技試験の合格率

2級FP技能検定における直近5回分の合格率は、以下の通りです。

FP協会学科合格率実技合格率
2024年1月39.00%61.12%
2023年9月53.54%52.02%
2023年5月48.82%58.61%
2023年1月56.12%59.53%
2022年9月42.16%56.55%
きんざい学科合格率実技合格率
2024年1月13.27%41.52%
2023年9月22.75%40.80%
2023年5月17.51%39.49%
2023年1月29.07%35.14%
2022年9月15.75%38.05%
参考:FP2級の合格率・難易度は?合格率の推移と勉強時間、3級との違いを解説

FP協会が実施する2級FP技能検定の合格率は、学科試験で約40%〜50%・実技試験は約50%〜60%で推移しています。

また、きんざいが実施する2級FP技能検定の合格率は、学科試験で約10%〜30%、実技試験で約30%〜40%です。

3級と同様に、FP協会が実施する試験は、きんざいの試験よりも全体的に合格率が高い結果となりました。

また、両者ともに、学科試験よりも実技試験の合格率が高くなっています。

【FP1級】実技試験の合格率

1級FP技能検定における直近5回分の合格率は、以下の通りです。

なお、FP協会では1級の学科試験を実施していないため、学科試験の合格率に関する情報はありません。

FP協会(実技)合格率
2023年9月96.2%
2022年9月99.0%
2021年9月93.8%
2020年9月97.7%
2019年9月97.3%
きんざい(学科)合格率
2024年1月8.72%
2023年9月13.00%
2023年5月3.51%
2023年1月10.38%
2022年9月12.28%
きんざい(実技)合格率
2024年2月87.96%
2023年9月80.10%
2023年6月84.80%
2023年2月86.07%
2022年9月84.59%
参考:ニュース | 一般社団法人 金融財政事情研究会
参考:FP1級資格試験の概要~受験資格・内容・受験料・日程・合格点~

きんざいが実施する1級FP技能検定の学科試験における合格率は、約10%です。

対して、実技試験は約80〜90%であり、学科試験の難易度が高いことがわかります。

また、FP協会が実施する1級FP技能検定における実技試験の合格率は、例年90%以上です。

FP協会は1級FP技能検定の学科試験を実施していませんが、実技試験の受検資格として、以下の条件を設けています。

  • 日本FP協会認定のCFP®認定者
  • 日本FP協会のCFP®資格審査試験のすべての課目に合格したが認定されていない者
  • 金融財政事情研究会実施の1級FP技能検定 学科試験の一部合格者
  • 1級FP技能検定合格者
  • 金融財政事情研究会実施の普通職業訓練短期課程金融実務科FP養成コースを修了した者で1年以上の実務経験を有する者

引用:1級FP技能検定 試験要綱 | 日本FP協会

1級の実技試験は受検資格のハードルが高く、学科試験に比べて受検者のレベルが高いと考えられます。

そのため、学科試験に合格した方は、比較的スムーズに実技試験の合格を目指せるでしょう。

なお、受検資格の詳細については、日本FP協会の公式サイトをご確認ください。

FP技能検定の実技試験の3つの対策

FP技能検定の実技試験を受ける際は、以下のような対策を行いましょう。

  • とにかく過去問を解く
  • ケアレスミスを防ぐ
  • 電卓の使い方に慣れておく

とにかく過去問を解く

FP技能検定の実技試験を受ける際は、過去問を繰り返し解くことがおすすめです。

学科試験と同様に、実技試験でも過去問の類題が出題される場合があります。

そのため、過去問を繰り返し解くことは、有効な試験対策となるでしょう。

過去問で合格点を取得できれば、本番でも実力を発揮できる可能性が高くなります。

ただし、日本では、たびたび法改正が行われています。

そのため、古すぎる過去問では、法改正前の内容が出題されていることも。

古い過去問によって誤った知識が定着してしまったり、学習効率が低下したりする可能性があるため、注意が必要です。

このようなリスクを回避するためには、古い問題を遡りすぎず、過去3回分から6回分の問題を繰り返し解くことが望ましいでしょう。

可能であれば、過去6回分の問題を3回ずつ演習しましょう。

ケアレスミスを防ぐ

FP技能検定の実技試験では、ケアレスミスの対策が必要です。

理解が不十分な箇所があると、関連する問題は解けません。

そのため、自分が理解できていない箇所を洗い出し、試験日までに克服しておきましょう。

また、計算問題を解く際は、回答だけでなく、計算の過程をメモしておくと見直しに役立ちます。

時間配分を考慮しながら、可能な限り見直しを行い、ケアレスミスの防止に努めましょう。

電卓の使い方に慣れておく

FP技能検定の実技試験では多くの計算問題が出題されるため、電卓の使い方に慣れておきましょう。

試験には制限時間が設けられているため、電卓の打ち間違いや計算ミスによって、試験時間をオーバーしてしまう可能性があります。

限られた時間内で正確な計算を行うためには、早く正確に電卓を操作することが重要です。

日頃から電卓の操作に慣れている方や、使い慣れた電卓をお持ちの方は、過去問を解く際に本番と同じ電卓を使うことがおすすめ。

また、電卓をお持ちでない方は、使いやすい電卓を準備し、本番までに使いこなせるようにしておきましょう。

なお、これから電卓を購入しようと考えている方は、12桁以上表示できるものがおすすめです。

また、早打ち機能やメモリー機能があれば、複雑な計算もスムーズに行えるでしょう。

参考:FP2級は独学でも受かる?勉強法と実技対策も解説

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本コラムでは、FP技能検定の実技試験について解説しました。

FP技能検定の実技試験は、試験の実施団体によって、出題内容や合格率が異なります。

また、出題される問題の数が異なるため、合格点にも違いがあります。合格率が高い実技試験を受検したい方は、FP協会で受検しましょう。

FP技能検定は受検する級によって難易度が大きく異なるため、適切試験対策が不可欠です。

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