このコラムでは、FP1級の学科・実技試験の勉強法について解説します。

FP1級を受験するかどうかで悩んでいませんか?

FP1級は難易度が高い分、どうやって勉強すればよいかで困っている方も多いのではないでしょうか。

ぜひ参考にしてください。

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FP1級合格には学科と実技の合格が必要

FP1級の正式名称は「1級ファイナンシャル・プランニング技能士」。国家資格です。

FP1級はFP資格の中では最高峰の資格で難易度も高く、民間FP資格のCFP試験と同程度のレベルであるとされています。

FP1級は、FP2級や3級の試験と同様に「学科」と「実技」の2つに合格する必要がありますが、学科試験と実技試験はそれぞれ異なる日に試験があります。

FP1級の学科試験の受験資格としては、以下の3点の内、少なくとも一つを満たしていることとなります。

  • 2級技能士合格者で1年以上のFP実務経験を有する人
  • 5年以上のFP実務経験を有する人
  • 厚生労働省金融渉外技能審査2級の合格者で1年以上の実務経験を有する人

いずれもFPの実務経験が必須となっています。

次に、FP1級実技試験の受験資格としては、以下の4点の内、少なくとも一つを満たしていることとなります。

  • FP学科試験合格者であること
  • 日本FP協会の「CFP認定者」
  • 日本FP協会の「CFP資格審査試験の合格者」
  • きんざいの「FP育成コース」の修了者で、実務経験を1年以上有する人

FP1級の合格率ですが、学科試験(きんざい)は、過去3年間で約6%~20%程度です。

次に実技試験の過去3年間の合格率は、きんざいの方が約85%~90%程度で、FP協会は90%代で推移しています。

ここまでをまとめると、FP1級試験のイメージとしては学科試験が大変難しく合格率も低いこと、実技試験は学科試験ほど難しくはなく合格率は比較的高いと言えるでしょう。

※関連記事:FP1級の難易度・合格率・勉強時間は?偏差値などについても解説

学科試験は筆記で、きんざいでのみ実施

FP1級の学科試験は筆記試験となっており、学科試験に合格することで実技試験を受験することが可能です。

学科試験は「きんざい」でのみ実施されており、年に3回開催されています。

学科合格者には一部合格証書が発行されることとなり、その後の実技試験に合格することで合格証書がもらえるといった仕組みです。

FP1級試験は「基礎編」と「応用編」にわかれており、午前が基礎編、午後が応用編となっています。

問題としては、基礎編はマークシート方式の50問で、応用編が記述式で5題で構成されており、試験時間はそれぞれ150分(2時間半)です。

合格基準は、200点満点で6割の120点以上を取得すれば合格となります。

ただし、学科試験に合格した試験日の属する年度の翌々年度末までに実施される実技試験に合格しなければ、もう一度学科試験を受け直さなければならないため注意してください。

FP1級学科試験の受験手数料は8,900円です。

実技試験はきんざいと日本FP協会で行われ、面接がある場合も

実技試験は「きんざい」と「日本FP協会」の2つにて実施されています。

「きんざい」の出題内容としては資産相談業務ですが、試験は口述(面接)形式である点が特徴

面接が始まる約15分前に設例の紙が渡されますが、その節例をもとにして面接が行なわれます。

面接の所要時間は約12分間で面接の回数は2回ですが、いかに設問に対して適切に答えられるかがポイントでしょう。

次に、「日本FP協会」のしゅつだ内容としては資産設計提案業務ですが、試験は筆記式となっています。

筆者はこちらのFP協会での筆記試験に合格しました。

試験内容としては、語群選択や空欄記入、記述問題などが例年出題されています。

実技対策ですが、緑色で「緑本」と呼ばれている問題集を利用した対策が有効です。

実技試験では、6分野での基本的な問題が出題されることが多いため、問題集を解いておくことで対策ができます。

記述問題は、300字程度での説明が求められますのでしっかりと要点を整理しておきましょう。

FP1級の勉強の順番について

この章ではFP1級の勉強の順番について見ていきます。

学科と実技試験の受験日がそれぞれ異なることで、どのように勉強すればよいのか、あるいはどのように計画を立てればよいのか迷う方も少なくないでしょう。

実技試験における「きんざい」や「日本FP協会」の選び方であったり、実技試験を勉強するタイミングなどについてお伝えします。

まずは学科試験の対策を全力で

FP1級の受験を決意したら、まずは学科試験の対策を始めましょう。

学科試験に受からなければ実技試験に進むことができませんので、まずは目の前の学科試験を突破することに全力を注いでください。

またFP1級の学科の勉強では、幅広い分野における大変高度な専門的知識を学べますので、この知識が同時に実技試験の対策にも繫がるはずです。

FP1級試験は、FP関連の資格の中で間違いなく1番突破するのが難しいです。

先ほどCFP試験とFP1級は同程度のレベルとの話をしましたが、確かに総合的な難易度はさほど変わらないでしょう。

CFP試験の場合は、6つの科目に試験が分かれており科目ごとに合格が可能のため、例え苦手な分野であっても相応の時間をかければ取得を目指せます。(もちろんCFP試験も簡単ではありませんし、筆者の個人的見解も含んでいます)

FP1級の学科試験では、膨大な範囲で細かい論点まで聞かれるため、すべての範囲を網羅した上で試験に臨まなければなりません

こういった理由が低い合格率の要因となっているかと思いますので、まずは学科試験を突破するための計画を立ててみてはいかがでしょうか。

学科試験終了後に、実技をどちらで受けるか決める

学科試験が終わったタイミングで、実技試験の準備を始めましょう。

まず実技試験は「きんざい」の面接形式、もしくは「日本FP協会」の筆記試験のうち、どちらを受験するか決める必要があります。

双方の試験の形式は全く異なりますが、FP1級の学科試験で学んだ知識はきっと実技試験にも繫がるでしょう。

FP実技試験は、FP学科試験の合格発表後の6ヶ月以内に実施されますが、合格後から試験の対策を始めたとしても間に合います。

そのため、FP学科試験が終わるまでは学科の勉強に集中し、試験が終わったタイミングでどちらの実技を受けるかを決めるとよいでしょう。

ただし、最初から実技試験も検討した上で学科試験の勉強をしたい方もいらっしゃるかとおもいますので、実技試験のタイミングは参考程度にお願いします。

ここでお伝えしたかったのは、FP1級の学科試験が終わってからでも実技試験の対策ができる時間は充分にあるという点です。

実技をどちらで受けるか決めたらすぐに実技対策を

FP1級学科試験が終わってから「きんざい」もしくは「日本FP協会」のどちらで実技試験を受けるか決めたら、早速実技対策に取りかかりましょう

前の章では「学科試験が終わったタイミングで実技試験の準備を始めましょう」と述べましたが、FP1級試験の合格発表が出る前から学科に合格した前提で実技の対策を行なってもよいかと思います。

理由としては、試験で手応えがなく「これは落ちた」と感じていても、実際には受かっていたというケースも多くあるためです。

これまで大変な勉強を乗り越えて受験したFP1級学科試験に自信を持って、実技対策に進んでください。

実技試験は学科試験と比べるとそれほど難しくはありません。

だからといって油断は禁物ですが、FP1級で培った知識を忘れないためにも、受験終了後から余裕を持って実技試験の対策を始めましょう。

FP1級学科試験(筆記)の勉強方法

この章で解説するのは、FP1級学科試験(筆記)の勉強方法についてです。

合格するにあたって、どのような勉強法で勉強すればよいのかポイントをご紹介します。

是非、下記3つを参考にして学科試験の合格を掴み取ってください。

合格トレーニングを10回解く

FP1級の学科試験の勉強法としては、TACが出版しているよく分かるFPシリーズの「合格トレーニング」がおすすめです。

この本は、学科基礎と応用に対応しており勉強しやすい内容かつ解説なども豊富で、受験生の間では定番の一冊となっています。

この問題集を使って応用編をとにかく解くことが合格への道で、最低でも問題集を5周以上、できれば10周解くとよいでしょう。

正直に申し上げて、FP1級の学科試験はこれまでのFP3級・2級のレベルとは雲泥の差です。

まずは応用編の問題をひたすら解いて大量にアウトプットすることが大切で、間違えた問題には鉛筆や色ペンなどで印をつけておき、解説を読み込んでインプットを行ないましょう。

その後、解説を理解したら間違えた問題の類似問題を解き、苦手分野を潰していきます。

基礎学科編は応用編よりも問題が難しいので、基礎編専用に間違えた問題用のノートなどを作って、いつでも隙間時間に見直しができるような工夫も有効でしょう。

基礎学科・応用も含め、合格トレーニングを使用した勉強時間の目安としては、約400~500時間程度は最低でも確保しておきたいところです。

最初は、問題がとても難しく感じるかもしれませんが、ここで挫けずに何度も反復して問題をこなすうちに、次第に慣れてくるかとおもいます。

とにかく合格トレーニングの問題を1問でも多く解くことを心掛けてみてください。

過去問を5年分は解く

FP1級学科試験では、やはり過去問を解くことは必須です。

とくに学科試験の応用編の問題は、出題傾向が決まっていますので過去問を使用しながら傾向を掴んで対策していくのがよいでしょう。

過去問題は「きんざい」のホームページなどから入手(ダウンロード)が可能ですので、最低でも過去5年分は解いておきましょう。

学科試験は年に2回ありますので、2回×5年分で10回分として解き直しなども含めると過去問を通した勉強の目安時間は50~100時間程度は確保しておきたいところです。

また、学科試験の基礎編では過去に出題されたことのない問題も多く出るかとおもいますので、過去問ですべて対策することは難しいかとおもいます。

基礎編の勉強法としては、6分野の中から自分が得意、あるいは好きな分野から勉強を始めて行くと良いかもしれません。

どうしても苦手な科目から勉強を始めると、難しい上にやる気まで喪失しかねませんので、こういった勉強手順の工夫も取り入れてみるといいでしょう。

基礎編では、6つの科目のうちどれから勉強しようか迷った場合は、タックス(税金)の分野を最初に勉強するのがおすすめです。

タックスは他の科目と非常に関わりがあり、特に計算問題などはそもそもの税の知識がないと問題が解けないケースも考えられます。

したがって基礎編の勉強はタックス分野から始めて、好きな科目を勉強し、さいごに苦手な科目の順番で勉強するといった方法も検討してみてください

学科試験の勉強を生活の一部にする

FP1級の学科試験は長丁場の戦いになることが想定されます。

独学であっても、予備校を利用したとしても、最終的には自分のやる気がないと合格へ辿り着けないでしょう。

そして試験勉強の中で、スランプ状態やあるいはやる気のおこらない日も当然出てくるかとおもいます。

おすすめなのは、試験が終わるまでは「勉強しない日を作らない」ようにして、忙しい日は1日10分でもいいのでテキストや問題に触れる時間を作ることです。

例えば、新聞などでもよく金融や経済、法改正など日常的に見ておくことは非常に効果的で、幅広い知識や考え方を身につけられるでしょう。

近年、テキストの勉強だけでは対応できない問題も見受けられますし、そういった知識や日々の積み重ねは試験勉強にもプラスに作用します。

これは筆者がFP試験を通して経験したことですが、毎日継続するとあらかじめ決めておくと、不思議と勉強できなかった日に対して罪悪感のようなものが生じました。

もちろん人によって捉え方は異なるとおもいますが、習慣化することで少なくともだらけ防止としては効果的ではないかとおもいます。是非、習慣化してみてはいかがでしょうか。

FP1級実技試験(日本FP協会)の勉強方法

この章では、FP1級実技試験(日本FP協会)の勉強方法についてです。

筆者はFP協会の実技試験に合格したため、当コラムではFP協会に関する対策について述べていきます。

どのようなことに気をつけながら学習を進めていくのがよいか、3つのポイントに絞ってのご紹介です。

精選過去問題集テキストを解く

日本FP協会の実技試験を受ける場合は、FPK研修センターが出版している精選過去問題集のテキスト(通称:緑本)を準備しましょう。

テキストの特徴は、各科目(6科目)ごとに過去問題の演習問題が厳選されて集約されています。ですが、テキストはそこまで分厚くなく、ボリュームもそれほど多くはありません。

試験までこのテキストを何度も解き、間違えた箇所を重点的に復習するといった勉強法がおすすめです。

テキストを使用した勉強時間の目安としては、約50時間程度でしょう。

日本FP協会の実技試験の対策本は非常に少ないので、逆に参考書が少なくて悩んでしまうこともあるかもしれません。

この精選過去問題集テキストは、日本FP協会の実技対策においてはこれ以上のテキストはないと思います。

実際、1年前(2021年)に受けた実技試験の会場でも試験の直前に、ほとんどの方が緑本テキストを使用していました。

時間を計って過去問題を解く

精選過去問題集テキストを繰り返し解いたら、次は過去問題を解きましょう。

テキストの後ろに模試演習がありますので、活用してみてください。

FP1級の実技試験は、計算問題が多く記述問題もあるため時間内に解き終ることが重要です。

そのため、実際の試験を想定してきちんと時間を計って解いて、過去問題の傾向を頭に入れておくことがポイントになるかとおもいます。

過去問題を、最低でも3年分は解いておくことで自分なりにどこから解くか(記述から先に解く)をあらかじめ想定できるので、本番の試験でも余裕を持てるはずです。

勉強時間の目安としては、過去問3年分を3回するとして、あとは復習などあわせて約30時間程度でしょう。

筆者は、過去問題を解くときに最初はそのままの時間で解き、2回目から試験時間を10分短縮などしながら、試験当日まではひたすら過去問題を解いていました。

過去問で間違えた箇所や、自分の中での苦手な分野はそのままにせず「どうして間違えたのか?」をテキストに戻って復習しなおすことで、類似問題が出た場合にも対応できるかとおもいます。

記述問題の対策を必ずしておこう

「日本FP協会」の実技試験で必ずしておかなければならないのが、記述問題の対策です。

記述問題は、毎年必ず出題されており点数の配分も高いです。

例年の問題傾向としては、300字程度で説明を求められることが多いですが、中々対策をするのが難しい部分でもあるのではないでしょうか。

論述のポイントとしては、すべてを覚えようとせず関連があるキーワード(単語)を覚えておくことです。

例えば、筆者が2021年に受験したときの実技試験の論述では「保険業法」について問われました。

細かい部分は省かせて頂きますが「保険業法第300条で定める保険募集等の禁止事項について説明」の場合、ここでのキーワードとしては「虚偽の説明」、「重要事項の不告知」、「不告知を勧める」の3点です。

この場合、これだけでも得点はもらえるかとおもいますが、これにプラスとしてお客様に対しては「意向義務」と「情報提供」も必要なことを関連付けて覚えておくとよいでしょう。

あとは、キーワードを上手く指定された文字数でまとめると、より高い得点となるはずです。

万が一、試験の時にわからない論述問題が出題されても、「何を問われているのか」を考えて落ち着いて回答すれば問題ありません。

基本的には、対策したのに分からない問題のレベルであれば、他の受験生も大多数の人は同じように感じるはずです。くれぐれも白紙だけは避けましょう。

まとめ

ここまでFP1級の勉強方法についてみてきました

また、学科・実技試験ごとの対策方法や実技試験を勉強するタイミングなどについても触れました。

記事を書きながら感じたことを1言でまとめると「FP1級試験は難しいが挑戦する価値のある国家資格」に尽きます。

挑戦することで資格取得だけではなく、仕事や実生活、人に教えるときなど知識が大いに役立つ場面は増えるでしょう。

是非、受かった後どういう風に資格を生かしたいかをイメージしながら、勉強してみてください。

この記事が、FP1級の受検を検討している人や実技に関して迷っている人への参考となれば幸いです。

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この記事の執筆者:鳥谷 威(とりや たけし)

CFP認定者/1級ファイナンシャルプランニング技能士で有限会社バード商会代表。

働きながら約2年でCFP資格を取得。現在は現役世代の【お金について向き合うきっかけを作りたい】この想いでFPとして活動中。

これまで光熱費の削減や家計の見直しや新電力提案業務に従事してきたことや20歳の頃から投資経験を生かし、資産形成から家計の見直しといった個人向けライフプランニングを行なっている。

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