IELTSとTOEFL®どっちを受験すべき?違いや簡単さなど徹底比較
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留学や移住目的で英語の試験を受けるとき、IELTSとTOEFL®のどちらを受験するべきか悩んでしまう方は少なくありません。
どちらの試験も国際的に認められている英語の試験ですが、試験内容や受験日程、費用などに違いがあります。
この記事では、IELTSとTOEFL®の違いや、どちらの試験を受験すべきかを解説します。
目次
一般的に比較されるのはIELTS アカデミックとTOEFL iBT®
語学学校や海外大学・大学院の進学の際に、英語力の証明として提出できる主な試験が「IELTSアカデミック」と「TOEFL iBT®」です。
ここでは具体的にIELTSとTOEFL®の違いを解説していきます。
IELTSとTOEFL®の違いは?
まずはIELTSとTOEFL®の違いを表で確認してみましょう。
比較項目 | IELTSアカデミック | TOEFL iBT® |
受験目的 | 英語圏や欧州への留学 | 英語圏や北米への留学 |
英語の種類 | 主にイギリス英語 | 主にアメリカ英語 |
出題されるトピック | 学術的な内容 | 学術的な内容 |
受験日程 | 月に15回前後 | 月に5回 |
受験会場 | 全国16都市 | 全国28都市 |
解答の仕方 | 記述式 | 4択問題 |
受験形式 | ペーパー・コンピューター | コンピューター |
試験時間 | 2.45時間 | 4〜4.5時間 |
受験料 | 25,380円 | $245 |
受験目的
IELTSアカデミックとTOEFL iBT®を受験する人の多くが、主に英語圏への留学や大学進学を目的としているでしょう。
多くの教育機関がどちらの試験結果も英語力の証明として受け付けていますが、IELTSは欧州で広く用いられており、TOEFL®は北米の大学で基準にされることが多いです。
その理由に、IELTSはイギリス発祥の英語試験であるのに対し、TOEFL®はアメリカで誕生した試験であることが挙げられます。
英語の種類
IELTSとTOEFLではテストに出てくるスペルやアクセントが異なります。
IELTSは主にイギリス英語に基づいて試験を作っています。そのためリスニングでイギリス訛りのアクセントが登場するだけでなく、問題文や単語のスペルにもイギリス英語が使われています。
一方でアメリカ発祥のTOEFL®では、基本的にリスニングもリーディングもアメリカ英語で構成されています。
そのため、普段の学習をアメリカ英語で行っている場合は、TOEFL®の方がリスニングが聞き取りやすいと感じるかもしれません。
出題されるトピック
IELTSとTOEFL®のリーディングに出題されるトピックは、両者とも学術的な内容です。
IELTSでは3つの長文が出題され、内容は書籍や専門誌など学術的な内容を一般の読者向けに書いたものになります。
一方でTOEFL®では、化学や政治、芸術などのトピックが出題されます。
TOEFL®の長文は大学で読む論文のような形式のため、IELTSより単語の難易度が高くやや読みづらくなっています。
受験日程
TOEFLとIELTSでは受験できる日程と頻度が異なります。
TOEFLは月に5回なのに対して、IELTSは月10回ほど開催されています。
引用:TOEFL®公式
TOEFL®の試験は、基本的に土日に開催され、月に5回程度実施されます。
IELTSの試験は複数の運営団体によって実施されているので、受験日程が多いのが特徴です。
それぞれの運営団体の受験日程は、下から確認することができます。
特にIELTSのコンピューター試験は全国で月に10回ほど実施されているので、受験機会が多くなっています。
受験会場
IELTSは、札幌、仙台、東京、横浜/川崎、長野/松本、金沢、静岡、名古屋、京都、大阪、神戸、岡山、広島、福岡、熊本で開催されています。
TOEFL®は札幌、宮城、秋田、福島、栃木、群馬、埼玉、千葉、神奈川、新潟、山梨、東京、石川、静岡、愛知、三重、京都、大阪、兵庫、奈良、広島、高知、福岡、宮崎、鹿児島、熊本、沖縄で開催されています。
解答の仕方
IELTSのリスニングとリーディングには、選択問題や穴埋め、並び替え、聞き取りなどさまざまな解答形式が登場します。そのため、単語を書く問題では、スペルミスに注意する必要があります。
一方でTOEFL®の場合はリスニングとリーディングの両者とも4択問題なので、よりシンプルだと言えるでしょう。
受験形式
受験形式の大きな違いに、TOEFL®はコンピューターを活用した試験のみを導入しています。
一方でIELTSはペーパー試験とコンピューター試験の両方を導入しています。
試験時間
IELTSはリスニング・リーディング・ライティングの合計時間が2.45時間程度です。一方でTOEFL®は4〜4.5時間かかります。
しかし、IELTSはスピーキングの時間が別で定められているので、実際の拘束時間はIELTSの方が長くなることが多いです。
受験料
運営団体 | IELTSペーパー試験 | IELTSコンピューター試験 |
British Council | 25,380円 | 27,500円 |
英検協会 | 25,380円 | 25,380円 |
IDP | 25,380円 | 26,400円 |
JSAF | 25,380円 | 26,400円 |
バークレーハウス | 25,380円 | 25,380円 |
まずIELTSの受験料は、運営団体とペーパー試験・コンピューター試験かによって異なります。最も安く受験ができて25,380円です。
一方でTOEFL®の受験料は$245で、日本円に換算すると36015円(1ドル147円換算)です。円安の影響もあり、現時点ではTOEFL®の方が割高になっています。
リーディング
比較項目 | IELTS | TOEFL® |
パッセージ数 | 3 | 3〜4 |
問題数 | 40問 | 30〜40問 |
解答時間 | 60分 | 54〜72分 |
パッセージ語数 | 800〜900語 | 700語 |
IELTSのリーディングは3つの長文から成り、1つの長文は約900語です。
一方でTOEFL®では1つの長文が約700語なので、IELTSの方がやや長めの文章を読む必要があります。
リスニング
比較項目 | IELTS | TOEFL® |
パート数 | 4 | 5〜7 |
問題数 | 40問 | 28〜39問 |
解答時間 | 30分 | 41分〜57分 |
IELTSとTOEFL®のリスニングの最大の違いは、解答のタイミングです。
IELTSは音声を聞きながら解答していきますが、TOEFL®は音声を全て聞き終えてから解答をします。
そのため、IELTSは音声を聞きながら問題を読み進めるスキルが求められ、TOEFL®では事前に問題をある程度予想しながら聞き取り、重要な内容をメモしていく必要があります。
また、IELTSの問題数は常に40問ある一方で、TOEFL®はダミー問題が含まれるため問題数の数に変動があります。
スピーキング
IELTSではペーパー試験とコンピューター試験に関わらず、スピーキングは面接官と直接1対1で会話をします。
一方でTOEFL®はコンピューターに向かって会話をする点が大きく異なります。
また、TOEFL®のスピーキングでは、スピーキング力だけでなく読んだり聞いたりしたものを要約する問題が出るので、英語を理解する力も求められるのです。
ライティング
比較項目 | IELTS | TOEFL® |
問題数 | 2 | 2 |
問題内容 | 1.図表の読み取り2.エッセイ | 1.Integrated2.Independent |
解答時間 | 60分 | 50分 |
IELTSとTOEFL®の両者とも、ライティングは2つのタスクに分かれています。
IELTSの場合は図表の読み取りとエッセイ、TOEFL®は読んで聞いた内容を要約するタスク1と、設問に対する意見を書くエッセイの2つに分かれています。
次の章では、IELTSとTOEFL®の難易度を比較していきましょう。
IELTSとTOEFL®の難易度 どっちが簡単?
一般的に、TOEFL®の方がIELTSより難易度が高いと感じる受験者が多いです。
その理由に、TOEFL®ではリスニングで事前に問題を読めなかったり、スピーキングで要約力が求められたりと英語力以外のスキルが必要となることが挙げられます。
その一方でIELTSはライティングの採点基準が厳しく、細かなスペルミスでスコアを落としてしまう可能性があります。
どちらの試験にもそれぞれ特徴があるので、IELTSとTOEFL®の採点方法やスコアの換算方法を見ていきましょう。
IELTSとTOEFL®の採点方法
項目 | IELTS | TOEFL® |
リスニング | 1.0〜9.0(0.5刻み) | 30点満点 |
リーディング | 1.0〜9.0(0.5刻み) | 30点満点 |
ライティング | 1.0〜9.0(0.5刻み) | 30点満点 |
スピーキング | 1.0〜9.0(0.5刻み) | 30点満点 |
総合 | 4つのセクションの平均点(1.0〜9.0) | 4つのセクションの合計(120点満点) |
IELTSは各バンドスコアを1.0〜9.0の0.5刻みで評価し、4つのセクションの点数を足して4で割った数字が総合スコアになります。0.25単位で切り上げ、切り下げが行われるのです。
一方でTOEFL®は、各技能を30点満点で採点し、4つのセクションの合計を総合スコアとします。
IELTSの採点方法
具体的なIELTSの採点方法は、リスニングとリーディングに関しては、問題がそれぞれ40問あり、正解数の合計でバンドスコアを決定します。
ライティングとスピーキングに関しては定められている評価基準にそって採点が行われます。
具体的にはライティングの場合「課題の達成度」「一貫性とまとまり」「語彙力」「文法知識と正確さ」を元に評価が行われるのです。
TOEFL®の採点方法
TOEFL®のリスニングとリーディングは、正解数に応じてスコア30点に評価されます。
一方でTOEFL®のライティングは、各タスクを0〜5点で評価します。0〜5点で評価されたタスクが、上の表に基づき30点に換算されます。
ライティングの評価 | ライティングのスコア |
5.0 | 30 |
4.75 | 29 |
4.5 | 28 |
4.24 | 27 |
4.0 | 25 |
3.75 | 24 |
スピーキングもライティングと同様に換算式で採点をしますが、スピーキングの場合は4点満点で採点されたタスクが、30点満点に換算されます。
IELTSとTOEFL®の換算
IELTSとTOEFL®のスコアを換算すると、下の通りです。
IELTS | TOEFL® |
9.0 | 120 |
8.5 | 115〜119 |
8.0 | 110〜114 |
7.5 | 102〜109 |
7.0 | 94〜101 |
6.5 | 79〜93 |
6.0 | 60〜78 |
5.5 | 46〜59 |
5.0 | 35〜45 |
4.5 | 32〜34 |
4.0 | 31 |
IELTSの満点9.0は、TOEFL®でも満点の120となります。つまり、IELTSとTOEFL®はそれぞれ特徴がある一方で、難易度は非常に似ていると言えるでしょう。
出題される単語の傾向と難易度
試験内で出題される単語の難易度は、TOEFL®の方がやや高いです。
TOEFL®はリスニングとリーディングで学術的な内容が問われることが多く、学術用語や専門用語を覚えていないと解けない問題も複数登場する傾向にあります。
一方でIELTSは、学術的な問題を一般人に向けて書いたような内容が出てくるため、TOEFL®ほど専門的な単語は出てきません。
また、IELTSでは分からない単語がいくつかあっても文脈を理解できれば解ける問題も多いです。
IELTS(TOEFL®)で伸び悩んだらTOEFL®(IELTS)に変えたほうがいい?
最初からどちらかに決めて、その試験に集中するのがおすすめです。
IELTSとTOEFL®には、記事の中で紹介したようにそれぞれ独自の特徴があります。
途中で試験をどちらかに切り替えると、試験の特徴やテクニックを学び直さなくてはならなくなります。
IELTSとTOEFL®どっちを選べばいいの?
まず大前提に、英語力の証明を提出する先の教育機関や政府がIELTSかTOEFL®のどちらかと定めている場合、指定された試験を受けるようにしましょう。
もし提出先がどちらとも受け付けている場合、下の項目を参考に選ぶようにしましょう。
点数を取りやすいのはどっち?
前の章で紹介したように、TOEFL®の方がIELTSよりやや難易度が高いと言われています。
ダミー問題が含まれていたり、要約力が求められるため、点数が取りにくくなっています。
そのため、点数の取りやすさで言えばIELTSの方がやや易しくなっていると言えるでしょう。
大学受験(留学目的)で使うならどっち?
大学受験で使う場合、まずは受験する大学の公式ウェブサイトでどちらの試験を受け付けているかを確認しましょう。
アメリカの大学ではTOEFL®、イギリスやオーストラリアではIELTSを受け付けていることが多いですが、近年では両方受け付けている教育機関も増えてきています。
他にも、下記のウェブサイトからIELTS、TOEFL®それぞれに対応している教育機関を調べることが可能です。
MBA留学に使うならどっち?
学校名 | TOEFL® | IELTS |
Columbia Business School | 100点 | 7.5 |
University of Toronto | 100点 | 6.5 |
London Business School | 100点 | 7.5 |
Harvard Business School | 109点 | 7.5 |
NUS | 100点 | 6.5 |
University of Cambridge | 110点 | 7.5 |
上の表は、各MBAスクールが定める入学基準です。
どちらの試験にも対応していることが分かりますが、定めているスコアに注目しましょう。
多くの大学がTOEFL®のスコアは100点を基準にしている一方で、IELTSの基準は6.5や7.0に定めている教育機関があります。
TOEFL®で100点取得するよりもIELTSで6.5取得する方が簡単なので、このようなケースの場合はIELTSを受験した方が良いでしょう。
パソコンを使うのが苦手な人はどっち?
パソコンを使うのが苦手であれば、IELTSのペーパー試験がおすすめです。
リスニング・リーディング・ライティングは全て紙上で行われ、スピーキングは面接官と対面で実施されます。
リスニングが苦手な人はどっち?
リスニングが苦手な人は、IELTSの受験がおすすめです。
IELTSはリスニングの音声が流れる前に設問を読むことができるため、ある程度音声の内容や聞き取るべき内容を予想することができます。
一方で、英語を聞き取れない理由がイギリス英語に慣れていないから、という場合はTOEFL®がおすすめです。
TOEFL®は主にアメリカ英語の音声が流れるので、アメリカ英語の方が聞き取りやすい人はTOEFL®の方が点数が取りやすいでしょう。
スピーキングが苦手な人はどっち?
TOEFL®ではコンピューターに向かって時間制限内にスピーチを行うので、タイムマネジメントがより難しくなります。
また、要約力が求められるためスピーキングがそもそも苦手な受験生には荷が重く感じるでしょう。
IELTSは試験官と面接で行われるため時間制限へのプレッシャーが少なく、トピックもある程度予想問題集で練習することが可能なため、IELTSがおすすめです。
まとめ
IELTSとTOEFL®には、それぞれ異なる特徴があります。
この記事で紹介した採点方法や試験内容の違いを参考に、ご自身に合った試験を選ぶようにしましょう。
また、実際にIELTSやTOEFL®の練習問題集を解いて体験してみることで、体感的にどちらの方が点数を取れやすいか実感することができます。
慌てて決めてしまうのではなく、実際に問題集を解いてから受験する試験を決めるようにしましょう。
この記事の著者
橋本志保
高校卒業後、オーストラリアのGriffith大学に進学。国際観光学とホスピタリティを学び学位を取得し、卒業。
大学卒業後は外資系旅行会社に勤め、海外からのクライアントとの会話など、ビジネス英語を使う経験をする。
2021年にIELTS8.0を達成。
現在はカナダに移住し、英語学習のコーチング、翻訳や執筆業にも従事。
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