独学でIELTSの目標スコアを達成するための勉強法
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「IELTSを独学で勉強しているものの、進め方がよく分からない」と、悩んでいませんか?
IELTSは他の英語試験と比べ日本での認知度が低く、学習方法についても解説されている教材やウェブサイトが少ないのが現状です。
そこでこの記事では、IELTSを独学のみで目標スコアを達成する勉強法を紹介します。ぜひ参考にしてみてください。
目次
IELTSは独学でも目標スコアは取れる?
結論から言うと、独学でIELTS対策を行うことは可能です。
しかし、ただ闇雲に英語を勉強するだけではスコアを上げるのが難しく、目標スコアを達成するためには、細かな学習計画と現実的な目標設定が重要です。
ここではまず、それぞれのスコアの難易度を紹介します。ご自身のレベルにあった目標を設定するのに役立ててください。
IELTS6.0~6.5
6.0以上を目標にする場合は、高校レベルまでの英語の文法をマスターし、単語力を上げていくことをメインに対策を進めると良いでしょう。
IELTSの公式サイトによると、2019年の日本のIELTS受験者のオーバーオール平均スコアは5.8です。
そのため、多くの受験者が留学のために目標とする6.0〜6.5は、日本人平均よりやや高いスコアで、決して達成不可能な数字ではありません。
IELTS7.0~7.5
2019年度の試験で7.0以上を取得した日本人の割合は、わずか一桁と少ないです。
IELTS公式は7.0を「複雑な言葉遣いにも対応できる優秀なユーザー」と定めており、高い英語力が必要となります。
そのため、すでにある程度の英語力がある受験者なら、独学でも達成することが可能なスコアと言えるでしょう。
IELTS8.0~
IELTS8.0以上を達成するには、ネイティブスピーカーに限りなく近い英語力が必要になります。
もちろん独学で達成できない訳ではありませんが、可能であればスピーキングやライティングは講師から学んだ方が達成率がぐっと高くなるでしょう。
筆者が8.0を達成した時は、リスニング・リーディング・ライティングは独学で学習し、スピーキングはオンライン英会話講師と練習をしました。
8.0以上にチャレンジしたい場合には、日々の学習の質を上げていくことが求められます。
目標スコアの決め方
目標スコアは、IELTSを受験するご自身の目標に合わせて決めましょう。
例えば日本の大学から海外の学校へ留学する場合、IELTS5.5以上が必要になることが多いです。
一方で海外の大学に入学願書を出す場合に求められるスコアは6.0〜7.0前後です。
ただし、教育機関によって定めるスコアは異なるので、IELTSを提出する大学や政府が示すスコアを事前に確認し、ご自身の目標スコアとして設定しましょう。
IELTSを独学でスコアアップを目指すためにオススメの参考書・問題集・単語帳
ここでは、独学でIELTSを学習する際におすすめの参考書・問題集・単語帳を紹介します。
効率良く試験対策を進めるためにも、教材は学習を始める前に揃えるようにしましょう。
おすすめの参考書【セルフスタディIELTS完全攻略】
「セルフスタディIELTS完全攻略」は、独学でIELTSの学習をスタートさせる受験者におすすめの1冊です。
受験の申し込みの段取りから試験当日の注意点まで解説されています。
”セルフスタディ”というタイトルからも分かるように、独学でIELTSの対策を進められるようにデザインされています。
また、教材の中で日本人が間違えやすいポイントを日本語で解説しているので、英語の教材と比較し理解しやすく使いやすいのが利点です。
おすすめの問題集【ケンブリッジ出版公式問題集】
IELTSには、公式の過去問題集がありません。過去に試験で出された内容は公式に公開されることがなく、対策には主に問題集やサンプルテストを使うことになります。
「ケンブリッジ出版公式問題集(以下公式問題集)」は、IELTSの設問を作成する団体「Cambridge English Assessment」と「ケンブリッジ大学出版局」が出版。
過去問ではないものの、オフィシャルから出版されているだけあり、本番の試験内容にかなり近い問題が収録されています。
独学で学習を進める際には、こちらを過去問題集の代わりに活用しましょう。
おすすめの単語帳【実践IELTS英単語3500】
IELTS対策に最もおすすめの単語帳が「実践IELTS英単語3500」です。
単語学習は独学でも進めやすい部分なので、単語帳を活用し毎日単語に触れるようにしましょう。
単語帳はアカデミックモジュール用にデザインされているものの、ジェネラル用として活用しても問題ありません。
おすすめの使い方は、音声をダウンロードし、耳で聞きながら単語を見て暗記をする方法です。
ダウンロードできる音声はイギリス英語になっているので、IELTS試験に登場するイギリス英語に慣れるという意味でも活用できます。
おすすめのアプリ【IELTS Prep App】
言語: | 英語 |
料金: | 無料(アプリ内購入あり) |
iOS: | https://apps.apple.com/us/app/ielts-prep-app-takeielts-org/id1207210399 |
Android: | https://play.google.com/store/apps/details?id=com.britishcouncil.ieltsprep&hl=ja&gl=US |
アプリは移動時間や仕事の休憩中などの隙間時間に活用しましょう。「IELTS Prep App」は、IELTSの運営団体であるBritish Councilが提供しているアプリです。
このアプリでは、4技能全ての項目で3つの練習問題を実施することができます。
添削サービスは含まれていませんが、スピーキングに関しては自分の音声を録音して聞くことが可能です。録音して聞くことで、話しているときには気づかなかったミスに気づくことができます。
独学の場合のIELTSの勉強法
教材を揃えたら、あとは学習を進めていくのみです。
それぞれ強みや弱みがあるのである程度の試行錯誤は必要ですが、遠回りをしないように戦略的に学習を進めていくのが理想的です。
ここでは、筆者が実際に独学でIELTS8.0を取得した際に実施したおすすめの勉強法を紹介します。
スピーキング
スピーキングを独学で進める際には、まずペンと紙を用意しましょう。
IELTS公式の問題集やオンラインで公開されている質疑応答の質疑の部分を見て、即座に紙に回答を書いてみましょう。
紙に書くことができなければ、スピーキング試験でも試験官の質問に答えられないからです。
紙に書くことで、文法のミスや「もっとこうしたら良い」と言う点に自分で気づくことができます。
紙に書いて練習を繰り返したら、次は実際に発話してみます。
スマホのレコーディングアプリなどを使い、質問を読んで即座に発話します。発話した自分の音声を聞き、気になった部分の発音を磨くようにしましょう。
関連コラム:IELTSライティング対策と目標スコア別勉強法
常に3〜4文以上で答える練習を
スピーキングのスコアが伸び悩む受験者に、「適切な量を話せていない」ケースは意外と多いです。
質問に対して1文〜2文で簡単な返事をするだけでは、英語力をアピールする機会が減り、高評価に繋がりません。
独学で練習をする際も、必ず質問に対して話を膨らませ、3〜4文で返せるように準備しましょう。
ライティング
ライティングはどう学習を進めれば良いか分からず悩む受験生も多いと思いますが、ライティングで最も重要なのは、IELTSの評価基準をきちんと理解することです。
評価基準はIELTSが独自に定めているので、ただ綺麗な文章を書くだけでは高得点に繋がりません。
そこで役立つのが参考書です。参考書で解説されている文章の書き方や文章構成の方法を徹底的に学び、あとはさまざまなトピックで実際に練習を繰り返すのみです。
細かい部分はパソコンの機能を最大限に活用
独学でライティングを練習する際に、スペルミスに自分で気づくのは難しいです。そこでおすすめなのが、パソコンのワードを活用することです。
具体的な方法は、まずワードドキュメントのスペルチェック機能を解除し、ライティングを行います。
ライティングを実施した後にスペルチェック機能の設定をオンにします。そうすることで、間違えた単語に下線が引かれ、スペルミスに気づくことができるのです。
関連コラム:IELTSライティング対策と目標スコア別勉強法
リーディング
リーディングは比較的独学でも進めやすいパートのひとつです。リーディングの学習方法は主に「問題集で実際に問題を解く」と「単語の学習」の2つに分かれます。
問題集で実際に問題を解くときは、必ず時間を測って本番の試験のように進めましょう。復習が大切なので、答え合わせをし、間違えた部分を確認しましょう。
その後、長文の中から知らなかった単語や表現を抜き出し、ノートに書いて覚えます。
この繰り返しでリーディングは対策を進めていきましょう。また、7.0以上のスコアを目指す受験者は、上の学習方法に加え、日々の多読を取り入れるのをおすすめします。
関連コラム:IELTSのリーディングの本番対策とレベル別勉強法
リスニング
リスニング試験の対策には、リーディングと同様に問題集を活用します。
リーディングの学習方法と同じ要領で、問題を解く→答え合わせ→間違った部分の確認をしましょう。
間違った部分の確認まで終わったら、一度トランスクリプトを見て内容を理解しましょう。
ここで出てきた新しい単語はノートに書き覚えます。トランスクリプトを見る理由は、見て理解できない文章は聞いても理解できないからです。
シャドーイングがリスニング力UPの近道
最後に実施したいのがシャドーイングです。シャドーイングとは、音声を聞いて影のようについていくことで、英語を聞きながらそれを真似して発音する通訳訓練法のことです。
「聞く」と「話す」を同時に行うことでリスニング力を上げ、試験に必須の聞きながら理解する力を伸ばすことができます。
関連コラム:IELTSのリスニング対策と目標スコア別勉強法
英単語
英単語は人それぞれ覚え方に得意・不得意があります。文章で覚える方が得意な人もいれば、単語を日⇄英にして暗記する方が得意な人もいます。
そのため得意な方法を活用すれば良いですが、その中でも一点必ず取り入れて欲しいのが「音声とセットで覚えること」です。
単語帳やアプリは必ず音声付きのものを使い、音と一緒に単語を覚えましょう。せっかく読んで理解できても、リスニングやスピーキングで使えない単語となってしまったら勿体無いからです。
聞く→見る→発音するの3ステップで英単語を覚えましょう。
関連コラム:IELTSで必要な英単語と網羅できるおすすめ英単語帳・アプリ
独学で目標スコアを達成するためにはどのくらいの勉強時間が必要?
一般的に、IELTSのスコアを0.5上げるためには約100時間〜300時間の学習が必要とされています。
これは学校に通っていても独学でも大きく変わることはありませんが、正しい学習方法で対策を進めていった場合の基準となっています。
ここでは、現在IELTSのレベルが5.0の人が以下のスコアを達成するための学習計画を紹介します。
IELTS6.0~6.5
IELTS5.0のレベルの人が6.0を目指すのに必要な勉強時間は、200時間〜600時間程度になります。そのため、学習計画を立てるときは、下のようなプランを立てると良いでしょう。
- 平日2時間、土日は5時間勉強をする
- 学習スタートから試験日まで10週間から30週間は確保する
筆者が初めてIELTSを受験したのは高校生のときでしたが、1回目はオーバーオールスコア5.0という結果でした。その後1日に1時間ほど独学で学習を進め、半年後に6.0を達成しました。
単純計算をすると、1.0を伸ばすのにかかった勉強時間が168時間でした。なので必ずしも200時間以上必要な訳ではありませんが、学習計画を立てるときの参考の数字としてください。
IELTS7.0~7.5
現時点のレベルが5.0の受験者が、7.0〜7.5を目指す場合、英語の総合力を底上げする必要があります。学習時間だけでも400時間〜1200時間ほどかかると想定されるので、下のような学習計画が必要になります。
- 平日2時間、土日は5時間勉強をする
- 学習スタートから試験日まで20週間から60週間は確保する
- 英語の総合力を上げるために洋書や洋画を活用し、英語に触れる機会を増やす
筆者がIELTSを再受験し8.0を達成したのは、留学後でした。日々英語に触れる機会があったからこそ、自然と英語力が伸びたとも言えます。
もちろんIELTS対策も行っていましたが、7.0以上を目指す場合は英語に触れる機会を意図的に増やすことも重要となってきます。
問題集を1冊解くのにかかった時間、問題集は何回解けばいいの?
ケンブリッジの公式問題集を例にすると、1冊解くのにかかる時間は4日間であるべきです。
その理由は、教材には4回分の試験内容が含まれており、これらを本番のように時間を測って解くからです。
パートごとに分けるのではなく、しっかりと時間が取れる日に本番のように解くことで、時間配分や体力温存の練習になります。
筆者は問題集を複数購入し、毎週日曜日に1セット解くようにしていました。そして、一度解いた問題集は3周して復習をしました。
内容を覚えているときに何度も同じ問題を解いても意味がないので、内容を忘れた頃に解き直すことをおすすめします。
独学でIELTSを勉強する場合の学習計画
最後に、これから独学でIELTSを勉強し始める受験者におすすめの学習計画を紹介します。
毎日どのくらいの時間勉強したらいい?
毎日の勉強時間は、受験までの時間を逆算して設定しましょう。そのために1度問題集を解いて自分のレベルを把握し、試験の日程までに何点スコアを伸ばす必要があるのかを確認します。
スコアの伸び代が分かったら、あとは「0.5上げるのに必要な勉強時間は100時間〜300時間」と言う基準を元に1日の勉強時間を定めましょう。
スコア4.5~5から勉強を始める場合、スコア提出期限の何ヶ月前から勉強を始めたらいい?
現在のレベルが4.5~5の場合、どのくらい余裕を持って学習を始めたら良いでしょうか。
IELTS6.0~6.5を目指す場合
6.0から6.5を達成するために伸ばすべきスコアは1.5前後なので、必要となる学習時間は約300時間〜900時間です。
現状が4.5の受験者は英語力が足りていない可能性もありますが、IELTS独自の問題の解き方を理解していないためスコアが低くなっている可能性が高いです。
そのため、英語力を上げることはもちろん、IELTSの参考書や問題集を活用しIELTSを理解することから始めましょう。
IELTS7.0~7.5を目指す場合
記事の最初で紹介したように、目標スコアを達成するためには、現実的な目標設定が重要です。
現状のレベルが4.5〜5.0の受験者が7.0を目標としているのならば、目標設定から見直した方が良いかもしれません。
上で紹介したように、IELTSのスコアを0.5伸ばすためには100時間〜300時間必要です。
現状のレベルが4.5〜5.0の受験者7.0〜7.5を達成するには、500時間〜1500時間と言う膨大な時間がかかってしまい、現実的ではありません。
最初の目標は6.0から6.5に設定し、達成できたタイミングで次の目標を7.0以上にすると良いでしょう。
どうやってモチベーションを維持したらいい?
モチベーションは独学の最大の課題と言っても良いでしょう。
特に独学だと厳しく学習状況を管理してくれる講師がいないので、つい楽な方に流れてしまいがちです。筆者は下の方法でモチベーションを維持していました。
目標を紙に書いて目に付くところに貼る
IELTSは、大学進学やビザの取得など、何かしら目的があって受験する人がほとんどだと思います。
明確な目標は最大のモチベーションなので、見失わないように紙に書いて目に付くところに貼っておきましょう。自分へのリマインダーになります。
習慣化する
IELTSだけでなく学習全般に言えることですが、モチベーションに左右されない学習習慣を確立することが成功への鍵です。
モチベーションはどうしても上がったり下がったりします。そのため、モチベーションに頼ってしまうのは実は危険です。
毎日朝歯を磨くのと同じように、ライフスタイルに英語学習を埋め込むと良いです。
「朝出勤前に30分カフェで長文を読む」「電車通勤中は単語アプリで単語を学ぶ」と言うように、時間と場所を決めて学習に取り組みましょう。
学習仲間とつながる
TwitterやInstagramなどのSNSで、英語学習の仲間を作るのもおすすめです。
筆者は英語学習の合間にその日の学習内容をSNSに投稿していました。学習内容や範囲を投稿することで、自然と「誰かに見られているから、やらなければ」と言う気持ちになり、学習後は達成した内容を投稿していました。
SNS上には同じように学習状況を投稿している仲間は結構多く、ある種のメンターを持つような感覚で活用できます。
セクションごとの勉強時間の内訳と優先順位は?
勉強時間の内訳と優先順位は、得意・不得意によって決めましょう。
試験対策の前半は不得意な科目に8割ほど時間を使い、後半になったら半々で進めるようにしましょう。
その理由は、苦手分野を伸ばすのにはある程度時間がかかるからです。
先に苦手分野に集中することで、後半は得意分野を伸ばしつつ苦手分野をカバーすることができるようになります。
どうやって勉強時間を確保したらいい?
学生やビジネスパーソンは、そもそも勉強時間が確保できないと思うかもしれません。しかし、どんなに忙しくても、時間は作ることができます。
効果的な勉強時間の捻出方法は、「無駄にしている時間の分析」です。
例えば就寝前、少しだけのつもりで30分以上もSNSを眺めてしまったことはありませんか?
また、電車での通勤時間や仕事の休憩のランチ中など、1日を分析することで学習に当てられる時間が出てきます。
これらを活用することで、1日に1時間〜2時間ほど時間が生まれます。隙間時間を上手に活用し、1日の合計の学習時間を確保しましょう。
この記事の著者
橋本志保
高校卒業後、オーストラリアのGriffith大学に進学。国際観光学とホスピタリティを学び学位を取得し、卒業。
大学卒業後は外資系旅行会社に勤め、海外からのクライアントとの会話など、ビジネス英語を使う経験をする。
2021年にIELTS8.0を達成。
現在はカナダに移住し、英語学習のコーチング、翻訳や執筆業にも従事。
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