本記事では、大学院留学に必要なIELTSのスコアの目安を国ごとにまとめました。また、TOEFL®との違いや国内の院試でのIELTSの活用方法もお伝えします。

IELTSを勉強している人の中には、大学院留学を視野に入れている人も多いと思います。

ぜひ参考にしてみてください。

大学院留学に必要なIELTSのスコアの目安

それでは、大学院留学に必要なIELTSスコアの目安を国ごとに紹介します。今回は、日本人の留学先として人気のある、

  • アメリカ
  • イギリス
  • カナダ
  • オーストラリア

の大学院についてまとめました。

ただし、求められる点数は各大学院ごとに異なり、国ごとに一概には言えません。

そのため、必ず出願したいと視野に入れている大学院の公式ウェブサイトで確認をするようにしましょう。

関連コラム:IELTSの目標別スコアの目安と必要な勉強時間

大学院受験にはアカデミックが必要

各国の大学院留学に必要なスコアを紹介する前に、大前提として出願に求められるIELTSの種類はアカデミック・モジュールだと覚えておきましょう。

IELTSにはアカデミックとジェネラル・モジュールがありますが、より学術的な内容が問われるアカデミックが出願に使われます。

そのため、今回紹介する各国のスコアの目安も全てアカデミックの点数となっています。

また、オーバーオールのスコアだけでなく、各セクションで取るべき点数を定めている大学院も多いです。

ですから、リスニング・リーディング・ライティング・スピーキング全ての総合力を伸ばす必要があります。

それでは、大学院出願に必要なIELTSのスコアを国別に見ていきましょう。

アメリカの大学院に留学をする際のスコアの目安

アメリカの大学院に留学をする際のスコアの目安は、6.5〜7.0ほどと言われています。

各大学の事例は下の通りです。

また、よく知られているようにアメリカの大学院は、入学基準の英語証明にTOEFL®を受け入れているケースも多いです。

IELTSとTOEFL®を比較し点数が取りやすい方を受験するのがおすすめです。

アメリカの大学院に必要なスコア

教育機関名大学院進学に必要なスコア
マサチューセッツ工科大学院7.0
シカゴ大学院7.0
コロンビア大学院7.0
ミシガン州立大学院6.5

イギリスの大学院に留学をする際のスコアの目安

イギリスは、教育水準が高いこともあり、入学に必要なIELTSのスコアも7.0〜7.5とやや高めになっています。

ですが、大学院の教育に力を入れている国の一つとして留学先に人気があります。

イギリスの大学院に必要なスコア

教育機関名大学院進学に必要なスコア
オックスフォード大学院7.5
ケンブリッジ大学院7.0
マンチェスター大学院7.5
インペリアル・カレッジ・ロンドン7.0

カナダの大学院に留学する際の必要スコアの目安

カナダの大学院に留学する際に必要なスコアは、6.5〜7.0ほどです。

教育先進国のカナダの大学院の多くが公立のため、教育水準が高く維持されていることで有名です。

カナダの大学院に必要なスコア

教育機関名大学院進学に必要なスコア
トロント大学院7.0
ブリティッシュコロンビア大学院6.5
マギル大学院6.5
アルバータ大学院6.5

オーストラリアの大学院に留学する際のスコアの目安

オーストラリアの大学院の入学基準は6.5〜7.0前後です。

親日国のオーストラリアは留学先としてとても人気があります。

37校の公立大学、2校の私立大学があり、そのほとんどが大学院を有しています。

オーストラリアの大学院に必要なスコア

教育機関名大学院進学に必要なスコア
メルボルン大学7.0
オーストラリア国立大学7.0
シドニー大学6.5
アデレード大学6.5

大学と大学院でどのくらい必要スコアが変わるのか?

多くの大学で、大学院の出願には大学と比較し0〜0.5前後必要なスコアが高くなる傾向にあります。

とはいえ、出願する学部によっても必要なスコアは異なるので、学部によっては大学院でもやや低めのIELTSのスコアで入学できる場合もあります。

とはいえ、出願する学部によっても必要なスコアは異なるので、学部によっては大学院でもやや低めのIELTSのスコアで入学できる場合もあります。

関連コラム:高校生の大学受験にIELTSは必要?国内・海外の出願資格に必要なスコアや優遇制度

条件付き合格制度がある大学院なら英語力はなくても大丈夫?

条件付き合格制度がある大学院なら英語力が足りなくても入学手続きを進められるのが大きなメリットです。

条件付き合格制度とは、出願時点で英語力を証明する書類を提出する必要がなく、代わりに入学時までに指定された英語力を取るという条件のもと、入学許可を受けることができるという制度です。

IELTSのスコアがどうしても足りない場合、「条件付き合格制度」がある大学院に出願することで英語力を身につけるための勉強期間を延ばすことができます。

英語力がいらないというわけではないので注意が必要です。

大学院に留学を考えているが、英語力が足りず、もう少し勉強できればスコアが伸ばせるのにと思っている方は条件付き合格制度のある大学院を目指すといいでしょう。

アメリカの大学院の条件付き合格制度はほぼなし

アメリカの大学院では、条件付き合格制度を導入している所はほぼありません。

大学留学では条件付き合格制度を導入している教育機関が多いものの、大学院になるとその数は大幅に下がります。

その一方で、アメリカの大学院はイギリスと比較しIELTSの入学基準が低くなっているので、決して目指せない場所ではないと考えられます。

大学院留学はIELTS、TOEFL®どっちがいい?

海外の大学院入学では、TOEFL®を入学基準に定めている教育機関も存在します。

TOEFL®はアメリカ発祥の英語の試験で、英語圏の高等教育機関が入学希望者の外国語としての英語力を判定する際に利用されています。

アメリカの大学院出願ならTOEFL®

アメリカの大学院に出願する予定の人は、留学後の生活を視野に入れてTOEFL®を受験するのも良いかもしれません。

なぜなら、上でも紹介したようにTOEFL®はアメリカ発祥の英語の試験であり、アメリカの教育機関で幅広く活用されているからです。

また、TOEFL®ではアメリカ英語が使われるため、勉強の段階から単語のスペルやリスニングの発音などをアメリカ英語に慣れるメリットがあります。

試験科目の違いと共通点

IELTSとTOEF®Lの試験は、下の表にまとめたように、一見大きな違いは無さそうです。

どちらも共に英語力のリスニング・リーディング・ライティング・スピーキングの4技能となっています。

比較ポイントIELTSTOEFL®
費用25,380円US$230(1ドル125円の場合28,750円)
試験内容4技能4技能
試験時間約2時間45分約3時間
出願先に結果が届くまでの日数約20日間4~6週間

主な違いとしては、IELTSではリスニングにアメリカ英語だけでなく、イギリス英語など訛りのある発音が出てきます。

TOEFL®はアメリカ英語だけなので、日本の英語教育に慣れている人にはやや聞き取りやすいかもしれません。

また、IELTSでは面接官を相手にスピーキングテストが行われますが、TOEFL®ではパソコンに向かって話すといった違いがあります。

どちらもOKの場合は向いている方を選ぼう

出願する教育機関先がIELTSかTOEFL®のどちらも受け入れている場合は、上で紹介したようなIELTSとTOEFL®の違いを知った上で、自分に向いていてよりハイスコアを目指せると感じる試験を選ぶようにしましょう。

どちらかを指定している場合はもちろん、出願先に合わせてIELTSかTOEFL®を選択する必要があります。

国内の大学院試におけるIELTSの活用例

ここでは、IELTSの国内の活用事例について紹介します。

IELTSは過去数年で日本国内でも急激に認知度が高まってきています。

実際に国内の大学院試験でもIELTSが活用されており、英語の試験免除の対象となることがあります。

主な優遇方式

国内の大学院入試でIELTSが活用される主な方式は下の4つです。

  • 出願資格→基準スコアを満たした者だけが出願できる
  • 得点換算→入試の英語試験の得点に換算される/試験が免除される
  • 加点→入試の英語試験の得点に加算される
  • 判定優遇→合否判定の際に優遇を受けられる

国内院試におけるIELTSの活用例

下の表に、実際にIELTSを国内院試に活用している例をまとめました。

スコアなどは毎年変更になる可能性があるので、必ず公式のウェブサイトから確認するようにしてください。

大学名受験形式学部IELTSスコア出願/換算
北海道大学修士課程入学試験機械系5.5出願
早稲田大学修士課程入学試験社会科学研究科5.5外国語試験免除

また、IELTSの成績証明書の原本が必須となる大学院も少なくありません。

例えば北海道大学工学部の出願にIELTSを英語力の証明に提出することができますが、原本を郵送で提出する必要があります。

そのため試験後に証明書が届いたら、きちんと保管するようにしましょう。

TOEIC®とIELTSのスコアどっちが国内院試に有利か?

もし出願先がTOEIC®とIELTSのスコアをどちらとも受け付けている場合、TOEIC®の方が日本人にとってハイスコアを狙いやすいため有利となるでしょう。

TOEIC®は日本国内で幅広く実施されており、IELTSより知名度が高いです。

そのため、TOEIC®の点数を大学院の入学基準に定めている教育機関も少なくありません。

また、教材などが豊富で国内で準備しやすい試験もTOEICでしょう。

留学も検討しているならTOEIC®よりもIELTSの方が良い?

国内の大学院に出願をするだけならTOEICを受験する方が無難と言えますが、留学も検討している場合IELTSを取っておくのもおすすめです。

TOEIC®は日本で幅広く活用されている一方で、アメリカやイギリス、オーストラリアといった主な留学先では使えないことがほとんどです。

そのため、せっかくTOEIC®で高得点を取っても留学の際にIELTSを受験しなくてはいけなくなる可能性があるのです。

また、IELTSは4技能全て試験に出てくるため、英語の総合力を伸ばすのに最適です。

いずれ海外に出て活躍したいと考えている受験生は、英語の練習も兼ねてIELTSでハイスコアを狙うのも将来役立つと考えらえます。

大学院留学に合格するために必要なものは?

大学院留学の際に必要になるのは、IELTSのスコアだけではありません。

ここでは、せっかくIELTSを取得したのに、留学できなかった!ということが起こらないように、IELTS以外に必要になるものを紹介します。

大学院留学で科せられる選考に必要な書類や試験科目

大学院留学では、以下の書類が必要になることがあります。

主にイギリスの大学院に当てはまりますが、志願書や英文成績証明書に関してはオーストラリアやカナダの教育機関でも提出を求められることがあります。

  • 志願動機書

→なぜその教育機関に入学をしたいのかをA4用紙1枚〜2枚で書き、提出します。英語に自信のない人は、事前にネイティブにチェックしてもらってから出願する必要があります。

  • 履歴書

→日本では手書きのイメージかもしれませんが、欧米の国々ではWordやPdfで作成するのが一般的です。仕事の履歴がまだない場合、ボランティアやインターンの経験を書きます。

  • 推薦状

→卒業した高校、大学の教授や、勤務先の社長や先輩に書いてもらいます。通常1枚〜2枚必要となります。

  • 英文成績証明書

→大学時代の成績を証明する必要があります。日本でいう内申がこの成績に当たります。この英文成績証明書次第で入れる大学院が変わってきます。

  • 英文卒業証明書

→大学の卒業証明書の英文になります。直接入学の場合、卒業前に出願することになるので、卒業見込み証明書が必要になります。

このように、大学院留学には準備をしなければならない物がたくさんあります。

特に英文成績証明書に関しては、大学時代の成績が問われるため、IELTSの勉強に集中しすぎて大学の勉強を疎かにしてはならないので注意が必要です。

院試に必要なGPAとは?

大学の成績は常に平均以上を目安にしておくことが大切です。

海外の大学院は、入学に必要なGPAを定めています。

教育機関によって異なるので一概には言えませんが、一般的に5段階で3以上必要となることがほとんどです。

2以下だと落第扱いとなってしまうため、入学できなくなる可能性があるでしょう。

効率よく英語力を上げるためにできることは?

効率よく英語力を上げるためには、毎日少しずつ英語に触れる時間を作ることが大切です。

例えば1週間のうち1日8時間x3日英語の勉強をするのと、1日4時間x6日勉強するのでは、後者の方が英語力が身につきやすいです。

短時間でも良いので英語に触れる時間を作りましょう。

出願まで時間がないときに英会話やコーチングは有効か?

出願まで時間がない場合、IELTSに特化した(TOEFL®を受験する場合はTOEFL®に特化した)英会話レッスンやコーチングを受けるのがおすすめです。

その理由には、英語の試験には規則や特徴があり、それを学ぶことで効率的にスコアを伸ばすことができるからです。

闇雲に試験対策をするより、試験に特化した講師からコツを学ぶ方が、圧倒的に効率が良いと言えます。

特にスピーキングは講師と対面で練習をすることで、話すことに慣れスコアアップが狙えます。

ぜひ出願まで限られた時間を有効に、対策に励んでください。

この記事の著者



 

橋本志保

高校卒業後、オーストラリアのGriffith大学に進学。国際観光学とホスピタリティを学び学位を取得し、卒業。
大学卒業後は外資系旅行会社に勤め、海外からのクライアントとの会話など、ビジネス英語を使う経験をする。
2021年にIELTS8.0を達成。
現在はカナダに移住し、英語学習のコーチング、翻訳や執筆業にも従事。

 

 


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