衛生管理者の仕事って?具体的な業務内容を9つ紹介
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50人以上従業員がいる企業であれば、衛生管理者を設置する必要があります。
しかし、衛生管理者は実際どんな業務をする立場なのか、具体的にイメージできていない人も多いのではないでしょうか。
「衛生管理者の資格を取りたいけど、合格してからどんなことに役立つの?」
「どんな業務に資格の知識が活きてくるの?」
という人に向け、今回は衛生管理者の仕事内容を紹介します。
これから資格取得を検討している人は、是非目を通してみてください。
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衛生管理者の職務とは?
衛生管理者は、労働する環境全体に目を配りながら労働条件・衛生状態・危険管理などを行います。
社員の安全を全般的にサポートすることが仕事であり、怪我・病気が発生しない職場にすることが目的だと理解するのがよいでしょう。
労働安全衛生法に基づき、常時50人以上の社員がいる会社には必ず衛生管理者を選任します。
第一種衛生管理者は、農林水産業・鉱業・建設業・電気ガス水道業・熱供給業・運送業・自動車整備業・機械修理業・医療業・清掃業など、危険度合いの高い業種に設置される資格です。
第二種衛生管理者は、サービス業・卸小売業・金融業・学習支援業など、上記以外の全ての業種に設置される資格ですので、自社がどちらに当てはまるかチェックしておきましょう。
関連記事: 衛生管理者の第一種と第二種はどう違う?違いをわかりやすく解説
衛生管理者資格は国家資格合格者のみに与えられる資格であり、事業所の「衛生管理業務従事者」として登録されます。
社員の安全を守る専門家として、高い役割を果たしていることが分かります。
衛生管理者の具体的な業務内容
では実際に、衛生管理者は現場でどのような業務を行っているのでしょうか。
下記項目ごとにリストアップしながら解説致します。
- 健康に異常がある者の発見及び処置
- 作業環境の衛生上の調査
- 作業条件、施設等の衛生上の改善
- 労働衛生保護具、救急用具等の点検及び整備
- 衛生教育、健康相談その他の労働者の健康保持に関する必要な事項
- 労働者の負傷及び疾病、それによる死亡、欠勤及び移動に関する統計の作成
- その事業の労働者が行う作業が他の事業の労働者が行う作業と同一の場所において行われる場合における衛生に関し、必要な措置
- その他衛生日誌の記載等職務上の記録の整備等
- 週1回以上の事業場の巡視
1. 健康に異常がある者の発見及び処置
- 体調が悪そうな人がいたら積極的に声をかけて休憩を取らせる
- 怪我発生時に速やかに処置を行う
- 救急車の手配や病院への付き添いをする
このように、健康に異常が出た社員の発見・処置を行います。
また、社員に健康診断の重要性を広め、受診率向上を目指す立場でもあります。
総務部・人事部・労務部と連携を取りながら、労働基準監督署からの指示に従い毎年確実に健康診断を受診できるよう、環境を整えていきましょう。
2. 作業環境の衛生上の調査
- ヘルメットや安全帯の着用が規則通り行われているか
- 医療廃棄物の管理や処理が適切か
- 温度や湿度が正しい範囲で一定に保たれているか
- 作業に適した照明の明るさになっているか
上記など、危険性のない作業環境であるか確認します。
高度かつ専門性の高い薬剤・機材を活用する会社における安全管理から、日常的な風邪予防に関する換気・手洗い対策まで幅広く、業種・職種に合わせた対応が必要です。
3. 作業条件、施設等の衛生上の改善
直接的に自社業務と関係ない部分についても、衛生環境に問題がないか確認します。
例えば、トイレ・給湯室・休憩室・倉庫などが挙げられます。
- ハンドソープやアルコール除菌スプレーの補充・点検が適切に行われているか
- ゴミは乱れることなく適切に出されているか
- 賞味期限切れの持ち込み食品が放置されていないか
- バックルームや倉庫に物が高く積まれているなど倒壊の危険性がある場所がないか
このように、会社全体に目を光らせて管理します。
4. 労働衛生保護具、救急用具等の点検及び整備
- 救急箱
- AED
- 担架
など、万が一のときに使える救急用具の管理・点検を行います。
業種によっては化学防護手袋・化学防護服・保護眼鏡・呼吸用保護具などを整備し、トラブルに対応します。
また、避難経路の確認・周知や消防署と連携して避難はしごの点検をするなど、有事に備えておくのも仕事です。
5. 衛生教育、健康相談その他の労働者の健康保持に関する必要な事項
社員に対する衛生教育や健康相談も行います。
衛生教育では、下記などの対策が挙げられます。
- 健康診断の重要性を周知する
- 流行している疾病に関するアナウンスを行う
- 正しい手洗いの方法をトイレや給湯室に掲示する
健康相談では、下記などが挙げられます。
- メンタルヘルス相談
- 産業医との連携
- 休職手続き
ストレスチェックの義務化などに伴い社会的にも注目を浴びている項目です。
6. 労働者の負傷及び疾病、それによる死亡、欠勤及び移動に関する統計の作成
社員が怪我や病気をした際の情報を収集し、記録として残しておくことも重要な業務です。
発生場所・周辺環境・直近の勤怠状況・症状・治療法などを詳しく記し、後の管理に役立てます。
特に、労災が発生したときは衛生管理者の役割が大きくなります。
労働基準監督署や医療機関と速やかに連携し、傷病者が治療に専念できるようバックアップしましょう。
7. その事業の労働者が行う作業が他の事業の労働者が行う作業と同一の場所において行われる場合における衛生に関し、必要な措置
特定の部署・役職・年代・雇用形態に限定せず、幅広い層の社員に対応しながら労働環境を整えます。
- 安全や衛生が配慮されていない部署がないか
- パートやアルバイト人員への配慮が十分か
- 男性ばかり、女性ばかりに偏った対策になっていないか
- 職種ごとに最適な対策ができているか
このようなことを定期的に見直し、対策の方針を改善していきます。
8. その他衛生日誌の記載等職務上の記録の整備等
傷病者が発生せずとも、定期的に衛生日誌をつけて職場環境を正しく把握するよう努めます。
上記1.~7.に関する対策や実行した処置を全て記録に残す、とイメージするのが分かりやすいでしょう。
補充した石鹸の個数から健康診断の実施進捗に至るまでを一元管理することで、万が一のトラブル発生時にも速やかな対応が叶います。
9. 週1回以上の事業場の巡視
労働安全衛生規則により、衛生管理者は週1回以上事業場を巡視するよう義務づけられています。
- 衛生環境(掃除・衛生関連の備品管理)が保たれているか
- 安全のためのルールが遵守されているか
- 怪我や病気で困っている社員がいないか
- 地震の際に倒れてきそうなものがないか
- 避難経路は確実に確保されているか
上記など、定期的に見回りながらチェックします。
チェックリストを作って週1回以上作成しておけば、いつから職場環境が乱れ始めたのかなども知ることができます。
実際はどのような働き方をしている?
衛生管理者は、衛生管理者業務のみを行うことは少ないのが現状です。
他に会社から任された仕事があり、役割のひとつとして同時に衛生管理業務を行っていることが多いでしょう。
具体的には、総務部・人事部などの人員が活躍していることが多いです。
総務部であれば、石鹸やアルコールなどの消耗品発注、ビルの管理会社や消防などとの外的なやり取りがしやすくなります。
人事部であれば、健康診断の受診率及び結果を社員個人ベースで管理したり、各部署の責任者と連携してトップダウン式で衛生教育したりしやすくなるでしょう。
しかし、業種・職種によっては化学薬品や建設資材に関する専門知識が十分にないと安全対策しづらい場合もあります。
企業側は自社にとって、どの部署の誰が衛生管理資格を保有しているのが望ましいか考え、人員配置を検討するのもポイントです。
まとめ
衛生管理者は、社員の安全・健康や職場の衛生環境を守る重要なポジションです。
必要に応じて規則やルールそのものを見直すなど柔軟なアイディアを出すことで全社員が目の前の業務に集中できるよう貢献できます。
資格試験合格のための勉強は、共に働くメンバーの安全・健康を守ることにもつながる大事な知識を得ることでもあります。
ぜひ前向きに取り組んでみてください。
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