【衛生管理者】第一種を受けるメリット・デメリットと勉強のポイント
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国家資格である衛生管理者は一定の規模以上の職場で設置の義務があるため、企業からニーズがあり、転職やキャリアアップ等でアドバンテージになります。
本記事では、特に「第一種衛生管理者」にスポットを当て、どのような資格なのか、第一種・第二種どちらを受験するか迷った時のポイント、また勉強で押さえるべきポイントなどをご説明します。受験を検討中の方はぜひご参考ください。
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第一種 衛生管理者とはどんな資格?
第一種衛生管理者は、労働者の健康と安全を守るために必要な国家資格です。
50人以上の労働者を雇用する事業場では衛生管理者の配置が義務付けられており、その中でも第一種は製造業、化学業、鉱業などの幅広い業種で活動できる資格です。
試験内容は労働衛生や関係法令が中心で、職場の労働環境改善や安全対策を主導する専門家として重要な役割を担います。資格取得は転職やキャリアアップにもつながりやすいです。
働ける業種・何ができる?
第一種衛生管理者は、製造業や建設業、鉱業、化学業といった幅広い業種で活躍できます。
第二種が非製造業に限定されるのに対し、第一種は製造現場など危険性の高い職場にも対応可能です。
この資格を持つことで、職場の衛生状態を管理し、従業員の健康診断の運営やストレスチェック、作業環境の改善計画を策定するなど、幅広い安全管理業務に従事できます。
具体的な仕事内容
第一種衛生管理者の主な仕事は、職場環境の安全確保と従業員の健康管理です。
具体的には、有害物質の取り扱いや作業環境測定の監視、従業員への衛生教育の実施、健康診断結果のフォロー、災害発生時の迅速な対応などを行います。
また、労働安全衛生法に基づく適切な手続きを指導・実践することで、職場の安全文化を向上させる役割も果たします。
第一種 衛生管理者試験とは?
第一種衛生管理者試験は、職場の安全衛生を管理するための国家資格を取得するための試験です。
この資格は、労働者50人以上の事業場で必要な衛生管理者として働くために必須で、製造業や化学業など、幅広い業種に対応しています。
試験では、労働衛生や関係法令などの知識が問われ、試験に合格すれば職場の安全対策や健康管理業務を遂行できる資格者として認定されます。
受験資格
第一種衛生管理者試験の受験資格は、一定の学歴または実務経験が求められます。
高校卒業以上の場合、労働衛生や安全管理に関連する実務経験が3年以上あることが必要です。
また、大学や専門学校卒の場合は、1年以上の実務経験で受験が可能です。
最終学歴 | 実務経験年数 |
---|---|
中卒 | 10年以上 |
高卒・高認試験合格者 | 3年以上 |
短大・専門学校・大学 | 1年以上 |
関連する業務経験を証明する書類が必要となるため、事前に自身の経歴を確認し、不足がないように準備しましょう。
学歴や経験の条件を満たせば、年齢や性別を問わず受験できます。
詳しくは受験資格について解説しているコラムをご覧ください。
関連記事:衛生管理者の受験資格は?実務経験の内容や高卒・中卒の資格要件の違いを解説!
試験範囲
衛生管理者試験の範囲は、大きく「労働生理・労働衛生・関係法令」の3つに分かれます。
科目 | 第一種:全44問 | 第二種:全30問 | |
労働生理 | 10問 | 10問 | |
労働衛生 | 有害業務に係るもの | 10問 | なし |
有害業務に係るもの以外 | 7問 | 10問 | |
関係法令 | 有害業務に係るもの | 10問 | なし |
有害業務に係るもの以外 | 7問 | 10問 |
「労働生理」では人体の基本的な仕組みを学び、「労働衛生」では職場環境や健康管理に関する知識が問われます。
最後に「関係法令」では、労働安全衛生法や関連規則についての理解が必要です。
それぞれ実務に直結する内容で構成されており、日常の業務での活用を見据えた試験内容となっています。
試験の合格率・合格ライン
第一種衛生管理者試験の合格率はおおむね40~50%とされています。
令和5年(2023年)度の第一種衛生管理者試験の合格率は46.0%でした。過去の合格率は次表のように推移しています。
開催年度 | 受験者数 | 合格者数 | 合格率 |
令和5(2023)年度 | 67,572名 | 31,108名 | 46.0% |
令和4(2022)年度 | 68,066名 | 31,207名 | 45.8% |
令和3(2021)年度 | 68,210名 | 29,113名 | 42.7% |
令和2(2020)年度 | 43,157名 | 18,916名 | 43.8% |
令和元(2019)年度 | 68,498名 | 32,026名 | 46.8% |
平成30(2018)年度 | 67,080名 | 29,631名 | 44.2% |
平成29(2017)年度 | 65,821名 | 29,636名 | 45.0% |
平成28(2016)年度 | 61,500名 | 28,003名 | 45.5% |
平成27(2015)年度 | 55,129名 | 30,587名 | 55.5% |
平成26(2014)年度 | 53,111名 | 29,922名 | 56.3% |
平成25(2013)年度 | 54,499名 | 29,800名 | 54.7% |
平成24(2012)年度 | 55,080名 | 29,666名 | 53.9% |
平成23(2011)年度 | 54,169名 | 27,203名 | 50.2% |
合格ラインは、科目ごとの正答率40%以上、かつ全体の正答率が60%以上を目指すことが基準とされています。問題数は44問で、選択式の試験形式が採用されています。効率よく勉強するためには、頻出問題の傾向を把握し、基礎知識を確実に固めることがポイントです。
合格までに必要な勉強時間
第一種衛生管理者試験に合格するためには、約100時間の勉強が必要とされています。
関連業務の経験がある人であれば、50~80時間程度で合格に必要な知識を習得可能です。
過去問を繰り返し解くことで、試験の形式や内容に慣れることが重要です。学習計画を立て、毎日コツコツと勉強を進めましょう。
関連記事:衛生管理者試験の合格に必要な勉強時間は?合計何時間・何か月必要か解説!
合格発表日
衛生管理者試験の結果発表は、試験日から7日程度で行われます。
受験日当日に合格発表日がアナウンスされますので、確認しておきましょう。
全受験者に対し自宅宛に郵送物が届きますので、そこで合否の結果が確認できます。合格者には「免許試験合格通知書」が届きます。
早めに結果を知りたい場合は、合格発表日に安全衛生技術センターのHP上にアクセスしましょう。合格者の受験番号が掲載されています。
第一種 衛生管理者を選ぶメリット・デメリット
第一種と第二種のどちらを受験するか迷う場合は、以下の第一種のメリットやデメリットを比較材料として活用ください。
メリット
- すべての業種で活かせる
- 就職・転職・キャリアアップに有利
- 資格手当が支給されることがある
デメリット
- 難易度が高く、合格率が低い
- 第二種より試験科目が多い
第一種にするメリット
1.すべての業種で活かせる
第一種は全業種で衛生管理者になれます。求人情報で第一種・第二種どちらが応募条件になっていても応募可能です。
2.就職・転職・キャリアアップに有利
就職や転職に有利に働きます。資格を保有すれば、労務のスペシャリストという重要ポストを任される可能性も高まります。
また、資格保有を昇進要件にしている企業もあります。
3.資格手当が支給されることがある
職場の衛生管理者として任命されたら、労働環境改善や健康増進を推進する立場になります。1か月数千円程度の資格手当が支給されることもあり、収入アップにつながります。
関連記事:衛生管理者の資格手当はどれくらい?その他のメリットも解説
第一種にするデメリット
1.難易度が高く、合格率が低い
第二種に比べて、第一種は難易度が高く合格率が低いです。
ここ数年の合格率は、第一種が45%弱、第二種が55%弱となっています。仮に100人の受験者がいたら、第一種は合格者が10人少ない計算になります。
関連記事:衛生管理者の難易度・合格率はどれくらい?他の資格6つと比較してみた
2.第二種より試験科目が多い
第一種は有害業務に係る出題があるため、下表のとおり第二種に比べて2科目(14問)多いです。
▼資格種別と試験科目
資格種別 | 試験科目と出題数 |
第一種衛生管理者 | ・関係法令(非有害業務) 7問 ・関係法令(有害業務) 10問 ・労働衛生(非有害業務) 7問 ・労働衛生(有害業務) 10問 ・労働生理 10問 |
第二種衛生管理者 | ・関係法令(非有害業務) 10問 ・労働衛生(非有害業務) 10問 ・労働生理 10問 |
(出典:安全衛生技術試験協会)
以上のメリットとデメリットを吟味し、どちらを受験するか決めましょう。
第一種 衛生管理者試験の勉強のポイント
衛生管理者は勉強すれば合格できる国家資格です。
ただ、がむしゃらに勉強しても効果はありません。合格には以下の2つのポイントを押さえましょう。
1.出題傾向をカバーする
近年、衛生管理者試験は出題傾向が変わりました。テキストで基礎知識を身に付け、過去問で理解度をチェックしましょう。
つまずいた箇所にはドッグイヤー(ページの端を折る)やマーカーで印をつけ、重点的に見返しましょう。
関連記事:衛生管理者試験は難しくなった?合格するための注意点
2.スキマ時間を活用する
1日1時間を3〜4か月続けて100時間になります。社会人のスキマ時間は1日平均1時間9分あるそうです。通勤や休憩などのスキマ時間を積極的に勉強に充てましょう。
以上2つのポイントを解説しました。これらを網羅できるのが通信講座です。
最新の出題傾向を押さえたテキストでスキマ時間に勉強できるので、効率的な学習が可能です。
ただ、衛生管理者は学習範囲が広いため暗記でつまずくかもしれません。
もしも、暗記でつまずいたら、一問一答クイズにしましょう。
特に、有害業務は化学物質で苦戦する方が多いですが、「ベンゼンで引き起こされる健康障害は?」など、クイズにすればスムーズに覚えられます。
まとめ
第一種衛生管理者は企業からのニーズが高く、転職やキャリアアップに役立つ可能性があります。
ただ、第二種に比べて難易度が高い(合格率が低い)ため、限られた時間で効率的に学習しなければなりません。
通信講座ならスキマ時間を有効活用でき、忙しい社会人も十分合格が狙えます。
「初受験で勉強の進め方がわからない」「次こそ絶対に合格したい」という方々は、ぜひ活用してみてはいかがでしょうか。
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従業員規模800名企業の総務部門に勤務。
企業内の広報雑誌発行など多岐にわたる業務を遂行しながら第一種衛生管理者免許ほか多数の資格を取得。
(保有資格例)
2015年 第一種衛生管理者(一発合格)
2020年 FP2級
2021年 危険物乙種4類
現在も総務部門に勤務し社員の安心安全の労働環境実現に努めながら、労務や福利厚生、資格取得関連などさまざまな記事を執筆および監修を行い、ビジネスに関連するノウハウを提供している。